【Rewrite】星の階(きざはし)を昇った先に 作:千月華音
もし小鳥があのとき瑚太朗を選んでいたら、どうなったか。
少し長くなりますが、続きます。(たぶん②とか③とか続く)
小鳥の返事を待っていた。
10秒…20秒…、……1分。
俯いたまま動こうとしない。やっぱり無理か。今までも何度もアプローチしたのに逃げていた。
ダメならもう、諦める。
ため息をついて小鳥に声をかけようとしたそのとき。
小鳥の手が。
俺の制服の裾を掴んだ。
「…………」
顔は俯いたまま。
だが唇が震えている。
言葉が出てこないのか。言葉よりも手が動いてしまった、と。
……まさか。
本当に、……いいのか?
「…小鳥」
「あ、あたしと……したら、ちーちゃんと付き合わないでくれる?」
――ドクンッ……!
心臓の鼓動が跳ね上がった。
やったらもう取返しがつかなくなる。頭の中でその警鐘が鳴っている。だが。
初めてともいえる小鳥からの意思表示に、喉を鳴らさずにはいられなかった。
制服の裾を摘んだ手が白い。その手を掴むこともできるが、最後にもう一度だけ確認したい。
「するってのは、セックスで合ってる?」
「…うん」
「俺とこれからするって意味でいいんだよな?」
「ちーちゃんのこと、……諦めてくれるなら」
「ちはやには小鳥と付き合うからって断るよ。……本当にいいんだな?」
コクン、と。
小さく頷く小鳥を見下ろし、もう……これ以上待てなかった。
小鳥の手を引っ張った。
「あ、ちょっ…!」
玄関先で小鳥を抱きしめた。
腕の中でもがく小鳥。だがいつもみたいに思いきり抵抗していない。
嫌がって、突っぱねて、蹴りつけて、ありとあらゆる抵抗で俺の抱擁を拒絶していたのに、身じろぎはしてるが逃げる気配は感じなかった。
本当なんだ。
やっと、……小鳥を。
急いで玄関を開け、扉を背に腕の中に閉じ込めると。
目を剥く小鳥の顔に近づいて口づけた。
「んン…っ?!」
……小鳥の匂い。
昔から変わらない、ふわふわした蠱惑的な匂い。
ちはやとキスしたときも甘い匂いがしたが、女の子の匂いってなんでこんなに下半身が昂るんだろう。
舌を引きずりだして絡めていく。
小鳥の涙が頬を伝うのを感じた。俺のキスで少しでも感じてるのだろうか。震える舌を宥めるように絡めていくと、次第に応える動きになってきた。
頭を抱きしめて深く喉に侵入すると、小鳥の苦しそうな吐息が聞こえてきた。それが余計に俺を煽っているの、分かってないんだろうな。
小鳥が、手で胸の中を叩いてきた。
名残惜しむように唇を離すと、たった5分くらいのキスだが、お互いの頬が上気した様子が窺えた。
「こんな、ところで…」
「親はいないぞ」
「そういう意味じゃなくて!」
「なんならここでしてもいいけど」
「瑚太朗くん!」
「小鳥。いまのキスで分かっただろ。俺がどれだけ我慢したか、わかってる?」
「う…」
「服を脱ぐから、おまえも」
「や、だ…っ! こんなとこじゃ、やっ!」
「……」
「せ、せめて、お風呂にいかせて…」
…………。
うちの風呂は外に出られる出窓がある。
裸じゃ逃げようがないと思うが。
こんな機会はもうないかもしれないんだ。万一にもこいつを逃がしてたまるか。
「わかったよ。タイマーでセットしてあるからすぐに沸くと思う」
「…ありがと」
「バスタオルが棚の中にある。ドライヤーもあるから使ってくれ。制服と下着は俺が預かっておく」
「……っ!」
「洗濯機の中に入れておく。全自動だから乾燥まで取り出せないからな」
「…………」
「小鳥。今から明日まで、俺の家にいる間はずっと服を着せる気はない。場合によっては明日もだ」
「ど、どうして…?」
「おまえを逃がしたくないからだよ」
「…………」
悪いけど。
そんな悲しそうな顔をされても、もう手遅れなんだ。
いまの俺はおまえと繋がることしか考えていない。
「…逃げないよ」
「何度逃げられたと思ってるんだ」
「あたしが望んだことだもん」
「俺とセックスしたいって、そう望んだわけ?」
「…うん」
「あのな、口ではなんとでも」
「瑚太朗くんをあたしに繋ぎとめられるのが、セックスなら、もうそれしか」
「……」
「でも、初めてだから……。せめてちゃんとしたい。服は、洗っておいて。10月だけど裸でもたぶん大丈夫」
「……」
「ずっと抱いててくれるんだよね?」
「…ああ」
「…優しくしてね」
「…っっ」
小鳥をまた抱きしめた。
服を着せる気はない。だけど、こいつはもう逃げたりしない。
図らずもちはやがきっかけになってくれた。
こんなに簡単に小鳥を捕まえることができたなんて。
もう、……俺のものだ。
この鳥籠の中で、ずっと俺と一緒にいてもらう。
――ヤメロ
うるさい。
頭の中で理性が囁く。
それは最後の良心だった。それを俺は簡単に切り捨ててしまった。
小鳥が風呂に入っている間。
親から電話がかかってきた。
あと3日は帰れないという。――助かった。本当なら明日帰る予定だった。食事の事とかうるさく聞かれたが、適当にごまかした。
ついでに学校にも連絡しておく。……そう。もう俺は小鳥と離れる気はない。どれだけ時間があっても足りない気がするが、俺から離れたくなくなるまでし続けるつもりだった。
ベッドに横たわる。
……小鳥の親は。
娘が帰らないと心配する。ガバッと跳ね起きた。隣にいるとはいえ、ちゃんと言っておいたほうがいい。
すぐに階下に降りた。浴室を覗くとシャワーの音が聞こえた。一瞬、小鳥にも言おうかと思ったが、俺一人でもいいだろう。
急いで玄関を出て、隣の神戸家のインターフォンを鳴らした。
……出ない。
おかしいな。この時間なのに。まだ夕方だが、父親は仕事だとしても母親は専業主婦のはず。
確か、この辺に……。
鉢植えの下に合鍵があるのは知っていた。――あった。ガチャ、と扉を開き、ごめんください、と小さく呟いた。
暗いな。
人の気配がしない。本当に留守みたいだ。仕方ない。メモでも書いて置いておこう。隣にいると分かれば心配はしないだろう。
ガタッ、と何かが動いた。
なんだっ?!
驚いて後退ると、足元になにかピンクのふわふわしたものが擦り寄ってきた。……なんだ、これ?
……犬?
いや、これ、マンモス……か?
は? マンモスって? だけどそうとしか見えない。キバがある。鼻も長い。でも子犬ほどの大きさだ。
なんか、見覚えがあるような……。小鳥が飼っているんだろうか。
抱き上げると、首に小さなネームプレートがあった。暗くてよく、見えないな……ち、び……もす?
くうん、と鳴くその小さなマンモスが俺の顔を舐めた。鼻の下に口があるのか。それにしてもこんな飼いマンモスがいたとは知らなかった。
「小鳥さんですか?」
びっくりした!
いきなり居間に現れた小鳥の母親に、思わず謎の生き物を落とした。転がっていくその姿に悪いとは思いながら、ホッとして理香子夫人に笑顔を向けた。
「あ、すんません。俺です、隣の天王寺瑚太朗です」
「……瑚太朗さん?」
暗いが、不審そうな顔には見えない。ホッとして訳を話した。
「小鳥が今日、うちに泊まるので伝えにきました。ええと……」
理由は、なんて言えば。
娘さんを俺にください。
いや、それは少し早いか。
とりあえず既成事実を作ってから打ち明ければいいか。
「小鳥さんが……泊まる?」
……なんだ?
声は疑問形だが、顔が無表情でちぐはぐだ。いや、もとからこの人の表情はわかりにくいんだけど。
それにしても綺麗な人だな。こんなに近くで見たことはなかったけど、小鳥が成長するとこんな美人になるんだろうか。
…………。
なんだ?
何かが引っ掛かる。
昔から知ってる人のはずだ。なのに、何か……何かが心の隅に引っ掛かっていた。
「……そうですか。では小鳥さんは帰らないのですね」
無表情。
俺を咎めている様子はない。普通なら理由を聞いてくるはずだが。
なぜか納得したかのように居間から立ち去ろうとしていた。
「あ、あの……!」
「小鳥さんは帰らない……帰らない……」
反芻するように呟き、行ってしまった。
まるで――機械だ。
ロボットかなにかのようだった。こんな人だっただろうか。こんなに情緒が欠けていたのか。小鳥はこんな母親と暮らしているのか?
おかしい。
今まで気づかなかったが、そもそもこの家、電気が通ってない。スイッチを押してもつかなかった。水道も、蛇口を捻ってみても出てこない。生活感がまるでない。
インターフォンもそもそも鳴っていなかったんだ。電気が通ってないんだから。
一体小鳥の母親はどこに行った。
気配を探るように家の中を見渡した。……まただ。人の気配がなくなった。理香子さんがいるはずなのに、フッ――と、電球が切れるみたいにまるで気配を感じない。
これは、……探ってみるか。
家の中を探しながら、さっき心の中で引っ掛かっていたことを思い出した。
――そうだ。
理香子さん、子供の頃とまるで同じ顔だ。うちの両親と同じくらいの年齢のはず。年相応の外見じゃない。まるでずっと若いみたいな……。
そんなバカな。
俺の記憶違いか?
昔、子供の頃にこの家に遊びに来て、庭先でバーベキューをしたのは覚えている。
小鳥もまだ幼くて、俺もたぶん同じくらいで。
あれ?
自分の容姿が思い出せん。
なんか昔のことを考えるといつもこうだ。何かが間違いのような気がするのに、その何かがわからない。
とりあえず理香子さんはどこだ。
部屋を片っ端から調べているが見つからない。おかしいな。気配も感じないし、それに、ほとんどの部屋が空き部屋になっている。
――ガチャ……
ここは確か小鳥の父親、圭介さんの書斎だ。棚の一部が隠し戸棚になっていて、猟銃なんかがそこに隠してあるとか言っていた。
そう、確かこの本を移動させると。
動いた。
あれ?
こんな地下室に続く部屋なんてあったのか。
ああ、パニックルームみたいなものか。外国だとこういう地下室に非常時の食糧とかを入れてるが、猟銃とかを隠してるのか。
剥き出しのコンクリートの壁にランタンが吊るされている。ここだけは何故か使用されてるっぽいが。
地下に降りていく。
けっこう広い。10畳ほどはある。その部屋の中央に棺のようなものが2台置かれていた。
……棺?
縁起でもない。なんで小鳥の家の地下にこんなものが。
何か嫌な予感が。
だが振り切るように棺の蓋を開けた。
「……っっ?!」
な……っ?!?!
し、死んでる?!
り、理香子さんが、中で……!!
と、隣は、まさか……。
「……嘘だろ」
圭介さんだ。
二人とも、顔色がどう見ても死人だ。念のため喉を指で触れてみる。……脈がない。
これは死体だ。
何故……?
さっきまで歩いていた。
あれは一体誰だ。
だが服装はさっきと同じだった。つまり死体が動いていた……?
落ち着け。
いや落ち着けるか。
小鳥は知ってるのか。
いや、……あいつの仕業としか思えない。
死人を動かす……。
「……魔物」
ふいに、口に出た。
そうだ。
そういう技術を、俺は知っている。
どこで知った? ……覚えてない。
だがこれは魔物だ。
だから反復動作しかしない。与えられた指示通りの動きしかできない。人間を魔物化するには高度な技術が必要だ。そう、――契約線がないと。
…………。
俺、なんでそんなこと知ってるんだ。
棺の蓋を戻した。
小鳥の親は、……死んだのか。
だが肉体だけ蘇生させられ、なんらかの指示を与えられている。
あいつ、一体なんのつもりで……。
このまま放っておけるか。
地下室を見渡すと、ソレが戸棚に掛かっていた。
「…………」
やろう。
こんなこと、しちゃいけない。俺がやってやらないと。小鳥だけに背負わせるか。
戸棚にある猟銃を手に取った。
「げほ……っっ!!」
路上で吐いた。
胃の中はほぼ空っぽだから、胃液しか出てこない。だが猛烈な吐き気で気が狂いそうだった。
殺した。
いや、もともと死人だけど、生きているとしか思えないほど生々しい感触だった。猟銃で撃ち殺し、まだ起き上がってくるゾンビみたいな小鳥の両親を撃ち続け、弾が切れてもまだ撃っていた。
頭が全部砕け散ったと同時に倒れていた。
……俺、小鳥の親を撃ったんだ。
殺したとは思えない。あれはもともと死人だった。いや魔物だった。だからこれは正しいことなんだ。そうとでも思わないと……。
そういえば、家の中にいたあのマンモスみたいな動物も、あれも魔物だったのか。
あれはほっとこう。生かしておいても無害なはずだ。それにどこかに逃げたし、あのまま森の中にでも逃げてくれればそれでいい。
なんとか気力を振り絞って地下室の扉を閉めたが、小鳥にはバレるだろう。
訊かなければ。
なぜあんなことをしたのか。死体を蘇生なんて、普通にできる技術じゃない。それだけじゃなく、なぜ実の親を辱めるような真似をしたのか。
小鳥、おまえ、自分がしたことがなんなのか、わかってるのかよ……?
おまえは人の尊厳を踏みにじるような真似ができるやつなのか。
狂っている。
だが本人はそのことに気づいてすらいないだろう。
俺が、……教えてやらないと。
「…………」
浴室を窺い見た。
まだ入っているようだ。けっこう長風呂なんだな。それとも決心がなかなかつかないのか。
何も着せる気はなかったが、これくらいはいいだろう、とバスローブを籠の中に入れておいた。
バスタオル一枚で部屋に来る小鳥も妄想してみたけれど、これはこれでアリかもしれない。
「…………」
俺。
まだこんな期待してるのか。
別に熱が醒めたわけじゃない。まだ下半身は痛いほど昂っている。むしろさっきより固くなった。
だが、素直に抱く気には、とてもなれない。
小鳥を凌辱したい。
激しくレイプしたい。
それくらい暗い感情に侵されていた。もはや自制する気も失せるほど。このままでは小鳥を壊してしまいかねない。
…………。
どうすればいいんだろう。
小鳥の心が壊れているとわかったいま、俺の求めに応じた理由も、あいつの打算的な思惑があったとしか思えない。
ちはやに嫉妬した?
そればかりじゃないだろう。
ちはやに奪われる前に……とか。
俺を繋ぎとめると言っていた。繋ぎとめるほどの理由があるのか。それはなんだ。あいつは俺の幼馴染なんじゃないのか。それに見舞いにだって毎日欠かさず来てくれていたし、昔から世話焼きなところも変わってな……。
…………。
…………。
……あれ?
そうだったっけ?
小鳥って昔から世話焼き女房タイプだったか?
違う気がする。いや、入院中も、退院してからも、学校に通ってからも、ずっと世話を焼いてくれているが。
その前は、……どうだった?
…………。
思い出せない。
記憶の糸が切れている。おかしいな。子供の頃の記憶はある。小学生の頃、中学生の頃……。学校の成績もあんまり今と変わらず、運動も人並みで、たいしてモテてもいなくて、昔から小鳥にセクハラしてて……。
……違う。
何がどう違う。だが違うというのはわかる。それは俺の記憶じゃない。俺は昔からあったんだ。今と同じ――能力が。
上書き。
これがあれば、成績なんて一気に跳ね上がるはずだ。
運動だって、人並み以上に目立つこともできたはず。
だが、――そうはしないだろう。俺なら。
人に疎まれるからだ。
日本では、いや、日本に限らないかもしれないけど、人は自分より優れた人間の存在を許容することはできない。
必ず排斥する。それを俺は恐れている。今だってそうだ。上書きがあるのをずっと前から知っていた。だがそれを隠している。なぜかって? そんなの決まってる。
俺は、――俺という男は、誰かから疎外されることを何よりも恐れる、器の小さな人間だからだ。
だから小鳥に縋るしかない。
あの女だけが俺を昔から知る唯一の人間だ。
俺の汚い部分も、俺の欲望も、わかっている――わかっているから、応じたんだ。
…………。
小鳥を抱こう。
すべてはそれからだ。あいつの気持ちを抱いて確かめて、そして、……問い詰めねば。
そうと決まれば。
身体を……。
今とは違う身体に強化する。
射精し続けても尽きないように、もっと……。
小鳥に耐えられるかどうか。
だが、やるんだ。そうしなければ小鳥の気持ちを引き出せない。あいつが何を考えているのか、どうしても知りたい。
…………。
…………。
…………。
……こんなものか?
なんか、思ったより簡単に出来た。そうか。人間の代謝機能って実は本能でかなりセーブされているのか。
限界の一歩手前まで間口を広げただけで、常人にはありえない体力になれた。
まあ、コンドームはいらないだろう。熱放射が抑えきれなくなれば使えばいい。そもそも妊娠させるのが目的だし。
小鳥を繋ぎとめるためにはそれしかない。
階段を昇る音。
――来たか。
ずいぶん時間がかかったみたいだけど、ようやく決心がついたってわけか。
さて。
まずは、……優しくしてやるか。
――コンコン……
躊躇いがちにノックする音に、ふっ、と微笑んで「入れよ」と声をかけた。
「…………」
バスローブ姿の小鳥。
上気した頬が可愛らしい。漂う風呂上りの匂いに、思わずクラっときた。
とんとん、とベッドの隣を軽く手で叩く。すると、おずおずと近寄って座った。
小鳥の手を上から優しく握りしめた。
「……いい匂いがするな」
「……瑚太朗くんも、お風呂、入ったら?」
「俺はいいよ。あとで一緒に入ろう」
「……一緒に?」
「いやか?」
目を逸らす。
まあ、一緒に風呂はまだハードル高いか。
「あの、……瑚太朗くん」
「うん?」
「やりかた、知ってる?」
――ぷっ。
思わず吹き出すと、小鳥がむっとした顔で睨みつけた。
「なんで笑うの」
「おまえは知ってるの?」
「……あんまり」
「嘘ばっか。隠れて俺のエロ本、読んでたくせに」
「……っ! な、なんで知ってる……って、違う!」
「おまえ、わかりやすいんだよ。部屋の掃除に来たとき、俺が黙って下で待ってると思う?」
「……覗いてたの?」
「オナニーしてたところもしっかり見てました」
「……っっ!!」
「まあ、オナってたといっても、たいしたことしてなかったけどな。胸くらいしか触ってないし」
「こ、この……っ!」
振り上げた小鳥の腕を掴む。
真面目な顔で見つめると、小鳥が息を詰まらせるように顔を強張らせた。
「…小鳥」
「あ、あのね、そういうことは、知ってても黙ってるのが紳士っていうか」
「俺、おまえに似た女のグラビア誌しか買ってない」
「……っ」
「髪が長くて目が大きくて鼻が小さくて尻が小さくて」
「お、お尻のことは言うなぁ!」
「おまえで抜いてたんだ。どんな美女の雑誌でも、おまえ似の女しか抜けなかった。……すべて小鳥に変換したんだ」
「…………」
「わかってただろ?」
「そんなの、……わかんない」
「わかるはずだ。俺、ずっと小鳥を想ってた。何回振られても、それでも小鳥のことが諦められなかったんだ」
「…………」
「でも、……もう疲れた。切なかったけど、諦めなきゃ小鳥に嫌われちまう。だからちはやに手を出したんだ」
「…………」
「やっとちはやを好きになろうと思えたのに、……おまえのせいだ」
「はい?」
「おまえが俺を引き留めたから、俺の提案なんかに乗るから」
「だ、だって、それは……!」
「もう手遅れだ。おまえはしちゃいけない選択をした。俺に抱かれるなんて、それ、取返しがつかないってこと、わかってないだろ」
「はい……?」
「最初は優しくしてやるよ。……最初はな。だけど俺のものになったら、もうとまらないからな」
小鳥の身体を抱き寄せて、髪の後ろをかきあげた。
うなじを口づけながら少しずつ身体の中に手を入れていく。
震える細い肢体に、どうしようもなく興奮するが、なけなしの理性で耐えた。
……小鳥。
泣いて叫んでも、もう遅い。
それを知るのはおそらくすぐだろう。
だが、付き合ってもらう。
おまえがしたことの意味を、俺が理解できるまで、――付き合ってもらうからな。
さて。
小鳥ルートになってしまいました。
ちはやのことは、ひとまず置いておいて。こっちを書いていきます。
いや、忘れてないけど。ちはやもいずれ書く。でもこっちの瑚太朗を書きたい。
小鳥の原罪を突き付けて、エロでわからせてやるような、そんな鬼畜なやつを。
相変わらず原作無視の主人公ですが、うちの瑚太朗はこんなヤツですので、どうぞご了承ください。