黒猫との邂逅
爆音が響き渡り、千を超える死体が転がっている戦場、その戦場を番傘を差しながら平然と歩いている高校生くらいの男がいた。
「全く、戦いってのは止められねぇな。楽しすぎるぜ‼」
男はそう言いながら歩いていると、後ろから機関銃を持った兵士が奇襲を仕掛けて来る。
「Kill you‼」
兵士の一人がそう言うと全員が機関銃を乱射していくが、男には一発の銃弾も掠りもしなかった。
「残念だったな、いつかあの世で会おうぜ‼」
男は笑顔でそう言った瞬間に、兵士達の間合いに入り込んで畳んでいた番傘を横薙ぎに振り抜いた。
番傘が振り抜かれたと同時に兵士達は見るも無残な挽き肉にへと変貌した。
兵士を挽き肉にした張本人の男は既に挽き肉には興味がなく、さっきの道を歩き始める。
俺の名前は兵藤一誠、現在進行形で傭兵やってる。
俺は、いや俺達一族は太陽を嫌っている。
それについては俺の一族の血が関係してるんだ。
俺の種族は夜兎という白兵戦において他種族の追随を許さない最強の戦闘民族だ、ちなみに某野菜人とは違うからな、ここ重要‼
夜兎はその名の通り夜を好み、太陽を嫌う。
太陽は俺達一族にとって猛毒に等しい程に嫌悪される存在だ、それでも陽のある時間に行動をしなくてはならない時は肌を布で隠すか夜兎の特徴と呼べる番傘を差して歩かなければならない。
それほどまでに俺達は太陽を嫌っている。
しかも、番傘は俺達夜兎の日傘にも武器にもなっていて超便利なんだよな。
それに加えて俺の身体には神器ってやつが埋め込まれている、その名前は「赤龍帝の籠手」っていう赤い龍の籠手なんだ。
まっ、そんなことは置いといて。
今、俺のいる場所は某紛争地域で依頼人に敵対している勢力を根絶やしにしている。
しかも、依頼人はどっかの国の高官らしく、今回の仕事の報酬がかなりいい。
「さぁて、給料分の仕事はこなすか。」
そう言いながら戦いに興じることを考えて凶悪な笑みを浮かべる俺。
俺はこれでも一族の中では大人しい方なんだが、それでも少しの血を見ただけで夜兎の本能が疼いてしまう。
そんな時は手加減なく大暴れをするか、女を抱くかをして疼きを抑えている。7
今回は大暴れの路線だな、そう考えながら歩いていると女の声が聞こえてきた。
だが、俺はそんな事に気にする事はない。
何故なら戦場で女が居るという事はどっかの馬鹿が女を犯していると割り切っているからだ。
しかし、俺のこの予想は大きく外れていた。
よく耳を澄ましてみると、悪魔だの、眷属だのという言葉が入って来る。
俺はこう思った、何か面白い事が起こっているのではないか、と。
そう思った瞬間、俺は女の声が聞こえてきた方角へと足を向けて走り出した。
仕事の方は前日にあらかた片づけてあるから問題ないからな。
そう思いながら意気揚々と鼻歌を交じりにその場所に向かっていると、目の前に地面に膝をついて肩から息をしているおっぱいを北半球さらけ出している猫耳と尻尾のある黒髪美女とその向かい側にはどこからどう見ても偉そうな男とそれに従っている従者が十人ばかりいた
俺は物陰に隠れて様子見をする事にし、木陰に身を隠した。
そして、耳を澄ましてアイツ等の会話を聞く事にした。
すると、最初に男が口を開いた。
「黒歌、貴様が犯した罪は重い。よって、この場で処刑をすると言いたい所だが、我が眷属として応じるのであれば貴様生かしてやらん事も無いぞ?」
男はそう言いながら下卑た笑みを黒歌と呼ばれた女に向ける。
「{うわぁ、如何にもここではオレが一番って面してやがるな。俺、そういう奴大っ嫌い。もう殺すか?}」
俺が男共を皆殺しにする事を考えていると、黒歌という女がこう言った。
「アンタの眷属なんか願い下げよ、眷属になる位なら死んだ方がマシってぐらいに思えるわ‼」
自分が危機的状況に居るにも拘らずそう言いきった黒歌という女。
俺は思わず口元を釣り上げながらこう思った。
気に入った、アイツは俺のモノにする‼
そう思っていると、黒歌の言葉を聞いていた男は青筋を立てながらこう言った。
「そうか、ならば望み通りにしてやる。死ネ‼」
そう言って男と男の従者共は手からオーラを纏い、それを球体にして黒歌に向けて放った。
それに対して、黒歌は目をギュッと瞑ってしまう。
俺は木陰から飛び出して番傘を開いて黒歌と男共の間に入った。
球体の何かを番傘で全てを受け止めると、黒歌と男共はポカンとした表情を浮かべている。
黒歌はいつまで経っても来ない痛みに違和感を感じたから目を開くと、俺がいたから驚いていると言ったところか。
男共は自分達の攻撃を止められた事が信じられないって言ったところか。
俺がいきなり現れたからそんな表情を浮かべているんだろうが、戦場ではそれは命を捨てる行為だぜ‼
俺はポカンとしている男の従者の一人の顔面を掴み横にそのまま回転させて首をへし折った。
それを見て、黒歌と男共は意識を取り戻して男の方がこう言ってくる。
「きききききききき貴様、ななな何者だん⁉」
いきなり現れて自分の従者を殺された男は声と膝を震わせながらそう言って来るのに対して、俺はこう言ってやった。
「俺は夜兎。ここでは言葉を要らねぇぜ、テメェ等は既に皆殺しは確定だからなァ‼」
そう言い終わった瞬間、番傘を片手に男共を殺しにかかっていった。
番傘を横薙ぎに振るうとさっきの兵士共と同じように肉塊にしてやった。
黒歌SIDE
私の名前は黒歌、妖怪猫魈から転生したはぐれ悪魔にゃ。
悪魔の眷属になった私が仙術という仙人が使う力に目覚めると、悪魔はその力を私の妹にも求めたのにゃ。
妹の名前は白音、まだ幼いため仙術という大きな力を扱うのが無理だというのにそんな事をお構いなしに強要して来る悪魔を殺してはぐれになったのにゃ。
主である悪魔を殺した私は追手の悪魔を蹴散らしながら逃げてたんだけど、それを逆手に取られて追い詰められてしまったわ。
すると、悪魔達のリーダーの男が私に向かってこう言ってきた。
「黒歌、貴様が犯した罪は重い。よって、この場で処刑をすると言いたい所だが、我が眷属として応じるのであれば貴様生かしてやらん事も無いぞ?」
いやらしい目で見ながら下卑た笑みを浮かべてそう言って来る悪魔の男に対して、私はこう言ってやった。
「アンタの眷属なんか願い下げよ、眷属になる位なら死んだ方がマシってぐらいに思えるわ‼」
そう言うと、男は怒りで顔を歪ませながらこう言ってきた。
「そうか、ならば望み通りにしてやる。死ネ‼」
そう言って男達は私に魔力を高め、その塊を放ってきた。
私はギュッと目を閉じて死ぬ覚悟をしたけど、突然妹の事が頭の中で過ってきて後悔をしたわ。
「{ゴメンね、白音。お姉ちゃんはここで…。}」
でも、いつまで経っても魔力の塊は飛んでこなかった。
それに対して違和感を感じた私は目をゆっくりと開いていくとそこには傘を盾の様に広げた少年が自分の前に立っていた。
その事に対して私も男達も呆気に取られてしまったにゃ。
すると、少年の姿が忽然と消えた。
そう思った瞬間、男の眷属の一人が少年の手によって首をへし折られて殺された。
私と男達はいきなりの事に驚きを隠せなかった。
ただの人間の少年が悪魔を一捻りに出来るなんてこの場の誰もが不可能と思っていたハズだから。
すると、リーダーの男が声と膝を震わせて少年にこう言った。
「俺は夜兎。ここでは言葉は要らねぇぜ、テメェ等は既に皆殺し確定だからなァ‼」
そう言って少年は血走った目で男達に襲い掛かっていった。
その結果は少年が傘を横に一薙ぎして悪魔達には全員もれなく肉塊にされてしまった。
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「チッ!もう少しは楽しめそうと思ったんだけどなァ、とんだハズレを引いちまったな。」
悪態をつきながら番傘についた血を振り払った後、黒歌の方に視線を向けるとビクッと肩を震わせる。
それを見て俺は可愛いなと思いつつ、こう話しかけた。
「お前、何であんなカス共に追いかけられてたんだ?」
俺がそう言うと、黒歌はこう言って来る。
「アンタには関係ないでしょ。」
黒歌はそう言うと顔をそむける。
「まぁ、確かに俺には関係ねぇ。だが、目の前で女が泣いてるのにほっとけるわけねぇだろうが。」
俺はそう言いながら黒歌の頬に手を添えて撫でる。
俺の言葉に黒歌は今まで溜め込んでいた
「俺の名前は兵藤一誠、さっきの会話を聞いていてな…。名前は黒歌で良かったよな?」
俺がそう問いかけると、黒歌は首を縦に振り肯定する。
「黒歌、俺と来るか?」
俺がそう言いながら手を差し出すと、黒歌はギュッと手を握ってくる。
こうして、夜兎族の赤龍帝とはぐれ悪魔の黒猫の邂逅はこれにて終わり。
第一話終了です。
これからも読んでいただけると嬉しいです。