【祝! 同人コミカライズ化】異世界交易チートで街中の女を孕ませてみた 作:ヤラナイカ―
第二章1「邪魔な旦那を街から排除する」
リサーリィが声を張り上げる。
「ええー、また出張!?」
信じられないと、ほとんど悲鳴に近い声を上げる妻に、スパイクは頷く。
「う、うん……」
「いやよ。戻ってきたばっかりなのに!」
リサーリィがいかに良妻とはいえ、我慢にも限度がある。
十日の出張と聞いていたのが一週間で済んだと喜んでいたのもつかの間、また出張である。
さすがに、これには聞き分けのいいリサーリィでも、文句の一つも出ようというものだ。
「うーん、困ったなあ。どうしても行かなきゃならないんだよ」
「今度は一体、どのくらいかかるんですか?」
出張の目的を聞かずに、そっちを先に聞いてくるのかとスパイクは苦笑する。
実はどれほど時間がかかるのかは、わからないのだ。
「今度は少し長くなるかもしれない」
「そんな! 一週間でも長いぐらいだったのに……」
もうスパイクと離れるのは、もうゴメンだ。
リサーリィは夫を強く抱きしめる。
「リサ。聞き分けてくれよ。今度の仕事は、本当に大事な任務なんだよ」
「大事って、私より大事なものがあるの?」
仕事と私どっちが大事なの?
定番の無理難題である。仕事も大事だとわかっていても、感情が高ぶれば、ついせんないことを聞いてしまうものだ。
「もちろん君以上に大事なものなんてないさ」
きちっとリサーリィの欲しい言葉を返す。
そこは、心までイケメンのスパイク。決してブレない。
「だったら、なんとかならないの?」
「実はね。僕はついに、騎士に昇格できるようなんだ」
「私は、あなたが兵士でも、騎士でも、どっちでもいい……」
スパイクの腰に抱きついたまま、リサーリィは紺碧の瞳に涙を溜めて駄々をこねる。
愛しい妻の柔らかい髪を撫でながら、スパイクは優しくささやく。
「リサ聞いて? ただ領主様の正騎士になるって話じゃないんだ。このダナンの街も人口が増えてきた。だから領主のイバラン伯爵閣下は、この街の防衛のためにも新しい騎士隊をお作りになられるそうなんだよ」
「どういうこと?」
「この街に新設されるダナン騎士隊の隊長に、僕は任じられる。ただの騎士じゃない、騎士隊長だ」
「騎士隊長……」
「うん。もちろん、上級騎士になるには厳しい試練も乗り越えなきゃならないし、イバラン伯爵の下で相応の作法を身につける訓練も必要になる」
「そんなのどれだけかかるのよ」
「三ヶ月……いや、二ヶ月で僕はやり遂げてみせる!」
かなり、覚悟を決めた言葉だった。
厳しい試練というのは伊達ではない。
五年も警備隊長としての実績を積んだスパイクである。
ただの正騎士なら形式的な儀式だけで済むのだが、まだ二十七歳の若さの男が実力で騎士隊長に認められるには、相当の名声がいる。
おそらく、新しい騎士隊に加わる予定の部下達を率いて、ロード級のモンスターの討伐を命じられるだろう。
その冒険の旅に一ヶ月、作法の習得を一ヶ月、合計二ヶ月で終わらせようと本気で言っているのだ。
「そんな、二ヶ月もスパイクと離れ離れになるなんて」
「リサ、これは僕達にとってのチャンスなんだ。新設の小さな騎士隊とはいえ隊長になれば、正式にアレシア王国から準男爵に叙勲される。ダナンの街に領地ももらえるし、一番下だけど貴族になれるんだよ」
「私はそんなのどうでもいいのに……」
「貴族の身分は、僕達の子供にも世襲できる。僕達の子供に明るい未来を作ってあげることができるんだよ」
「私たちの子供に?」
「そうだよ。だから頼む、二ヶ月だけ僕に時間をくれ」
二人の子供の未来のため。
そうまで言われて愛しい夫に頭を下げられたら、リサーリィには断りきれなかった。
瞳に溜まった涙を美しい腕でぬぐって、彼女はスパイクに約束させる。
「ちゃんと毎日手紙書いてね」
「うん」
毎日はちょっとキツすぎるんじゃないかと思うが。
スパイクは、約束するよと頷く。
「お屋敷のメイドと、絶対浮気しちゃダメだからね」
「もちろんだよ、君以外の女性となんか目も合わせないさ」
リサーリィがやけにメイドにこだわるのは、まだ若い騎士候補であるスパイクが、領主のお屋敷に務める女性にも人気があることを知っているからだ。
いくら夫が誠実さの塊のような人でも油断はできない。
本当はリサーリィがお目付け役として付いてきたいぐらいなのだが。
希少種族であるハイエルフの彼女が上級貴族の屋敷に行くのは、いらぬトラブルの元になりかねないのでわきまえるしかない。
「じゃあ、いってらっしゃい……」
「うん、いってくる」
これも夫の出世のため、自分達の子供の未来のためなら我慢しなきゃいけないのかなあと。
深くため息をつくリサーリィであった。
※※※
「クックック、上手くいったもんだ……」
スパイクが旅支度を整えてダナンの街から出ていくのを見て、街の郊外でそれを眺めていた健太はニヤリとほくそ笑んだ。
もちろん、今回のスパイクの騎士昇格の話を画策したのは健太である。
多額の献金と贈り物攻勢によって、イバラン伯爵は健太の意のままに動くようになっている。
新しい騎士隊を創設して、その隊長として試練を突破し、貴族としての作法を身に着けて準男爵に叙任されるのは並大抵のことではない。
二ヶ月で済むものか。
健太の想いのままに、どれだけでもスパイクの出張を伸ばすことができる。
領主の屋敷にいるメイド達にも金と便宜をはかって、スパイクを誘惑するようにも焚きつけておいた。
長期出張の間にメイドと浮気でもしてくれれば、一層都合がいい。
夫がいなくて寂しいリサーリィの相手には、俺がいるから安心しろと健太はほくそ笑む。
「お前が出張してる間に、リサーリィと子作りして孕ませてやる。俺とリサーリィの子供の未来のために、しっかり頑張るんだぞスパイク」
そう言うと、こみ上げてくる優越感に健太は堪えきれず、「ふはははは」と高笑いを上げた。
まさに悪役以外のなにものでもなかった。
夫のスパイクが長期出張の間に、健太の毒牙が貞淑な爆乳人妻エルフへと迫りつつある。