タダカツが四天王戦を突破してから数日後、
ミアレシティのスタジアムにて大勢の観客が賑わっていた。
普段はポケモンバトルなどの大規模のイベント行事しか使わないこの大型施設ではあまり人が多くくることはない。それに普通ならチャンピオン戦はカロスポケモンリーグにて行うはずなのだが今回はカロス警察の国民への信頼を得るPRも加えているため特別にミアレシティのスタジアムにてチャンピオン戦を行うことをリーグ側と警察側が話し合った末に決定したのだった。
だから、今回はチャンピオンの座を巡っての挑戦だけではなく、カロス警察の威信を戦いになるので極力失敗はできない。
その異例のポケモンバトルに人々は興味を持ちスタジアムに次々と訪れてスタジアムはほぼ満席となった。その上マスコミのテレビカメラも多数設置されており、これはカロスリーグが宣伝のために用意したものだった。
「レディースアンドジェントルメン!老若男女の方々とその信頼するポケモン達!お待たせいたしました!ただいまよりカロスチャンピオンのカルネとチャレンジャーとのチャンピオンの座を巡ってのポケモンバトルを開始致します!」
司会者の声に反応するかのようにスタジアムの観客も大声で叫んだりして反響した。
「まずは経歴がカロス警察の重鎮以外未だに謎多きベテラントレーナー、チャレンジャーー!タダカツーーーー!!」
司会者の大きな掛け声とともに観客が大声で騒いだ後片方の出口から一つの人影が現れた。
「おーっと!出てきたのは我々が知っている制服姿のタダカツではなく、まるでゲッコウガのような青い忍者の格好した服を着たタダカツだーー!」
タダカツは紺色の忍び装束に首には銀色の襟巻きを巻いて大勢の人の前に姿を現した。
そして大勢の観客からの歓声を受けながらも冷静に片手を上げ観客席の方に体の方向を変えつつ微笑んだ。
しばらくしてその行動をしてから改めてバトルフィールドの端にたった。
「そして未だチャンピオンの防衛を成功し続け、その回数なんと199回!そんな強さを持ち続けてなお、大女優という華麗な経歴と姿を保つまさに!女王の名に相応しいトレーナー、カロスリーグチャンピオン!カルネーーー!!」
再度の掛け声でもう片方の出口から出てきたのは白い衣装を身につけて、スワンナの翼のような羽飾りを背中につけ、さらにピンクの手提げバッグを腕にぶら下げながら凛とした姿で姿を現した。
そして観客の歓声からを受け、落ち着いた対応をしたタダカツに対して、こちらでは明るい笑顔で観客の全ての人に「ありがとう!」との感謝の意を込めて大きく手を振り、バトルフィールドの端にたった。
「お久しぶりです。タダカツさん。あなたとぜひお手合わせをしたいと思ってたけど、こんな形でできるなんて本当に嬉しいわ」
「私も同感です。チャンピオンでもあり、カロスでトップクラスの大女優の貴方と戦えるのはとても光栄です」
「この試合は警察のPRの為も兼ねているとリーグの人達から聞いたけど、私はカロスチャンピオンとして、全力であなたとバトルします。手加減はしませんよ?」
「確かに警察のPRの為の試合ですが、それはあくまで表向き、私は己の力を全て出し挑みますので、御覚悟を!」
「それではチャンピオンカルネとチャレンジャータダカツとの試合を開始します!!」
この試合のルールは両者6対6のシングルバトル、これまではチャレンジャーのみ、ポケモンの交代が認められていたが、チャンピオン戦ではそれは禁止となり、先にどちらかのポケモン全てが戦闘不能になったら試合の負けになる勝ち抜き戦である。
「最初はあなたよ。出ておいで!」
彼女が投げたモンスターボールから出てきた最初のポケモンはルチャブルだった。
「なら私はお前に決める!」
それに対してタダカツが出してきたポケモンはファイアローであった。
タダカツのファイアローはタダカツが少年時代にヤヤコマをゲットしてから今日までずっと苦楽を共に歩んできた仲間の1匹だ。
「ファイアロー。相手はスピードではお前に劣るが、パワーや機動性ではあいつが上だ。油断はするな」
ファイアローは静かに頷き、フィールドに構えた。一方ルチャブルの方も準備はすでに整っていた。
「それではバトル始め!!」
「ルチャブル!つばめがえし!!」
先手を取ったのはルチャブルであった。
ルチャブルは猛スピードで片方の翼に力を込めながらファイアローに突っ込んできた。
「・・・・・・・・・・かわせ!」
ファイアローは咄嗟に上昇し、ルチャブルのつばめがえしを回避した。
「そのままとびひざげり!」
「・・・・・・・・・・!?」
ルチャブルはつばめがえしされた後、上に回避したファイアローを見て、すぐさまとびひざげりをファイアローにめがけて放った。
ルチャブルのとびひざげりは命中し、ファイアローは地面に落ちてダウンした。
「・・・・・・・大丈夫か?ファイアロー」
すると、大したことではないかと言わんばかりにタダカツに目を合わせ、翼を羽ばたかせて空中にホバリングしながら体勢を整えた。
「・・・・・・・・良し・・・・・!」
「ファイアロー、フェザーダンス・・・・・・・・!」
ファイアローはタダカツの指示に従い羽を舞い散らしながらフィールド上空を回った。
そして、ルチャブルの攻撃力はダウンした。
「これくらいでは効かない!いわなだれ!」
ルチャブルはファイアローにめがけて岩の群を投げつけた。
「ファイアロー!」
岩はファイアローに命中し、ダメージを負った。
しかし、ファイアローは怪我を負いながらも闘志の炎は消えておらず、ダウンすることなく立ち上がった。
「・・・・・!、そうか、わかった!」
ファイアローはタダカツに何かを言うように見つめ、戦いに戻った。
「ルチャブル!もう一度いわなだれ!」
「ファイアロー!攻撃を回避しながらブレイブバード!」
すると、ファイアローは見たことのない速さでいわなだれを回避し、ルチャブルにブレイブバードを放った。
「ルチャブル!!」
ルチャブルは空中から落下して倒れた。
しかし、ファイアローもダメージを負いすぎてダウンした。
「ルチャブル・ファイアロー戦闘不能!!」
両者とも戦闘不能になり、一戦目は引き分けになった。
「ルチャブル、お疲れ様ゆっくり休んでね」
カルネはルチャブルをモンスターボールに収めそう問いかけた。
一方タダカツの方はというと。
「・・・・・・・・」
タダカツはファイアローに近づいた。
「ファイアロー・・・・・。よくやってくれた。お前の闘志と想いは確かによく伝わった、あとはゆっくり休んでくれ」
タダカツは倒れているファイアローを抱き抱えながら慈愛の目で見つめた。
ファイアローは後は頼むと言いかけるようにタダカツを見て眠った。
やがて、かれはファイアローをモンスターボールに収めてフィールドの立ち位置に戻った。
「両選手2体目のポケモンの用意を!」
審判は両者に次のポケモンを出すように指示した。
「次は貴方よ!ガチゴラス!」
カルネの2体目はガチゴラスであった。
岩がゴツゴツしているような恐竜の姿のポケモンで勇ましい姿をしている。
「次はお前だ!ドドゲザン!」
彼が出したのはドドゲザン、昔パルデア地方へ旅に行った時とある場所で進化前のキリキザンをゲットし、ドドゲザンへ進化させ、カロス地方で鍛え上げた武人らしいの姿をしたポケモンだ。
「それでは、バトル始め!!」
「・・・・・・・・ドドゲザン、つるぎのまい」
ドドゲザンは剣のエネルギー体を出し剣を舞い踊らさせた。
その効果でドドゲザンは攻撃力がぐーんと上がった。
「そうはさせない!ガチゴラス!じしん!」
ガチゴラスは地面を揺らしてドドゲザンに効果抜群の大ダメージを受けた。
ドドゲザンは苦しみながら持っていたオボンのみを食べて体力を回復させた。
「ドドゲザン!最後まで希望を捨てるな。私がいる、私を信じるんだ!」
ドドゲザンは後ろを振り向きながらうなづいた。
「このまま行くわよ!もう一度じしん!」
ガチゴラスが再び地震を行おうとした途端、
「ドドゲザン全力でアイアンヘッド!」
「えっ!?」
ドドゲザンは力を全身から頭の方に集中させ、渾身の一撃を与えた。
その時、ぶつかった衝撃で爆風が発生しやがて煙が晴れるとガチゴラスが倒れていた。
「ガチゴラス!?」
「ガチゴラス戦闘不能ドドゲザンの勝ち!」
観客席から歓声が上がり一時辺りが騒然とした。
(いったいなぜアイアンヘッドでガチゴラスを一撃で倒せたのかしら?)
カルネは少し動揺していた。
それもそのはずドドゲザンの特性のそうだいしょうで攻撃力を少し増加させていた。
その為、大した火力のないアイアンヘッドでガチゴラスを一撃で倒したのだ。
だが、すぐにバトルに対して構えて三体目のポケモンを出す準備をした。
「ガチゴラスお疲れ様、ゆっくり休んでね。次は貴方よ!パンプジン!」
カルネから投げ出されたモンスターボールから出てきたのはパンプジンであった。
パンプジンはくさ・ゴーストタイプなので、可愛らしい面と怖い面も持っている。
「それでは準備いいですか。それではバトル始め!」
「パンプジン!ハロウィン!」
パンプジンは幽霊のようなものをドドゲザンの周りに漂わせて、ドドゲザンをゴーストタイプにした。
「・・・・・・・・ドドゲザン、みがわり」
ドドゲザンは自身の代わりにぬいぐるみを表に出した。
「くっ!パンプジン、かげうち!」
パンプジンはかげうちをみがわりのぬいぐるみに攻撃し、ぬいぐるみを消すことに成功した。
「・・・・・・・・ドドゲザン、ドゲザン」
ドドゲザンは頭の刃を大きくさせて土下座するようにパンプジンを縦に斬るように斬撃を与えた。
この攻撃にパンプジンはこうかばつぐんの大ダメージを受けて倒れた。
「パンプジン戦闘不能、ドドゲザンの勝ち!」
再び観客席から歓声が上がった。
カルネは倒れているパンプジンを抱え起こして、
「パンプジンありがとう、よく頑張ったわ後はゆっくり休んでね。」
カルネはパンプジンをモンスターボールに収め、ポジションに戻った。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
カルネは目を閉じて何かを考えていた。
「うん、タダカツさん、貴方は本当に強いです。ですが、私もカロスチャンピオン、ただで負けるわけにはいきません。これまで以上の力を発揮して挑みますので、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ楽しませてくれて感謝します・・・・」
「ではそろそろチャンピオンカルネ、次のポケモンを」
「では、次は貴方よ、ヌメルゴン!」
カルネの4体目はドラゴンポケモンのヌメルゴンであった。
全身からヌメヌメの粘液を出しながらも強い戦闘力を秘めているとされており、カロスのポケモントレーナーからは一目置かれている。
「ドドゲザン!アイアンヘッド!」
「かわして気合いパンチ!!」
ヌメルゴンはドドゲザンのアイアンヘッドを回避して気合いパンチの体勢をとった。
「!?」
かわされたドドゲザンを見てタダカツは指示を出そうとするが間に合わず、ヌメルゴンの気合いパンチは命中してしまった。
「ドドゲザン!」
ドドゲザンはわずか体力を気合いパンチのダメージで消耗し、倒れてしまった。
「ドドゲザン戦闘不能!!ヌメルゴンの勝ち!!」
倒れたドドゲザンにタダカツは近寄りドドゲザンを抱き抱え声をかけた。
「ドドゲザン、お前の気合いと信念、確かに見届けたぞ!あとは任せてゆっくり休んでくれ」
そしてドドゲザンをモンスターボールの中に収めた。
モンスターボールをしまってフィールドのポジションに戻った後、フィールドを見つめながら静かに何かを考え始めていた。
「・・・・・・・・・・・・・」
「チャレンジャー!次のポケモンを出してください!」
「次はこいつだ!頼むぞ!ルカリオ!!」
タダカツは3体目のポケモンにルカリオを出した。
「ルカリオ、お前は少々臆病なところがあるが、私はそれでもお前を信じる!思う存分戦え!」
ルカリオはタダカツからの激励に返事しながら頷いた。
「それではバトル始め!」
「ヌメルゴン!りゅうのはどう!」
「かわしてコメットパンチ・・・・・!」
ヌメルゴンの攻撃をかわしてルカリオはコメットパンチをヌメルゴンに当てる。
「まだよ。ドラゴンクロー!」
ヌメルゴンはコメットパンチを物ともせずルカリオにドラゴンクローを放つ。
「・・・・・・・・」
「このまま連続でドラゴンクロー!」
ルカリオにヌメルゴンのドラゴンクローが連続で当たる。
それでもタダカツは腕を組みながらルカリオを見続けていた。
「あのトレーナー、黙ってばかりで全然指示出さずに見てるばかりじゃないか」
「なんかすごく冷たくない?」
「ポケモン虐待だ!」
観客席にいる人々がタダカツの態度ややり方に冷たい視線や辛辣な言葉を投げかける。
しかし、そんな声も聞きながらタダカツは何も動じずルカリオだけを見ていた。
「・・・見切った!ルカリオ!波動でかわしながらヌメルゴンの背中にインファイト!」
突然タダカツはルカリオに可笑しな指示を出した。
ルカリオは指示通りに波動を使ってヌメルゴンの攻撃の軌道を読みかわしながら背中に回り、そこに向かってインファイトを与えた。
するとヌメルゴンはルカリオのいる後ろに振り向いて体勢を整えた途端意識を失って倒れた。
「ヌメルゴンどうしたの!?」
カルネが呼びかけるがヌメルゴンは起き上がらず戦闘不能になっていた。
「ヌメルゴン戦闘不能!ルカリオの勝ち!」
カルネは何があったのかやや混乱したがすぐに落ち着きを取り戻した。
そしてタダカツの目を見た。
(この人ただ見ているように見えて的確に私にしか知らないはずのヌメルゴンの弱点を見抜いていた?それにこの人を見ているととても暖かくなる、なぜかしら?)
「ヌメルゴン、お疲れ様ゆっくり休んでね。」
カルネはヌメルゴンをモンスターボールに戻し、ヌメルゴンに感謝した。
「次は貴方よ。出てらっしゃい!」
カルネは次のポケモンが入っているモンスターボールを空中に投げた。
その中から現れたのはツンドラポケモンのアマルルガであった。
「アマルルガ、全力でいくわよ!リフレクター」
「ルカリオ、インファイト!」
アマルルガ周りに強固そうな壁が浮かび上がり透明になって消えた。
ルカリオは構わずインファイトをしたが、リフレクターのせいでダメージはあまり入らなかった。
「行きます!アマルルガじしん!!」
「!?」
アマルルガは地震を起こし鋼タイプのルカリオに効果抜群で大ダメージを受けた。
そして地面に倒れた。
「ルカリオ大丈夫か・・・・・・・・」
だが、瀕死になったかとルカリオは立ち上がった!
しかし、あまりの痛さにルカリオは怯えてタダカツの元に逃げてしまった。
「・・・・・・・・・・・・・」
タダカツはじっと膝落とし泣きそうな顔をしているルカリオを見つめる。
パチンッ!
タダカツは突然ルカリオの頬に向かってビンタをかました。
それを見ていた観客から怒号の声が出てきた。
「ルカリオに何をするんだ!!」
「頑張っているのに叩くなんて最低よ!!」
「トレーナー失格だ!!」
「ルカリオが可哀想だ!!」
観客席からワーワーと騒ぐ声が聞こえるがタダカツはそれを無視してルカリオに話しかける。
「ルカリオお前はまだ全力を出し切っていない。それにお前の闘志の炎はまだ消えていない。自分の力を信じるのは確かに難しい、それを乗り越えればお前は最強のポケモンになれると私は信じている!お前の全力、私に見せてくれ」
タダカツはルカリオに向かって手を差し伸べた。
ルカリオはタダカツと自分の力を信じると決意の目をしてタダカツの手を掴んで立ち上がった。
そしてバトルフィールドに戻って自分に活を入れる為空に向かって大きく吠えた。
「なんと逞しい姿、でもそれでも私は負けませんよ」
「アマルルガ、もう一度地震!!」
「そうはさせん!ルカリオアマルルガに向かって全力のインファイト!」
ルカリオは信じられないような素早さでアマルルガに近づきインファイトを放った。
アマルルガは少し吹き飛ばされながら地面に着地して倒れた。
「アマルルガ!」
しかし、ルカリオの方も突然ふらつきながら倒れた。
「ルカリオ!」
「アマルルガ、ルカリオ共に戦闘不能!」
ルカリオに近づき抱き抱える。
「大丈夫かルカリオ?」
するとルカリオは震えた手でアマルルガを指した。
それでタダカツはアマルルガの方を見た。
「!?、あれはゴツゴツメット!あれでルカリオはダメージを受けて倒れたのか・・・・・。」
「ルカリオ、お前の勇姿とてもかっこよかったぞ。あとはゆっくり休んでくれ」
そう優しく問いかけてルカリオをモンスターボールに収めた。
「あなたのルカリオとても勇ましく根性のあるポケモンでしたね。私も見ていて感激しました。ですが、次のポケモンに勝てますでしょうか?」
「それを勝って見せるのがポケモントレーナーの使命です。私はどんなことがあってもポケモン達を信じていますので。」
「残り1体でも負けませんよ。次は貴方よサーナイト!」
カルネの最後のポケモンはサーナイトだった。サーナイトは彼女にとって相棒であり、エースポケモンでもある。
「次のバトルが正念場だ、頼むぞメタグロス!」
タダカツが出した4体目のポケモンはメタグロスであった。
タダカツのメタグロスはダンバルだった頃ホウエン地方で知人から譲り受け育ててきた仲間の1体である。
「それではバトル始め!」
「サーナイト!シャドーボール!」
「・・・・・・・・、メタグロス、ひかりのかべ」
メタグロスはひかりのかべでダメージを減らした。
「メタグロス、コメットパンチ・・・・・・・・」
「そうはさせない、サーナイトかげぶんしん!」
サーナイトはかげぶんしんで回避率を上げ、メタグロスの攻撃をかわした。
「くっ・・・・・・・・」
「そのまま連続でシャドーボール!」
サーナイトのシャドーボールの雨に耐えるメタグロス。
「メタグロス、サーナイトをよく見ながら回避しつつ、コメットパンチを打て」
それからサーナイトとメタグロスとの一進一退の攻防戦を続け双方に疲弊が出始めていた。
その様子を見続け、タダカツは冷静に考えていた。
「・・・・・・・・やむを得ぬか」
タダカツは胸元から黒いリングみたいなのを腕につけてリングの窪みにひし形の石を組み込んだ。
「それはまさか、Zリング!?」
タダカツのつけたリングはZリングと呼ばれアローラ地方の優れたトレーナーにしか付けることを許されていない強力な物である。しかも彼の持つものはZパワーリングと呼ばれる通常のZリングをさらに強化したものである。
「アローラ地方に旅してた頃仲間達と特訓して得たものです」
「このままではまずい・・・・・!」
カルネは胸にあるペンダントを手にした。
「あなたの美しく華麗な舞を私に見せて!サーナイト!メガ進化!!」
ペンダントに組み込まれているキーストーンが反応し、サーナイトの周りに光の膜を覆った。そして膜が解かれると現れたのは白いドレスを着た女王の着るようなドレスに扮した、メガサーナイトであった。
「メタグロス!何も余計なことを考えず、ただ目の前の敵をよく見て攻撃しろ。大丈夫だ私が付いている!」
「いくぞ!どんな苦難を鋼の如く気骨稜々に突き進め!ちょうぜつらせんれんげき!」
タダカツは腕を垂直にクロスした後さらに腕を回し横にクロスした後左手を拳にして、右手は同じ拳にして逆手にするその上下真逆の手を2回拳同士ぶつけて両拳を前に出した。
これはアローラ地方に伝わるZ技を放つ時のポーズであり、その中でもこれははがねタイプの技を出す時のポーズである。
「ムーンフォースで迎え撃って!」
メガサーナイトはメガ進化した分の強化したムーンフォースを放った。
するとメタグロスのz技の光線がムーンフォースとぶつかった。
「くっ・・・・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・」
2つの技はぶつかり続けていた。だがしかし。
「えっ・・・・・!?」
タダカツの光線の方が威力が強く、ムーンフォースが押し帰って来たのであった。
そして、押し帰って来たムーンフォースとz技をメガサーナイトに直撃した。
「サーナイト!!」
ぶつかった衝撃で発生した土煙が少しずつ晴れていった。
「あっ!?」
晴れて1番に目にしたのはメガ進化を解除して元のサーナイトが気を失って倒れていた。
「サーナイト戦闘不能!メタグロスの勝ち!よって勝者カロス警察のタダカツ!!」
審判が勝利判定が出た途端スタジアムの観客席からワーワーと歓声が広がった。
「ありがとうサーナイト、後はゆっくり休んでちょうだいね」
そう言いながらサーナイトをモンスターボールに入れた。
「素晴らしい戦いでした。貴方とポケモン達の深い絆、信頼、冷静な判断力どれも驚かされてばかりでした。私も戦ってみて貴方達の友情では私は到底及びません」
「カルネ殿もかなりバトルが強かったです。私も何度も危ないと思い緊張しました。ですが、貴方のポケモン達の絆も大層な物でした。今回貴方と戦えて本当に光栄に思います」
「貴方の目はとても暖かくて優しい目をしています。何故貴方のポケモン達が貴方を信頼してるのか分かるような気がします。負けはしましたが、私はこのバトルに誇りを持てます。これからもカロスの平和を守り続けてくださいね」
「ありがとうございます。今回のバトル、私も誇りに思います。またカルネ殿とバトルできることお待ちします。お互いカロスの為に頑張りましょう」
そして、カルネとタダカツはお互い敬意を示しながら握手をしてチャンピオン戦は終了した。
その後、マスコミの記者会見に出て記者の質問に答えたりした。
「チャンピオン戦おめでとうございます。今回のバトルの感想をどうぞ」
「今回勝てたのは私一人ではありません。ポケモンバトルとはトレーナーとポケモン達の信頼があってこそ成り立つ物です。ですから、今回勝てたのは仲間のポケモン達が私を信じてくれたおかげです」
「貴方が警察を辞めて、カルネ氏に代わってチャンピオンになるのですか?」
「いえ、私はチャンピオンの就任は辞退させて頂きます」
タダカツがそう言うと記者達はどよめき始めた。
「何故なのでしょうか?」
「本来ポケモントレーナーに老若男女等の年齢制限はありません。しかし、私は独自の経験やバトルに関する研究をし続けて判明したことがあります」
「それはいったいなんでしょう?」
「それは純粋なる絆の強さです」
「純粋なる絆?」
「人とポケモンは出会い、触れ合い、苦楽を共にし続けてこそ真の絆が芽生えます。その中でも若きトレーナーにさらなる絆の強さを開けさせる希望が大きい傾向にあります。私はこの可能性を信じ、若き有望なるトレーナーを育成し、未来の世界に希望を託したいと考え、私はこの概念を『黎明の絆』と呼びたいと思います」
しばらく記者団ががやがやした後、
「その概念についてもう一言!」
「若きトレーナーはまだまだ未熟だと言うことですか?」
「タダカツさんはカルト宗教か何かを信仰しているのですか?」
タダカツは記者団の質問攻めを受けながらも一言一言丁寧に説明し、会見を終了した。
「ふーっ・・・・・・・・」
チャンピオン達成のメダルを首にぶら下げつつ、仕事で使う資料を入れた手提げ鞄を持ってゆっくり帰路についてるタダカツ。
(豪胆な振る舞いをしているが果たしてカロスの、世界の未来のために今回の会見は正しかったのだろうか?だが、信じるということを身につけなくては上に立つものとして示しがつかないからな)
そうして自問自答しつつ自宅に着いて玄関の扉を開ける。
「ただいま」
「「おかえりなさーい!父上ー!」」
「おー、スミレ、ソレイユ、帰ったぞー」
「父上のバトルテレビでみたよー」
「父上とてもかっこよかったー!今度僕にもバトルおしえてー」
「よしよし、また今度休みの日に見せてやるからな!」
「やったー!」
「さ、母上と話があるからお前達は部屋で遊んでいなさい」
そう言うとスミレとソレイユは子供部屋に向かっていった。
「帰ったよ、マーシュ 」
「お帰りなさいあなた、それと、優勝おめでとうさん」
「ああ、ありがとう」
タダカツはリビングにあるソファーにドサっと座る。
「なんか浮かない顔してはんなー?どないしたん?」
「ああ、実はな、」
タダカツは今日あった事や迷っていた事を話した。
「そうやったの、でもあなたのテレビでの活躍とてもかっこよかったわぁ。あのカルネはんに勝つなんてそうそうないんよ?」
「それは仲間達が頑張って戦ってくれたお陰で私は大した事はしてないよ」
「そう謙遜せんと自信持ってなはり、うちはあなたが素敵な旦那はんなことに誇らしく思っているんよ」
「そうは言うけどなぁ・・・」
「あなた?」
「ん?」
マーシュは両腕をタダカツの首の後ろに巻きついて抱きしめた。
「よそはよそ、うちらはうちら、あなたは自分が誰よりも強い事をうちはよう知っとるんよ。あなたの欠点はその自信の薄さがなんよ?あなたはいつもうちやスミレ達の事を思って頑張りよるからすごいわぁ」
「ありがとう、マーシュ 」
タダカツも同じくマーシュを抱きしめ返した。
「そう言ってもらえて嬉しいよ。さて、暗い話はやめて食事にしよう!」
「あい」
こうしてタダカツとマーシュ は子供達と共に一家団欒しながら食事を楽しんだ。
「あなた、これを見て欲しいんやけど」
マーシュ は1つの手紙をタダカツに渡した。
「これは」
タダカツは手紙の内容をじっと読んだ。
「ブルーベリー学園?あのイッシュ地方に出来たばかりの学園か」
「なんて書いてはんの?」
「なんでも私の活躍を見てカロス警察を代表して講演に来て欲しいのだと、それと講演の3日前にイッシュのお偉いさん方を集めたパーティをホドモエシティで開くそうだ」
「あらぁ、それは豪勢やな」
「うーん」
タダカツは少し考え事をして口を開いた。
「この機会にスミレとソレイユを連れてイッシュに旅行しよう。スミレ達に文化やバトルも見せておかないとあの子達の為にならないからな」
「いいアイデアやね、ぜひそうしなはりましょ」
タダカツとマーシュはウキウキしながら話し合って一晩を過ごした。
続く