※この作品はR-18です。

ゴーストハント二次小説 短編、気分で長編中編   作:神崎 真由

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ナル麻衣

不思議系

グロ注意

流血表現


そうして君は僕に笑う(短編)

 

麻衣はいつも笑っている。

 

本当は色々な表情があるはずだが、そんなところだけが印象に残っている。

 

思い出す時、たいてい彼女の顔は笑顔だった。

 

彼女は言った、好きです、と。

 

僕は素っ気なく「そうか」と言っただけだ。

 

彼女はそれでも満足気に笑った。

 

いつも優しい言葉なんてかけられなかったが、側でちゃんと見ていたはずだった。

 

無理し過ぎる時は注意をした。

 

あまりに寂しがったときは抱きしめた。

 

それなのに、僕は麻衣について何も知らなかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「……別れよう」

 

それは唐突だった。

 

「なぜ」

 

そう問い返すので精一杯だった。

 

彼女の掠れた声に同情が含まれているようで、腹が立った。

 

理性を持つのは人間の特権だ。

 

理性で自分をコントロールできないなら、それは人間とは言わない。

 

ただの動物、サルの仲間だ。

 

だが、この時は少しだけヒトを捨てた。

 

「君が好きだと言ったんじゃないのか」

 

必要以上に皮肉な言い方になってしまったが仕方が無い。

 

言ってしまったものは元には戻らない。

 

「…………」

 

麻衣が傷ついた表情に変わる。

 

なんとか言えよ。

 

顔を歪めて怒りに任せて僕を罵倒しろよ。

 

「ごめんなさ、い」

 

なぜ悲しい顔をする。

 

許せない許せない許せない許せない許せない。

 

僕が求めているのはそんな表情じゃない。

 

「好きな男でも、できたのか?」

 

パンドラの箱を開けた気分だ。

 

そうだ、と言われたらどうするつもりか。

 

「そんな風に見えるの、ナルには?!」

 

彼女は綺麗な顔を歪めて吠える。

 

涙のおまけ付きだ。

 

ゾクゾクした。

 

その調子だ、麻衣。

 

「女は少し優しくされるとすぐ惚れるからな」

 

嘲笑った風に言う。

 

黒い感情が溢れ出して、もはや止められないところまできていた。

 

「最低だね」

 

僕のしているような顔を麻衣もしている。

 

人を見下す目だ。

 

「サヨナラ」

 

彼女が背を向ける。

 

いつの間にか僕はナイフを握っていた。

 

いつからあったのかは知らないが、今更どうでも良いことだ。

 

綺麗な銀色だ、まじまじと今まで見たこともなかった。

 

これなら、綺麗に切れるな。

 

 

 

 

 

 

血の海だった。

 

僕の目に血がついたから、こんなに赤く見えているのかもしれない。

 

なんだか、疲れたな。

 

寝ようか。

 

 

 

 

 

 

 

「…………、きて……お……、起きてってば!!」

 

僕はさっき寝たばかりだ。

 

流石に早すぎはしないか。

 

「……う、るさ……」

 

「うるさいじゃないっ!仕事遅れるよ!」

 

目を開け時計を視界に入れる。

 

9:35、家の時計はデジタルだ。

 

「…………」

 

無言で飛び起きる。

 

隣に麻衣がいて二重にびっくりする。

 

「麻、衣?」

 

なぜ生きている……?

 

ナイフで刺してから手も洗わずに寝たはずだった。

 

「どうして…………」

 

手は綺麗なままだった。

 

夢、なんだろうか。

 

リアルな夢、だったのか。

 

「寝ぼけてないで早く用意してねー」

 

麻衣は背を向けて歩いていく。

 

昨日の夢とだぶる。

 

かぶりを振った、忘れるべきだ。

 

僕を待っている仕事がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、僕は毎日夢の中で麻衣を殺した。

 

理由は様々。

 

方法も別々。

 

変わらないのは、毎晩麻衣が死ぬことだった。

 

流石に憂鬱になってきていた。

 

ベッドに横になる。

 

白い天井を見て、溜め息をつく。

 

「寝るのが、怖い?」

 

隣の麻衣が聞いてくる。

 

彼女には夢の話はしていない。

 

「どうして?」

 

出来るだけなんでもない風に言う。

 

彼女が上に乗ってきた。

 

流石に今日はそういう気分になれない。

 

「また今度に─────」

 

やけに月明かりに照らされた顔が青白い。

 

まるで、死んでいるみたいだ。

 

「よくも私をたくさん殺してくれたワネ」

 

冷たい両手で僕の首を絞めてくる。

 

「止めろ、麻衣っ!」

 

手をほどこうとしてもできない。

 

なんて力だ。

 

「次は貴方の番よ、ナル」

 

このままでは死んでしまう───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴツっという硬い音とともに、息苦しさから解放される。

 

 

「……ゲホッ…………ゲホ」

 

勢いよく息を吸い込みすぎて咳き込む。

 

PKを使って麻衣を吹き飛ばしたようだ。

 

彼女は天井に頭が埋まっていた。

 

ヒクヒクと数分痙攣した後に動かなくなる。

 

「もうやめてくれよおおおおおおぉぉ──────」

 

もう嫌だった。

 

毎度毎度どうして、愛する麻衣を殺さなくてはならない、なぜ!?

 

夢だからとはいえ、許せなかった。

 

 

夢?

 

今日はまだ寝ていないはずだ。

 

なら、これは殺人?

 

ベッドを見ても麻衣がいるはずもない。

 

麻衣は天井からぶら下がる肉の塊になり果てた。

 

「……僕は、殺人者。アハハハっ……ハハッ 」

 

もう、終わりだ。

 

研究も、ここまでか。

 

幽霊とは何かを見つけないまま終わってしまうのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一面真っ白い壁。

 

心配そうな顔の見舞い客達。

 

返事なき者に呼びかける。

 

モニターの規則正しい音だけが、生を伝えている。

 

無数の管がベッドの上の人に繋がれていた。

 

まるで人形の様に眠り神々しささえ感じさせる男、ナルだった。

 

「ナル、そろそろ目を覚ましてくださいまし」

 

着物の少女が語りかける。

 

片眼を前髪で隠した長身の男が花を花瓶にさす。

 

眼鏡の少年がタオルをたたみ、金髪の少年は十字を切る。

 

派手な出で立ちの男女はパイプ椅子に座り何をするわけでもなくその場にいた。

 

「ナル!」

 

二度と開くことのないように思われた瞼が開く。

 

皆が口々にナル、と言う。

 

歓喜の声が部屋に満ちた。

 

 

 

 

視界がだんだんクリアになる。

 

久々の目覚めは一面の白が迎えてくれた。

 

「ナル!」

 

原さんの声が頭に響く。

 

次々に知った声が聞こえた。

 

目覚めたくなんてなかったのに───

 

そう唐突に思った。

 

そうだ、僕は………………

 

「麻衣は!?」

 

リンが眉を顰める。

 

「そんな人いません、わよ」

 

「そうよ」

 

彼女らはそう言ったが信じられるわけがない。

 

だって、麻衣とは今まで…………今まで?

 

ひどく記憶に霧がかかったように曖昧だった。

 

「そんなことある筈がない!ぼーさんなら──」

 

「悪いけど、俺もそんな奴知らねーわ」

 

「意識が戻ったなら先生に言わないと」と言った安原さんを先頭に全員が病室から出ていった。

 

一人の病室。

 

静かだった、考えるのには適しているが、さっきから頭が重すぎてまともに考えられそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何時までも隠せるわけじゃないのでしょ」

 

着物の少女が地を這う声で言う。

 

限界まで頭を垂れた彼女の表情は分からない。

 

「しかし、ナルの心を守るにはこうするほかないのです」

 

長身の彼には珍しく感情が言葉に滲んでいた。

 

調査の中の事故で谷山 麻衣は亡くなった。

 

死者を出すぐらいだ、ほかのメンバーも無傷というわけにはいかなかった。

 

生存者の中でナルは最も重傷だった。

 

それもそのはず、ナルをかばって麻衣は死んだ。

 

ナルがトドメをさされるのを彼女が命をもってして阻止し、それ故命を落とした。

 

その時の彼女は安らかに微笑んでいた。

 

ナルは本来もっと早くに目が覚めるはずだったのに、これ程眠り続けたのは肉体より精神状態が強く影響していたと考えられる。

 

「俺らは、何時まで嘘をつき続けなくちゃいけないんだ?ナルによお…………」

 

誰も答えない。

 

そんなことは、誰にだって分からない。

 

 




フリーゲームの渇望スル島を見て、グロ系が書きたくなる。

うーん。
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