※この作品はR-18です。

【Rewrite】星の階(きざはし)を昇った先に   作:千月華音

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-ちはやIF- ③の別バージョンです。
もし小鳥があのとき瑚太朗を選んでいたら、どうなったか。
少し長くなりますが、続きます。(たぶん②とか③とか続く)



番外編:夢籠(ユメカゴ)-小鳥IF- ①

 

 

 

 小鳥の返事を待っていた。

 10秒…20秒…、……1分。

 俯いたまま動こうとしない。やっぱり無理か。今までも何度もアプローチしたのに逃げていた。

 ダメならもう、諦める。

 ため息をついて小鳥に声をかけようとしたそのとき。

 小鳥の手が。

 俺の制服の裾を掴んだ。

「…………」

 顔は俯いたまま。

 だが唇が震えている。

 言葉が出てこないのか。言葉よりも手が動いてしまった、と。

 ……まさか。

 本当に、……いいのか?

「…小鳥」

「あ、あたしと……したら、ちーちゃんと付き合わないでくれる?」

 ――ドクンッ……!

 心臓の鼓動が跳ね上がった。

 やったらもう取返しがつかなくなる。頭の中でその警鐘が鳴っている。だが。

 初めてともいえる小鳥からの意思表示に、喉を鳴らさずにはいられなかった。

 制服の裾を摘んだ手が白い。その手を掴むこともできるが、最後にもう一度だけ確認したい。

「するってのは、セックスで合ってる?」

「…うん」

「俺とこれからするって意味でいいんだよな?」

「ちーちゃんのこと、……諦めてくれるなら」

「ちはやには小鳥と付き合うからって断るよ。……本当にいいんだな?」

 コクン、と。

 小さく頷く小鳥を見下ろし、もう……これ以上待てなかった。

 小鳥の手を引っ張った。

「あ、ちょっ…!」

 玄関先で小鳥を抱きしめた。

 腕の中でもがく小鳥。だがいつもみたいに思いきり抵抗していない。

 嫌がって、突っぱねて、蹴りつけて、ありとあらゆる抵抗で俺の抱擁を拒絶していたのに、身じろぎはしてるが逃げる気配は感じなかった。

 本当なんだ。

 やっと、……小鳥を。

 急いで玄関を開け、扉を背に腕の中に閉じ込めると。

 目を剥く小鳥の顔に近づいて口づけた。

「んン…っ?!」

 ……小鳥の匂い。

 昔から変わらない、ふわふわした蠱惑的な匂い。

 ちはやとキスしたときも甘い匂いがしたが、女の子の匂いってなんでこんなに下半身が昂るんだろう。

 舌を引きずりだして絡めていく。

 小鳥の涙が頬を伝うのを感じた。俺のキスで少しでも感じてるのだろうか。震える舌を宥めるように絡めていくと、次第に応える動きになってきた。

 頭を抱きしめて深く喉に侵入すると、小鳥の苦しそうな吐息が聞こえてきた。それが余計に俺を煽っているの、分かってないんだろうな。

 小鳥が、手で胸の中を叩いてきた。

 名残惜しむように唇を離すと、たった5分くらいのキスだが、お互いの頬が上気した様子が窺えた。

「こんな、ところで…」

「親はいないぞ」

「そういう意味じゃなくて!」

「なんならここでしてもいいけど」

「瑚太朗くん!」

「小鳥。いまのキスで分かっただろ。俺がどれだけ我慢したか、わかってる?」

「う…」

「服を脱ぐから、おまえも」

「や、だ…っ! こんなとこじゃ、やっ!」

「……」

「せ、せめて、お風呂にいかせて…」

 …………。

 うちの風呂は外に出られる出窓がある。

 裸じゃ逃げようがないと思うが。

 こんな機会はもうないかもしれないんだ。万一にもこいつを逃がしてたまるか。

「わかったよ。タイマーでセットしてあるからすぐに沸くと思う」

「…ありがと」

「バスタオルが棚の中にある。ドライヤーもあるから使ってくれ。制服と下着は俺が預かっておく」

「……っ!」

「洗濯機の中に入れておく。全自動だから乾燥まで取り出せないからな」

「…………」

「小鳥。今から明日まで、俺の家にいる間はずっと服を着せる気はない。場合によっては明日もだ」

「ど、どうして…?」

「おまえを逃がしたくないからだよ」

「…………」

 悪いけど。

 そんな悲しそうな顔をされても、もう手遅れなんだ。

 いまの俺はおまえと繋がることしか考えていない。

「…逃げないよ」

「何度逃げられたと思ってるんだ」

「あたしが望んだことだもん」

「俺とセックスしたいって、そう望んだわけ?」

「…うん」

「あのな、口ではなんとでも」

「瑚太朗くんをあたしに繋ぎとめられるのが、セックスなら、もうそれしか」

「……」

「でも、初めてだから……。せめてちゃんとしたい。服は、洗っておいて。10月だけど裸でもたぶん大丈夫」

「……」

「ずっと抱いててくれるんだよね?」

「…ああ」

「…優しくしてね」

「…っっ」

 小鳥をまた抱きしめた。

 服を着せる気はない。だけど、こいつはもう逃げたりしない。

 図らずもちはやがきっかけになってくれた。

 こんなに簡単に小鳥を捕まえることができたなんて。

 もう、……俺のものだ。

 この鳥籠の中で、ずっと俺と一緒にいてもらう。

 ――ヤメロ

 うるさい。

 頭の中で理性が囁く。

 それは最後の良心だった。それを俺は簡単に切り捨ててしまった。

 

 

 

 

 

 小鳥が風呂に入っている間。

 親から電話がかかってきた。

 あと3日は帰れないという。――助かった。本当なら明日帰る予定だった。食事の事とかうるさく聞かれたが、適当にごまかした。

 ついでに学校にも連絡しておく。……そう。もう俺は小鳥と離れる気はない。どれだけ時間があっても足りない気がするが、俺から離れたくなくなるまでし続けるつもりだった。

 ベッドに横たわる。

 ……小鳥の親は。

 娘が帰らないと心配する。ガバッと跳ね起きた。隣にいるとはいえ、ちゃんと言っておいたほうがいい。

 すぐに階下に降りた。浴室を覗くとシャワーの音が聞こえた。一瞬、小鳥にも言おうかと思ったが、俺一人でもいいだろう。

 急いで玄関を出て、隣の神戸家のインターフォンを鳴らした。

 ……出ない。

 おかしいな。この時間なのに。まだ夕方だが、父親は仕事だとしても母親は専業主婦のはず。

 確か、この辺に……。

 鉢植えの下に合鍵があるのは知っていた。――あった。ガチャ、と扉を開き、ごめんください、と小さく呟いた。

 暗いな。

 人の気配がしない。本当に留守みたいだ。仕方ない。メモでも書いて置いておこう。隣にいると分かれば心配はしないだろう。

 ガタッ、と何かが動いた。

 なんだっ?!

 驚いて後退ると、足元になにかピンクのふわふわしたものが擦り寄ってきた。……なんだ、これ?

 ……犬?

 いや、これ、マンモス……か?

 は? マンモスって? だけどそうとしか見えない。キバがある。鼻も長い。でも子犬ほどの大きさだ。

 なんか、見覚えがあるような……。小鳥が飼っているんだろうか。

 抱き上げると、首に小さなネームプレートがあった。暗くてよく、見えないな……ち、び……もす?

 くうん、と鳴くその小さなマンモスが俺の顔を舐めた。鼻の下に口があるのか。それにしてもこんな飼いマンモスがいたとは知らなかった。

「小鳥さんですか?」

 びっくりした!

 いきなり居間に現れた小鳥の母親に、思わず謎の生き物を落とした。転がっていくその姿に悪いとは思いながら、ホッとして理香子夫人に笑顔を向けた。

「あ、すんません。俺です、隣の天王寺瑚太朗です」

「……瑚太朗さん?」

 暗いが、不審そうな顔には見えない。ホッとして訳を話した。

「小鳥が今日、うちに泊まるので伝えにきました。ええと……」

 理由は、なんて言えば。

 娘さんを俺にください。

 いや、それは少し早いか。

 とりあえず既成事実を作ってから打ち明ければいいか。

「小鳥さんが……泊まる?」

 ……なんだ?

 声は疑問形だが、顔が無表情でちぐはぐだ。いや、もとからこの人の表情はわかりにくいんだけど。

 それにしても綺麗な人だな。こんなに近くで見たことはなかったけど、小鳥が成長するとこんな美人になるんだろうか。

 …………。

 なんだ?

 何かが引っ掛かる。

 昔から知ってる人のはずだ。なのに、何か……何かが心の隅に引っ掛かっていた。

「……そうですか。では小鳥さんは帰らないのですね」

 無表情。

 俺を咎めている様子はない。普通なら理由を聞いてくるはずだが。

 なぜか納得したかのように居間から立ち去ろうとしていた。

「あ、あの……!」

「小鳥さんは帰らない……帰らない……」

 反芻するように呟き、行ってしまった。

 まるで――機械だ。

 ロボットかなにかのようだった。こんな人だっただろうか。こんなに情緒が欠けていたのか。小鳥はこんな母親と暮らしているのか?

 おかしい。

 今まで気づかなかったが、そもそもこの家、電気が通ってない。スイッチを押してもつかなかった。水道も、蛇口を捻ってみても出てこない。生活感がまるでない。

 インターフォンもそもそも鳴っていなかったんだ。電気が通ってないんだから。

 一体小鳥の母親はどこに行った。

 気配を探るように家の中を見渡した。……まただ。人の気配がなくなった。理香子さんがいるはずなのに、フッ――と、電球が切れるみたいにまるで気配を感じない。

 これは、……探ってみるか。

 家の中を探しながら、さっき心の中で引っ掛かっていたことを思い出した。

 ――そうだ。

 理香子さん、子供の頃とまるで同じ顔だ。うちの両親と同じくらいの年齢のはず。年相応の外見じゃない。まるでずっと若いみたいな……。

 そんなバカな。

 俺の記憶違いか?

 昔、子供の頃にこの家に遊びに来て、庭先でバーベキューをしたのは覚えている。

 小鳥もまだ幼くて、俺もたぶん同じくらいで。

 あれ?

 自分の容姿が思い出せん。

 なんか昔のことを考えるといつもこうだ。何かが間違いのような気がするのに、その何かがわからない。

 とりあえず理香子さんはどこだ。

 部屋を片っ端から調べているが見つからない。おかしいな。気配も感じないし、それに、ほとんどの部屋が空き部屋になっている。

 ――ガチャ……

 ここは確か小鳥の父親、圭介さんの書斎だ。棚の一部が隠し戸棚になっていて、猟銃なんかがそこに隠してあるとか言っていた。

 そう、確かこの本を移動させると。

 動いた。

 あれ?

 こんな地下室に続く部屋なんてあったのか。

 ああ、パニックルームみたいなものか。外国だとこういう地下室に非常時の食糧とかを入れてるが、猟銃とかを隠してるのか。

 剥き出しのコンクリートの壁にランタンが吊るされている。ここだけは何故か使用されてるっぽいが。

 地下に降りていく。

 けっこう広い。10畳ほどはある。その部屋の中央に棺のようなものが2台置かれていた。

 ……棺?

 縁起でもない。なんで小鳥の家の地下にこんなものが。

 何か嫌な予感が。

 だが振り切るように棺の蓋を開けた。

「……っっ?!」

 な……っ?!?!

 し、死んでる?!

 り、理香子さんが、中で……!!

 と、隣は、まさか……。

「……嘘だろ」

 圭介さんだ。

 二人とも、顔色がどう見ても死人だ。念のため喉を指で触れてみる。……脈がない。

 これは死体だ。

 何故……?

 さっきまで歩いていた。

 あれは一体誰だ。

 だが服装はさっきと同じだった。つまり死体が動いていた……?

 落ち着け。

 いや落ち着けるか。

 小鳥は知ってるのか。

 いや、……あいつの仕業としか思えない。

 死人を動かす……。

「……魔物」

 ふいに、口に出た。

 そうだ。

 そういう技術を、俺は知っている。

 どこで知った? ……覚えてない。

 だがこれは魔物だ。

 だから反復動作しかしない。与えられた指示通りの動きしかできない。人間を魔物化するには高度な技術が必要だ。そう、――契約線がないと。

 …………。

 俺、なんでそんなこと知ってるんだ。

 棺の蓋を戻した。

 小鳥の親は、……死んだのか。

 だが肉体だけ蘇生させられ、なんらかの指示を与えられている。

 あいつ、一体なんのつもりで……。

 このまま放っておけるか。

 地下室を見渡すと、ソレが戸棚に掛かっていた。

「…………」

 やろう。

 こんなこと、しちゃいけない。俺がやってやらないと。小鳥だけに背負わせるか。

 戸棚にある猟銃を手に取った。

 

 

 

 

 

「げほ……っっ!!」

 路上で吐いた。

 胃の中はほぼ空っぽだから、胃液しか出てこない。だが猛烈な吐き気で気が狂いそうだった。

 殺した。

 いや、もともと死人だけど、生きているとしか思えないほど生々しい感触だった。猟銃で撃ち殺し、まだ起き上がってくるゾンビみたいな小鳥の両親を撃ち続け、弾が切れてもまだ撃っていた。

 頭が全部砕け散ったと同時に倒れていた。

 ……俺、小鳥の親を撃ったんだ。

 殺したとは思えない。あれはもともと死人だった。いや魔物だった。だからこれは正しいことなんだ。そうとでも思わないと……。

 そういえば、家の中にいたあのマンモスみたいな動物も、あれも魔物だったのか。

 あれはほっとこう。生かしておいても無害なはずだ。それにどこかに逃げたし、あのまま森の中にでも逃げてくれればそれでいい。

 なんとか気力を振り絞って地下室の扉を閉めたが、小鳥にはバレるだろう。

 訊かなければ。

 なぜあんなことをしたのか。死体を蘇生なんて、普通にできる技術じゃない。それだけじゃなく、なぜ実の親を辱めるような真似をしたのか。

 小鳥、おまえ、自分がしたことがなんなのか、わかってるのかよ……?

 おまえは人の尊厳を踏みにじるような真似ができるやつなのか。

 狂っている。

 だが本人はそのことに気づいてすらいないだろう。

 俺が、……教えてやらないと。

 

 

 

 

 

「…………」

 浴室を窺い見た。

 まだ入っているようだ。けっこう長風呂なんだな。それとも決心がなかなかつかないのか。

 何も着せる気はなかったが、これくらいはいいだろう、とバスローブを籠の中に入れておいた。

 バスタオル一枚で部屋に来る小鳥も妄想してみたけれど、これはこれでアリかもしれない。

「…………」

 俺。

 まだこんな期待してるのか。

 別に熱が醒めたわけじゃない。まだ下半身は痛いほど昂っている。むしろさっきより固くなった。

 だが、素直に抱く気には、とてもなれない。

 小鳥を凌辱したい。

 激しくレイプしたい。

 それくらい暗い感情に侵されていた。もはや自制する気も失せるほど。このままでは小鳥を壊してしまいかねない。

 …………。

 どうすればいいんだろう。

 小鳥の心が壊れているとわかったいま、俺の求めに応じた理由も、あいつの打算的な思惑があったとしか思えない。

 ちはやに嫉妬した?

 そればかりじゃないだろう。

 ちはやに奪われる前に……とか。

 俺を繋ぎとめると言っていた。繋ぎとめるほどの理由があるのか。それはなんだ。あいつは俺の幼馴染なんじゃないのか。それに見舞いにだって毎日欠かさず来てくれていたし、昔から世話焼きなところも変わってな……。

 …………。

 …………。

 ……あれ?

 そうだったっけ?

 小鳥って昔から世話焼き女房タイプだったか?

 違う気がする。いや、入院中も、退院してからも、学校に通ってからも、ずっと世話を焼いてくれているが。

 その前は、……どうだった?

 …………。

 思い出せない。

 記憶の糸が切れている。おかしいな。子供の頃の記憶はある。小学生の頃、中学生の頃……。学校の成績もあんまり今と変わらず、運動も人並みで、たいしてモテてもいなくて、昔から小鳥にセクハラしてて……。

 ……違う。

 何がどう違う。だが違うというのはわかる。それは俺の記憶じゃない。俺は昔からあったんだ。今と同じ――能力が。

 上書き。

 これがあれば、成績なんて一気に跳ね上がるはずだ。

 運動だって、人並み以上に目立つこともできたはず。

 だが、――そうはしないだろう。俺なら。

 人に疎まれるからだ。

 日本では、いや、日本に限らないかもしれないけど、人は自分より優れた人間の存在を許容することはできない。

 必ず排斥する。それを俺は恐れている。今だってそうだ。上書きがあるのをずっと前から知っていた。だがそれを隠している。なぜかって? そんなの決まってる。

 俺は、――俺という男は、誰かから疎外されることを何よりも恐れる、器の小さな人間だからだ。

 だから小鳥に縋るしかない。

 あの女だけが俺を昔から知る唯一の人間だ。

 俺の汚い部分も、俺の欲望も、わかっている――わかっているから、応じたんだ。

 …………。

 小鳥を抱こう。

 すべてはそれからだ。あいつの気持ちを抱いて確かめて、そして、……問い詰めねば。

 そうと決まれば。

 身体を……。

 今とは違う身体に強化する。

 射精し続けても尽きないように、もっと……。

 小鳥に耐えられるかどうか。

 だが、やるんだ。そうしなければ小鳥の気持ちを引き出せない。あいつが何を考えているのか、どうしても知りたい。

 …………。

 …………。

 …………。

 ……こんなものか?

 なんか、思ったより簡単に出来た。そうか。人間の代謝機能って実は本能でかなりセーブされているのか。

 限界の一歩手前まで間口を広げただけで、常人にはありえない体力になれた。

 まあ、コンドームはいらないだろう。熱放射が抑えきれなくなれば使えばいい。そもそも妊娠させるのが目的だし。

 小鳥を繋ぎとめるためにはそれしかない。

 階段を昇る音。

 ――来たか。

 ずいぶん時間がかかったみたいだけど、ようやく決心がついたってわけか。

 さて。

 まずは、……優しくしてやるか。

 ――コンコン……

 躊躇いがちにノックする音に、ふっ、と微笑んで「入れよ」と声をかけた。

「…………」

 バスローブ姿の小鳥。

 上気した頬が可愛らしい。漂う風呂上りの匂いに、思わずクラっときた。

 とんとん、とベッドの隣を軽く手で叩く。すると、おずおずと近寄って座った。

 小鳥の手を上から優しく握りしめた。

「……いい匂いがするな」

「……瑚太朗くんも、お風呂、入ったら?」

「俺はいいよ。あとで一緒に入ろう」

「……一緒に?」

「いやか?」

 目を逸らす。

 まあ、一緒に風呂はまだハードル高いか。

「あの、……瑚太朗くん」

「うん?」

「やりかた、知ってる?」

 ――ぷっ。

 思わず吹き出すと、小鳥がむっとした顔で睨みつけた。

「なんで笑うの」

「おまえは知ってるの?」

「……あんまり」

「嘘ばっか。隠れて俺のエロ本、読んでたくせに」

「……っ! な、なんで知ってる……って、違う!」

「おまえ、わかりやすいんだよ。部屋の掃除に来たとき、俺が黙って下で待ってると思う?」

「……覗いてたの?」

「オナニーしてたところもしっかり見てました」

「……っっ!!」

「まあ、オナってたといっても、たいしたことしてなかったけどな。胸くらいしか触ってないし」

「こ、この……っ!」

 振り上げた小鳥の腕を掴む。

 真面目な顔で見つめると、小鳥が息を詰まらせるように顔を強張らせた。

「…小鳥」

「あ、あのね、そういうことは、知ってても黙ってるのが紳士っていうか」

「俺、おまえに似た女のグラビア誌しか買ってない」

「……っ」

「髪が長くて目が大きくて鼻が小さくて尻が小さくて」

「お、お尻のことは言うなぁ!」

「おまえで抜いてたんだ。どんな美女の雑誌でも、おまえ似の女しか抜けなかった。……すべて小鳥に変換したんだ」

「…………」

「わかってただろ?」

「そんなの、……わかんない」

「わかるはずだ。俺、ずっと小鳥を想ってた。何回振られても、それでも小鳥のことが諦められなかったんだ」

「…………」

「でも、……もう疲れた。切なかったけど、諦めなきゃ小鳥に嫌われちまう。だからちはやに手を出したんだ」

「…………」

「やっとちはやを好きになろうと思えたのに、……おまえのせいだ」

「はい?」

「おまえが俺を引き留めたから、俺の提案なんかに乗るから」

「だ、だって、それは……!」

「もう手遅れだ。おまえはしちゃいけない選択をした。俺に抱かれるなんて、それ、取返しがつかないってこと、わかってないだろ」

「はい……?」

「最初は優しくしてやるよ。……最初はな。だけど俺のものになったら、もうとまらないからな」

 小鳥の身体を抱き寄せて、髪の後ろをかきあげた。

 うなじを口づけながら少しずつ身体の中に手を入れていく。

 震える細い肢体に、どうしようもなく興奮するが、なけなしの理性で耐えた。

 ……小鳥。

 泣いて叫んでも、もう遅い。

 それを知るのはおそらくすぐだろう。

 だが、付き合ってもらう。

 おまえがしたことの意味を、俺が理解できるまで、――付き合ってもらうからな。

 

 

 




さて。
小鳥ルートになってしまいました。
ちはやのことは、ひとまず置いておいて。こっちを書いていきます。
いや、忘れてないけど。ちはやもいずれ書く。でもこっちの瑚太朗を書きたい。
小鳥の原罪を突き付けて、エロでわからせてやるような、そんな鬼畜なやつを。
相変わらず原作無視の主人公ですが、うちの瑚太朗はこんなヤツですので、どうぞご了承ください。
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