ー管理局地上本部
いつものメンバーでいつものように悪い話
やれ現地の工作の状況はどうだ
順調に進んでおります。
やれテロリストを育ててはどうだ
リタイアした教導の者が2名現地入りしております。
やれ女は殺すなよ
心得ております。
レジアス・ゲイズは慣れたもので委員会に招致されても動じない。
彼は心を殺し、平和などこかの世界を壊す。
第17管理世界への工作はレジアス・ゲイズの加入により過去に類を見ない速度で進行する。
すでにいくつかの反社会的な集団が組織されている。
レジアス指導のもと工作員たちが暴れ回る。
彼らは魔導素材の調査員を装い現地人を安値で雇って偽装の業務を行う。
彼らには護衛と販売の事務作業を手伝わせて業者と接点を作らせた。
工作員らは学生や職を失った若い男たちをさも重要人物のように褒め称えた。
安値で雇ったのになんて優秀なんだ。と
当然不審がられる。
しかし工作員の洗脳は続く。
食事に誘い、魔導素材ビジネスの旨味を教える。
末端価格を知って現地人は驚く。
噂には聞いていたが職員に直接聞かされるのは衝撃だった。
同時に誠実な印象を持ち始める。
レジアスの思惑通りだった。
彼らと理想の未来について話をした。
ある学生は魔導工学を勉強して祖国で産業を興したいと熱く語る。
若い男たちは鼻息荒く彼への援助を申し出る。
工作員の1人は感心したように呟いた。
それならあの大金はこの国が独占できる。
そうなったらぜひ自分を雇ってほしいと。
大いに盛り上がり、期待を集める学生
めでたく工作員たちは現地人たちに溶け込む
また別の日に同じような話をするとある男は鼻息荒く持論を説く
我々は管理局に不当に利益を吸われているのではないかと
それを放置している現政権は管理局と繋がっているのではないかと
食事の場には沈黙が下りる。
見て見ぬふりをしていた可能性を考えて誰もが押し黙った。
反社会的な心情が広がった。
煽った男は当然金を握らされて喋ったに過ぎなかった。
かれは金欠だった。苦労もなく稼げて彼は満足気だった。
誘導され、他人に作られた自我を持った彼らはレジアス・ゲイズの思惑通りに行動した。
彼らは勝手に奮起し、思想を近親者や友人に触れ回る。
一緒に立ち上がろう
自分を応援してほしい。
英雄気取りの貧乏人たちは正義の為に立ち上がった。
彼らはひとたび集まれば理想の未来の話をする。
若い世代が国を引っ張らなくてどうすると。
このまま管理局の植民地にはさせないぞと。
人数が集まると彼らは武器を欲しがった。
貧乏な彼らは魔導素材の横流しを始める。
事務担当者は業者と接点があったからだ。
武器の仕入れも同様だった。
彼らにとってはいつもの仕事の延長でしかない。
陸の中将の指導の下、第17管理世界の治安に暗雲が広がる。
「といった具合ですな。」
「流石だな。君に一任して正解だったよ。」
レジアスは黙って一礼する。
「しかし懸念材料がございます。」
「言ってみろ」
レジアスの視線は委員の1人へ向かう。
新しいメンバーだった。
前までその席に座っていた前任者は任を解かれた。
彼はある者に違法研究との関係を指摘されたのだった。
下手人は英雄ギル・グレアム
キメラ関係の一派が流出元だった。
「成程。奴のことかね?」
「はい。奴には例の槍の男も付いています。突破されればこちらにも被害が出かねません。」
室内に温かい豚のため息が満ちる。
またやつが邪魔をするのかと
自分は目を付けられたくないと
目を逸らすべくため息を吐く
「そこで、私の方でも若く優秀な人間を抱えたいのですが。」
レジアスはグレアムの突破を阻止する人材を求める。
「…ああ。あそこはどうだグレアムの故郷だ。同郷で殺し合ってくれれば胸もすくものだ。」
豚はまたも腐った意見を吐き出す。
「先の事件の調書が上がっているのではないか。ほれ闇の書の」
大爆笑
闇の書事件の話は親友爆殺の件もあって共通のオチだった。
「では…!この者を招き入れては…親戚縁者も一般人、、完璧ですな。」
レジアスが表示したページは
「オリムラ…この魔力測定値は何かね?」
豚は見慣れない記号に思わず鳴いた。
「測定不能です。」
レジアスは即答する。
「褒め殺しても当然のこととして受け入れるでしょうな。この魔力ですから。」
レジアスは笑う。その表情はどこか憎々し気だった。
「あとは適当にバッチや勲章を与えておけば飼いならせます。この手合いは特に」
彼は映像のなかの織村総士から目を動かさずに言う。
「よかろう。ワシは許すぞ。魔導士など無限の欲望の研究次第で量産できるのだからな。」
ぶひぶひと満場一致で織村の勧誘が許可される。
「はっ。誠に有難く…」
レジアスは表情を動かすことなく頭を下げた。
織村総士は彼のあずかり知らないところで進退を決められる。
これから管理局と関われば自然と彼らのもとに招かれる。
組織とはそういうものだった。
管理局の悪を知る知らないに関わらず
彼の意思は社会的な立場には何の影響も及ぼさなかった。