ー管理外世界 郊外
「ふんっ!」
老人がジャックに見本を見せる。
彼が気合いを入れると熱気が上がり、筋肉が膨張する。
圧倒的な膂力をため込む技術の指導だった。
「やってみろ」
「…ふぅぅんっ!」
ジャックは顔を真っ赤にしながらも老人に従う。
「足りん!!もっとだ。、、ふぅんっ!」
「おおおぉ!!…ふぅぅんっ!」
「ジャック!もう忘れたのか!お前の筋繊維に足りないものは核だ!!超回復の経験の浅いお前の筋肉には核が足りない!」
「核を増やしたいのであればエキセントリック運動を意識的にゆっくり行え!筋繊維を引きちぎってやれ!!」
老人の指導は熱血そのもの。しかし彼は逐一足りない点を指摘した。
「まだまだぁ!!ふぅんんっ!」
乗りに乗った老人はフロント・ダブルバイセップスを決める。
ジャックは老人の子弟となって以後数日、
基礎的な訓練を見てもらったり、仕事の一環で魔物の討伐に協力してもらったりしていた。
老人の殲滅戦における膂力は圧倒的であり、彼は師への尊敬を強めた。
ある日の指導の折にジャックは師に相談を持ちかける。
「なあ、俺の技にこんなのあるんだけどよ」
どろん
ジャックは師の前で変化の術を披露した。
彼は師匠を写し取った。
師は目の前に現れた自身に全く動じない。
「ふんつ!」
老人はジャックに蹴りを放ち、ジャックは思わず変化を解く。
「ふむ、、それがどうした?中身は雑魚だ」
ジャックは這いつくばり、脹脛を抑えながら提案する。
「ああ、いつ戻っても修行できるように、師匠の実力を持った分身を開発してえんだ。」
「、、むう。」
老人は思案する。
ジャックが悪人でないことは師として保証できる。
技を悪用するとは考えられなかった。
しかし問題は、年老いて力を失った自分を目標とする弟子の姿勢だった。
「だめかよ?」
「…ああだめだ。仮に変身するのならば、、全盛期の俺でなければ意味がない!」
師が出した条件は、最強の自分に変化して見せることだった。
「例のロストロギアのタイムリミットが迫っているはずだ。急いで完成させろ!」
「!」
ジャックは無茶な申し出を了承した師に感謝した。
彼の尊敬の念はさらに強まる。
「…ふん!!」
老人は立ち上がり、その肉体を誇示した。
どうだ、この程度やってのけろと言いたげにジャックに見せつける。
老人のラットスプレッドとは思えないほどキレていた。
ジャックも負けじと応戦する。
これも八神はやてを救うためと
「ふぅんっ!!!」
彼の周りを粉塵が舞い、熱気が立ち込める。
「そうだ!!!その熱を忘れるなっっ!、、ふぅんんっ!」
この日ジャックはとうとう師の奥義を体得する。
後にジャックの攻め手において切り札となる技術であった。
「ふぅんっ!!!」
ー地球 海鳴病院屋上
「…もう止まれんのだ!」
シグナムは涙を流してフェイトテスタロッサを振り払う。
闇の書の進行は物語に忠実だった。
高町なのは、フェイト・テスタロッサ両名は守護騎士によって
リンカーコアを蒐集された。
12月、とうとう彼らはプライベートにおいて出会った。
「止めます。私とバルディッシュが!」
悲劇を止めんと彼らはもがく。
しかし悲劇を止めたい者は他にもいた。
彼らの健闘むなしく守護騎士達は闇の書へと送還された。
仮面を付けた魔導士は八神はやてを磔にし、
闇の書を覚醒させるために彼女に絶望を与える。
守護騎士達は目の前で殺された。
それだけではない。
ある記憶を見せつけられた。
それは、彼女と将来を誓いあった男が
彼女とひとつ屋根の下で暮らしながらも
家族達と浮気をする姿
「あああああああああああああああ!」
とうとう耐え切れず、八神はやては絶叫する。
家族の死、愛する者の裏切りは彼女の精神を破壊した。
そして、闇の書が暴走を始めるのであった。