※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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Dying in vain -5-

「…こいつでいいか。」

 

翌朝、冷え込む朝にジャックは総士とヤスオ宅を出た。

向かった先は重機がありそうな場所

前日にヤスオに尋ねていたのだ。

 

ジャックの目の前に鎮座するのは大きなブルドーザー

当然自立して作業をする。

 

黄色い車体に大雑把に曲がるボディ

力を誇るように鉄の籠を有する鉄のアーム

完全に自立型のため運転席はない

 

ジャックは端末から工場の制御盤を操作してシャッターを上げる。

無人の工場に風が入り埃が舞い上がる。

 

ジャックは身軽にブルドーザーを上る。

 

「来いよ総士!行くぜ」

 

屋根に上り総士を急かす

 

「本当にこれで行くのか?」

 

総士は不安を覚えた。

 

「当たり前だろ!これ以外に2人乗せて走れそうなのはないだろう?」

 

忍び込んだ倉庫には確かに無いが路肩には自動車があった気がする総士

 

「!なあ、転送ポートの近くに自動車があったはずだ」

 

「お前、自動車盗んだことあんのか?」

 

疑わし気なジャック

 

「無い。」

 

きっぱりと否定する総士

 

「俺だって無い!お前俺を何だと思っていやがる!」

 

「!悪い、そうだったのか」

 

「そうだったのかじゃねえよ。レジアスのおっさんにクレームだな」

 

遠慮なく総士の心を凹ますジャック

 

「ま、自動車がAI化されてる保証も無えんだ。こいつで行くぜ?」

 

結局総士もブルドーザーの天井に乗り込んだ。

 

「…」

 

「…」

 

「?まだか」

 

乗り込んだのに動かないので不審げな総士

 

「イ、イグニッションがどのファイルかわかんねえ。総士、少し待ってくれ」

 

屋根からシャッターの外を覗く総士

 

「うっし掛かった!」

 

ドドドと力強い唸りを上げる工機

 

「しっかり掴まってろよ?」

 

にやけて宣言するジャック

 

「ああ!行こう!!」

 

しっかりと屋根にしがみつく総士

 

ブルドーザーは唸りをあげてアームを高々と上げた

 

タイヤは前後していない。

 

「おい!この作戦大丈夫なんだろうな!!?」

 

不安を覚える総士

 

「大丈夫だ。操作を点検すんのはこいつだけさ」

 

目を輝かせてブルドーザーを動かして遊ぶジャック

 

「よし!今度こそ出るぜ!!」

 

 

 

ガアアアアアアアアアア

 

騒音を上げて街を疾走するブルドーザー

目指すは幹線道路、その先には中央省庁

ジャックの敵は内務大臣

 

道路を走って気が付く街並みの特徴

眼前には遠近法で先細りしていく建物の窓

高さが皆均一だ。

 

景観美を意識したであろう窓はどこも真っ暗だ

何行にもわたって伸び行く窓は余計に哀愁を誘う。

 

黙って目的地へ想いを馳せる2人

風が勢いよく髪をかき分ける

 

唐突にタイヤが段差を越えて一瞬宙に浮く

 

「うわあっ!おい、スピードを落とせ!」

 

ガアアアアアアアアアア

 

焦る総士はジャックに抗議する

 

「ああ!!?何言ってるか聞こえねえよ!!!」

 

ガアアアアアアアアアア

 

「!お、おい!!この先階段、」

 

ガアアアアアアアアアア

 

下りの階段も気にせず進路を進むブルドーザー

 

「ああ!?だk、!ぅお、おお、おおおぉ!」

 

ガガガガガガアアアアアアアアアア

 

『おい!道路を通れ!道路を!落ちたらどうするつもりだ!!』

 

肉声での会話を放棄した総士はジャックに念話をした。

 

『いや、だってよ、俺たち魔導士だぜ?』

 

だから何だと言う顔の総士

 

『飛べよ』

 

『なんだよそれ!』

 

じゃあなんでこれに乗っているのかと言いたげな総士

 

『もし孤立したデバイスがあったらその場でそいつ狙い撃ちにされるだろ?だからロボットの行進を先行させてそこに紛れるんだよ』

 

前方には種々の工業用のロボットが白煙を上げて大挙していた。

 

『?しっかし電波強度が良いな。どうしたんだこれ?』

 

ジャックは走りながら辺りを見渡す。

アンテナでもあるのだろうかと

 

『ありゃあ…』

 

公園から見上げるようにして巨大な女神像を確認したジャック

 

『…そういうことかよ!』

 

ジャックは右手をブルドーザーから離し、掌に炎を顕在させる。

 

『!ジャック?』

 

「炎よ、焼き払え!」

 

ジャックは女神像の上半身を破壊する

 

『おい!俺は庇ってやれないんだぞ!!』

 

総士は破壊行為に驚く

 

『多分大丈夫だ。あれがこの街の爺婆を操る元凶だからな。さ!スピードを上げるぜ!プロテクション張りな!!』

 

濛々と煙を上げるブルドーザーは一層スピードを上げる。

 

『!おいジャック!!前!前!うおおおお』

 

ブルドーザーは建造物に突っ込んだ。

天頂部を切り取ったようなビルに横穴が空く

 

『おおおおお!お前の運転するものには絶対に乗らん!!今決めたぞぉ!』

 

瓦礫を踏み越えてガタガタと揺れるブルドーザーで叫ぶ総士

 

『固いこと言うなよ!』

 

ジャックは建物に人間がいないことに気がついていた。

室内を流し見る。良く磨かれたフローリング、6人掛けのテーブルの上には何もない。壁にはクレヨンで描かれた絵が飾られている。

だが生活の気配は無い。

 

次の壁を貫く

誰も入居していないようだ。

次も、その次も空

 

『なあ、本当に狂ってるな。』

 

ジャックは総士に尋ねる。

 

『ああ。…話つけてやらないとな』

 

道路に飛び出るブルドーザー

 

『!やべえ』

 

目の前には建造物壁を貫けると介護施設の食堂に出てしまった。人間がいる。

総士の視界に見覚えのある赤髪の少女が見えた気がした。

 

『!ジャック』

 

『悪い!油断した。もう失敗しねえよ』

 

言い捨てるジャック

 

『そうじゃなくて、』

 

振り返るが既に姿は見えない。総士は口をつぐむ。

 

 

 

『もうすぐだ!』

 

目の前には立派な構えの建築物

ジャックはロボットの群れを先行させる。

 

『総士!隠れるぞ』

 

『!どこに?』

 

『車の裏!』

 

ジャックはそう言うとブルドーザーの後ろにしがみつく

 

『ああ!』

 

総士はジャックに追従した

 

『おいっ!こっち、排気が』

 

『重機がガソリンやモーターなわけあるかよ!ちょっとの間だ!我慢しろ』

 

そうじゃないと思いつつも顔に当たる排気ガスを我慢する総士

マフラーが丁度彼の目の前に来る格好だった。

 

目の前のロボットたちの群れがボロボロになりながら警備システムを破壊していく

 

『よし!このまま突っ込むぞ』

 

『もう好きにしろ』

 

静止するのをやめる総士

 

ブルドーザーは正面玄関に突入した。

 

「内務大臣を出せ」

 

ジャックは内線に話す。

警備システムをソフト面で破壊されたためか、ハウスキーパーロボットにすぐに順路を案内される。

 

『総士!お前は一般人が拘束されていないか探してくれ!』

 

『待て!俺も大臣に』

 

『ヤスオの爺さんの知り合いがここに来て帰ってこないらしいんだ。念のため探してくれ!頼む。お前にしかできない』

 

総士を見つめるジャック

 

『道中に言ってくれよ。そっちもしっかりやれよ!』

 

総士は飛行魔法を発動させて飛び去った

 

「ああ。やってやるよ。言われなくたってな」

 

ジャックは顔から表情を消した。

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