※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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ジャックの奉仕活動 -2-

ー地球 ジャック自宅

 

「ふっ、、ふっ、、ふっ、、」

 

自宅のベッドの上で

ジャックは、ゆっくり、ゆっくりと一定のリズムを腰で刻んでいた。

 

ぬちぬちと肉を擦り込む音と息遣いだけが木霊した。

 

「んっ、、んぅっ!、、ん、、んん!」

 

ヴィータは声を出すまいとジャックにしがみつく。

彼らはお互いにしがみつくようにして繋がった。

 

「ふっ、、ふっ、、ふっ、、」

 

ぬちぬち

 

「~~~っ!」

 

ヴィータは嬉しそうにジャックの首元に噛みつく。

 

彼はそんな愛情表現に堪らずキスをする。

彼女はその行為に幸せを求めるように舌を伸ばした。

 

一層激しい息遣いが室内を支配した。

 

ぬちぬちぬち

 

ヴィータはゆっくり小刻みにすると悦ぶ。

 

最近ジャックが学んだことだった。

 

ぬちぬち

 

早まりそうなペースを抑えて何度も何度も膣を刺激する。

 

ぬちぬち

 

ぬちぬち

 

ぬちぬち

 

2人は汗だくな体など気にしない。

汗と体液でベッドを湿らせながら、2人は秘密の関係を楽しんでいた。

 

 

『ジャック。』

 

一旦休憩して抱きしめ合っていると英雄からの通信が入る。

 

すかさずヴィータにシーツを掛けた彼は通信機に向かう。

過去のような、通信機への動揺は欠片も見せない。堂々とした姿は鍛えた肉体と相まって頼もしい。

 

「なんだよ?いきなり」

 

『情報の対価を用意した。乗るかどうかはお前の自由だ。』

 

それははやてを救うための情報の取引。

英雄の作戦に参加するならば闇の書の情報を開示するということだった。

 

「!分かった。当然乗るぜ。その話」

 

ジャックの決断は早い。

そうでもしないとはやてを失いそうで怖かったからだ。

 

『時にジャック。』

 

「?なんだよ」

 

グレアムの要件は終わっていなかった。

 

『その手の行為は必ずバレる。女はお我々の想像よりも恐ろしいのだ。』

 

よく見ると彼の右頬には真新しい引っ掻き傷ができていた。

 

「?あ。」

 

ジャックはだからどうしたと顔で示す。

力ならば負けはない。彼は自らの実力に自信がある。

 

今の英雄には、話の通じない相手に説明するほど精神的な余裕がない

 

『はあ…忠告はしたぞ。少年』

 

『詳細は追って連絡するが、今回の任務はリンカーコアキメラが絡んでくる。覚悟を決めておけ。』

 

「?」

 

英雄の忠告は無知なジャックに伝わらない。

 

『お前の故郷を焼いた連中の関わった研究だ。例の軍人も出張るやもしれん。』

 

そう言って英雄はジャックの反応を伺う。

 

ジャックは、感情を爆発させていた。

 

あいつを、とうとうあいつを殺れる。

腹に綺麗な風穴通して、槍で串刺しにして高い高いをして可愛がってやる。

ただでは殺さない。

必ず首を刈り取って墓前に供する。

 

燃え滾る感情はリンカーコアを刺激し、余剰の魔力が独り歩きした。

チリチリと舞う火の粉がモニターを照らした。

 

「その代わり、、俺が頭だ。邪魔すんなよ。」

 

ジャックは感情を抑え込むように、静かに返答する。

 

『ああ。今回も突入をサポートしてくれ。5人寄越す。短期突破が成功のカギだ。今回は、決して逃すな。』

 

厳めしい顔で、静かに怒りを滲ませながらグレアムは命令する。

僅かに強張った肩が彼の怒りを如実に表す。

 

英雄も毎回煮え湯を飲まされ、平気でいられるはずはなかったのだろう。

腹を立てるのは当然に思えた。

 

『では、一旦通信を切るぞ』

 

我慢ができないかのように英雄は通信を切った。

彼の胸元からは見覚えのある赤茶けた頭髪が覗いていた。

 

『んっ、へへ、のんじゃった。』

 

通信の切れ間に、猫撫で声が部屋に木霊した。

 

 

「…」

 

「…」

 

ジャックとヴィータは神妙な顔で見つめ合う。

通信の内容について話そうとするが、艶めかしい最後の一言がどうしても頭から離れない。

 

「そういうわけだ。悪いが俺は出るぜ。」

 

話の流れを修正しようとジャックはヴィータに切り出した。

暫く家を空ける。恐らくそのまま受け取った情報の整理も必要になるだろう。

日帰りの出立には思えなかった。

 

「…うん」

 

ヴィータはシーツを握り締め、目を逸らす。

 

「心配すんな。離れていても、俺ははやてを守ってやれる。勿論、お前もな」

 

ジャックはヴィータを抱き寄せて囁いた。

 

「ばーか」

 

ヴィータはそう言って胸に顔を寄せた。

 

 

 

 

ー八神家 リビング

 

「はやて、悪い。暫く家を空ける。」

 

夕食が終わり、次々と家族が風呂に入る時間

ジャックははやてに切り出した。

 

「なんでや?」

 

はやては心配そうな顔で尋ねる。

神妙な顔をするジャックが、何か重大な決意を秘めていそうで

まるでこれから危険に身を投じる人間のように見えてしまうのであろう。

彼はそう、判断した。

 

「お前の足。どうにかなるかもしれねえんだ。」

 

ジャックは彼女を説得にかかる。

 

「!そんなん、ジャックが危ないんやったら、うち、」

 

「大丈夫だ。」

 

ジャックは心配するはやてを一蹴する。

 

「俺は、大丈夫だ。誰にも負けねえ。」

 

「分身も、残す。」

 

はやては尚も不安な顔を隠せない。

 

 

「ただ、寂しがりなはやてを残したら、誰かに迷惑掛けねえか心配でよ。」

 

「!あほ!さっさと行ってこい!」

 

はやてはジャックの肩を殴りつけた。

 

「!っ、ああ。本当に大丈夫?」

 

「あほくさい。大体1人で生活できんのはどこのどいつや?」

 

ジャックのことだった。

 

「…そうだったな。」

 

「弱虫さんもジャックやで?」

 

「そうだったな。」

 

自然、2人にいつもの表情が戻る。

 

「早よ、帰ってきてな?」

 

「ああ。」

 

出発はまだだというのに、彼らは別れを惜しんで抱きしめ合う。

彼は確かに教訓を得ていた。

いつかの教訓だった。

彼の良かれと思った行動は、必ずしも彼女の幸せに繋がるとは限らない。

 

果たして彼女の心配事はジャックの身の安全だけだったのであろうか。

 

病魔に侵される彼女が恐れることは孤独だった。

 

死の淵で愛する者と会えないこと。

それが何より彼女を恐怖させる。

 

彼は、孤独を恐れる彼女の気持ちを履き違えた。

 

 

 

 

 

ー管理外世界

 

「…!」

 

得意ではないものの、ジャックは施設内を索敵する。

地下施設程度の限定空間でならば有り余るチャクラによる索敵が可能だった。

 

「…どうだ?」

 

以前、ジャックと突入班を組んだ青年が話し掛ける。

彼以外にも突入班が外壁に集う。

 

「見つけたぜ。…地図と書くもん貸してくれ。」

 

思案してジャックは静かに提案する。

 

「は?んなもん誰が持つかよ。…ほら。これでどうだ?」

 

青年は野蛮なことを言い出した少年に魔導デバイスを提示した。

 

「ちっ。さっさと出せよ」

 

悪態をつきながらジャックは索敵の結果を共有する。

 

「…そうか。では、突入は予定通り爆破して侵入。左右に展開してポジションに着かれる前に一掃する。いいな?」

 

「了解」

 

ベテラン隊員が作戦を確認し、青年が手際よく壁に大袈裟な装置を取り付ける。

 

「何やってんだ!さっさと行くぜ。」

 

「馬鹿!そのためにこうして、」

 

「うるせえ!ついて来な。」

 

「はは。カルロ!怒られたぞ。どうすんだ?」

 

青年は周りにどやされる。

 

「おい!作戦を聞いてないのかよ。外壁はコンポジション爆薬で、」

 

「うるせえ!黙って着いてこい!」

 

「「!」」

 

ジャックは復讐の対象を一刻も早く仕留めたかった。

今も火の粉をまき散らす彼は爆薬の設置など待てなかった。

 

「行くぜ!おおぉらああああ!」

 

槍は爆発を伴って外壁を食い破った。

異質な炎は何を以てしても阻むことはできない。

 

「まじかよ、、」

 

「…」

 

背後の呟きを無視してジャックは先行する。

 

「…」

 

先行する少年を見捨てまいと隊員達も続々と侵入し、無言で傭兵たちを制圧する。

前回の反省を活かした迅速な対応だった。

 

『制圧完了だ。引き継ぐぞ!』

 

尚も先へと進むジャックに待ったがかかる。

 

『…』

 

ジャックは声を無視して進む。先へ先へ。

まるで憑りつかれてしまったかのように

彼はただただ前へ進み、施設の奥へと侵入していった。

 

 

『提督、申し訳ありません。サンダースが先走って奥へと侵入しました!』

 

『構わん。あいつなら何とかなる。我々は予定通り職務を全うする。2班へ現場を引き継げ!』

 

『了解』

 

グレアムは不確定要素の放置を指示し、確実な証拠集めを優先した。

 

『ジャック。あいつはアンデルへの筋道だ。生け捕りにしろ。』

 

『…』

 

疾走するジャックは返事をしない。

聴取ならその場で拷問すればいい。

 

司法を盾にされる前にその場で殺す。

彼はそう考えた。

 

 

ー施設内 モニタールーム

 

「早く接続を遮断しろ!通信に足をつけられればお終いだ!」

 

モニターを複数表示させた部屋の中、

恰幅のいい男性が職員に指示を飛ばす。

その姿は確かに以前ジャックの村を襲った軍隊の指揮官の姿だった。

 

彼は焦ったように証拠隠滅を図っていた。

 

「急げ!あの方のことを何としても追わせるな。おい、お前!この場にキメラを用意しろ。皆殺しだ。」

 

「はい!」

 

白衣を着た職員はそう言って目の前のモニターを操作し、

室内の隔壁を上げた。

 

「お前たちは所定の経路で脱出、街へ潜伏して指示を待て。…おい!キメラを出す。技術職員は退避しろ」

 

男性はそう言ってモニターを見つめていやらしく笑う。

 

「来い。サンダース。この世の地獄を見せてやる。」

 

彼の左右には隔壁を超えてやってきた、ぼろきれを纏った少年少女が4人

全員虚ろな目で静止している。

 

 

「!」

 

爆発音とともに槍を携えた少年が侵入した。

男を目にした瞬間少年から火の粉が吹き出し、彼の髪は逆立った。

 

「見つけたぜえ…!皆の仇!ここで縊り殺す!」

 

開ききった瞳孔で男を睨みつけるジャック。

彼の槍は施設の隔壁さえも赤熱させる。

 

「馬鹿が!死ぬのはお前だ!やれ、キメラども」

 

「!」

 

男が指示すると襤褸切れ達が蠢き出した。

ミチミチと音を立てて異形へと変容して行く彼ら。

まるで腐乱死体のような醜い容貌、死体とは思えない力が滲み出す。

 

なにより恐怖を掻き立てる。

未だ火の粉をまき散らすジャックでさえも冷汗が流れる。

 

「なんだよ、これは…!」

 

あまりにも醜悪な様

およそ人間を素体にしているとは思えなかった。

彼らは少なくない悪意を発散する。

 

「くくく、どうだ?素晴らしいだろう。」

 

恐怖する様を満足げに見た男は演説を続ける。

 

「これが人造キメラだ。魔物と呼ぶべき存在だ。恐ろしかろう。」

 

演説の間、彼らは落ちくぼんだ目でジャックを見つめる。

人間を肉か何かとしか認識しないような挙動。

存在そのものが生命を冒涜していた。

 

「冥土の土産だ。ついでに教えてやろう。」

 

男はそう言って姿を変容させる。

 

「あのお方がこんなところにいるわけがないだろう!貴様はこの場で惨めにオワリヲムカエロ!」

 

男はキメラたちと同じく異形へと変容する。

悪意を滲ませたその姿はまるでSFに登場する人型のロボット。

だが、その姿はキメラ同様生命への敵にしか見えない恐怖を伴う。

どう見てもカーキの男とは異質な存在だった。

 

「シネ」

 

ロボットは右腕をジャックに向けた。

咄嗟にジャックは身を反らす。

 

「!」

 

ダガガガガガガガッ

 

隔壁を削り取るように弾丸が排出された。

少しでも判断が遅れればジャックの上半身は消し飛んでいた。

 

男の右腕が白煙を吐き出す。

 

恐怖に駆られたジャックは殺戮を選ぶ。

彼は根源的な恐怖を呼び起こす異形の存在を消し去りたい衝動に駆られた。

 

厄介な男を先に始末する!

 

そう決意し駆ける彼を阻む存在。

 

キメラたちだった。

 

彼らははらわたから響かせるような醜悪な音を立てて襲いかかる。

あるものは抱きつくようにしてジャックに迫る。

 

ジャックは恐慌しながらも槍で突き飛ばす。

 

あるものは仲間の頭部を引きちぎり投げてくる

 

赤熱した槍を以て払う

 

嚙みつこうとする者はその頭部を焼き飛ばす

 

「!ハハハ。スバラシイ。キサマモキメラニナルカ?」

 

男は余裕そうに銃口を向ける。

 

射線から逃れるといつの間にかキメラが取り囲む。

 

増援ではない。

 

キメラたちは倒れても起き上がってきた。

まるで出来の悪いスリラーのように甦り、迫りくる。

 

ジャックは狂乱しながら死肉を消し飛ばす。

倒れた彼らを精霊の炎で焼き払った。

 

「はっ、、はあ、次は、お前だ!」

 

恐怖しながらも復讐の炎は消えない。

事実恐慌に陥りながらも彼の眼光は鋭さを持っている。

 

「本物のあいつは今どこにいる!言え!」

 

「ハハハ!」

 

男は愉快そうに笑いながら銃を乱射する。

ジャックの歩幅を見切れなかった男はジャックの1歩脇の地面を盛大に削った。

 

「っ!野っ郎ぉお!」

 

1対1になるとその勝敗はあっけなかった。

熟練したジャックの槍を躱しきれない男は腹から真っ二つになった。

ロボットには似つかわしくない、腸のような器官が床に零れ落ちた。

 

「はあ、はあ…さあ、答えろ!あいつは、どこにいる!」

 

尚も激昂したジャックは槍を突きつけた。

 

「く、ははは…シネ」

 

「!」

 

バシッ

 

男はそう言い残すと辺りに破片を飛び散らせて死んだ。

 

「…チクショウ!」

 

『だめか…』

 

浮き上がったモニターがグレアムの落胆する姿を映す。

 

「おっさん。こいつら、キメラは、もう人間じゃねえ」

 

『どういうことだ』

 

「こっち来てみろ。キメラってやつ、相当酷いぜ」

 

グレアム達は目の当たりにした。

ジャックのデバイスに残された被害者たちの元の姿、そして現場に残る悪意の残り香。

およそ人間とは思えない。まるでホラー映画やファンタジーから飛び出たような

 

人類の敵にしか、見えないその姿を確認した。

 

 

 

こうしてジャックの復讐は出発前と同じ状況に戻る。

ただ、彼の脳裏には悪意の塊がいつまでもこびりついた。

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