※この作品はR-18です。

【Rewrite】星の階(きざはし)を昇った先に   作:千月華音

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※18禁になります。


第十二章:未来 ★

 

 

 優しくしたかった。

 泣かせたくはなかった。

 傷つけたくなかった。

 なのに。

 篝の肌を吸い上げる唇は痕が残るほど強く、穿つ熱さは絶えず悲鳴を齎した。

「あ……ぁ、……うぁあっ……い、やぁ……」

「篝……かが、り……っ」

 指を絡めて背後から獣のように繋がっていた。

 篝はもう何度目かわからない絶頂に、わけもわからず、意味すら考えられず、ひたすら泣いていた。

 酷いことをしているとわかっている。

 だけどとめられない。

 娘を犯しているという禁忌に眩暈がし、狂暴な想いが膨れ上がり、興奮が醒めない。

 それ以上に泣きたくなるほど愛しさがこみあげていた。

「……篝……」

 名を呼びながらうなじに口づける。

 万感の想いをこめて愛しているのに、篝は逃げようと身を捩る。

 そのたびに瑚太朗をきつく締め付け、さらに行為を煽っていることに気づいていなかった。

 中で再び弾ける。

 篝が背をビクビクと震わせ、無意識に全て絞り出そうと内部が熱く蠢いた。

 瑚太朗は思わずクスッと笑った。

 欲望に従順な篝。

 それがどれほど男を刺激するか、この娘はわかっていない。

 わかっていないから……。

(もう……とまらない)

 瑚太朗は篝を仰向けさせ、繋がったまま深く口づけた。

 髪に指を絡め、涙を舐めながら、息すら奪うかのように深く深く唇を重ねる。

 篝は自然と足を絡めていた。

 何度出しても、何度極めても、篝は足りないとでも言うかのように誘うのをやめなかった。

 泣いて嫌がる言葉とは裏腹に。

「…うっ……ぅ……」

「篝……泣くな……」

「な、……んで……? ……どう、して……?」

「……愛してる」

「わから……ひっく……わから、ない……っ」

「おまえを……愛してるんだ」

「い、……いや……熱い……くる、し……」

「篝……これが……結婚するって、ことだよ」

「こ……れ、……が?」

「ああ。……本当は、いけないことかもしれないけど……許されないことだけど……」

 篝の中を掻き混ぜ、ゆっくりと動きながら、深い深海色の瞳を見つめて語りかけた。

「ひとつになって、結ばれるってことだ。……篝。もっと、もっと……俺を求めてくれ」

 篝が瞳を潤ませて腕を伸ばしてきた。

 泣いていたけれど、瑚太朗を受け入れようとしていた。

 その腕に吸い付くようにキスをし、再び激しく動きだす。

 胸を焦がすほどに篝だけを欲していた。

 何も考えられず、ひたすら篝だけを。

 

 

 

 

 

 

 朱音が泣いていた。

 瑚太朗はその時、彼女がなぜ泣くのかわからず、ただうろたえていた。

 何度も慰めようとキスをした。

 だけど朱音は泣くのをやめようとしなかった。

 お腹の子供に触れようと手を当てると。

 朱音は瑚太朗にしがみついて深く唇を重ねてきた。

 今ならわかる。

 彼女はこれが見えていた。

 どうしようもない未来に手を伸ばそうとするかのように、泣いて求めていた。

 答えなんて出ない未来。

 歪な未来に嘆く彼女。

 だけど。

(もう、俺は選んでしまった)

 この想いが穢れきったものであっても構わない。

 篝に出会えたことが奇跡のようなものだから。

 信じてる。

 きっと未来は手を伸ばせば届くものだと。

 篝といれば、きっと届く。

 後悔はもうどこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 篝を起こそうと、コップから水を含み、口移しした。

 よほど喉が渇いていたのか、嚥下をやめようとしない。

 それに微笑みながら、次から次へと口移しした。

「ん……」

「おはよう、篝」

 寝ぼけ眼で瑚太朗を見上げ、しばらく虚ろな表情でいたが、やがて耳まで真っ赤にして毛布で顔を隠した。

 少しは照れているのかと思うと嬉しくなる。

「篝。……顔、見せて」

「……や」

「見せないと、またするぞ」

「……っ」

 ますます毛布を深く被る。

 朱音ではとても見られなかった反応。

 比べること自体が間違っているけれど。

 それでも新鮮すぎて自然と笑みが零れた。

「篝……」

 毛布ごと抱きしめて自分の胸の中におさめる。

 腕の中で身じろぎする娘に、本当にまたしたくなったけれど、あまり苛めたら可哀想な気がして優しく呟いた。

「名前を、言って」

「…………」

「名前」

「……ろ…」

「うん」

「瑚太朗……」

「篝……」

 毛布をはがす。

 かすかに震える唇を吸いあげた。

 応えるように瑚太朗の背に腕を回してくる。

 そのまま二人で啄ばみ合い、水音が部屋の中に響いた。

 言葉もなにもいらなかった。

 ただお互いがいれば、それで。

 そんな甘い雰囲気を漂わせていたとき。

 魔物の翼がバサバサと羽ばたき、篝の頭の上に足を乗せた。

「なんだ?」

 足首についてる通信筒を見る。

 広げてみると、瑚太朗宛のメッセージが書かれていた。

「どうしたの?」

「……仕事、行かないと」

 境界の空間の亀裂がまた広がったので、早く場所を特定して欲しいとのことだった。

 命令でもあるので無視するわけにはいかなかった。

 篝の額にキスをしてベッドから降りる。

 せめてもう少し一緒にいたかった。

「すぐ帰るよ」

「篝も一緒に行く」

「ここにいてくれ。森は危険なんだ。この魔物を置いていくから」

 篝に監視用の魔物を手渡し、そして自分も魔物と契約線を繋ぎ、お互い魔物の目で姿を確認できるようにした。

 篝は魔物をぎゅっと握りしめ、そして。

「……行ってらっしゃい」

 背伸びして瑚太朗にキスをした。

 篝を抱きしめ、服を着て部屋を出る。

 出る間際、彼女のほうを一度だけ見た。

 その姿を目に焼き付ける。

 早く帰るつもりだった。――だから。

 もう会えなくなるなど、その時は思いもしなかった。

 

 

 

 

 

 

to be continued……

 

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