【祝! 同人コミカライズ化】異世界交易チートで街中の女を孕ませてみた 作:ヤラナイカ―
荒土健太は、ダナンの街から去ることに決めた。
聖女セシリア、Sランク騎士ユリア、猫耳娘のロリンとペッタ、宿屋の女将マドレーヌ、そしてハイエルフ人妻のリサーリィ。
自分の子供を孕んでデカい腹をしている女達に囲まれて見送られる。
聖女セシリアは、涙ながらに健太にすがって引き止めようとする。
「健太さん、どうして……私が貴方を守るって言ってるじゃないですか!」
みんなにそう止められたが、こうなったら出ていくと健太は最初から決めていた。
なんとなく、最初からこうなる予感はしていたのかもしれない。
「俺が居たら、例えセシリア達がかばってくれても、いつ追手の軍を差し向けられるかわからない。みんなに迷惑をかけたくないから、ここは一人で逃げるよ」
「迷惑だなんて、みんな思ってないですよ!」
そう叫ぶ聖女セシリアに、周りの人達は頷くが、健太は頭を左右に振った。
確かに、この街にはSランク剣士のユリアがいる。
聖女のセシリアもいる。
精霊魔術を使えるリサーリィもいる。
街の住人や冒険者達だって、みんなが健太を味方してくれる。
たとえ王国の騎士団相手でも、立ち向かえるだけの戦力があると言えるかもしれない。
そして、健太には《異世界交易チート》がある。
たとえ敵が王族といえど、戦う手段はいくらでも考えられる。
それでも、街を離れなきゃならない理由があった。
ユリアが胸に手を当てて言う。
「なら、私を一緒に連れて行ってくれ。旅の間、アラド殿の安全を守ることくらいはできる」
「俺は、身重のユリアさん達を、争いに巻き込みたくないから一人で行くって言ってるんですよ」
本当に、もう出産間近のデカい腹をして何を言ってるんだと思ってしまう。
「いや、こんななりだが、アラド殿も見ただろうさっきの私の活躍! 私は問題なく戦える!」
「それでも、俺が貴方達を危険に晒したくないんです」
この街で争いが起こることで自分の子供を産んでくれる女が一人でも傷ついたら、それはすごく嫌なことだなと健太は思ったのだ。
「アラドさん、うちらの食べ放題の約束はどうしてくれるニャー」
街を出ようとする健太に、掴みかかって言うペッタ。
「安心しろよペッタ、ロリン。お前らの食べ放題は今後もずっと維持する。アラド商会はちゃんと残るから、これまでどおりみんなの生活は保証する」
自分の子供がいっぱい産まれる街なのだ、生活に不自由させるつもりはない。
アラド商会の商売の方は、きっちり回るようにしてある。
「だったらいいニャリ」
ロリンがケロッとした顔で言う。
まったく、現金な猫耳姉妹はこれだからなと健太は苦笑する。
寂しそうに俯いている湯屋のクロエにも声をかける。
「クロエも、お店の方を頼むぞ」
「……はい! 店の管理をしっかりして、いつでもお帰りをお待ちしてます!」
「いや、これからはお前が湯屋の主人だ」
「そんなこと言わないでくださいよ。うちの湯屋のあるじは、ずっとアラドさんですからぁ」
クロエが泣き出してしまいそうになるので、ああわかったわかったと肩を叩いてやる。
バネッサも声をかけてくる。
「また戻ってくるんだろ?」
「ああ、今回の問題が片付いたらまた戻ってくるよ」
「その時は、またうちのお店にもよっとくれよ。とっておきのお酒を用意して待ってるからさ」
「そりゃ楽しみだ」
最後は宿屋の女将マドレーヌと、ハイエルフの人妻リサーリィか。
マドレーヌは頭を下げて言う。
「アラドさんには大変お世話になりました。おかげさまで私達の生活も楽になり、こうしてお腹の子も元気です」
「ああ、マドレーヌさんも、いい子を産んでくださいね」
マドレーヌの隣にいる宿屋の店主まで、ニコニコと頭を下げているのがおかしくて仕方がない。
嫁が寝取られてるのに、知らぬが仏といったところか。
「健太さん……」
リサーリィが美しい瞳に涙を溜めて健太の名前をつぶやく。
おや、表でのアラドさんだったのに、呼び名がいつの間にか健太に変わったなと思ったが、もう最後なのでそれについては何も言わなかった。
「リサーリィさん。いいお子さんを産んでくださいね」
「はい! 必ずいい子を産みます。その、本当にいろいろありがとうございました!」
リサーリィに、そう頭を下げられる。
「……」
「健太さん、どうかされましたか?」
「いや、リサーリィさんに、お礼を言われて嬉しかったんですよ」
「そんな私こそ、貴方みたいな人に出会えて本当に良かったです」
まるで、リサーリィに孕ませてくれてお礼を言われたみたいで、健太は興奮してちょっと勃起してしまった。
去り際にドノパン城に寄って、メイドのマドレーヌでスッキリしておくのもいいかもしれない。
リサーリィの夫のスパイクとも会って、話のつじつま合わせをしておかないといけないしな。
健太がいなくなっても、ダナンの街がきちんと動くように、これでも色々と準備が大変だったりもする。
それも、楽しくてやっていることだが……。
「さて、それじゃあ行きます」
そう言って旅立とうとする健太を、聖女セシリアがすがるような瞳で見てくる。
「健太様は、また戻ってこられるんですよね」
「ええ、今回の件が片付いたら必ず戻ってきます」
「私は決めました。健太様の名誉を回復するために、あらゆる手段を取ることを!」
「それは、ありがたいことです」
今度は、健太が頭を下げる番だった。
素のままの健太を愛してくれたのは聖女セシリアだけだった。
だからこそ、彼女らを巻き込まないために健太は行くのだ。
そういう気持ちになれた。
バイクにまたがって、健太は街を離れていく。
悪は栄えた試しなしとはよく言ったものだ。
最初から、ずっとは上手く行かない予感はしていた。
いつかは限界があるだろう。この辺りが引き際、五体満足で逃げ切れただけ御の字と思うしかない。
それでも、愚痴は溢れる。
「まったく、田舎街一つで満足しようって思ってたのによお。ちくしょうめ!」
王女エリザベートに、女騎士団長ミレーヌに、封魔の魔女マリーナだったか。
あいつらだけは許さねえし、絶対にこのままにはしておかない。
俺の街に手を出したことを絶対に後悔させてやる。
この街一つ程度、俺にくれないっていうならいいさ。
今度は、この国そのものを取ってやる。
そんな決意を固めて、荒土健太はやりたい放題やりきったダナンの街を旅立つのだった。