※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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Dying in vain -6-

「ガルアーノ様、炎使いがこちらへ向かっているようです。」

 

ハットで顔を隠したスーツ姿の男性がガルアーノに報告する。

 

「ふん、警備を抜けて来たか。まあいい。直々に回収してやる。」

 

「おい。木偶どもを持って来い。ああ。そうだ私の部屋だ。」

 

ガルアーノは内線電話で指示を出す。

 

「ぬははは、今度こそお前は私のものだ。炎使い!」

 

ガルアーノは怪しく笑う。

 

 

 

「ちっ!数が多い」

 

一方でジャックは潜入に手間取る。

極秘に潜らなかったことが仇となる。

セントリーガンが通路に多数置かれている。

 

明らかに体力の消耗を狙っている。

敵の思惑に乗るわけにいかず、一台ずつ丁寧にロボットで破壊する。

 

こちらのロボットが破壊されてしまったら、またロボットを探さなければならない。

手近にロボットがなければロビーへ取りに行かねばならなかった。

 

「くそ!もうすぐなのに…」

 

ジャックは徐々に冷静さを欠く

 

 

 

「ガルアアアノォ!!」

 

ジャックは執務室のドアを蹴破る。

彼は槍を右手に、眉間に欠陥を浮かせて怒鳴る

 

「炎使い!よく来たな」

 

「よぉおお。半年振りか!!!」

 

目を大きく開き、悪辣に笑うジャック。

息をするたびに火の粉が吹き荒れる。

 

彼は槍を振り、火の粉を散らす。

 

「長話もなんだ。さっくり腹ぁ開けよ?」

 

腰を軽く落とし、前進の兆しを見せるジャック

 

「まあそう焦るな。もう10年にもなるか?積もる話もあるだろう?」

 

「地獄ですんだよ、んな話はよ。…俺ぁ待ちきれねえよ」

 

「ぬはは!まあそうであろうな。なあ、この国は気に入ったか?我々の理想のシステムだ」

 

我々、という言葉に反応するジャック

 

「我々…アンデルか?」

 

「ほうほう!よく分かっているではないか。感心だな。がははは!」

 

無駄な火を出すまいと抑えるジャック。

この距離ならあと一歩で殺せる。

歯を食いしばり、自らに言い聞かせる。

 

「…アンデルはどこに居る?」

 

「さあ?捕まった。とは聞いたがね?」

 

ガルアーノはとぼける。

 

「すっとぼけてんじゃぁ、ねええええええええ!!!」

 

堪え切れず槍を2閃

 

ガルアーノの目の前を交差した炎が走る

 

「言え」

 

俯くジャック

 

「言え」

 

感情を抑え込む

 

「言えっつってんだろ!!!」

 

我慢の限界だとばかりに槍を構える。

こいつさえいなければ!こいつさえいなければと気持ちがはやる。

 

「彼らのことはいいのかな?」

 

死体だ

 

窓から死体が転がり込む。

 

執務室の床が汚い液体で汚れる。

 

腐乱した臭いが立ち込める。

 

「うっ、手前ぇ!」

 

顔を顰めるジャック

 

「楯突くものでな。皆こうなったぁ、っははははは!!どうだ?間抜けなもんろう?こちらのことを人間だと思い込んで、抗議するだとか告発するだとか!そんなもの!」

 

ガルアーノは興奮しながら言葉を切る

 

「こうしてしまえばなかったことになるというのにな!!!」

 

「っ手前ぇ!そんな理由で殺したのか!!行き過ぎた保護なんかしといて!」

 

ガルアーノは良く聞いたとばかりに嗤う

 

「殺す?それは勿体ないな。」

 

死体がピクリと動いた気がする。

 

「きちんと使わねば勿体ないだろう?」

 

ガルアーノは死体を見てにやける

 

「ジャック!!遅くなった」

 

遅れて総士がドアの前に立つ。

 

「ちっ!まあいい。まとめてマルタだ。」

 

「それになあ、我々には悪意が必要なんだよ。互いに憎み合ってくれるのが丁度いい。」

 

ガルアーノの体がボコボコと蠢き出す

 

『我々にはなああ!!』

 

スーツから醜悪な肉が溢れ、壁となる。

肉は迫り、壁を破壊する。

醜悪な魔力は闇の書の自動防御プログラムに酷似する。

 

死体がむくりと起き上がり、口から液体を垂れ流す。

 

『さあ!貴様らの体、貰い受ける!!』

 

「!ジャック!!こいつ」

 

総士は震える声で尋ねる。

 

「ああ!こいつは人間じゃあねえ!気にせずやるぞ!」

 

そう言うとジャックは槍を腰だめに構える。

彼の脳を占めるものは殺しだけだった。

 

「食らいなぁ!」

 

ジャックは槍を勢いよく突き出す。

 

矛先には何もいない

 

「おおおおおおおおお!」

 

ー手裏剣影分身の術ー

 

無数の槍で動く死体を縫い付ける

 

「やれ総士!!消し飛ばせえ!!!」

 

「おおおおおおおおおおおおお!ブゥレイズキャノンッッ!!!」

 

縛り付けられた死体を薙ぎ払う総士。

一度目の攻撃でダウンした死体は二度の攻撃によって二度と立ち上がらない。

 

『がははははは!殺してよかったのか?この国の老人だぞ?ぬははは!!!』

 

「総士!手を出すんじゃねえ!!!」

 

「!どうしてだ。俺だって」

 

抗議する総士

 

『?言っておらんのか。私が教えてやろう。』

 

「!やめろ」

 

『我々が殺したのだよ。炎使いの一族郎党皆殺しだ!!あれは良かった!漏れなく贅沢に銃弾をくれてやったのだよ。そうだろう?炎使い!』

 

「がああああああああ!!」

 

一息で飛び込むジャックは乱暴に槍で突く

ガルアーノの肉が欠けるが動じず続けるガルアーノ

 

『!、その様子では何も知らなかったようだな?どうせお前はこいつに利用されているだけだ!貴様も哀れなものだな!ぬはははは!!』

 

「おおおおおおおおおおおお腸晒せえええ!!」

 

ジャックは炎を纏い折り畳みナイフを振りぬく

 

『ぐっ』

 

ガルアーノからずるずると液体が漏れる

 

『!貴様、その力』

 

「これが俺たちの恨みだ!!思い知れええええ!!」

 

2度、3度ガルアーノの肉は槍によって消し飛ぶ

 

『くっ!はあぁっ』

 

傷ついた肉塊が分離して辺りに飛び散り汚い音を鳴らす。

 

「くっ」

 

爆散した肉が2人の視界を汚した

 

ぶん、巨腕が振るわれる

 

「ぐっ!」

 

「ジャック!見ていられない!加勢する」

 

「!来るんじゃねえ!!これは俺がやらなきゃいけないんだ!!あの時殺せなかった俺が!!!」

 

そう言うとジャックはガルアーノの胸部目掛けて炎を纏った槍を突き刺す。

 

「見ろ!!手前ぇが殺した爺さんの槍裁きだ!!!村の力がお前を殺すッ!!!」

 

『ぐぅぅ』

 

槍で縫い付けられたガルアーノ

 

ジャックは裂けた腹に手を突っ込む

 

「これが貴様のぉぉぉ…!はらわたかああああああああああああああ!!」

 

掲げるように引き抜き、

 

「おぅるああああああ!」

 

槍で縫い付ける

 

『ぐぉぉああああああああああああ!や、やめろ!!』

 

「ジャック…お前」

 

ジャックは悲しに呟く総士を無視して復讐を続ける

 

「こいつは依頼人の息子の形見だ」

 

「!まさか、」

 

ジャックはガルアーノの目の前でナイフを見せつける

 

「墓前に供える約束だ。これ、貰っていくぜ?」

 

ゴリゴリと刃を押し当てるジャック

 

『!ぎゃあああああ』

 

巨大な頭部から生えた目玉らしき構造を切り取るジャック

ガルアーノは助けを求めるように総士に腕を向ける

 

「…あばよ」

 

ジャックは引き抜いた槍でガルアーノの頭部に大穴を空けた。

 

 

 

ジャックは血肉や死体にまみれた室内で膝を突いた

 

「…やった、のか?」

 

眼前には力無く広がる肉塊

腸のような内蔵が引き抜かれ、大雑把に捨てられている

 

「ジャック…」

 

放心するジャックの背中を見つめる総士

 

「ああ、やっと。やっとだ。やっと俺も」

 

両手で顔を覆い、祈るように空を見上げる。

 

「!ジャック。外の様子がおかしい」

 

突如反応する総士

 

ジャックは何事かぶつぶつ呟くだけで反応しない

 

 

 

野太い声と焼ける臭い、逃げ惑う女の声

 

暴動の気配がした。

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