※この作品はR-18です。

ゴーストハント二次小説 短編、気分で長編中編   作:神崎 真由

12 / 19
今回はR18よりです。

性暴行の描写などを含みます。




調査物─麻衣の悪夢①─(長編)

依頼を受けてSPRが来たのは、豪華なお屋敷だった。

 

日本では5本の指に入る大企業、目黒グループの社長の別邸だ。

 

「人が突然何かにとりつかれたようにおかしくなる。」

 

依頼主はそう言っていた。

 

もう少し詳しい話を、と当然、所長である渋谷一也、通称ナルも言ったのだが、色々あるのかはっきりしない。

 

こんな不明なとこだらけの依頼、断ると思ってたんだけど、なんだなナルの興味を引いてしまったらしく依頼を受けることになった。

 

私達SPRは麻衣、安原少年、ナル、リン、ぼーさん、綾子、真砂子というメンバーでここにいる。

 

ジョンは仕事が被ったらしく今回は来てない。

 

やはりお屋敷だけあって庭からしてすごい広さで。

 

「なんで、芝を掘り起こしてるんですか?」

 

「こりゃあ、めずらしく若い娘だね。ここはいつも使用人とじーさんばっかなのに。芝生変え、だよ」

 

「なるほど!」

 

「麻依、喋ってると放っていくぞ」

 

「ごめんごめん」

 

一行は別邸に入った。

 

執事長の榊原さんが出迎えてくれた。

 

「ベース用の部屋はどちらで?」

 

「こちらになります。」

 

案内された場所は豪華な内装に調度品、そして広い。

 

「広~い!」

 

「凄いですわね。」

 

はしゃぐ麻衣と口元を着物の袖で覆ってホホホと笑う真砂子。

 

「麻衣、遊ぶなら帰れ。」

 

「広いと言ったダケデス……」

 

「ならいいが。」

 

なんなのよ!ナル。

 

女の子ならこんな豪華な部屋みたら少しぐらい、いや凄くテンション上がるのが普通なの。

 

ちゃんと仕事だってことは分かってるっての。

 

いつもなら突っかかるところだけど依頼人の前だし我慢する。

 

「顔に出てますわ。」

 

「…何が?」

 

「いいえ。」

 

ウフフと意味有りげに微笑む。

 

真砂子はいつもそうだ。

 

「今からベースに機材を運ぶ。

 

麻衣とぼーさんと安原さんで。」

 

「はいはい、男は力仕事って訳ですかい。」

 

「仕方ないですよ。」

 

ナルの指示に愚痴る、滝川ことぼーさんと安原さん、まー今日も安原さんの一見穏やかに見える腹黒な笑顔は健在だね。

「二人とも行くよー!」

 

ぼーさんの愛する娘(仮)の声に二人は車の方へ駆け出す。

 

「ナル、私は一応、御神木がないか探すわ。12時までにベースに戻ればいいわね。」

 

彼女は松崎綾子、木の巫女さん。

 

樹の精霊に力を借りて能力を発揮する。

 

だから、いい樹のないところではあまり活躍できない。

 

「じゃあ、わたくしは綾子について、外には霊がいないか確認させて頂きますわ。」

 

「分かりました。松崎さんと原さんで外を回ってください。単独行動は控えてください。」

 

「分かったわ。」「承知いたしましたわ。」

 

二人も出ていき、ベースはナルとリンだけになった。

 

「リン、麻衣達が運んできた機材の調整を頼む。」

 

「分かりました。」

 

「僕は、依頼人と関係者に話聞いてくる。12時には戻る。」

 

ベースはナルも出ていきリンだけとなった。

 

「一人きりなんて変な感じですね……」

 

午前中の準備といい昼食といい、何もなかった。恐ろしいほど順調だった。

 

「一応幽霊屋敷に来てるってのに何も起きねえな、今んとこ。」

 

「起きない方がいーじゃん。」

 

「なんかいつもは起きてるから変な感じするというか?」

 

「ぼーさんは何か起きて欲しいわけ?」

 

「そうではないんだけど、ちょっといつもと違うと怖いんだわ。」

 

「まぁ、夜の方が幽霊さんも活発化しますからねぇ。」

 

今はナルとリンを除いた今いるメンバーで食後のお茶タイムをしながら話している。

 

「わたくしはまだ中の幽霊は見てませんから、どういったタイプの方々か分かりませんから何とも言えませんわね。」

 

「そうだ、御神木は見つけたんだけど、あんまり立派ではないから、5人ぐらいまでかしらね、祓えるの。」

 

「よかったじゃねーか、活躍できそうで。綾子は樹がないと駄目だもんな。」

 

「なんですって?!」

 

「ちょっと、綾子もぼーさんも喧嘩しないで…」

 

「「麻衣だけには言われたくない!」」

 

いつもナルとあれだけ喧嘩してるくせに、と目が語っていた。

 

とくに綾子の。

 

「皆様方、話してないで仕事してくださいね。」

 

ナルが毎度毎度の氷点下の微笑みで言う。

 

いや、微笑みと言っていいのか怪しい代物だ。

 

美しい顔であの表情をすることによってどれだけ相手を威嚇できるか分かってやってるのだからタチが悪い。

 

この空気の中、声を発したい人など誰一人いるはずなく、押し黙り、静寂が訪れる。

 

「麻衣とリンとぼーさんと安原さんはカメラと温度計の設置。」

 

「私もですか?」

 

リンさんが抗議の声をあげる。

 

「今日は部屋数も多い。そしてこの屋敷で起きていることがまだはっきりしていないから念のためだ。」

 

リンさんは分かりましたと言って引き下がった。

 

「原さんと松崎さんは屋敷を巡回してある程度の霊の数と性質を調べておいてください。

 

単独行動はくれぐれもしないようにしてください。」

 

「心得ましたわ。」

 

彼女、原 真砂子さんは、霊媒師で霊を自分の体内に取り込み説得し霊に行くべき場所へ行くよう促す浄霊をしている。

 

浄霊は除霊と違い強制的に霊を消し去る能力はない。

 

よって、攻撃性の高い霊から自分を守ることができない。

 

出来るだけ除霊できる人と一緒に行動するようチーム分けをする。

 

「私はベースにいる。15時にまたベースに集合するように。」

 

みな与えられた仕事をするべくベースを出ていく。

 

そしてナル一人が残る。

 

午前中に関係者から聞いた話を頭の中でまとめる。

 

そして全体像を見ようとする。

 

屋敷の件で特徴的なのは、憑依された人が取る行動がいつも同じではないことだ。

 

憑く霊が違うのか、憑く人によって変わるのか。

 

肝心なところがはっきりしない。

 

頭を切り替えたくて、麻衣、お茶と呟く。

 

あぁ、今、麻衣はいないのだ。

 

ひょんなことから僕と麻衣が付き合って半年。

 

麻衣がいるのが当然のように感じてきている自分が怖い。

 

今まで人を必要とせずに生きてきたからこそ、変わりかけている自分が怖いのだ。

 

弱くなるみたいで。

 

喉の渇きに耐えきれず、自分で紅茶を入れる。

 

時計の針は14時55分、そろそろ集合の時間だった。

 

これなら麻衣を待っても良かったかもしれないと思ったが、作ってしまったので飲む。

 

「只今戻りました。」

 

「戻ったわよー。」

 

14時57分、原さんと松崎さんが帰ってきた。

 

5分ほど過ぎたが、リンたちが戻ってくる気配はない。

 

ぼーさんや麻衣なら遅刻はあり得るが、リンや安原さんは時間はきっちり守るタイプだ。

 

集団でいたとしても、時間に間に合わせて他の人も連れ帰ってくるはずだ。

 

それなのに、戻らない。

 

嫌な予感がした。

 

「麻衣達、遅いわねー。」

 

「ほんとですわ。もう15時07分でしてよ。」

 

「麻衣やぼーさんだけならまだしもリンもいるのに、変ねぇ。」

 

「探しに行く。

 

松崎さんと原さんはベースで待機しておいてください。」

 

「あんたが単独行動するなといいながら、自分はするわけ?」

 

「なら、松崎さんはどうすればいいとお考えですか?」

 

慇懃無礼さにナルの怒りが滲む。

 

「今いるのは、三人だけ。

 

どう分けたって誰かが一人になるわ。

 

だから三人で行動したらいいんじゃないかしらと。」

 

「なら、あなたはベースを空にしろと?」

 

「ナル、置き手紙をしたら、麻衣達と入れ違いになっても余計な心配をかけずに済みますわ。」

「仕方ないですね。

 

三人で行動しましょう。

 

その代わり、この行動でなにか不都合なことが起きたら、松崎さんの責任ということで。」

 

「なっ……分かったわ。」

 

置き手紙を残し、三人はベースをあとにした。

 

いつも通りに作業が行われていたなら、ベースから遠いところから順に機材を置いていく筈なので、ベース近くの部屋から見ていく。

「まーいー!」

 

「ぼーさーん!」

 

「リンさーん!」

 

ナルが片っ端から部屋を開け、原さんと松崎さんが叫ぶ。

 

殆どの設置ポイントがまだ手付かずだった。

 

そうこうしてると、一番最初の設置ポイントに三人は到着した。

 

「これで最後よね?」

 

「ああ。」

 

扉が少し開いていた。

 

中を伺う。

 

んっんっんっんっ…と規則的な声が聞こえる。

 

麻衣の声だが変だ。

 

「何をしている!」

 

ナルの厳しい声と共に、扉を勢いよく開く。

 

そこには、目をうたがうような光景が広がっていた。

 

リンとぼーさんと安原さんが麻衣を犯していた。

 

きつい精液の臭い。

 

三人は声も出せず立ち尽くした。

 

「……ダレ…ダ」

 

「……ァア?」

 

「……ジャマモノ…ハ、出テ行ケ!!」

 

リンさんとぼーさんと安原さんが襲いかかってくる。

 

「ナル!彼らは憑依されていますわ!」

 

今、除霊出来る人達は全員、憑依されていて自我をなくしているのだ。

 

もうどうにもならない、と真砂子と綾子が目をつぶりしゃがんだ。

 

「貴様ら、麻衣に何してる。」

 

地に響くような低い声。

 

周りを凍りつかせる、そんな声。

 

そして、その瞬間、憑依されていた三人は吹っ飛ばされていた。

 

「…………え。」

 

綾子達が目を開くと、男三人が壁にめり込み体を打ち付けていて、程なくして床に落ちた。

 

「麻衣!!」

 

ナルと綾子と真砂子が駆け寄る。

 

「……ナ…ル……?」

 

光を失った、虚ろな目。

「いやあああ──────!」

 

麻衣は気を失った。

 

「……麻…衣?」

 

「大丈夫よ、麻衣は気を失ってるだけ。」

 

僕は麻衣の体に目を走らせる。

 

抵抗した時についたと思われる痣が幾つかあり、陰部からは出血もみられた。

 

「麻衣をベース近くのバスルームで体洗うわ。

 

どこかにブランケットない?」

 

「僕のジャケットを使え。」

 

「分かった…わ。」

 

綾子は、よっこらしょと言う感じで麻衣をお姫さまだっこする。

 

「綾子?大丈夫ですの?」

 

「私、いつも箸より重いものは持ったこと無いけど、今ならなんでも持てる気がするのよ。」

 

綾子の目は怒りと悲しみで強い光を宿していた。

 

綾子は麻衣を抱えて部屋を出ていった。

 

「この部屋だけはカメラが設置されていましたので、今さっき、録画完了にしましたの。

 

これをどうするかはナルがお決めくださいまし。」

 

真砂子がナルにビデオテープを手渡す。

 

「それに、まだこの人達から霊が抜けてませんの。

 

今は気絶していますけど、目を覚ましてしまったらまた元通りですわよ。

 

どうしますの?」

 

「一旦、コードで縛っておく。

 

僕達は一旦ベースに戻る。」

 

「分かりましたわ。」

 

ベースに戻ると、綾子は布団をひいて麻衣を寝かせていた。

 

「麻衣ね、心因性のショックから熱を出してる。

 

40度超えてるからさっき解熱剤を飲ませておいたわ。

 

体は私が責任をもって綺麗に洗っておいたから。」

 

そう言って立ち上がってこちらを向いた顔は厳しかった。

 

「後は、あいつらの除霊よね。」

 

「あいつらは直に目を覚ます。

 

だから睡眠薬とかあればいいのだが。」

 

「そんなものあるわけ無いでしょ。

 

その上、そんなもの飲ませたら目覚めるの次の日になるわよ。

 

あんたのPKでなんとかするしかないじゃない、目覚めたら。」

 

そう、ナルは超能力者でPKという能力を持っている。

 

ものを自由に動かしたりできるのだ。

 

有名なスプーン曲げもPKの力である。

 

しかし、ナルのPKの力は強すぎて、ナル自身の体に負担がかかるので、リンが使用を禁止しているのだ。

 

「止む終えない。

 

原さんはベースに残って麻衣をおねがいします。

 

松崎さんと僕で三人を祓いましょう。」

 

綾子は巫女の衣装を着て、ナルとベースをでる。

 

ナルのPKで三人を運ぶ。

 

御神木の前で、綾子が鈴のついた枝を揺らしながら呪文を唱える。

 

周りの空気が澄んでいく。

 

そして地面に枝を挿す。

 

誰も揺らしてないのに、鈴が、りん、りんと鳴る。

 

悪魔のような悲鳴とともに、三人に憑いていた霊は消えた。




重い話になる予定です。

調査物は書くのが大変(´・ω・`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。