※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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A's編
思い出


ー海鳴市 デパート

 

ジャックはプレゼントを探していた。

大人を頼ってお悩み相談をした彼は愛しい彼女との将来を決めたかった。

 

思案した彼が選んだのは誕生日にプレゼントを渡し、将来を誓うこと。

だから彼は初任務の手当の範囲内でプレゼントを探していた。

 

何と言って渡せばよいだろうか。

何時に渡すのがよいだろうか

今度は返事を貰えるだろうか

うーんと言われたらどうしようか

強引に唇を奪うくらいは許されるだろうか

 

横やりを入れられることなど、彼は想定していなかった。

 

 

ー海鳴市

 

彼女と過ごすのはいつも家だった。

 

映画デートも家だったし、クリスマスも家だった。

 

だから特別な日にしようと彼は企画する。

前日は海浜公園でゆっくりと過ごす。

慌ただしさや家事から離れて非日常の散歩を楽しむのだ。

 

この草は、この花は、このキノコは

この虫はこの鳥は

 

そんな雑学を披露しながら談笑して、

安息を楽しむ。

 

レジャーシートを広げた家族が弁当を囲んで楽しそうに話をしている。

車椅子を押しながら、少女も同じ未来を夢見ることを期待した。

 

 

ー夕方

 

車椅子を押してはやてを食事に誘う。

今日は外食をしようと誘い出す。

唐突なようでいて、実は事前に予約をしている。

 

本当はドラマのように、夜景の見えるホテルだったりレストランで食事をしたかった。

しかし見た目と完全に釣り合わないうえにいたずらにしか見えない。

 

今日だけは外したくなかったので例のごとく高町さんに相談した。

その結果、高町さんの経営する喫茶店で食事をさせてもらえることになった。

 

「知り合いが喫茶店やってんだ。世話になってるから顔だけでも出させてくれよ。」

 

「ええけど、迷惑かけたらあかんよ?」

 

腑に落ちない顔ながらも反対しない彼女を連れて翠屋へ入る。

 

高町さんの娘さんだろうか、

予約していると告げると年の近い少女が驚いた顔で席へ案内をしてくれた。

 

こんな子供が一丁前に予約席を取って夕食を楽しむのだ。

驚かれて恥ずかしいが、そうなって当然なので気にせず車椅子を席まで押して自分も席に座る。

 

はやては慣れない店内に少し緊張しているようだ。

 

「予約とっとったんやな?」

 

じとっとした目でこちらを見てくる。

 

「驚いたか?」

 

いたずらが成功した顔ではやてに話しかける。

 

「当たり前や!うちは家でもよかったのに」

 

「ごめん。たまには、楽させたくってよ。」

 

「もう、先が思いやられるわ。」

 

「え!」

 

今度ははやてがいたずらっぽい顔でこちらを見る。

 

「なんや?」

 

先手をとってもはやてに敵いそうもなかった。

 

 

料理が運ばれてくる。

恭ちゃんさんが事務的に淡々と料理を運ぶ。

そんな状況で2人で談笑する。

 

「さっきの子、えらい驚いとったで?知り合いやないん?」

 

「?多分、知り合いの娘さんだな。」

 

「!え、知り合いて大人のひとなん?」

 

「ああ、朝の鍛錬で色々教えてもらっててさ。」

 

「へー。不思議な縁やなー。」

 

 

「ちょっと外すぜ。」

 

コースが終わる頃、高町さんにお礼を言いに席を外す。

そして店の照明を落としてもらってプレゼントを持ち、彼女のもとへ

席には小さなホールケーキが運ばれる。

 

「はやて、1日早いけど誕生日おめでとう。いつも世話になりっぱなしだから今日はほんの恩返しだ。

はやてが俺のことを大事に思ってくれる以上に俺ははやてを大事に思ってる。だから、これからもずっと一緒に思い出を作りたい。

こいつはそんな気持ちを込めてある。受け取ってくれねえか。はやて。大好きなんだお前が。俺と一緒になってくれ。」

 

「うん。、、、ええよ?」

 

店中の人間が祝福してくれる中、はやての手をとった。

 

「ありがとう。はやて。これからも、よろしくな?」

 

「うん。こっちこそ。」

 

はにかみながら見つめあった。

 

「開けていい?」

 

「ああ、ここでつけてみてくれ」

 

箱を開けると金色のブレスレット。

中央に黒いライン、赤い宝石が嵌められている。

 

「これ、高かったんやない?」

 

「成長を見込んで大きめに作ってあるから、そうでもねえよ。」

 

それに

 

「それに、一生持っていて欲しいもんだからな。」

 

照れながらそういうと彼女も嬉しそうにはにかんだ。

 

店の中に明るさが戻り、店内の人達に再度祝福された。

2人でお礼を言いながらケーキを食べた。

 

 

ケーキを食べて一息入れ、

2人で高町さんにお礼を言い、店を出た。

 

辺りはすっかり暗くなっているのに、

俺とはやての心は明るい。

 

彼女の左腕には綺麗なブレスレットが輝いている。

 

「大事にするな?」

 

「うん」

 

「大事にしてな?」

 

「うん?」

 

「うちのこと」

 

いたずらっぽく笑う彼女は今日も可愛い。

 

 

ー八神家 寝室

 

「今日は、ありがとうな。」

 

「いいや、俺こそ。ありがとう。」

 

お礼を言い合いながら見つめ合い、堪え切れずに2人で笑う。

 

「「、、、」」

 

どちらともなく、顔が近づく。

 

触れ合うだけでは足りない。

もっともっとと求め合った。

 

「はあ、はあ、なんや苦しいね?」

 

笑いながらはやては言った。

ジャックは無言で彼女を抱き寄せ、軽く唇を重ねた。

 

「今日、だけじゃあ、ない。これからもっともっとキスをしよう。そうすりゃ慣れるさ。」

 

何度も何度も

 

「う、、、ん。ねえ、もっと」

 

盛り上がる2人は互いに服を脱ぐ。

ドラマの見様見真似の幼い2人でも、自然とこうすることが自然だとわかっていた。

 

上半身裸になって求め合って絡み合う2人。

 

机に置かれた時計は日付を跨いだことを知らせた。

 

 

 

ー八神家 寝室

 

「「、、、」」

 

4人の男女が寝室に現れ口上を述べ、面を上げた。

 

2人の上半身裸の男女は抱きしめ合いながら彼らの方へ顔を向けた。

 

「「、、、」」

 

ジャックはゆっくりと布団を引き上げてはやてを隠してベッドから降りた。

右手に朱槍を口寄せし、パンツのみ身にまとった彼は決意に満ちた表情で問う。

 

「誰だ。はやての知り合いか?」

 

それに対して赤髪の、ボディーラインを強調するような衣をを身にまとった女が進み出た。剣を構えて問う。

 

「貴様こそ何者だ。我らの主から離れろ。この不埒者が。」

 

「どっちもどっちや!アホ!さっさとそれをおろし!!」

 

「「いや、こいつが」」

 

「うるさい!さっさしいや!!」

 

布団から顔を出して唐突に声を上げる彼女に逆らえるものは、いなかった。

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