※この作品はR-18です。

輪廻に愛された娘シリーズ   作:nakira

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年下男ハンター×サムライ系女子ハンター2作目

※某避難所初出の為、性描写あり
※女子が積極的
※狩り描写あり


黒を蝕む者

 

 

「ほしい」

「ダメです」

「何でだ」

「分かってるでしょう?」

 

最近、いつもこうだ。

人の服を脱がしておきながら、ニコニコ笑ってひたすら体を触り倒して終わる。

 

おっと、私の名前はコノエ。モガの村の出のハンターだ。賑やかなキャラバンに惹かれこの地まで出てきた。

そしてこちらの銀髪男、リュイは名実ともに私の相棒である。というか押しかけ女房みたいなものだ、初めて同行した狩りでうっかりそういう事になってしまった。我ながら嵌められたとしか言いようがない。

狩りの腕前と、幼さの欠片も無い顔はそこそこではあるので、一緒に居て苦痛と言う事はないのが救いだ。

 

「なぁ、3日続けてこれでは、私の体が保たん…」

「欲しがりさんですね、コノエさんは。少しだけですよ」

 

ひたすら私の胸を撫で回し、ウエストラインから骨盤を齧り、軽く歯を立てて遊びながら舐めていたリュイが身を起こした。

 

「リュイー!」

 

ドンドンっ、と乱暴にドアを叩く音。私は咄嗟にリュイを突き飛ばし、上の衣服だけでもと慌てて身に付けようとするも見当たらず布団に潜り込む。

こんな時に、無視する訳にもいかない相手のお出ましである。

 

「こんな時に…」

 

ぶつぶつと私の考えたのと同じ悪態をつきながら、リュイがドアを開ける。予想通りの客人だった。研究院の眼鏡の竜人さんだ。

 

「ゴア・マガラが出現したのだよリュイ」

「こんな夜更けに、言いたい事はそれだけですか」

「あああ失礼、しかし村に近い場所なのだ察してくれ」

「僕がクエストを軽々しく受けられない身なのは分かってますよね?」

 

苛ついたのか早口で捲し立て、ちらりとこちらを窺う。その後からは小声での会話になった、私に聞かれたくない事でもあるのだろうか。

先程の、軽々しくクエスト受注出来ないとは、どういう理由だろう。またあいつの事だ、秘密にしている事でもあるのだろう。少し、面白くない。

あいつの事を、思い返せばまだ殆ど知らないのだ。

 

バタン、とドアが閉まる。話が済んだ様だ。

 

「ゴア・マガラが出たそうです。仮眠を取ってから出掛けます」

「私に、この格好で帰れと?」

 

そう、此処はリュイの住処。

アイルーも雇っていない彼にまともな食事を摂らせるべく、私が通って来ては夕食を共にする習慣をやっとつけたところなのだ。

うちのキッチンもアイルーは一匹きりだが、良い仕事をしてくれる。なので狩りの後、二人分の食事の支度が出来ている。時々は私も手伝うのだが、そういう日はささやかながらご馳走なのだ。リュイも実は楽しみにしていたりする。

まあ、そんな事で夜は彼の住処に通い妻である。押し掛け旦那によく尽くしてやっているものだ、全く。

 

「留守番してて下さい、僕への依頼ですし。ちゃんと眠れる程度には満足させますから」

「そういう付け足しは恥ずかしいからやめい。私は一応お前の相棒なんだろう、この間みたいなヘマはしないさ、連れて行け」

「コノエさん、頑固な人は腰が立たなくなるまでしますよ?」

「う…最後までしない癖に…」

 

恨みがましく睨みながら、被っていた布団の合わせから脚をチラッと出してみる。反応なし。

 

「リュイ」

 

もうちょっと布団を捲り、脚の露出を増やしてみる。今度はこちらを見た、しめしめ。

と、心の中でニヤニヤしていたら、肌触りの良い寝具がするりと肩を滑った。

 

「ほう」

「あっ、や、見るな!」

「大胆ですねコノエさん」

 

二の腕辺りで切り揃えた髪で多少隠れてはいたが、顕になる上半身に私は慌てて布団をかき抱いた。

流石に下着は脱がされていないとはいえ、胸当て型のインナーはとっくにベッドの脇に落ちている筈なのだ。

…まあ、下着が役目を果たしているかは何とも言えないが。

全く、慣れぬ悪戯はすべきではないな…と思ったが、溜息をつきながらリュイが覆い被さってきたのに気を良くし、私は布団から手を離した。

舌を捉えられ、口付けが深いものになる。

どうやら今日は最後までして貰えるらしい。

 

 

……………

 

 

「いい加減、ブルマ装備は止めません?」

「失礼だな、ザザミの防御を甘く見るでない! 後、カラーリングは違う」

 

結局私はリュイに無理矢理ついて行き、無事遺跡平原へと降り立った。少し、太陽が黄色く見えるのは気の所為、気の所為。

先日出会った悪魔、ゴア・マガラが近付いているというのに、私は何故か高揚していた。

ランスが性能良さそうだから狩りたいとか、不純な動機こそあれ、それだけで説明の付かない心の揺らめきが私を支配する。

 

「こっちだ」

 

何故かと問うリュイの声を背中に、ザザミ防具一式に火竜リオレウスのランスーープロミネンスピラーを手に、がしゃがしゃ音を立てて私は走った。

あの言い様もない、もやもやしたあの空気の薄さを感じる。彼の怪訝な表情からすると、私しか感じていないのか、何故かもどかしい。

 

二つエリアを越えた所に、ソレは居た。

いや、居場所は分かっていたのだから、この言い方はおかしいか。

つるりとした生き物然としていない頭、蝙蝠の様な皮膜の翼は黒い体色を透かした濃紫で、毒々しく瘴気を撒いていた。

私を発見し、ゴア・マガラは鋭い耳障りな咆哮を発する。私は何とかガードが間に合ったものの、後からエリアに入ってきたリュイが思わず耳を塞いだ。

 

「コノエさん、これは…」

「話は後だ」

 

私が頭に二連突きをお見舞いすると、続け様に猟虫がゴア・マガラの頭に飛びつきエキスを奪う。

可愛い猟虫を串刺しにせぬよう、私はついでにステップを入れ、顎下から炎熱を帯びた槍を突き刺す。

勘は鈍っていない、いける。

リュイも即座にエキスを集めて、毒属性の操虫棍──ハイスニークロッドを手に、尻尾の方へと回った。

 

「コノエさん!」

 

執拗に頭を狙われた為か、怒ったゴア・マガラが耳障りな咆哮を上げる。空気が変わり、背筋にぞわりと来る瘴気をぶわっと撒き散らしながら、翼脚を含む六つ脚に力を込め再び吠えながら頭に角を生やした。

これが本来の姿だと言わんばかりの力強い咆哮に、私は少したじろぐ。

 

「あああぁああ!」

 

だが、気持ちを置いてけぼりにして、私の身体は動く。何かが私を操っているのかと思う位に。

避け損なった咆哮が終わり、こちらが動ける様になるまでゴア・マガラは首を振り振り、唸り続ける。その隙を狙い連続で突き攻撃に移った。

私を呼ぶ声がした筈なのに、それは何故か音としか認識出来ない。私を呼んでいるのは分かっている筈なのに。

 

「お前をみていると、身体がおかしくなりそうだ」

 

おかしな位に、コイツは私しか見ない。リュイの武器による毒が身体を絶えず蝕もうと、尻尾を切り飛ばされようと。

 

でも、私もおまえしかみえないよ

 

「コノエさん!頭を削がれたいんですか!」

 

ゴア・マガラが一瞬のステップの後、前方、つまり私へ噛み付こうとしたのだと理解した時には、既に私はリュイの腕の中だった。

 

「す、すまん」

「それにしても、この個体は何なんですかね。雌を追いかけ回す雄猫みたいだ」

 

彼は舌打ちをし、体勢を崩していた事すら気が付かなかった私を、猟虫を飛ばして庇いながら前に出た。

猟虫の集めたエキスで輝く彼の、白銀の髪が風でも吹いた様に揺らめいている。

いや、色が違う…?

奴の、ゴア・マガラの瘴気を薄くした、光る紫色だ。

 

「まさか、リュイもこの間の私の様に…!?」

「残念ながら、そうはいきませんよ」

 

走り出た彼は、薄く紫のオーラの様なものを纏いながら遥かに増したスピードでゴア・マガラに斬りかかる。

おかしい、先日の私は、あの瘴気にあてられてしまったというのに。

あの瘴気を取り込んで我が物にしたとでも言うのだろうか…?

 

彼はくるくると操虫棍を、まるで小枝か何かの如く軽々と振り回しながら、四肢を…いや六肢を踏ん張り威嚇したゴア・マガラの頭を殴りつけて角を叩き折った。

明らかに攻撃力が増している。操虫棍の事は未だによく把握していない私だが、振り回す速さも、であると思う。あの瘴気には何かあるに違いない。

堪らず転げたゴア・マガラに、私は突進を繰り出す。普段はあまりやらないが、リュイが宙を舞っているのが見えたからだ。

 

「っ、あ!?」

「コノエさん!」

 

私は、段差がある事を忘れていた。

 

「あああぁリュ、リュイ!」

「まだです! 僕の合図で攻撃を!」

 

勢い良く段差から跳び、ゴア・マガラの首に一撃くれたまま体勢を崩して思わず翼を掴んでしまったのだ、た、多分。

何とか暴れるゴア・マガラをよじ登り、翼脚を広げはためかせて飛び立とうとするのに必死でしがみつく。

攻撃? 出来る訳ないではないか!

 

「コノエさん、疲れてもうすぐ動きを止める筈です!」

「わ、私が疲れてっ、む!」

 

リュイの台詞が終わるかという時、大きく身体を揺らしてゴア・マガラがもがき、言葉通り黒い涎を垂らして動きを止めた。

 

「このっ、このっ!」

 

剥ぎ取りナイフを取り出す暇もなく、私は盾をかなぐり捨て己の得物を両手で突き刺す。悲鳴を上げたゴア・マガラが、がくりと膝を折った刹那、私は再び得物を首に突き立てる。

血液と言って良いのだろうか、赤黒い液体が吹き出し、断末魔を上げて盲目の悪魔は地に伏した。

 

放り出された私は、思わずランスを取り落とすも自身をリュイに受け止められ、無駄な青痣を増やさずに済んだ。

 

「やはり、僕の良くない予感は当たりました」

 

ぼそりと、私に剥ぎ取りを促してからリュイが呟いた。

 

「何だと?」

 

瘴気がまだまとわりついている様な、背筋に寒いものが走る鱗をナイフで剥がし取る。それはぬらりと烏の濡れ羽色に光って、私の手の中に収まっていた。

 

 

「貴女、シナト村に居た事はありませんか?」

 

 

…end

 

 

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