【Rewrite】星の階(きざはし)を昇った先に 作:千月華音
長くなりそうなので分けることにします。
どこまで続くかわかりませんが、お付き合い頂けると嬉しいです。
夜風が気持ちいい……。
温泉に浸かりながら手足を伸ばした。貸し切りで予約したという。俺じゃなくて、咲夜が。
女将が持ってきた向付と酒を取った。
飲んでも酔えない体質だが、まあこういうのも風情がある。初秋の涼しい風と赤く染めかけた木の葉を見ながら酒臭い息を夜空に吐いた。
……来ないな。
一応誘ってみたが……あれは分かってないな。いや、無意識に分かってはいるんだろうけど、気づかないフリをしているだけだ。
別に初めてって訳じゃあるまいし。
いや、……ほぼ初めてか。
最後までさせてくれなかった。キスとかそれ以上(本番一歩手前の)もしてるが、いつも中途半端に遮られた。
最初の頃は咲夜が呼んでるから、とか、生理中だから、とか、もっともらしい言い訳をしていたけど、最近じゃその言い訳も面倒になってきている。
だから咲夜のヤツに後押しされる羽目になんてなった。
別に、あいつにどう言われたところで気にもしないが、そろそろ性欲は限界にきている。
この旅行でモノにしてやる。つまりは俺のモノにしてやる。
いつもみたいにのらりくらりと逃がしたりなんかさせない。付き合っているんだから拒む理由もないはずだ。……拒まれてるけど。
なんでだ。
いつもセクハラしてるからか?
俺だって別にしたくてしてるわけじゃ……いや、したいのも半々あるけど、そうじゃなくて。
ちはやが。
最後までやらせてくれないから。
セクハラだって、きっかけが欲しいだけだ。遊びみたいに身体に触ってるけど、どこを触ればどう感じるかもだんだんわかってきた。調子に乗って感じさせまくったこともあるけど、グーで殴られた。それもシャレにならない強さで。
……酒か。
これで酔わせてみるか。
あまり無理強いはしたくないけど、この際だ、手段を選んでる場合じゃない。
この旅行についてきたのも、つまりはそういうことをするためだと、ちはやも分かっているはず……いや。
分かってない可能性もある。
なんで。
あんな鈍い女を好きになってしまったんだ。
だけど、そういうちはやに惚れてしまったんだよなぁ……。
――ガラッ……
露天風呂の入口の戸が開く音がした。
また中居さんが来たのか。そういえば船盛も用意したとか言ってたっけ。遠慮したはずだけど。
そう思って何気なく入口の方を見た途端。
思ってもいなかった人物が、そこにいた。
「……あはは。来ちゃいました」
ちはやだ。
バスタオルを一枚巻いて、恥ずかしそうに立っている。
混浴だと言ってある。誰が行くか、と怒鳴ったのはついさっきだ。
そのちはやが、バスタオルだけを纏って、俺のところにやってきた。
「…………」
「じ、ジロジロ見ないでください」
「一応聞くけど、そのタオルの下に水着とか着てないよね?」
「……っ」
「裸?」
「そ、……そうです!」
ギュッとタオルの裾を握りしめて唇を噛み締めている。
……なんというか。
素直になったちはやが、こうも可愛いものなのかと惚れ直した。
「おいで」
「…っ」
「それ取って、全裸でこっちにおいで」
「…っっっっ」
「あのな、ここ、貸し切り。俺たちしか利用できない露天なの。誰もいないんだから、おいで」
――サワ……
夜風がちはやの長い髪をたなびかせた。
と同時に静かにバスタオルが地面に落ちる。覚悟を決めたかのように全裸のまま近寄ってくるちはやを見上げ、――そのまま。
一瞬で湯の中へと引きずりこんだ。
「……あっ」
腕を引っ張り、胸の中へと抱きしめると。
嵐のように激しく口づけた。今まで交わしたようなフレンチキスなどではない、貪るような深いディープキス。こんなふうに荒々しくキスしたことなど今まで一度もない。
だけどもう――無理だ。
温泉の僅かな灯りに浮かび上がる白い女体に、これ以上なく下半身が昂ってしまった。
息すら継がせないほどの口づけに、とうとうちはやの手が後頭部を叩きだした。
「いて」
「は、離し…んぅっ」
「ちはや。頭を叩くな。ていうか抵抗すんな」
「あ、あのぉ! ここ温泉ですよ?! なんてこと、するんですか!」
「たかがキスだろ?」
「だ、誰か来たら……!」
「俺たちは夫婦ってことで宿泊してんだ。宿の人が来ても性行為の邪魔したりはしないだろ」
「せっ……?!」
「セックス。これからするぞ」
「こっ、ここで?!」
「部屋に行ってもやるつもりだけど、もう手遅れだ。俺の誘いに乗ったちはやの負け」
ちはやの手を取り、すっかり準備が整った息子に触らせた。
わなわなと震える手の動きがくすぐったい。
「愛撫になってないんだが」
「だっ、誰が愛撫してますか! この変態! 離して!」
「あのな……。これ普通だぞ。好きな女がすっぽんぽんで風呂に一緒に入りにきた。その状況でこうならないわけがない」
そうなんですか? とでもいうようなきょとんとした顔。
その可愛らしさに再び口づけた。今度は胸を揉みながら優しく嬲るような、甘いキス。
次第に蕩けてくる舌の動きに、ちはやに俺の興奮が伝わっていることがわかった。
「あ……ふ……」
「ちはや……愛してる。もう逃げたりしないよな? 最後までやってもいいだろ?」
ちはやの手が。
今度はおそるおそる股の間の象徴に触れた。その大きさと固さに息をのむ気配。……やがて。
そっと唇を重ねてきた。
「……ちはや」
「一回だけですよ。一度だけこれ、落ち着かせてあげます。だから、その……」
「無理」
「…?!」
「一回で済ませる気はない。どんだけ待たされたと思ってる。つうかもう待てん」
「こ、瑚太朗…」
「咲夜公認だ」
「はい?!」
「ちはやを頼むと言われた。聞いたぞ。あいつのせいでまるっきり性に縁がなかったそうだな。完全にシャットアウトして育てたと言ってたよ。正直、そんな女をどう手ほどきしていいものか悩むが、あいつから好きにしていいと言われてる。だから俺のやりたいようにやらせてもらう」
「さ、咲夜、が……」
「最初のレッスンだ。……ちはや、キスってのは、口と口を合わせるだけじゃないんだよ」
「はい?」
「俺のこれを咥えるんだ。性器を吸い上げてごらん」
「………………」
「目が点になってるぞ」
「いま、なんて、言いました?」
「そういうキスもあるんだ。フェラチオっていってな」
「できますかっっ!!」
「やるんだ。……しょうがない、口移しで飲ませてやる」
グイっとちはやの首根っこを掴み、日本酒を口移しで飲ませた。
やや強い酒だが、酔いでもしなければやってくれそうもない。
次第に目がトロンとなってくるちはやに構わず、次々と酒を飲ませていった。
前々から、この温泉でどんなエロいことを繰り広げていたのかを、考えておりました。
だいたいは頭の中にありましたが……それを掘り起こしてみたくなりまして。
意外とスラスラ書けましたので、これからたっぷりと妄想していこうと思います。