※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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Captain Zest -3-

ー施設入り口

 

ジャック達は岩陰から施設入り口を警備するロボットの周回パターンを確認していた。

 

「…近づけそうにないわね」

 

クイントが呟く

 

なぜか既に小型のロボットが周辺を巡回しており、気づかれずに突破することは困難なことが見て取れた。

 

「突貫するより他はなさそうだ。」

 

ゼストは作戦の一部変更を宣言する。

 

「先頭は俺と炎使いで行く。なるべく短期で決着をつけるぞ」

 

「クイントと織村は撃ち漏らしが後方に流れないように迎撃。3人は押収物品の捜索。スピード勝負だ。少々へまをしても構わん。残りはここで待機!移動手段を守れ。」

 

総士が質問をする。

 

「もし施設の構造が報告よりも複雑だった場合はどうしますか?挟撃の危険もあります。」

 

「成る程な。」

 

今回のような大型の施設は捜索に時間が掛かる。その上隠し区画があれば滞在時間が伸びてしまい、なおさら危険性が増す。

総士はその中でも敵の戦術に嵌ることを恐れた。

 

「トラップがあるかもしれん。固まったら危険だな…その場合は2手に分かれるか。いざというときには俺が先行する。お前たちは危険を感じた場合には退却してくれ。」

 

「!隊長、危険すぎます。」

 

「そうですよ!いくら独身だからってそんな!」

 

クイントとメガーヌはゼストの自己犠牲を危険視する。

総士はそこに割り込んだ

 

「ではせめてジャックを連れてください。彼は突破力が高いので脱出の際に必要になるでしょう。」

 

「しかし」

 

仲間を危険に曝したくないゼストは拒む

 

「おいおい。こっちは依頼人に命令されてんだぜ?頼むよおっさん」

 

ジャックはゼストに懇願する。

依頼人はあくまでも総士だったため板挟みになっていた。

 

「ではこいつの力を見てから決める。未熟ならば俺の単身だ。それでいいな?」

 

「ありがとうございます。隊長。」

 

『ジャック、隊長を頼んだ』

 

総士は礼を言い、ジャックに念話をする。

 

『安心しな。死なせはしねえよ』

 

 

 

「準備はいいな?」

 

真剣な表情のゼスト隊、不安な面持ちの新人3人が混じる。

 

「なら、挨拶からだな。」

 

ジャックが進み出て

 

「おらあ!」

 

投石する。

 

ー手裏剣影分身の術ー

 

投石は無数に分裂してロボットを蹂躙する。

 

「今だ!行くぜ」

 

ジャックとゼストが岩陰から一気に施設へと突貫する。

 

「うおおおおおお!」

 

ゼストが扉に体当たりをする

 

鈍い音がするだけでびくともしない

 

「おらあっ!」

 

ジャックが扉に前蹴りを放つ

 

扉が若干揺れるだけで壊れそうにない

 

「ふんっ!」

 

ゼストも前蹴りを放つ。

 

ジャックの時よりも扉が大きく揺れる

 

「よし、これでいく。蹴り続けるぞ!」

 

ゼストとジャックはおらおらと扉を蹴り続ける。

2人が繰り返し蹴り続けた結果扉がこじ開けられ、ケーブルにぶら下がった扉の隙間からゼスト、ジャックの順番で突入する。

 

ゼストとジャックは群がる警備ロボットを破壊しながら通路を進む

 

「お、これは使えるか」

 

ジャックは施設に落ちていた資材を拾う。

 

「?どうした」

 

ゼストはジャックの行動の意味を尋ねた。

 

「ああ。仕事先で獲物を拾うと片付きやすくなる…俺のジンクスさ」

 

ジャックは切り詰めた鉄パイプを見せびらかす

 

「ふっ。」

 

何を思ったかゼストは小さく笑う

 

「ジャック。施設内部は?」

 

総士は残りメンバーを率いてジャックに尋ねる。

 

「少し待て…」

 

「!おっさん!この施設、地下がある!!」

 

ジャックは地上フロアの見取り図に敵性の存在のマッピングを追記して共有する

 

「俺と炎使いはこのまま先行する。残りは物品押収後に撤退。分隊指揮はクイント、メガーヌ両名。退却・合流後はビークルを守れ!」

 

「「了解」」

 

ジャックとゼストはそのまま先行して地下へと潜った。

 

 

 

建築様式が地上部よりも一層武骨な印象を受ける暗い地下通路を進む2人

ジャケットの意匠がそっくりだった。

 

「お前、そのジャケットはどこで手に入れた?」

 

潜行しながらゼストが問う。

 

「第17で仕事したときにクライアントからもらった」

 

ジャックは探知をしながら返事をする。

 

「そうか。ならばあいつに言っておけ。人からもらったものを断りなく遣るもんじゃないと」

 

ゼストは前方の扉を睨み、言った。

 

「どうだ?この先は」

 

足を止める

扉の向こう側に罠がある可能性がある。

ゼストはジャックに探知を行わせる。

 

「!人間がいる。気を付けな。よくわかんねえがただの人間じゃあなさそうだぜ」

 

2人は注意深く金属製の扉を蹴飛ばす

 

「戦闘機人か!」

 

ゼストは素早く槍を構える。

眼前には小柄な白髪ロングの少女

ボディースーツとマントを身に着けている。

 

どう見てもまともな頭をしていない

ジャックは戦慄してしまう。

 

「ここにも来たのか…死んでもらう」

 

2人の体が重くなる

 

「!AMFだと?」

 

魔導士の力量を制限する空間に冷汗が流れる。

 

そんな中、白髪の戦闘機人はためらいなく空中にスローイングナイフを打ち出す

全裸にマントとも言うべき怪しいいでたちに完全に虚を突かれたジャック

ナイフは2人の下へ飛来する。

 

「!危ない」

 

ゼストがは自分に向かったナイフを素早く撃ち落とし、ジャックに警告する。

 

「!」

 

ジャックも負けじと瞬身の術で踏込み、手にした鉄パイプでナイフを打ち返す。

 

打ち返したナイフが少女の足元に突き刺さるのと同時、固有技能が朗々と宣言される

 

「ランブル・ディトネイター」

 

そう言い残して少女は白煙の尾を引いてきりもみ回転をしながら2人がいるのとは反対のサイドへ墜落した。

扉の前で血溜まりを作っている。手足は本来とは異なる方向に曲がっている。

 

「…おっさん。急いで引き返そう。上が心配だ。」

 

ジャックは提案する。目の前の少女ですら罠かもしれない。なぜならご丁寧に扉の前で倒れている。通行を試みてもう一度自爆されてしまえば無事では済みそうもない。

 

「ああ。クイント達の収穫に期待をするとしよう。」

 

 

 

ー施設入り口付近の岩陰

 

「!ジャック」

 

総士は施設から出てくる2人を迎える。

 

「お前ら…ボロボロじゃねーか。誰か欠けたか?」

 

地上担当組を気遣うジャック。

彼らはAMF下での戦闘を強いられてしまい、皆傷ついていた。

傷をあまり負っていない人間もいる。新人3人組だ。

 

一様に失意に沈んだ顔をしていない。

 

彼らははAMF影響下で速やかに総士の後ろに下げられた。

しかし後にガジェットと呼ばれるロボット兵器に対して果敢に投石で応戦していたのだった。

 

 

 

「直ちに離れるぞ。乗り込め!クイント、メガーヌは俺と共に先行して安全確保!」

 

全員の無事を確認したゼストが号令を発するとメンバーが動き出す。

 

「!そいつにハンドルを持たせるな」

 

何気ない顔で運転席に乗り込もうとするジャックを制する総士。

 

「来い。お前は俺が監視していないと何をするかわからん。」

 

ジャックの襟首を掴み、乗り込む総士

 

「ったく。お固い奴」

 

奥へ寄れと言われて渋々体を横へ滑らすジャック

 

「そっちはどうだった?収穫はなさそうだが。」

 

総士はジャックに尋ねた。

 

「…戦闘機人が出た。」

 

「…殺したのか?」

 

ひそひそと訪ねる総士

 

「知らねえ。自爆した」

 

ジャックはきっぱりと断った

ただ、と続ける

 

「AMF下でも余裕で動いてた。手強奴だ。」

 

「「…」」

 

車内に沈黙が降りる。

思わぬ的勢力のAMFの活用、そしてAMF下で運用される戦術の登場

皆、これから予想される激戦の予感に口を噤んだ。

 

 

 

織村総士はエゴを満たす

死にゆく運命の者を救った。

果たしてその先の生に意味があるのかはわからない

 

ただ、彼は意味ある死を受け入れられなかった

見知ったものが生きてさえいてくれればそれでよかったのだ

 

死を見せつけるつもりならば

生を強制する

 

如何なる結果を生むとしても、自らのエゴを押し通す。

これが織村総士のやり方だった。

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