※この作品はR-18です。

消し炭の男   作:Christmas

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幕間4 汝の名は女

ークラナガン

 

「う、おお!」

 

安っぽいピンク色の薄暗い室内。?華街のラブホテルで激しく体をぶつけ合う男女。

女は成熟した躰をくねらせる。胸元へ掛かったウェーブのついたブロンドは汗でまとまり、激しく上下する。男性を惹きつけるその腰つき、そして豊満な乳房に男は堪らずむしゃぶりつく

 

「あんっ、がっつかないの!ん!」

 

男性に跨りながら右手を後ろへ遣り、快楽に身を任せる女

同年代の少女とは全く違う。彼女たちはただ受け入れるだけ。しかし彼女は余裕を持って快楽を貪り、こちらの劣情を高めてくれる。だから彼女が口を開くたび、彼は襲いかかるように女を食らう。

 

「あん、あっ!だーめ。あ、だめったら」

 

静止を振り切って腰を上下に振る男

 

「はあ、はあ、なんだよ?これからだぜ?」

 

女が腰を押し付けて男に静止を促す。不満そうな男

なにかあるのか女は男の胸に両手を突いて、挑発的な目で男を見下ろす。

彼の胸にブロンドの髪が掛かる

 

「ねえ、べーってしてみて?」

 

女は男の乳首の周りを優しく撫でながら、ハスキーボイスで囁いた。

 

「ん、こうか?」

 

「んふ。そうそう」

 

彼女は嬉しそうに男の舌を指先で触れて確かめる。さらに濡れた指先を唇へと移動させる。

腕に押された乳房が寄せられる。

 

「じゃあ、どうしよっか?」

 

挑発するように流し目で尋ねる彼女は次なる楽しみを尋ねる。見上げる彼女の薄く開かれた唇が煽情的だった。

 

つつつと伝うように彼女の指を撫で上げる男の舌。挑発に挑発を返すように、まるでペッティングをするように舐めあげる。

 

「あはっ!なにそれ?…ねえ、これならどう?」

 

女は横に垂れた髪を掻き上げて屈む

 

「んー、んっ」

 

今度は男の舌を丁寧に舐める。まるでフェラチオのように舌をペロペロと舐める。男は更に高ぶった。思わず彼女の腰をがっしりと掴む。

 

「んーっと。あたしの勝ち…はぁん。あ、がっついちゃだめ」

 

姿勢を戻しながら、柔らかい笑みで指先を自分の口へ持っていく女。最高に興奮した男は女の膣で未だ滾る性器を乱暴に動かし、3度目の絶頂へと突き進む。

 

「はあん!すごっ、若いわ!」

 

彼女は何度射精しても復活する男に喚起する。

季節は冬。地球では誰もが人肌恋しいクリスマスの出来事だった。

 

「じゃあね?楽しかったわ」

 

「ああ。」

 

肩を竦ませると女は口づけをして別れを告げる。行為が終わり無表情に戻った男はただ返事をするだけだった。ホテルの入り口で別れる2人。

 

 

 

「…」

 

寒空の下、再び外気に晒される。男は先程まで居た酒場に戻る。女とはこの酒場で最近知り合った。何の面識もない。

 

「ラムコーク」

 

男はカウンターに座ると煙草を吸出し、気に入ったカクテルを注文する。ジャズの流れる店内はレトロな印象でまとめられている。

 

「…程々にな」

 

カウンターに立つ店員が困った顔で注文を聞く。

彼はここ最近何度も来店する男を心配していた。どう見ても20代には見えない男は来店当初は自然な動作で酒と煙草をやってはむせていた。ここ最近はむせることなく、同じカクテルを朝まで飲み続けている。

 

獣のような男。彼はいつも店の馴染みの女と話し込んだかと思えば徐に囁きかけ、いやらしいボディタッチを重ねてついには店の外へと連れ出すのだ。そして今日のようにまた酒場に戻ってぼんやりと酒と煙草を繰り返す。

 

「…何があったか知らないが、そういう時は強いの行っときな」

 

店員は困った顔で琥珀色に染まった小さなグラスを渡す。

 

「…げほっ」

 

男は黙って飲む。が、むせる

 

「…」

 

店員はその様子をを黙って見る。特に何も言わない。

 

「もっとくれよ」

 

涙目の男は氷しか入っていないグラスを差し出す。彼は何をしても満たされない。ただ、酒も女も煙草も空虚な心を一時だけ忘れさせてくれる。

 

「ああ。訳分かんなくなるまで飲みな。」

 

そう言い、グラスに液体を注いだところで来店を知らせるベルが鳴る。

 

「邪魔するよ」

 

白髪の老年に足を突っ込んだ男性が入店する。店員はまさかの局員の入店にぎょっとする。大物の局員ではあるが、航行艦の乗員ならば問題はあるまいと胸を撫で下ろした。

 

「bambam de Ang?lica あるかね?」

 

慣れた様子で注文する局員。そのままカウンターに座る。

 

「シングルですか?」

 

「ああ。キャッシュで。釣りは要らんよ」

 

男は気にせずグラスを煽る。その正面では思わぬ大金に嫌そうな顔をする店員がいる。

 

「仕事はどうだ?」

 

正面を向いたまま尋ねる。

 

「どうもしねえよ」

 

「…」

 

正面を向いたままグラスを煽る男。局員は差し出されたグラスを受け取る。

 

「日本では酒も煙草も許されない年齢じゃないのか?」

 

やんわりと咎める

 

「…15からいんだよ。昔からそうだってよ」

 

「20の間違いだろう?…はやて君はそう言って酒を断るぞ。」

 

訂正する局員。

 

「知らねえよ。」

 

局員の男は無気力に煙草をふかす男を黙って眺める

 

「では敵討ちの方はどうかね?手掛かりは見つかったか?」

 

「今は何もやる気にならねえな」

 

煙草を置いて上を見上げる男。およそ10代には見えないほどくたびれて見える。

店員は彼らの遣り取りをハラハラしながら見守る。

 

「はやて君は…」

 

「…」

 

名前を出されただけで男は下を向き、心を閉ざす準備をする。

 

「知らねえよ」

 

「…」

 

局員は正面を向いたまま目だけを男へ向ける。

 

「もう、俺には関係ない」

 

男は昇ってゆく煙草の煙を見つめて呟く。

 

「はあ…そうかね」

 

そう言うと局員は一気にグラスを煽り、グラスを置いた。

 

「一本もらえるか?リーゼ達がうるさくてな。碌に吸えないんだ。」

 

差し出された煙草に火をつける。

 

「!ぅえっほ、っほ!うぅえっほ!」

 

局員は煙を大きく吸ったかと思うと大いにむせる

 

「慣れないならやめときな。」

 

男はそう言うとうつろな表情のまま煙草を奪って火を消す。

 

「ふむ。少し立ってみろ」

 

「?」

 

言われて立ち上がる男

 

「ぬん!!」

 

カウンターに並べられたグラスや瓶、椅子を巻き込んで吹き飛ぶ男。局員は右手をぷらぷらとさせて関節の痛みを堪える。

 

「これは、はやて君の分だ。」

 

冷めた目で見下ろす。

 

「邪魔したな。美味かった。今度は詫びに古い友人も連れて来よう」

 

彼は落ち着いた声で謝罪し、店を後にした。

 

「…何だってんだよ」

 

男は殴られた側の頬を抑えながら吐き捨てるように言い放った。局員の背中を黙って見送る。

 

「あああああ!仕入れ明後日なのに…!なんてこった」

 

男の後ろでは店員が頭を抱えている。支払われたキャッシュでは損害を賄いきれないのかもしれない

 

「…」

 

今度は、そーっと扉が開かれる。ベルは鳴らない。

 

長髪のブロンドがドアの隙間から垂れる。

 

ゆっくりと、潤んだ赤い瞳が店内を覗き込む。男は黙ってそれを見上げた。

 

「!よかった。ここだ。」

 

安堵の声を上げて駆け寄るブロンドの少女。彼女はここへたどり着く前にテナントを間違えて大変な目に遭っていたのだ。この店の近くの扉を開けたり違う階に降りるとゲイバーやクラブに迷い込むのだ。暗い店内ではなんだかんだ理由を付けて引き留められた。ようやく目当ての人物を探し当てて彼女は安堵したのだった。

 

「探したよ。ジャック」

 

「…」

 

割れた瓶の欠片を集める店員は少女を見て顔を顰める。同じ局員でも航行艦勤務なら問題ない。客の多くは接点が無い、その上たまの休みにはめを外す局員の様はよく話に上がる。だが地上の所属や執務官は困る。馴染みは表の客だけでは無い。少女には即刻帰ってほしい。警戒感を滲みだす店員。

 

「ほうっておいてくれ。」

 

ジャックはフェイトに抵抗するように俯き宙を掻く。呂律が回っていない。

 

「丁度いい。嬢ちゃんそいつを送ってやってくれよ。見ての通り手に負えないんだ。」

 

やれやれと手を広げる。なるほど店内はジャックの周りだけ酷く荒れている

 

「うん。わかった。お金は?」

 

フェイトはきりっとした表情で頷く。

 

「貰ってるよ」

 

それを聞くと彼女はジャックに肩を貸す。

 

「ほら。立てる?」

 

ジャックは触るなと抵抗をするものの、碌に抵抗もできずに店外へ連れ出された。寒空の下タクシーを拾い、ジャックの所持品から住所を割り出したフェイトによって、安アパートまで辿り着く。

 

 

 

ークラナガン ジャックの部屋

 

「はい。お水だよ?」

 

制服の上着を脱いだ彼女がジャックに水を勧める。彼はソファーでうなだれている。

 

「要らねえよ。なんでここへ来た?…仕事なら暫くやらねえ」

 

ジャックは首を持ち上げてフェイトを拒絶する。

 

「ううん。母さんが様子を見て来いって。あと、バイクのプラグ外すの大変だったんだよ?」

 

「…そうか。」

 

存外に心配されていることに驚くジャック

 

「けど、もういいだろ?俺は暫くこんな感じだぜ?帰ってくれ」

 

ジャックは疲れた様子でフェイトを見上げて言い放った。何をしても満たされない心はすっかり彼を蝕んでいた。

 

「とりあえず今日はもうポート開いてないし、ホテルも無い。だからここに泊るよ。」

 

決定しているかのように話すフェイト。すずかの時と同じような流れになるのではないかと内心警戒するジャック

 

「なら奥の部屋で寝てな。俺はここでいい。」

 

そう言ってジャックは横になってソファーを占領する。

 

「うん。…ありがとう。」

 

彼女はそう言って奥の部屋へと進んでいった。

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