※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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Dying in vain -3-

ー第8管理世界 ナーガ市街

 

依頼主を探さねばと歩き回るジャック

第17管理世界で受け取ったロアンのロングジャケットをたなびかせて街をうろつく。

 

すっかり日が昇り、温かい日差しに誘われるように通りに人間のようなサイボーグのような巨人達が軒を連ねる。

 

純白の手足から老人が生えている。両手に持った大きな買い物袋が目立つ。

 

ロボットテクノロジーの成果なのか、歩行しているにもかかわらず老人は上下しない。

 

入り組んだ路地に入れば清掃ロボットなのか、ゴミ箱のようなロボットが北風が吹く路地をうろつく。

 

『この租チンの包茎野郎ッッ!!!!!!』

 

どこぞのパワハラ上司の怒鳴り声に驚く。

 

そっと様子を覗くジャック

 

その先には慌てて通信端末を取り落とす総士

 

「よお。…なんか、お前も大変なんだな。」

 

「…見たのか?」

 

「誰にも言わねえよ。」

 

 

 

「で?なんかわかったかよ?」

 

ジャックは総士に問う

 

到着したばかりのジャックは現地の情報を知りたがった。

 

総士は2度現状を?い摘んで話す。

流石に2度目なのでわかりやすく教えることができた。

 

「なるほどな。大体わかった。」

 

ジャックは冷静に返す。

 

「お前もそうなんだな…」

 

気落ちして呟く総士

 

「?なんだよ」

 

「なんだよはこっちだ。お前、何も感じないのか?こんな残酷なこと、どうして許せるんだ?」

 

顔を顰める総士

 

「そう怒るなよ。俺は少しだけ知ってただけだ。それでお前、何でここに来た?」

 

軽く流し、尋ねるジャック

 

「…上官命令だ。」

 

「さっきの上官か?えらい変なとこに送られたもんだな?お前」

 

「ああ。辞めてやるって言ったら、、引き取られて。あれでも一応陸のトップだ。」

 

「…」

 

肩書を聞いて余計に心配になるジャック

 

「また、家に来いよ。空けといてやる」

 

「…すまん。」

 

「「…」」

 

気まずい2人

 

「ジャックは、どんな依頼を受けたんだ?言っちゃあ悪いがこの国でまともな案件なんてないだろう?」

 

進歩の機会を失った産業国に価値ある仕事があるのかと疑問だった。

なにより総士はこの国にいい印象を持たない。

 

「ああ。大したことはない。話し相手になって欲しいってやつさ。」

 

「?本当か?またろくでもない連中の仕事を受けたんじゃあないのか?大丈夫なのか?ちゃんと調べたのか?」

 

「だから!お前は心配し過ぎなんだよ。たまには軽い仕事もやるんだ。コネ作って損はしねえっての!」

 

疑わし気な総士

 

「で?この国の問題を知ってたのはなんでだ?」

 

追及するように質問をする。

 

「ん?ああ、テスタロッサのお、おお、おおおお、オネエさん、に!ここの内閣府のバックドア作ってもらったからな。それでいろいろな?」

 

「!はあ?お前、俺、局員だぞ?お前、あれ、フェイトに知られたら、お前、ジャック!!」

 

肩を掴んで揺する総士をなだめるジャック

 

「大丈夫だよ。あの人はみだりに漏らしたりしないって!な?それより面白いんだぜ?ここ」

 

ジャックは楽しそうに話す。

 

「ロボット産業に手を出してるくせに昔報告されたセキュリティホールが放って置かれてんだってさ。しかも内閣府ですらガバガバだったらしいぜ?面白えよな?」

 

若者の雇用を限定し、新規産業の台頭も無い競争からかけ離れた社会

結果として技術の進歩から切り離され、新しい技術を身につける人間もいない

技術の継承ができないこともあって進化の速いソフト面については、世界レベルで見れば悲しいほど低水準だった。

 

「…なんだかな、哀れだ」

 

思わず呟く総士

 

「ほら!これ見て元気出せって!」

 

ギュイーン

 

目の前の清掃ロボットにアクロバティックな動きをさせて遊ぶジャック

 

「ははは!本当にできた。見ろよ!俺でも入れるぜ?」

 

嬉しそうに話すジャック

 

「おい!やめろジャック」

 

「?お前もやりたいのか」

 

「そうじゃない!公共のもので遊ぶんじゃない!大体なあ!お前はいつもそうだ。第17でのことだって本当は…」

 

総士はジャックにストレスを吐き出した。

 

 

 

つい長話をして引き留めた総士によって予定を狂わされるジャック

 

「おい!どうすんだよ。俺まだ宿をとって無えのに!!」

 

「お前が悪い」

 

ぷいっとそっぽを向く総士

 

「…手前ェ」

 

「…」

 

ばつが悪そうな顔をする総士に毒気を抜かれるジャックは喧嘩を放棄した。

 

「だー、もう、いい。分かった!お前は宿探す!俺は依頼人に会ってくる。以上。」

 

ジャックは右手を挙げると背を向けて歩き出す。

 

「はあ、勝手な奴」

 

やれやれと言った顔で総士も背を向け歩き出した。

 

 

 

依頼人は奇遇にも総士が会った食堂の主人、名はヤスオ。

ジャックは食堂へたどり着いた。

 

「俺だ。ヤスオってのはあんただよな?」

 

「!そうだ。お前さんは?」

 

厳めしい老人、ヤスオはジャックに問い返す。

 

「炎使いさ。」

 

そう言って右手を掲げるジャック

 

「!やめろ」

 

ヤスオは即座にジャックのデモンストレーションをやめさせる。

 

「?なんだよ。みせt」

 

「馬鹿野郎!!あれは火災報知器だ!!!」

 

ヤスオが指差す先には白い突起物

 

「真下で熱源出せば消防団が来ちまうだろうが!!」

 

焦るヤスオ

 

「?そこんとこよくわかんねえな。最初っから説明しな。」

 

消防団の存在に焦る理由がわからないジャックはカウンター席に腰掛けた。

 

「ああ。あんた、この国のことどこまで知っている?」

 

「うーん。狂った社会問題なら、予習済みだ。」

 

驚く老人

 

「良く調べたな!後はそうだな、この時間帯なら、お前さんロボットスーツを見たか?」

 

「ああ。テナガザルみたいな白いロボットか」

 

ヤスオは頷く

 

「それだ。そいつのことも知っておくべきだ。」

 

「あれを?まあ、わかった。話してくれよ。」

 

「うむ。まず、あれは有事には警備兵になると理解してくれ。」

 

ようやく合点がいくジャック

 

「!成程。消防団が怖いのは」

 

「ああ。警備兵だ。」

 

しかし疑問が残る

 

「でも運転手は優しそうな爺さんだったぜ?警備兵なんか拒否してお茶でも飲み始めそうだけどな?大体手に持っているのは買い物袋だろ?」

 

「お前さん、ロボットスーツを個人で持てる国を他に知っているか?」

 

ジャックは悩み

 

「知らねえ!」

 

即答する。

 

「だろうな。あれは国の補助を受けて手に入れるもんだ。だから条件として有事の際には出撃する約束なんだよ。」

 

「でも、出撃が嫌なら家でお茶飲めばいいじゃあねえか。アームスーツ代わりならなおさらだろ?」

 

ヤスオは言いづらそうに話し出す。

 

「まだ、教えていないことがあるんだ。」

 

「おう。」

 

ジャックは相槌を返す。

 

「儂も申請を出そうとしたんだが、やめた。」

 

「爺さん元気そうだもんな」

 

老人は首を横に振る

 

「そうじゃない。当時はちょっと事故ってな、寝たきりもまずいってんで検討してたんだ。確かにロボット使いこなす爺ちゃんという肩書には憧れたけどよ。」

 

「?んで、なんでやめたんだ?」

 

老人は暗い顔で呟く

 

「技師だった息子が、ロボットスーツに共通した規格の通信デバイスが搭載されていることに気が付いたんだ。」

 

「ああ、あのガバガバの」

 

老人は続ける

 

「あいつは処理系統にバイパスされていることを不振がってな。誰かのいたずらで怪我をさせられたりさせたりするかもってな?」

 

「ああ。」

 

「大喧嘩したよ。そりゃあ。こっちはあいつにケガさせられて、それでカタログ見てるってのにあいつときたら文句を言いやがるからな。」

 

悲しそうに老人は話す。

 

「それで、結局あんたが負けたわけか」

 

「見くびるな。喧嘩じゃ負けん」

 

遠くを見る老人

 

「?じゃあなんで使わねえ?」

 

「息子の心配が的中したのさ。俺の友達が自警団として出動して騒ぎを起こした若い奴らを殴り殺しちまった。止めに入った奴らもまとめて」

 

「おいおい。いきなり物騒だぜ?」

 

老人は頷く

 

「あいつはパニックになりながらな、言ったんだ。勝手に動くんだ。操作を受け付けないんだ。ってよ」

 

「その爺さんは?」

 

「さあな。役人連中に抗議に行ってそれっきりだ。」

 

ジャックはじゃあ、と尋ねる。

 

「息子さんはどうしたんだ?技師なんだろ?」

 

老人は遠くを見つめたまま歯を食いしばる。

 

「あいつは、いま、離れちまってる。いねえんだよ」

 

「…そっか。悪い。嫌なこと聞いた」

 

「違う。」

 

老人は否定する。

 

「俺が馬鹿だったんだ。俺が、悪かったんだ」

 

 

 

そろそろか、とジャックは切り出す。

 

「ありがとよ。大体理解した。で?俺はどうすればいい?」

 

ジャックは本心ではわかり切ったことを尋ねる。

 

「…g」

 

「おいおい。もっと抽象的に言ってくれ。例えばこんな狂った状況を作った奴を懲らしめろ。とかな?」

 

ジャックは老人にやり直しを要求した。

 

「わかった。…あいつを、俺の息子を追い込んだ連中を懲らしめろ。」

 

老人はそうだ、と言って断りを入れて引き出しを探す。

 

「こいつを使ってくれ」

 

ヤスオはジャックに金色の折り畳みナイフを渡す。

 

「形見だ。頼んだぞ、炎使い!」

 

老人の熱く燃える想いを受け取るジャック

 

「ああ!俺に任せな!」

 

ジャックは滾り、チリチリと火の粉をまき散らす

 

ジリリリリリリリリリリリ

 

「!馬鹿野郎。さっき注意したばっかりじゃあねえか!!!」

 

「わ、悪ぃ。つい」

 

「お前さん奥に隠れろ。決行まで出るんじゃあない!」

 

そう言って出入り口へ向かうヤスオ

 

「あ、知り合いも1人追加でいいか?」

 

「勝手にしやがれ、馬鹿野郎!!」

 

そう言い残してヤスは出ていった。

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