クノエジムの危機から救ったタダカツ、はたして彼の運命はいかにそして彼の過去が明らかになる!
希望の光へ③ー過去ー
ファションショーが終わったその日の夜、クノエジム内の大部屋でジムのメンバー全員でのパーティーが開かれた。そこでは、ジムのトレーナー達が食事を楽しんだり、自分達の手持ちポケモンや着ている振袖のことをお互い自慢しあったり、カロス地方の流行話などを話したりし、とても賑やかであった。
女性ばかりのパーティーにただ一人男のタダカツはパーティーに参加していたが、数人の振袖トレーナー達に自身の出身地や服やポケモン達のことについて多く質問責めを受けており、一つ一つ対応していた。
「タダカツさんはどうしたらそんなに強くなれたんですか?」
「それは私の師匠や仲間からポケモンバトルの基礎や戦法、心得などを教わったのでございます」
「聞いているだけで難しそうだけど、すごい努力したんですね」
「タダカツさんの服ってこのカロス地方ではとても珍しいけど、その格好で動き辛くありませんか?」
「最初は違和感あって大変ですけど、慣れれば動きやすく、通気性も良いので蒸れたり、洗濯などもあまり苦労しませんよ」
「へー。忍者ってただ格好だけかと思っていましたけど、そんな秘密があったとは驚きました」
やがて、パーティーはお開きになり、皆はそれぞれ自宅やジム内の自室に帰っていった。一方タダカツはパーティーに飲んだ酒の酔いを覚ますため、ジムの裏庭にて、静かにベンチに座って空を見上げていた。
「ふー。パーティーとは楽しく明るいものだったが、私には少しばかり落ち着けないところだったな。特に女性は集まるとあんなに賑やかに騒ぐものとは初めて知った」
空には綺麗な夜空に満月も出ており、そよ風がタダカツの酔いをより速く覚まさせてくれているみたいに吹く。
タダカツ「綺麗な月だな。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。本当に私はここで平穏に暮らす資格はあるのだろうか?」
「本当に綺麗な月やね」
「!?、何者だ?」
突然の声に彼は声のする方へ振り向いた。
「そんなに驚かなくても大丈夫よ」
「マーシュ殿でしたか、これは失礼致しました」
「ええんよ。うちも少し風に当たりとうてここに来たんよ。それより、タダカツはん、さっきの暮らす資格はあるというのはどういう意味なんどす?もし苦じゃなかったらうちだけに話してくれん?」
「・・・・。分かりました。マーシュ殿にはたくさんの恩がありますので、話します」
「私はこの地方の遠く山に囲まれた村で生まれ育ちました。そこでは私以外に多くの忍者がいました。その忍者達は各業界の秘密情報を依頼人に受け渡すという仕事をしておりました。ですが、その仕事は容易いことではなくほとんど命懸けでした」
「私はその忍者の中で一部隊をまとめる程の役割を持つ役職に付いておりましたが、ある任務中、敵の罠にはまり部下は全滅し、私一人が村に撤退したのですが、村も部下を殺した敵勢力に襲撃され、頭や仲間、家族も殺され、残った仲間と共に最後まで戦いましたが」
「敵の強さは我々が思っていたより圧倒的に強く歯が立ちませんでした。それで、残った仲間は皆次々と戦死し、私一人が村の中で最後の一人となったのです。私は仲間を失った絶望と敵の強さに恐怖を覚え、思わず逃げてしまったのです。そのまま村から必死に何日も逃げ回っているうちにこのクノエシティにたどり着き今に至ります」
「ですから、私は本当は強くないんです。仲間や家族など誰一人守ることができない最低な男なんです。皆、本当にすまなかった・・・・・!」
タダカツは過去のことを語っているうちに震えながら両方の目から大粒の涙をボロボロこぼしながら、地面にひれ伏せてしまった。
「・・・・・・。タダカツはんは決して弱い人じゃあらへんよ。だって、うちらを悪い人から守ってくれたり、忙しいのを手伝ってくれたりして助けてくれはったんじゃありまへんか。うちら皆タダカツはんのことを信頼して頼りにしてはんよ。それに本当に弱い人ならうちらを守るどころが助けることなんかしやせんよ」
「マーシュ殿・・・・・」
マーシュはまるで聖母のように優しく微笑みタダカツを慰めていた。
すると、彼女は何か決心したかのような顔で彼に話した。
「タダカツはん、うち今からあんさんに大事なことを話しやす」
「なんでございますか?」
「うち・・・・・・・・・。タダカツはんのことが好きどす。確かにタダカツはんは無口で不器用やけど、あんさんはとても優しくてうちだけやのうて、うちの大切な部下のトレーナー達にも優しく接したり、思いやりを込めて皆を守ってくれたりしている姿や悪い人達を寛大な心で許すところがとてもかっこ良かったんよ」
「そのときからうちは嬉しさとは別に胸が苦しくなったりしたんよ。これが『恋心』というものなんやとわかったんよ。せやから、こんなうちでも付き合ってくれまっしゃろか?」
タダカツはマーシュの思いの込めた告白にとても驚きしばらく頭が真っ白になってしまった。そして、すぐに我に返って返事をした。
「マーシュ殿・・・・・。私も以前からマーシュ殿のことが好きでした。マーシュ殿と振袖のことで話し合ったり、私の身の回りのことを世話してもらっている時、貴女の笑顔を見て、私はいつも幸せな気分でした。しかし、それを守りたいという感情とは別に心が苦しくなったりすることも最近よくありました。これが『恋心による愛』なのだと思い告白する時をずっと待っておりました」
「マーシュ殿、こんな私でも良ければ恋人として、付き合ってくださいませんか?」
マーシュは彼の誠意のある告白を聞いている内に嬉しさのあまり口を裾で隠して、涙目になってしまった。
「うれしーどす。タダカツはんからこない返事を聞いてうちもどうにかなりそうや・・・/////。タダカツはん、喜んでお付き合いさせてもらいやす。愛しておりやすよ」
「マーシュ殿・・・・/////」
すると、二人はお互いの両腕を背後に回し抱きしめ、お互い見詰め合ってそっと唇を重ねあった。重ね合う時夜空の満月の光が二人の愛を祝福してくれるかのように二人に対して照らされた。
続く