※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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希望 -1-

ー神社 境内奥

 

「、、、ダメか」

 

八神を起こさないように抜け出した俺は家に帰って鍛錬へ出掛けた。

今日は鍵を閉めておいた。

誰かが家に入ったら恥ずかしい気がした。

 

そして例のごとくチャクラを探す。

神秘の力は神話に登場する力ではないかもしれない。

創作に登場する力の可能性に気が付いたからだ。

 

”カメハメ波”

 

昨晩はやてが言っていたこの言葉が気になっていた。

カメハメ波の出所がわかれば万能の力に一歩近づける。

槍とチャクラで翻弄して精霊の力で引導を渡す。

詰みまで持っていく算段が付きそうだった。

 

「ふんっ!」

ダメだ。何も起こらない。

 

集中して力の出所が無いか精査してみる。

 

「・・・」

 

わからない。やはりカメハメ波を中心にしたほうが無駄ではなさそうだ。

 

辺りが明るくなってきた。

山の向こうを照らしていた太陽は地平線を照らし始めていた。

遅くなったら怒られてしまいそうだ。

さっさとはやてのところで汗を流そう。

 

この日の鍛錬は素早く切り上げた。

 

 

ー私立聖洋小学校

 

いつも通りの時刻、教室なのに

慣れた空間でも不思議と普段と違う趣を感じる。

朝食が冷えた弁当ではないからなのか、

いつもと違って誰かと一緒にいた朝のせいなのか、

はたまた朝シャワーを手伝わされて精神がすり減ったせいなのか

判別はできなかった。

 

実はクラスメイトも俺の変化に気が付いたらしい。

”今日はあんまり臭くない。親が再婚でもしたのかな?”

口に出す人間はもちろん一人もいないので俺は知らなかった。

 

「・・・」

 

友人を作ってこなかった俺は朝から放課後まで口を開かない。

いつも殺気立っていたからそれはそうだろう。

 

目の前の椅子が引かれて青い頭した丸坊主のガキが一人座る。

 

「おはよう。お前、なんか変わったな。」

 

「!」

話しかけられた!

不甲斐なくも嬉しかった。

 

誰だ?

快活で前歯が一本無いこの坊主

こいつは誰だ。

名前が分かんねぇ。見たことすらねえ

 

「誰だっけ?」

 

「佐藤だよ。前も同じクラスだったろ?俺の名前くらい覚えてくれよー」

佐藤は呆れた顔していた。

はなっから期待をしていなかったらしい。

悪い。顔すら知らねえ。

 

「あ、ああ。悪い。佐藤」

 

「おう、頼むよ」

 

なんか、佐藤はいいやつそうだった。

 

「おはよう。」

 

教室が突然静かになる。

前後左右の奴、

あるいは一団を作っておしゃべりをしていたはずだ。

何が面白いのか教室はうるさかった。

佐藤とのおしゃべりも結構な大声だったはずだ。

 

眩しい!

挨拶とともに入室したのは

肩まで伸びたブロンドのグリーンの瞳の男子。

神話から飛び出てきたような美少年。

見た目は完璧なはずだった。

 

しかし彼を見ると感情が嫌な方へ揺らされる。

気持悪ぃ

それ以外に表現の仕様がなかった。

彼の存在を嫌悪する。

クラスの皆がそう思っているようだった。

 

彼は一直線に教室の中を進み俺の前を過ぎる。

 

なんか臭っ!

汗と香水を混ぜたような違和感がする。

しかも香水はいろいろ混ぜてんのか?

強くはないのに鼻に残る臭いだった。

 

「すずか。俺の嫁よ」

 

「、、、」

 

文学少女

そんな表現が似合う紫の髪をした少女が1人

こいつは知ってる。体育の悪魔の月村だ。

月村は変な奴に絡まれていた。

 

「・・・」

 

なるほど変なのに絡まれたら相手しない方がいいのか。

 

「ーーー」

「・・・」

「ーーー」

 

女は担任が来るまで無視を決め込んでいた。

 

俺が寝ている間に

こんなドラマが起きていたとは知らなかった。

 

 

ー昼食後

 

体育の授業

体育は起きる。寝たまま運動ができるような訓練はしていなかった。

 

それに鍛錬になるのだ。

特にドッジボールは最高だった。

生身で敵わない相手がいるのが最高に燃えた。

 

悪魔月村

 

学校生活の希望だ

 

「ぅおるぁああ!」

 

俺は今日も悪魔を討伐しに掛かった。

佐藤はドン引きしていた。

 

悪魔からの返球はそのまま味方のボールになった。

 

悪魔のボールは誰もキャッチできない。

外野の味方さえ本気になったこいつの投球を見送った。

そうした中で新たに導入されたルールがあった。

 

壁ルール

 

壁に当ててしまうと敵にボールが渡る決まりだ。

俺との投げ合いでノッてきたらしい

体育館に身を竦ませるでかい音がこだました。

悪魔の投げたボールはノーバウンドで壁にブチ当たって行き場を無くした。

 

外野にいた女子がうちのチームにボールをくれた。

「はいどーぞ。」

 

彼女は殺気立った男が怖かった。

だからジャックへ渡せなかった。

 

今なら殺せる。

悪魔を殺せるぞ

悪魔狩りの時間だ!

 

異様なほど興奮した俺はボールを求めた。

 

「そいつを寄越せぇ!っ、、、ぬぅおるぁぁあああああ!」

 

『うわあ、、、』

 

皆ドン引きだったかもしれない。

 

「がぁあああああああああ!死ぃねえええええ!」

 

競技終盤、楽しんでいるのは俺と月村だけだった。

 

 

ー放課後

 

「今日も負けた、、、」

今日は気分が良い

体育で悪魔討伐の可能性を見つけたからだ。

 

壁ルールの導入によって避けるだけでボールが回ってくるのだ。

ボールがこちらにあれば投げて、投げて、投げまくる。

鍛えた体力でいくらでも投げてやる。

 

「でも今日は追い詰めてたぞ?」

佐藤から見てもいい試合だったみたいだ。

 

ボールを投げた時の重みを思い出すだけで体が熱くなる。

「だよな?燃えたぜ」

 

「でも、気持ちを出しすぎだ。皆怖がってたぞ。」

 

「す、すまん。気を付ける。」

 

忘れていた。

俺にはまだまだ常識が必要なようだった。

道のりは長いな。

 

あ、と思い出す。

「佐藤、カメハメ波って知らねえか?」

 

怪しむ佐藤

「カメハメ波?クソマラボールの?お前、知らねーの?」

 

教科書にも載ってないものを知るか。

「うん。」

 

「おいおいそれくらいは読めるだろう。家に全巻あるぜ。寄ってくか?」

 

以外に前進した。

「すまん。放課後は忙しい。こっそり明日学校に持ってきてくれないか?」

 

「汚すなよ?」

 

「ああ」

 

明後日からの鍛錬メニューが充実する。

そう確信した。

 

 

ー校庭

 

今日はいい日だった。

はやてに救われてから前向きになりつつある。

鍛錬に佐藤、悪魔討伐にクソマラボール

順調だ。

必要はないが全力疾走で帰ろうか。

そんな気分だ。

 

突然、背後から気分を害する気色の悪い気配がした。

 

「おい待てよモブ野郎」

 

「、、、」

 

悪魔の物まねを実行する。

さあ、この戦術にどう対抗する?

 

「おい、無視すんな!」

 

こちらにアピールするように

ダバダバと無駄の多い走り方で金髪を振り回している。

俺が言うのもおかしいが髪を切れ。

あまりにもおかしな相貌につい、反応を許してしまった。

 

「、、、誰だっけ?」

 

「皇聖夜だ!」

 

スメルか道理で匂うわけだ。

 

「で、今更自己紹介でもすんのかよ?アホらしい。」

 

「誰がするか!それよりも!お前俺のすずかちゃんに土下座して詫びろ!無礼にもほどがあるぞ!!」

 

おお、えらい剣幕だな、、、

煽ったらおもしろそうだ。

「、、、誰だっけ?」

 

イカ頭は顔を真っ赤にした。

こいつやっぱ面白ぇー

「月村すずかさんだ!お前今日のドッヂボールで酷いことを言ってただろう!」

 

「、、、知るか。用がそれだけなら帰る。」

 

足元に綺麗な装飾の西洋風の剣が突き刺さった。

それは神秘的と形容するのがふさわしい

何か特別な力を内包している剣だった。

 

いやらしい笑みを浮かべたイカ野郎は見下したように見てやがる。

「次は当てる。今泣いて詫びれば許してやるよ」

 

ふざけた顔にイラつくがそれどころではない

伸びた鼻毛は切るか引き抜くかしろよ。

 

しかしこのイカ野郎、同類だ。間違いない。

こいつの剣は神秘としか言いようのない美しさをもっている。

精霊の力のように異質でいて強力であろうことは見て取れた。

 

「お、おい!それは僕のだぞ!」

 

力の確認に丁度いい。

神秘の力に

自分の力がどこまで及ぶのか検証しよう。

おもむろに剣を握る。

 

形からわかる通り、切先から力を吐き出すようだ。

柄や刃の構成からして素材すら効果を発揮させるための特別なものだ。

そこへさらに指向性を持たせるように複雑な術式を感じる。

 

ならば消すのは術式で十分か、、、

「、、、」

 

最小限の燃焼を術式に流し込む。

剣から感じた神秘が唐突に萎んでいくのを感じる。

 

構造が複雑過ぎた。

制作期においては内部への干渉はマイナーだったのだろう。

神秘の剣は、1か所の綻びが全体へ影響を与えて機能がバグっていた。

 

「お前死にたいのか?無視するなよ」

 

スルメの背後から新しい剣が射出される。

剣としての役割を果たせるとは思えない歪な剣だ。

俺に掠めるようにして飛来する剣は地面に当たると金属板が震える音とともに地面に転がった。

 

「ありがとよ。まだくれるのか?これ?」

 

「ちっ!」

 

スルメは舌打ちをすると背を向けて去っていった。

 

身に余る神秘を持つ

 

そして引き際の良さ

ガキのくせに不利を悟って感情を制して立ち去った。

 

あいつも

力を望んだのだろう。神秘の力が何よりの証左だ。

では彼は何を代償にしたのか。

それは恐らく

 

先の人生

 

資産、容姿、才能

それだけあれば幸せな人生を約束される。

彼はそう考えたのだろう。

 

確かに学生のうちならば正解だ。

しかしいざ自分で人生の舵を取るには権力いや、渡世術が不可欠だ。

要するに他者とのコミュニケーションを喪失すればどれだけ才能を有しても

木偶に成り下がる。

 

存在を嫌悪される彼はその点哀れな木偶だった。

まるで誰かの反面教師となるべく生きているかのように。

そんな彼を言い表す言葉があるとすれば、

 

道徳的な教科書に操られたマリオネット

 

スルメ君はこの先どう生きるのだろうか?

周囲から疎まれ、理想と現実の落差に絶望した彼の自我は成長と共に加速度的に削れていく。

人生をかけて魂を徴収される彼の人生は幸せなものなのだろうか。

 

現実は誰にとってもクソッタレだった。

 

 

ー境内奥

 

明日を待ちきれず、古本屋でクソマラボールを探した。

ストーリーを楽しみたかったがカメハメ波を見つけた。

 

次は”気”という技術が必要だ。

体に力を滾らせる感じか。

やってみるか!

 

「ぬおぉぉぉぉ、、、」

 

違う。こんな感じの試みはもうやった。

体中の力をまとめてみる。

 

「んんぬぅぅぅう、、、」

 

もっとだ。もっと集める。

 

「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉうぇぇ」

 

青い

薄っすらとだが体が青く光った!

きっとこれがチャクラだ!

俺は未来の光明をえたぞ。はやて!

 

 

 

ー八神家 リビング

 

「んんんぬぅぅぅぅぅぅ、、、」

 

「ぅぅぅぅぅぅうううんんぬおうぇぇぇぇぇ!」

 

ぽわ~

 

「おお~」

 

「はあっ、、はあっ、、、すげえ、だろ?これ、チャクラ、はあっ、てんだぜ?ふぅっ、、、ふぅ」

たぶん

 

俺はとびきりの友人に自慢をしていた。

どうだこれで俺は痛い奴じゃない。

 

目を輝かせるはやてに俺の成果を誇る。

これでお前を、俺達を理不尽から守って見せるぜ!

 

「じゃあ魔法使いやのうて、NINJAやなー。ジャックは」

 

「はあ?」

 

わけ分かんねえぞ。

これ、クソマラボールの気の類だろ?

あのガチホモレイプ集団は忍者なのか?

 

「だってそれチャクラやろ?MARIOのNINJAの力やん。それ」

 

、、、クソッタレだ

やっとはやてにいい顔できると思ったのに

現実はまだまだクソッタレだった。

 

「まずは皿洗いから覚えてもらわんとなー?」

 

「、、、やってやるよ」

 

ああ、クソッタレだ。

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