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タダカツとマーシュが結婚してから一年が経とうとしていた。
この一年の間に二人の生活に色々と変化が生じていた。
マーシュはタダカツと何度も交尾した結果、マーシュは妊娠し、もうすぐ出産予定であり、現在は出産に備えてデザイナーとジムリーダーの仕事は休業している。
また、タダカツは産休中のマーシュに代わり、代理でクノエジムのジムリーダーを勤めており、使うポケモンもマーシュのポケモンを借りてバトルに挑んでいるが、彼女のポケモンとの息はぴったりであり、成績もかなり良くチャレンジャーからは「沈静なるフェアリー使い」という別称で恐れられている。さらにはジムが休日の時はカロス地方警察の依頼で地方警察の警察学校にて特別教官として、新人警察官に武術やポケモンバトルなどの指導を行なっていた。
そのおかげでカロスリーグ、地方警察双方から多額の給料を貰っているため、生活に支障をもたらすことはほとんど無かった。
ある日の夜、二人の自宅にて。
「ただいま、マーシュ」
「お帰りなさい、貴方」
この日は警察学校にて武術指導をしており、クタクタで帰ってきてスーツのネクタイを緩めながらリビングのソファーに座った。
「お疲れ様、今日もお仕事大変やったろ?」
マーシュはタダカツのスーツの上着などを取ってハンガーに掛けたりしていた。
「マーシュ、もうすぐお腹の子が産まれるんだから大人しくしていないといけないよ」
「どもないよ。貴方が仕事に行っている間うちはずっと家で安静にしておるんけ、少しは体を動かした方が安産しやすいとお医者さんが言うておったんよ」
「うーん、でも私は君とお腹の赤子両方の体がとても心配なんだよ。仕事している時も君が無事かどうか気になっていたし」
「そこまで心配してくれて、ほんまにおおきに。せやけど、うちもこう見えてちゃんと考えて行動してるし、それに体を少しは動かした方が安産しやすいとお医者はんが言うておったんやからうちも少し体を動かしているんよ」
「そうなのか、医者や君がそこまで言うから任せてみよう。だけど、もし万が一何かあったら、必ず私に一言連絡することだけは約束してくれ。私も君の夫だから妻である君の安否を気にすることは当然のことだからな」
「あい、わかりやした。そんで貴方、今日はお仕事どうやったん?」
「ああ、今日は学校内の道場で新人の警察官達に逮捕術という名の格闘術を教えてきたんだよ。皆熱心に私の話を聞いてたから感心したよ」
「ほーなんね。貴方の強い想いが皆はんに伝わっているんかもやね」
「ああ、私の蓄えた技や知識が世の中で役立っていると思うとこの上ないほど嬉しいよ」
「ふふ、貴方ってほんまに純粋な心の持ち主やね、嬉しい事があると貴方の目がとても輝いているから、ほんまに面白いわぁ」
「えっ!私ってそんなに相手に分かりやすい目をしていたのか!?」
タダカツはあたふたしながら自分の顔や目を手で触りまくっていた。
「でも、そこが貴方のええところよ。今の世の中腹黒い人が大勢いる中、人やポケモンを平気で傷つけたり悲しませたりする人が多いんよ。せやけど、そん中には貴方のような正義感が強く純粋な想いを持つ人がおれば世の中は良くなるとうちは思うてるよ」
「マーシュ・・・・」
すると、タダカツは優しくゆっくりとマーシュを包むように抱きしめた。
「ありがとう・・・・。本当にありがとう・・・・・。私は君みたいな聖母のような女性を妻として迎えられたのが本当にこの人生の中で一番の幸せだよ」
タダカツは目から一つの涙を流しながら語った。
「ほんまに貴方は情にもろい人やね。そんなに脆かったらうちだけやのうてカロスの平和は守れへんよ?」
「ご、ごめん」
「せやけど、うち、貴方のそんな優しく温かいところが大好きよ。どんな時でもうちやみんなの事を親身になって心配してくれたりしてくれるけ、ジムの皆や街の人は貴方のことを信頼しとるんよ」
「それにお腹のこの子にも貴方のような強く優しい子に育ってもらいたいんよね」
「ああ、そういう子になれるよう二人で願おう」
「ええ」
「マーシュ」
「ん?何どすか?」
チュッ・・・
タダカツは優しくマーシュの頰にキスをした。
「愛してるよ。これからもずっと君やお腹の子やポケモン達を守ってあげるからね」
タダカツはそう言いながら明るく笑顔で語った。
「貴方・・・・・///」
マーシュは頰を赤くしながらタダカツの唇に自身の唇を軽く重ねた。
「うちも貴方のこと愛しておるよ。うちやこの子とポケモン達をこれからも宜しゅうお願いしますよ?」
「ああ、この約束は絶対に守って見せるよ」
そう語った後もう一度二人は唇を重ねた。今度は時間を忘れてしまう程長く深いキスだった。
そして、数週間後。
マーシュはクノエシティのとある病院の一室で入院していた。
陣痛が頻繁に起きるようになったため、医師の判断で入院して出産させる準備を始めるためだったからだ。
「マーシュ、大丈夫かい?陣痛が酷くなってきたからもしやと思って急いで病院に運んだけど、辛くないか?」
「ええ、痛みはあるけど、丈夫な子を産むためにはこない痛みなど大したことあらへんよ?それに貴方がそばに居てくれてるんけ、うちも安心するんよ」
「そう言ってもらえると少し安心するよ。仕事の方は上に休みをもらったし、ジムの方もキリカ殿やシオネ殿達に後を任せて貰い、3日程休むことにして貰ったから安心して」
「そーなんや、退院したらあの子達にお礼を言っておかなきゃいけんな」
「ああ、その時には私も一緒に行くよ」
「貴方もほんまにおおきに。忙しい中うちのためにここまでさせて貰ってほんまにかんにんな」
「そんなに謝らなくていいって、君が頑張っているから私もジムのみんなも頑張れるんだよ。私達のことは気にせずに今は赤子や体のことだけを考えていればいいんだよ」
「貴方・・・・。ほんまにおおきにな、・・・うっ!?・・・・」
「!?マーシュ!大丈夫か!?」
「あかん・・・・。お腹の子が生まれそうや・・・・・!」
「これはいかん!」
タダカツは急いで看護婦さんや医師達を呼びだした。
急いで病室に来てくれた医師達はすぐに分娩室にマーシュを運んだ。
「うっ・・・・・!。くっ・・・・・!」
「頑張れ・・!、頑張れ・・・・!、後もう少しだ!私はここに居るから頑張ってくれ・・・・・!」
「マーシュさん!赤ちゃんの頭が出て来ましたよ!後もう少しですよ!後一息です!」
「くっ・・・・!うああああああああああ!!!!」
おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!おぎゃあ!!
「やった!!生まれたぞ!!マーシュ!!無事に生まれたぞ!!」
マーシュは荒呼吸しながら嬉しそうな顔をした。
医師や看護婦はすぐに赤ん坊のへその緒を切り、産湯で赤ん坊の体を洗って毛布に体を包めた。
「おめでとうございます!とても元気な女の子ですよ!」
「おお!!なんと元気そうな子だ!!マーシュ!ほら、私達の子だ!元気な女の子だぞ!」
「はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・この子が・・・・・・うちらの・・・・・子・・・・・・」
「よくがんばった!本当によくがんばったよ!君は!後のことは私に任せて君はゆっくり休んでくれ」
「わかりやした。ほんなら後は貴方に任せやす」
そして、マーシュは静かに眠りに入って病室へと運ばれた。
数日後
マーシュの体の容態が安定し、赤ん坊との面会ができる状態になり、赤ん坊はマーシュの病室にベビーベットと共に運ばれてきた。
「まあ、ほんまにかわいい子やな」
「そうだな。特に肌の綺麗さは君そっくりだよ。大きくなったら君そっくりの大和撫子にきっとなれるよ」
「貴方、そんなに褒めないでおくれやす。うちはそんなに美しくないんよ」
「別に謙虚にならなくていいよ。私は心に思ったことを言ったまでだから。それにこの子には私と同じ様な不幸な思いは決してさせたくないからね。この子には明るく真っ直ぐな心を持った子になって欲しいな」
「そうやね、この子もうちらの元に神様から与えてくれた大事な子やけ大切に育てていきましょ?」
「ああ、そうだな」
そして、二人は数日掛けて女の子の名前を慎重に考えた結果、女の子の名前は「菫(スミレ)」と決めた。
「今日からお前の名前はスミレだぞ。スミレ、私がお前の父だ。私達の下に生まれて来てくれて本当にありがとう」
「うちがあなたのお母はんよ、今日から宜しゅうたのむよ。そして、うちらの下に生まれてほんまにおおきにな。あなたはうちらの一番のお宝よ」
タダカツとマーシュはベットで仰向けで微笑んでいるスミレを見て嬉しそうにそう語った。
その後、タダカツは臨時のジムリーダーとしてクノエジムでチャレンジャーの挑戦に対応したり、警察学校で武術やポケモンバトルの指導を引き続き行なっていた。その間マーシュはしばらく入院していたが、実家のジョウト地方から両親が来て、二人の支援のおかげで無事に退院することができた。
マーシュやタダカツが一日中自宅にいる日にはジムの振袖トレーナー達がマーシュの出産祝いの品物を持って来て、ベビーベットで寝ているスミレを見てとても喜んでおり、マーシュによく似ているやタダカツに似ているとかやワイワイ賑わったりした。
そして、マーシュは退院直後のため、自宅にてしばらく療養していた。
療養している間は服の手入れや今後発表予定の新たな振袖のデザインをスケッチブックに描いたりしていた。
とある日
タダカツはこの日はジムも警察学校での仕事も休みのため、マーシュの育児の手伝いをしていた。
ピンポーン
「ん?誰か来たようやな?」
「なら、私が出てくるよ」
タダカツが玄関のドアを開けてみると、門の前にはマーシュの友人の四天王のズミにジムリーダーのザクロが立っていた。
「これはこれは、ズミ殿とザクロ殿ではありませんか」
「こんにちは、タダカツさん。今日はマーシュの出産祝いと貴方に挨拶も兼ねて伺いました」
「私も同じくです。マーシュの様子を見に来ました」
「お二人ともお忙しい中来ていただきありがとうございます。ここで立ち話もなんですが、どうぞお上がりください」
タダカツは二人を客間に招き、お茶を出した。
「ズミはん、ザクロはん、まぁ、久しぶりやね。二人とも忙しいのによお来たんやね」
「マーシュも御出産おめでとうございます。タダカツさんと大変良い関係を築いている様子で私も嬉しく思います」
「今日は本当ならビオラやコルニさんも来る予定だったんだけど、二人ともジムの仕事が急に忙しくなったみたいで来られなくなったんです。それで私達二人でマーシュの出産祝いをしたく、伺ったんです」
「そうだったのですか。それは残念ですが、仕事なら仕方がありません。それにしてもお二人ともお会いするのは結婚式以来ですね。あの時は本当にありがとうございました。ズミ殿もあの時の料理は大変美味しかったですよ。今でもあの味は忘れません」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。ですが、私も料理はまだまだ未熟者ゆえ、日々の鍛錬を欠かしたことはありません」
「ズミさんの真面目さは私も感心しますよ。私もズミさんに習って体重の維持やクライミングの練習も欠かさずしていますよ」
「それはすごいですね。ですが、お二人は四天王とジムリーダー、私も貴方達と一度バトルしてみたいですよ。私のバトルの実力がどの程度か知りたいのでしてね」
「いいでしょう。今度の休日に私とザクロでバトルしましょう。警察学校の教官の貴方がカロスを守るに相応しいかみさせてもらいますよ」
「分かりました。その時はよろしくお願い致します」
その後ズミとザクロはタダカツとマーシュとで世間話や二人の出会い話など賑やかに話し合った。
「・・・・・。おのれ・・・・。一族を滅ぼしておいてこんな所で暮らしているとは許さんぞ。これからお前は地獄を見せてやる・・・・・」
タダカツに鋭い目線を指す男が一人ひっそりと木影から彼の様子を見ていた。果たして、タダカツの運命はいかに?
続く