※この作品はR-18です。

「」さんとあなたのマイルーム   作:どるき

60 / 61
「」さんシリーズじゃない番外編ですが


番外編 キスノアジ

 布団の中で夫に抱きつかれるたびに彼女は思い出す。

 この男と契りを交わしたあの日の口づけを。

 

 過去━━━

 

「ねえ、式…キスしてもいい?」

 

 場所は当時借りていたアパートの自室。

 色々あって、転がり込んできた幹也と初めて同衾しようというタイミングである。

 既にこのときプロポーズは受けており、それまでの曖昧な関係から婚約者として進展したタイミング。

 その状況でキスを求められたら、その先まで求めていることなど、式とて理解していた。

 むしろなまじ死別した男性人格をエミュレートしている乙女だからこそ、男の生理現象《サカリ》にも理解があるつもりである。

 

「まあ……口づけだけなら構わないぜ」

 

 本心としてはその先を求めており、だからこそ風呂の時間ではいつも以上に念入りに身体を磨いていた。

 それでも心の準備ができていないからこその回答であるが、それで満足かと言わんばかりに幹也は式に覆いかぶさる。

 早くキスしてみろという挑発と、早くキスしてほしいという懇願を混ぜたキス顔。

 瞳を閉じているのは気恥ずかしくて直視できないから。

 式自身、シラフであれば自ら嘲笑しそうな乙女な態度で求められた幹也の鼻息は荒く、本当に軽くキスするだけのつもりであった彼は式を抱いて身体を弄った。

 唇だけのマウストゥマウスから舌を絡めるフレンチに移行し、一瞬気色悪い出来事が脳裏に浮かんだが、婚約者の熱い舌がそれをかき消す。

 唾液を混じり合わせる粘膜接触は「これからアソコもつなげ合わせて、わたしは彼のものになるのだろう」という感覚が式の背中を通る。

 その背筋を抱きしめながら愛撫するものだから、式はゾクゾクとした感覚が心地よい。

 キスだけなのにそれだけとは思えない感情が溢れてきた。

 知識としては女の喜びに近いのだろう。

 大っぴらには言えないが、自らを慰めている時の感覚に近い。

 だが近いだけでこちらのほうが上。

 求められているのは理解しているが、それ以上に自分が彼を求めている事実。

 自然と自分から幹也の身体を弄っていることに式は気づいていない。

 求められている以上に彼を求める式の姿は間違いなく女であった。

 

 現在━━━

 

「……まだ続けるのか?」

 

 口づけを交わし続けて何度目かの息継ぎの末に、式はとろけた笑顔で幹也に問う。

 半身の喪失以来、穴埋めとして模倣していた〝男の顔〟でもなく。

 結婚、出産を経て見せるようになった〝母の顔〟でもなく。

 あの日と同じ〝女の顔〟で幹也に訪ねた理由もあの日にあった。

 あのときは互いに若くてお互いにサカリがついて若さがあったのでそれすらも逢瀬を彩る飾りになった。

 いや、今でも体力的には問題はないであろうが、あのときのような粗相をされたら、横で子供も寝ているこの状況では気恥ずかしい。

 それにまだ二人目が出来ていないので、どうせ〝する〟のならば粗相をしたら勿体ない。

 その意味が幹也にも通じているのは、今にも破裂しそうになっている彼の一部の熱を見れば明らかだった。

 

 水音を漏らさぬように息を殺しながらの口づけを解いた幹也は周りを見る。

 警戒するのは就寝中である娘の様子。

 隠れて行う子作りの障害は彼女の覚醒であろう。

 寝息を聞き取って安堵した幹也は寝間着の裾をめくって肉棒を露わにし、式もそれを受け止めるべく同様に己の寝間着を少し崩した。

 既にキスだけで暴発しそうな状態の幹也の先走りは襦袢を濡らしているし、式の襦袢も愛液が染みている。

 行為の有無にかかわらず起きたら洗濯必須な肌着から現れた互いの分身を重ね合わせたふたりは何日ぶりかの融合を果たした。

 細いが柔軟性がある膣の入り口は幹也のカリ首に掘られて広がっていく。

 夫婦として身体を重ね続けた事で彼の大きさを如実に記憶している式の膣壁は肉棒を隙間なく包み込み、子種を搾るようにうねりを上げる。

 挿入時こそ幹也は身体を起こしていたが、ヌプリと奥まで届いた段階で身体を倒しており、両手を式の背中に滑り込ませた。

 そのまま身体を押し付けながら抱きしめた幹也が唇を再び重ねるのに合わせて、式の脚も彼を逃さぬように絡む。

 密着状態となったふたりは布団をかぶっているので、傍目にはさきほどのキス中と同じ状態。

 だがベールを捲れば交尾中。

 息も布切れの音も殺しながらのスローセックスなのでまだ幼い娘を誤魔化すのには充分ではあるが、さながら両義図における黒の中の白い点のように、久々のセックスで幹也は暴発してしまった。

 

「ごめん。もう射精た」

 

 射精を予兆するゾクゾクとした腰が抜ける感覚。

 鬼頭が敏感になり式の腟内が精液を搾り取る動きを察知して、もう射精ると感じた時には既に膣内射精は始まっている。

 そのまま式のホールドで不意に引き抜くこともなく、ごめんと謝ったときには既に尿道に残った搾り汁すら式の名器は飲み干していた。

 当然ながらこの速さでは式はまだ満足していない。

 厳密には幹也に種付けされたという事実だけで数日はニンマリできるのだが、ここで終わるのはもったいないので、式は謝っても許さない。

 その証拠に足絡みを解くことはない。

 その意味を幹也も当然知っていた。

 

「いいよ。でも、まだイケるだろ?」

 

 幹也への「まだまだお満たされていないだろう」という事実の指摘。

 それには「自分はまだ満足していない」という式からのおねだりも含まれている。

 幹也にも夫婦として何度も式と交尾をしてきた経験もあり、そんな奥ゆかしさなど看破するまでもなく通じていた。

 

「もちろん」

 

 なので返す言葉はコレで充分。

 再び唇を重ねた幹也は体重を上乗せしていく。

 

 ━━━

 

「おいおい、しっかりしてくれよ」

「でも大丈夫だって。まだまだ元気いっぱいだから」

「ムードってもんがあるだろうが」

 

 思い出すのはまだ行為に不慣れだった婚約期間のこと。

 アパートでふたりきり。

 いい雰囲気の流れでセックスをしたのだが、前戯の段階で幹也が暴発した日があったのを式は思い出す。

 あのときは精液でベトベトのパンツを脱ぎ捨てた幹也がそんなことを言い出して、しかもみるみるうちに勃起を再開して見せつけてきたのだから、呆れてそのままセックスを続けたのだった。

 

「挿入させて」

 

 興奮して鼻息も荒く、心なしか目もぐるぐると回っているような感じのする幹也に押し倒された式は少し怖いと思うほど。

 そのまま式の衣服を脱がして左手を大事なところに当てがった幹也は、前戯の時点で濡れていた式の膣穴に指を入れ始めた。

 

「濡れているから大丈夫だと思う」

 

 幹也の指を素直に受け入れて、ヌルヌルと擬音が立ちそうなほどにスムーズに出し入れする様子に式は驚く。

 今までのセックスでもこんな感じだったのかなと訝しみつつ、自慰ではこれくらい濡れているから同じかという納得もあった。

 式は黙って頷くと、幹也は勃起したおちんちんをあてがって、ゆっくりと腰を落とす。

 まだ不慣れなのもありうまく角度が取れずに難儀するが、それがちょっとだけ挿入しては引き抜いていく寸止めのようでこそばゆい。

 

「ごめん。うまく挿入らないや」

「落ち着けよ。前にはちゃんと挿入られただろ?」

 

 式は幹也が挿入しやすいように、ガニ股に広げた脚に力を入れて腰を浮かす。

 その角度が丁度良く幹也の反り返りにフィットしたようで、しっかりと挿入できた肉棒がまだ処女に近かった若き日の式の秘部に幹也を刻む。

 拙いが故に勢いのあるピストンはひと突きするたびに式の背中に快感を通す。

 幹也は絡みつく式の肉体の感覚に酔いしれており、もっとあじわいたいと強請って、式の膝裏に腕を通して姿勢を固定する。

 

「は、はげし……」

 

 式もつい激しいと言ってしまうほどの動き。

 心残りはこの状態だとキスをするのに身体が届かないことか。

 コレだけで甘いイキそうな感懐を何度もあじわった式はもう少しで完全にイキそうなわけだが、仕上げは膣内射精だろうか。

 そう思っていた式の虚を肉欲に流されて暴れる幹也が突く。

 

「なっ」

 

 突然、バックドロップのように、脚に腕を絡めたままに体重を移動した幹也は式の背を一気に起こしたのだ。

 おちんちんはしっかりと抜けぬまま、体位が変わったことでおまんこを掘る際の当たりどころも変わってくる。

 この変化に式は軽くイっていて、涙目の顔はトロトロと甘い。

 そして幹也はこれがフィニッシュだと言わんばかりにそんな式の顔をまじまじと見ると、唇を奪って両手で背中を抱きしめた。

 唇、乳首、そして性器。

 性感帯同士の三点同時キスに合わせて、舌を舌に絡めながら射精する幹也に式も抗えない。

 色々と言いたいこともあるが、今はこの交尾に集中したいと言わんばかりの絶頂。

 射精がおさまってもしばらく抱き続けられた式は近すぎて見づらいことを良いことに、随喜の涙でぐしゃぐしゃの顔で幸せを噛み締めた。

 

 ━━━

 

「満足したか?」

「うん。ありがとう」

「相変わらず溜め込むとお前はろくなことをしないんだから。こうやって静かにできるようになっただけ、成長を感じるぜ」

「ははは」

 

 そして現在。

 体位こそバレないように密着正常位のまま、幹也は溜まっていた精液が枯れるまで何度も式を抱いて膣内射精を繰り返した。

 式の経産婦名器はそのすべてを奥で受け止めており、多少このあと溢れたとしても、襦袢で覆い隠せる程度だから朝一番で着替えれば大丈夫だろう。

 幹也は射精しまくったことでスッキリとした顔をしているが、溜まっていたのは式も同じ。

 ご無沙汰を解消された奥様も旦那の子種を補給したことで、女性らしい艶が濃くなっていた。

 これで二人目が出来ていれば嬉しいし、出来ていないにしろまたあとでこうして満足するまで交尾をしよう。

 その約束を無言の視線で交わしたふたりは床につくが、最後に思い出すのは若き日の幹也の暴走だった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。