※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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煉獄世界 -3-

彼は主人公を目指した。

愛され、称えられ、

美しいヒロインたちと肉体関係を持ちたかった。

 

彼が彼としてこの世に生を受けたその日、

両親は彼を残して渡米した。

以後の一切の手続きは管理人を介して行われた。

 

ご都合主義な展開に彼は歓喜する。

 

この後の展開はこうだ。

 

母の言いつけで幼馴染が押しかける

幼馴染に触発されたヒロインは俺しかいない時間を見計らって押しかける

なし崩し的に2人と関係を持った俺はいつか修羅場を経験する。

あと、従妹がアメリカとかから押しかけてちんこをしゃぶる。

 

彼は神秘の力を持っていた。

創作の中で見た、万能の能力。

何でもありでいて、リスクはない。

それに加えて攻撃力には幅がある。

使えば必殺というわけでもない。

 

彼にとって自分は特別だった。

他の人間の上に立つべき人間。そう、考えていた。

 

事実、彼が歩けば道ができた。

夏祭り会場では移動するのに立ち止まることはなかった。

花火だって毎年場所取りをせずに見た。

 

まだまだある。

商店街で買い物をすればすぐに品物が出てくるし

商店街を歩く人と目を合わせれば一様に俯いた。

臣下の礼に思えた。

 

スーパーマーケットへ行けば彼の並ぶレジから買い物客が消えた。

お釣りを渡した店員は店を出るときにはキャーキャー叫ぶ。

 

彼の人生は満たされていた。

どん底から天井へと住処を移していた。

 

彼は努力も怠らなかった。

神秘は狙い通りに着弾したし

身なりにも気を遣った。

まだ見ぬ従妹を思って英語もマスターした。

 

話を盛り上げるために本も読んだ。

いくら妄想をしても何を話していいのかさっぱりわからなかったからだった。

 

 

彼は聖洋小学校を受験した。

原作のヒロイン達と幼いうちからセックスをしたかった。

遠くから3人娘のイベントを確認した彼は次の日からアプローチを重ねた。

 

喧嘩していた姿を茶化し、

自らも輪の中に入ろうとした。

 

関係ない

とか近づかないことを約束してほしい

とか散々なことを言われた。

 

彼女たちの怒りをおさえるために香水の勉強もした。

リラックス効果があると言う香水を頑張って選んだ。

 

進級すると月村すずかはいつものグループから外れた。

 

寂しさを埋めてやるために小話を披露した。

雑学の知識を彼なりに面白おかしく伝えた。

 

彼女からの反応はなかった。

 

ある日、見かけないクラスメイトが暴れていた。

いつも教室で寝ている問題児だった。

 

大学レベルの教養を持つ彼ですら授業をきちんと受けていた。

 

問題児はその日さらに問題行動を起こす。

 

ルールを追加したドッヂボールで球を独占した。

醜く雄叫びを上げながら何度も何度も月村すずかを攻撃した。

仕舞いには罵詈雑言さえ浴びせかけていた。

 

容認できない彼は帰宅途中のところを引き留めて責めて謝罪するように命令をした

抵抗したので神秘をちらつかせた。

 

目の前で神秘を無効化され、不利を悟り退却した。

関わっても得をしない相手と判断したから。

 

 

彼はようやくおかしなことに気づき始める

 

その日の放課後

彼は道を訪ねて回る黒人の男性を見かけた。

大柄な彼に怯えた通行人は彼を避けて歩き去った。

 

見かねた彼はどうしたのかと尋ねた。

返答は辛辣だった。

男はスラングまで理解できないと見下したのか、

そこまで言うのかと思うほど彼の見た目や生まれをけなし続けた。

 

焦って背を向けた彼方で男性は大声でののしり続けた。

 

彼は焦った。初対面の人間にも嫌われたから。

きっと態度を見透かされているだけだと思い込んだ。

 

だからゴミ拾いには積極的に参加したし家の前に掲示板を設置した。

地域のごみ収集場が汚れていれば進んで掃除し

学校では特に当番を決めていない仕事を探して進んでこなした。

必要以上に誰かに話しかけることをしなかった。

 

半年の期間を置いても周囲の風当たりの強さは何も変わらなかった。

 

商品の場所を尋ねると店員は走って去り、無言で商品を押し付けてきた。

別の店では冷やかしなら帰れと大声で罵られた。

スーパーの特売へ行けば人の群れに道ができた。

 

彼は現実に直面する。

 

気づけば親の顔をろくに見た覚えがなかった。

よくよく調べるとアメリカに2歳下の弟ができていたらしい。

彼は知らせを受けていない。

 

今日までクラスメイトの誰かに話しかけられたことはあっただろうか。

そもそも寝ている生徒は指名されても彼は指名されたことが無かった。

 

 

 

彼はその存在を嫌悪されていた。

 

やり場のない怒り

意味のない後悔

生まれたことを後悔する

未来への諦観

 

彼は世界の破壊を誓った。

目に映る全てが彼を否定しているようで気味が悪かった。

 

錯乱した彼は知識で知っていた。

災厄の種の存在を

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