悪い状況でもあがいてあがいて切り拓く。
ずっとそうして生きてきた。
いつか報われる。そう信じて。
ー八神家 物置
守護騎士達とジャックは暗い部屋で通信端末を囲っていた。
「、、、無限書庫ならば、あるいは情報があるかもしれん。」
英雄は重苦しく口を開いた。
「よかろう。ジャックの書庫へのアクセスを限定的に申請しておく。私の部下の同行が条件だ。」
「ありがとよ。」
守護騎士一行は英雄と交渉をした。
スキャンダルになりかねない映像の非公開を条件に協力を取り付ける。
そうして彼らは希望を見出す。
「だが、失敗した場合は書の破壊、あるいは主の封印を約束しろ。これ以上お前の身勝手に世界を巻き込むな。」
英雄は釘を刺して一方的に通信を切断した。
ジャックはそれに何も言い返すことができなかった。
「、、、だってよ。信用されてんな?」
ヴィータはジト目でジャックを睨む。
「知るか。使えるうちはなんでもいいだろ。とにかく時間がねえ。そん時はしばらく家を空けることになるかもしれねえ。」
「それこそ我らが知るか。貴様が直接主に言え。」
ザフィーラは冷たく切り捨てた。
それができていれば苦労はしない。
わかり切ったことだった。
ー八神家 リビング
はやては悩んでいた。
守護騎士が出現した夜のこと、
甘い夜の続きをできなかった。
少女漫画でなんとなくの知識はあったものの具体的にどこに何をどうすれば
主人公のように乱れるのかわからなかった。
「なあ、シャマル。ちょっと教えてほしいねんけど。」
彼女は守護騎士の中で最も達観していそうなシャマルを相談役に抜擢した。
「この漫画のな、ここなんやけど、、、」
「あら?この間の続きですね?」
「うん。そっからどうすればええんか、どうしてもわからへん。」
「お任せください!はやてちゃんにしっかり教えてあげますよ。」
つかの間の幸せが八神家に充実していた。
僅かな希望を見出し、
目の前の幸せを掴むために踏み出した。
ー八神家 寝室
「もうちょっと下」
「ここか?」
もぞもぞと、寝室のベッドで若い男女がやり取りをする。
「ん、そこ。ゆっくりな。」
「ああ。」
ジャックはひんやりとした、良く濡れたそこへ己の性器をあてがう。
「っ!」
「おおっ!」
両者は未知の感覚に襲われる。
初めて感じるそれはまるで電流のように体を迸った。
「っふうぅ、、、」
悶えるように、耐えるように食いしばる彼女の声に、ジャックには感情がこみあげてくる
「なんか、ありがとな。」
「んん?なにがぁ?」
「いや、なんとなくだけどよ。」
「うん」
「はやて。愛してる。」
「うん!うちも!」
暗くてもよくわかる。
きっと彼女はこの中で笑顔を見せている。
そう、考えるとたまらなかった。
「!」
「どうした?」
「もっとゆっくりぃ」
「こうか?」
「うん。ぎゅっとして。」
「ああ」
とにかく彼女が愛おしかった。
「んんっ!ああっ」
「苦しいのか?」
彼女は黙って首を横に振る。
「もっと動くぞ?」
耐えきれないジャックは言うのと同時に動き始める。
彼女は同意をするようにしっかりと首元にしがみつく。
途端、彼女は悶え、彼らは興奮で何も考えられなくなる。
獣に成り下がった2人は互いの唇を貪るように重なり合った。
「頂戴!」
え、何を?
冷静になってしまったジャックは困惑しながらも、
若い衝動に身を任せるのだった。
ー朝
「おはよう。はやて」
「おはよう。ジャック」
しわだらけのシーツで2人で抱きしめあった。
ジャックは一人決意する。
この日常を守り続けるために、
「なあ、これからたまに帰れないときが出てくると思う。許してくれ。」
「大切なことなん?」
「ああ。」
「ちゃんと帰ってくるんやで?」
「ああ。約束する。」
「うん。寂しいけど、待ってる。」
「ああ。ありがとう。はやて。」
抱きしめ合う。
想いが通じたのに、一緒にいられないことはつらかった。
彼らはしばらく抱きしめあった。
「あ、またおっきなってる」
「はやて、もう一回」
そう言ってジャックは彼女の体をまさぐる。
「ああっ!もう。」
もう少しだけ、
せめて記憶の中だけでもこの日常を過ごせるように
もう少しだけ
そう祈りながら、ジャックは行為に耽った。