※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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闇の書の覚醒 ー夢ー

ー闇の書内部

 

「起きてください、フェイト」

 

フェイト・テスタロッサは懐かしい呼びかけに目を覚ます。

 

ゆさゆさと肩を揺すられてまどろみから徐々に覚醒していた。

 

ぼんやりする頭で彼女は思考した。

ここはどこだろうか

自分はなにか大切なことをしている最中ではなかったろうか。と

 

「朝ですよ。」

 

そう、こんな風な愛しい人達を守るために

幸せな家族との時間を守ると決意したはずだった。

 

しかし懐かしい臭いのするベッド、日差しの差し込む寝室

そして優しく呼びかける声は誰だったか

全てが懐かしく、そして温かい。

 

「プレシアが待っていまスヨ。」

 

隣で寝ているのは最近目を覚ました姉の姿

フェイトテスタロッサが心のどこかで望んだ理想

 

 

夢だ。

 

彼女は余りにも心地良い空間に違和感を覚える。

 

「イイ加減、起きてくだサイ」

 

「!」

 

彼女は思い出す。

そうだ。さっきまで闇の書と戦闘していた。

接敵した自分は闇の書の魔力に取り込まれたはずだ。

 

つまり、これは敵の術中

 

しかし心地の良い夢が後ろ髪を引く

 

もう少しだけいても大丈夫かもしれない。

 

なのはは私よりも防御がかたいから、

もう少しだけ持ちこたえられるかもしれない。

 

もう、ほんの少しだけ

 

彼女はそう思い、かつての教育係に甘えるべく声を発しようとした。

 

「でないト、シニマスヨ」

 

 

突如

日差しが陰り、暗雲が立ち込める

薄暗い部屋に立ち込める腐乱臭

 

隣にはベッドに染みを作った姉の遺体

茶と黒の肉に汚れたブロンドが姉の痕跡を残していた。

 

腐った姉の肉はただれて汁を出している。

 

「え?」

 

リニスを見る。

 

ベッドの脇

ぶーん、ぶーんと音を立ててハエが飛び回るその下

 

崩れた腐肉を包む衣類は間違いなくリニスのものだった。

姉と同じく、黒く腐った肉汁が床を汚していた。

 

「なに…これ」

 

思わず口に手を遣る。

嘔吐をすまいと、無意識に親類の遺体を汚すまいと我慢した。

 

 

わけのわからない状況に恐怖する彼女

 

とにかく母に会う。彼女が心配だ。

 

それに母ならどんな時でも何とかしてくれた。

 

いつもフェイトを先回りして、どうすればよかったのかを優しく教えてくれる母。

優しい母、フェイト・テスタロッサは母に縋るべく玉座の間へ入る。

 

 

つーんと鼻を刺す匂いが扉の隙間から吹き抜ける。

臭いととも顔目掛けてハエが飛んでくる

 

嫌な予感がした。

 

奥へと目を遣ると母がいた。

 

崩れるように玉座に固定された母

 

スカートの下には液状化した汚物が広がっている。

 

彼女を玉座に留めているのは1本の朱槍

 

腸を絡めるように突き刺さった獲物は主犯を想起させる。

 

あいつが!

またあいつがやったのか!

 

フェイトは憎悪する。

 

なにかと母に頼られる彼が疎ましかった。

あの笑顔を向けられる人間は彼しかいなかった。

母にイタズラされるのは彼だけだった。

フェイトの前ではただただいい母親だった。

 

彼女の知らない一面を向けられる彼が憎いと本心から思っていた。

 

今度も奪った。

あいつは今度も私から幸せを奪った。

 

「また、、またお前か!!!」

 

思わず叫ぶ彼女

 

その声に呼応するかのように母の遺体が動いた。

 

「!っ母さん」

 

まだ、生きているかもしれない

 

そう思い近寄る

 

「お、おおおおお」

 

遺体は、目と口から蛆を吐きながら動き出す。

身をよじるたびに

顔を娘へと向けようとするたびに蠢く蛆が吐き出されて衣服へと落ちた。

 

ぱたぱた

 

静かな玉座に衣服を叩く音が続いた。

 

「フェイト」

 

蛆を吐きながらも、はっきりした声で遺体が喋る

 

「死になさい」

 

いつの間にか、彼女の周りには先ほどの遺体が2つ転がっている

 

「「死になさい」」

 

彼女たちは一斉に呪詛を吐く。

 

理想を模った姿で呪詛を吐く

 

「「シネ」」

 

汚物と臭気、腐乱した肉汁に包まれてフェイトは精神の均衡を崩す

 

「うわああああああああああ!」

 

彼女は理性を放棄した。

 

 

「総士!おい総士!」

 

織村総士は目を覚ます。

 

「総士、お前大丈夫か?」

 

目の前には心配そうに顔を覗く皇聖夜

聖洋付属小学校の制服に身を包んだ彼はサッカーボールを誰かに蹴り放った。

 

「ここは…」

 

「おいおい。まじでやばそうだな」

 

彼は聖洋小学校のグラウンドにいることに気が付いた。

 

 

 

放課後、いつものメンバーで帰路についていた。

 

今日はいつも通り体育の時間にサンダースが暴れて大変だった。

いつも通り皇と共謀してボールが渡らないように遊んでいた。

体育のあとは彼に追い回されて3人揃って授業に遅刻した。

 

「そんでよ、お前昼休みに調子悪そうだったんだよ。まじで」

 

「へえ、らしくないじゃない?」

 

いい匂いがしたかと思えば、どきっとするような艶めかしい声が掛かる。

カレン・マクドナルドだった。

 

「!お前」

 

「やだ。あなた、やっぱりおかしいわ」

 

頬から始まり耳から胸、そして股間を撫でまわす彼女

固くなったそれに行き着いた彼女は満足そうだった。

 

「ふふ、こっちは、お元気ね」

 

いたずっらっぽく見上げる彼女に動悸が止まらない。

いつの間にか密着した彼女は熱っぽくこちらを見つめる

 

自然と、唇が近づく

 

「おい!」

 

「!」

 

皇が声を上げた。

焦って彼はカレンを突き飛ばす。

 

「あ」

 

そう、声を上げた彼女は道路へ飛び出てしまい

 

ドッ

 

貨物トラックに轢かれて赤い液体をまき散らした。

 

「!おい」

 

再度皇が声を上げた。

 

彼の右手にはシルバーフレームのピストルが握られる

 

「!おま」

 

「わあああああああ!」

 

織村総士は体を動かそうとするが、まるで時間が止まったかのように身動きが取れない

 

「わあああああああ!」

 

「嫌だ。やめてくれ!皇!」

 

見たくないのに

目を離せない。

 

「わああ」

 

ダアァン!

 

 

また、

 

また助けられなかった

 

失意に沈む彼の裾が引かれた。

 

誰かわかる。見たくない

 

彼はそう思った。

 

だが、視線が勝手に動く。

 

その先にはマリ・マクドナルド

 

彼女は無表情なまま総士を見上げた。

 

「い、嫌だ」

 

視線が動く。

 

自分の右手にはシルバーフレームのピストル。

銃口付近は赤黒く汚れている。

 

「嫌だ」

 

銃口は小刻みに震える

 

見上げる彼女は無表情にこちらを見上げたまま

 

彼女の像の上に総士のピストルが重なる。

 

「わあああああああ!」

 

ダアァン!

 

 

見てしまった。

 

目の前でマリ・マクドナルドが死んだ。

 

「い、嫌だ。」

 

織村総士は絶望する。

 

クソッタレな幻影を見せやがってと闇の書を恨む。

 

だが、彼をあざ笑うかの如く夢は続く。

 

 

「おい!」

 

「す、皇!?」

 

死んだはずではないか

そうは思うが、皇が生きていることを嬉しく感じる。

 

「わあああああああ!」

 

皇は目を見開いて叫び出す。

目線は正面、織村総士へ向けて。

 

「わあああああああ!」

 

尚も彼は叫ぶ。

自分はここにいるぞと主張するように

呪いを振り払うがごとく叫ぶ

 

総士の右腕だけが言うことを聞かない

必死に左腕で右手を抑え、ピストルの向きを逸らす。

 

「い、嫌だ!嫌だ嫌だ!やめろおおおおおおおおお!」

 

「わあああああああ!」

 

ダアァン!

 

飛沫が総士の顔にかかった。

 

 

「…ううっ」

 

皇の向こうには、ただ見ているだけのジャクソン・サンダースの姿があった。

 

あいつはまた、助けないのかよ

 

「ううう」

 

織村総士は歯嚙みする。

また、見殺しにしやがって

俺はまた、助けられなかった。と

 

「うおおおおお!クソッタレェええええ!」

 

狂乱した彼は輝く剣を呼び出し、世界を蹂躙した。

 

 

ここはどこだろう

 

まどろみの中、八神はやては思案する。

 

なにか、悲しいことがあったような気がする

なにか、悔しいことがあったような気がする

 

「眠い…」

 

「ゆっくりお休みください。わが主。あなたの願いはすべて私が叶えます。」

 

美しい銀色の髪をした女性が呼びかけた。

 

「願い…」

 

「夢を見てください。夢の中の世界は全て現実です。」

 

何を、願っただろうか

 

「眠ってください。夢の名ではすべての望みが叶います。」

 

「!あかんよ。確かに悲しいことやし、悔しいよ」

 

思い出した。何が起こったか

女性は涙を流している。

 

「でも、夢は夢や。辛いことでも一緒になって乗り越えたいんよ」

 

「主…」

 

思わず駆け寄る女性

 

「今の主は今はわたしや。マスターの言うことちゃんと聞かなあかん。」

 

「それに、そうせんとあのクソハゲ浮気野郎に示しが立たんからなあ。あの阿保だけゃあ許せん。」

 

「一緒に…あいつぶん殴ろか?」

 

微笑む女性は答える。

 

「はい!」

 

はやては愛おしそうに管制人格を抱きしめた。

 

「名前をあげる。もう、闇の書なんて呼ばせへん。」

 

「!無理です。自動防御プログラムが止まりません。」

 

「私は管理者や。私にはそれができる。」

 

はやてはそう言うと瞳を閉じて防御プログラムの切り離しに掛かる。

 

「!あいつは!?」

 

外部を確認した管制人格は突如として取り乱した。

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