【祝! 同人コミカライズ化】異世界交易チートで街中の女を孕ませてみた 作:ヤラナイカ―
その後の健太はといえば、リサーリィの家で不倫ごっこをしたり、聖女セシリアの教会で夫婦ごっこをしたりと好き勝手やっていたのだが、そんな幸せは突如現れた闖入者達によって乱されることとなった。
街の広場に現れた、甲冑姿の一団は女騎士と女兵士合わせて千人を超える規模だ。
一個連隊クラスの戦力。
戦争でも始まったのかと騒ぎを聞きつけて集まってきた街の人達は恐れおののく。
「なんですか、貴方達は!」
「この街にいるはずだ、アラド商会の荒土健太を探せ! 匿う者は容赦しないぞ!」
騎士や兵士達が、街中を駆けずり回っている。
何事かと、教会からセシリアが出ていく。
「わたくしは聖女セシリアです。あなた方は、王国騎士団ですよね。何のつもりかと聞いているのです!」
「これは教会の聖女殿。私は、王女エリザベート様直属のレッド・リボンズ騎士団団長ミレーヌ・アド・ラ・アドミラルです」
「アドミラル家は、代々王軍の将軍を務めている帯剣貴族の家柄ですね。しかし、レッド・リボンズとは? 聞いたことがない騎士団ですが」
「この度、王女殿下の肝いりで新設されたのですよ。この国に正義を取り戻すために!」
青白く輝く魔法剣を鞘から引き抜いて叫ぶ貴族の女騎士。
物騒すぎて話にならない。
「それはわかりました。しかしその騎士団が、なぜアラド様を探しておられるのです」
「荒土健太には、マジック犯罪の嫌疑がかけられております。拘束して取り調べをしなければなりません。まさかとは思いますが、容疑者を教会に匿っているということはありませんよね?」
そのまさかだった。
この事態をどう誤魔化せばいいかと息を呑むセシリア。
しかし、そこに教会の奥から当の健太が現れる。
「健太様、今は来てはなりません!」
「いや良いんだよ。セシリア」
健太も無策ではない。
王都では嫌われ者なのだ。王宮の反体制派によって捕縛命令が発せられて追手がかかる。
そういう事態は想定していないこともない。
健太は、そのために様々な魔道具で防御を固めてる。
いざとなれば瞬間移動の魔法で逃げることもできたが、逃げ隠れする必要はない。
セシリアに匿われるまでもなく、個人としては備えに備えを重ねて無敵に近い状態なのだ。
「荒土健太。王女殿下の命令により、お前を拘束して取り調べさせてもらう」
「断る。何の権限があって言ってるんだ。この地の領主であるイバラン伯爵の許可は取ったのか?」
「我々は、王国のあらゆる地での治安維持活動を認められている!」
「じゃあ、お前ら王宮騎士の元締めドリコーン近衛騎士団長はなんと言っている。シコシュ・マクブリス宰相の意向はどうなのだ!」
健太は、王宮の武官派閥も文官派閥の買収も終わっていた。
こいつらがどういう意図だろうと王国の騎士であるかぎり、上司の命令には逆らえまい。
しかし、ミレーヌと名乗った高位の女騎士は高笑いを上げる。
「語るに落ちたな荒土健太。ドリコーンも、シコシュも、教会の意向すら関係ない! そいつらこそが、許されざる腐敗だとエリザベート殿下は言っておられる」
「なんだよ、はねっかえりか。この国は法律もクソもないのか!」
「なんとでも言うがいい。平民の商人ごときが、我らエリザベート殿下直属の騎士に逆らえると思うな。王女殿下の命令により、お前を拘束する」
「チィ、なんでわざわざ、こんな田舎まで来るんだよ」
これはつまり、王宮の反主流派が暴発して襲いかかって来たということだ。
健太が買収できている王宮の主流は腐敗している。
しかし、それは上級の家臣だけで、王家はまともなのだ。
国王ウェルトリクスは、温和な名君で子供の奴隷落ちを禁止させる政策を取るなど優しい気質の持ち主だ。
そして、その一人娘エリザベート王女は特に清廉な性格で知られ、革新派に呼びかけて腐敗官僚を一掃しようとしているとは噂には聞いていた。
じゃじゃ馬姫の王宮革命ごっこは王都で勝手にやってくれればいいが、こんな女だらけの騎士団を作って。
しかも、なんでこんなド田舎のダナンの街までわざわざやってきて、俺みたいなただの商人の邪魔をしにくるのかと健太は怒り心頭だった。
余計なトラブルを避けるために、わざわあこんな田舎に引き込んでやっているというのに……。
「荒土健太。腐敗官僚や貴族に多額の資金供給をしているのはお前だ。お前さえ潰せば、不正は根本から断ち切れる!」
多額の献金のせいで、逆に革新派に目をつけられてしまったのか。
政治というのは難しいものだ。全く面倒なことだと、健太は上着の懐に手を突っ込んでふてくされた様子で言う。
「あー、わかったわかった。それで、何の罪状で俺を拘束しようって言うんだ」
この場を切り抜けるためのマジックアイテムを探りながら、話を続ける。
何を使うべきだ『熟睡の指輪』で全員を眠らせるか。それとも『錯誤の杖』を使って、こいつの信奉する姫様を騙るか……。
「教会から、ダナンの街の良家の婦女子が謎の集団妊娠を遂げていると聞いて、ピンときたのだ。これはお前による卑劣なマジック犯罪だとな。過去の事例から、これは推察できる!」
また健太は、ビクリとする。
今まさにマジックアイテムを駆使しようとしたところだから。
それをわかってここに乗り込んでいるということは、もしかして何らかの対策をしているか。
ならば、こちらから攻撃するのはまずいかもしれない。
「……何の証拠があって言っている」
そう言って、とりあえずカマをかけてみる健太。
女騎士ミレーヌの言ってることは全て事実なので、さすがに健太も焦る。
セシリアが教会に上げた報告が、健太を排除しようとする教会の清廉派に伝わってしまったのが原因なのだろうか。
しかし、証拠を残してはいないはずだ。
「すでに調べはついている。ご禁制の未成年の処女の奴隷を、それは熱心に探していたそうだな荒土健太。奴隷で満足できなかったお前は、自らのゲスな欲望を満たすため無辜の民に手を出した。違うか?」
ギクリッ、こいつら最初の頃の健太の行動まで調べ尽くしている。
さっきから完全に図星をつかれまくってることで動揺を隠しきれない健太を尻目に、聖女セシリアは潔白を叫ぶ。
「そんなわけありません! 集団妊娠は恐れ多くもフェラルーナ様が次世代の勇者を産み出すために行ったもの。そのため、教会の正式な認定を受けております。王宮騎士といえど、教会の決定に逆らうことは許されませんよ!」
そうだセシリアにだけは、恥ずかしいところは見せられない。
健太は言い訳を思いついて叫ぶ。
「……俺は、この国の奴隷を救おうと考えていた。そうだ! 俺はこの国の奴隷制度が許せなくて調べていたんだ、その証拠に俺は奴隷は買っていない!」
口からでまかせの嘘が、健太の口から零れ出る。
色々やってきた結果、口下手だった健太も嘘が上手くなったものだ。
だが、女騎士ミレーヌには健太の嘘は通用しなかった。
……というか、会話が通用しなかった!
「問答無用! 烈風破岩剣!」
女騎士ミレーヌが白刃を振るうと、青白いプラズマのような衝撃波がシュンシュンと音を立てて飛んでくる。
魔法のような、ファンタジー剣技だ。
「ぐわぁ!」
バシュッ! 目の前で青白い火花が炸裂して、思わず健太はのけぞった。
「いまのは威嚇攻撃だ。おとなしく縛につけ、そうでなければお前を殺す!」
嘘つけ、何が威嚇だ。
めっちゃ攻撃当たってたじゃないか。
防御魔法のプロテクションがなければ即死だったぞ。
「いまのでわかったぞ。荒土健太、やはりあくどく稼いだ金で買い集めたマジックアイテムで装備を固めているようだな。それを語るに落ちたというのだ!」
「こっちはただの商人だぞ。お前らみたいなのが襲撃してくるから、魔法道具でも使って守らざるをえないんだよ!」
そりゃ俺も庶民の時は金持ちに嫉妬していたし、金持ちはみんな悪いやつだと思いこんでた。
だからって、いきなり殺す勢いとか理不尽すぎるだろう。
中世脳の連中は沸点低すぎだと、健太は冷や汗をかく。
王族の命令ともなれば、法律なんて守りもしねえし、まったくこまった連中だ。
「マジックアイテムで身を固めてるから余裕か? だが、こちらもそれは予想して準備はしてきているのだ。やれ、マリーナ」
宮廷魔術師の証たる紫のローブを身にまとう小柄な魔術師が前に出てきて高らかに叫んだ。
「一切のマナよ。ルクス家の盟約に従い、封魔の後継たる我が願いに応えその動きを止めて黙せよ!」
パリンと音を立てて、健太のつけているプロテクションの魔法がかかった腕輪が割れて落ちる。
「なっ……」
「ダッハッハッハッ、いいぞ荒土健太。悪徳商人である貴様のブサイクな吠え面が見たかった!」
ドヤ顔で笑う女騎士ミレーヌ。
よっぽど上機嫌だったのか、上品な顔してなんちゅう下品な笑い方だ。
こいつ最初のクールな印象からどんどんキャラが壊れだしてきてるな。
「説明してくれるんだろうな」
「このマリーナ・ルクスは、歴代最高の王宮魔術師! 天下に名高き封魔の魔女だぞ! あらゆる魔法を封印、破棄することができる! その卑怯な魔法道具はもう使えない。ざまぁみろ!」
こいつ、手の内を本当にしゃべりやがった。
まあ術式を聞いて魔封じの呪文だろうとはわかっていたが、こいつほんと見た目通りの脳筋バカだ。
「まったく……」
「さあどうする。ご自慢の魔法障壁はもうない。わかっているぞ、いざとなればテレポーテーションの魔法具で逃げようとしていたのだろう」
「お前はほんと勘だけはいいな」
さっきから言ってることは全部図星だった。
「王国随一の封魔の魔女には、金にあかせて魔道具を集めたお前もかたなしだろう。わかっているか、私はいつでもお前を殺せるのだぞ……」
睨めつけるように勝ち誇った女騎士ミレーヌを見て、ほんとにまったくだと健太はため息をつく。
「……女騎士ミレーヌ。この俺をここまで追い詰めるとは、大したもんだよ」
おかげで、本気でやらなきゃならなくなった。
健太は静かに《異世界交易チート》を使って、手の中に拳銃を発生させる。
デザートイーグル(十七万円)。
これをあの魔術師と女騎士の頭に直撃させれば、簡単に殺すことができる。
まったく残念だ。
頭はアホみたいだが、女騎士ミレーヌはなかなかの美形だった。小柄な黒髪のロリっ子魔術師もなかなかそそられる。
女だらけの騎士団ってのも、こんな出会いじゃなければ面白かったのにな。
美人を殺さなきゃならないことも辛いが……。
街の人の目の前で、王宮騎士や魔術師を殺せば、もうこの街には居られないだろう。
「なんだその玩具は、もう魔道具は使えないと……」
余裕をぶっこいている、女騎士ミレーヌの目の前に健太が拳銃を突きつけたその時だった。
「そこまでだ! 女騎士ミレーヌ!」
叫びながら白刃を煌めかせて女騎士ミレーヌと、健太の間に割って入ってきたのは、Sランク剣士のユリアだった。
「なにぃ! 貴様は!」
キンッと、高らかな音を立てて剣がぶつかり合う。
その瞬間、辺りの温度がゾクッと数度下がったくらいに感じられた。
その剣戟に込められた殺気は、女騎士ミレーヌどころの気迫ではなかった。
「剣を引かぬなら、私が相手をしようというのだ!」
「クッ! ユリア・アクスシャート! 剣鬼ともあだ名されたお前が無様なものだな。そのでかい腹で戦えるのか!」
女騎士ミレーヌの罵倒にも、長剣を構えて平然と答える。
「試してみるか。剣鬼の実力、腹に子を抱えてる程度で衰えはしないぞ!」
「チィ、邪魔立てするならええぃ!」
女騎士ミレーヌは、自慢の魔法剣を振り回すが、全て弾き返されている。
というか、こいつほんとにアホだな。
封魔の魔法とやらで、自分の魔法剣の力も封じられているではないか。
ユリアの魔法のビキニアーマーの効果も停止してるはずだが、普通に剣技で妊婦であるユリアのほうが圧倒的に強い。
Sランクってほんとに凄いんだなと感心した。
実力でのし上がってきた歴戦のSランク剣士と、年若い家柄だけの女騎士団長では経験が違いすぎる。
ユリアの活躍に鼓舞されたのか、街の人達が武器を手にとって集まってきた。
「おい、恩義あるアラドさんをこんな奴らに渡すな!」
「そうだそうだ!」
街の人達が、逆に騎士団の連中を囲んでいる。
以下に一個連隊とはいえ、街の住人の方が数では圧倒的に勝っている。
それを指揮しているのは、健太に雇われる事が多かった冒険者達だ。
「俺達はアラド商会に雇われて飯を食ってんだぞ。騎士がなんぼのもんだよ」
健太がモンスター退治用に雇っている冒険者達は、最新の連射式クロスボウや日本刀を装備している。
酒場女のバネッサも、叫んで女騎士達を威嚇してくれる。
「あたしたちだって、アラド商会があってこそ仕事がなりたってんだ! 邪魔者はお前らなんだよ!」
「そうだそうだ!」
「そうだ、アラドさんが居なきゃ仕事も困るもん!」
「うちらも食べ放題の約束があるニャー」「そうニャリ、そうニャリ!」
湯屋のクロエや、猫耳姉妹のロリンやペッタも駆けつけてくれた。
「アラドさんには恩義がありますからね」
「ハイエルフの精霊魔術師の私に勝てますか!」
宿屋のマドレーヌも駆けつけてくれた。
リサーリィも精霊魔術師として杖を構えて、王宮魔術師を威嚇してくれている。
「ええい、なんで街の連中が!」
そうして、それらの動きに焦った女騎士ミレーヌの剣を、ユリアの長剣がついに弾き飛ばした。
「どうした、まだやるか?」
「クッ……」
おお、クッコロ出るかと健太が思った瞬間、聖女セシリアが声を張り上げた。
「教会聖女セシリアの権限により! 只今より、この街全域を聖域と定めます!」
女騎士ミレーヌは「なんだと!」と叫ぶ。
「これで、王女殿下の命令といえども、フェラルーナ教会の許しなくこの地で検断権を発することはできません!」
ユリアはフッと笑うと、長剣を女騎士ミレーヌの喉元に突きつける。
「これでお前らはフェラルーナ教会の敵だ。大人しく引くなら、このまま逃してやるが」
形勢逆転。
もとから権威に弱い若い女騎士達は、右往左往している。
女騎士ミレーヌは叫ぶ。
「お前達目を覚ませ! そんな大きな腹をして! お前達はそこの醜い男にレイプされてる性被害者なんだぞ、私達はお前らを助けようと!」
街の人がレッド・リボンズ騎士団に石を投げ始めた。
「帰れ! 帰れ!」
正義を誇っているため、そうされても街の人に攻撃するわけにもいかない女騎士達が、団長のミレーヌのところに逃げてきてくる。
「団長、これどうしたら」
「くそぉー! 荒土健太。今日のところはこれくらいにしてやる! 次に会った時は必ずお縄を頂戴するからな!」
そう言うと、来た時と一緒のように唐突に、騎士団を率いて街から逃げ出していった。
「やれやれ……」
ほんとに迷惑な連中だったなと、健太はため息をつく。
「健太様危ないところでしたね。でもご安心ください、私が必ず貴方を守ってみせます」
「いや、もういいよセシリア」
健太は寂しそうに言う。
「えっ?」
「俺は、この街から出ていく」
これはきっと、潮時というものだ。
そして、そうしなければならない理由も健太にはあったのだった。