私は生まれながら聖杯を綴る記録係、だがその役目は既に終わりを迎える。
私は造られた、アインツベルン・マキリ・遠坂の手により………。
だけど、もうそれもお終い。私は意思を持った。
人類には、聖杯を手にするには早過ぎた。
願いという物は、自分の手で作り上げるもの。
決して、奪う物ではない。
人を殺してまで手にする願いは、何時しか破滅をもたらす。
国の救済する者は、いつかは滅びがある事を受け入れなければならない。
受肉を求める者は、いつかは死を受け入れなければならない。
始まりがあれば、終わりもある。
だが、永遠を望んでしまえば、その者の全てが止まる。
死ぬことも、消える事もない。時から外され忘れ去られた存在と化す。
永遠を望んだ者は、永遠に苦しみ、絶望に溺れゆくだろう。
そんな思いはさせたくない。ならば、聖杯戦争という物を終わらせよう。
偽りと真の聖杯戦争を、原初の聖杯戦争を、月の聖杯戦争を、あらゆる聖杯戦争を、終わらせよう。
だけど、せめてだけでも…………。
このアストルティアの、最後の戦いの結末だけでも、記録に残そう。
それが、私にとっての、最期の使命。
-異空間-
BGM KINGDOM HEARTSⅡ Darkness of the UnknownⅢ
ガイア『いいか、今のお前は自身の限界を超えている。下手をすれば5年間休まなくてはならなくなる。それまでに、なんとしてでも決着をつけろ!』
ガルッチ「分かってるよ!ガイア!」
令呪の力に加え、虹色の瞳になっているガルッチに取っては、最早最強と言っても過言ではなかったが、それはあくまで一時的なもので、それまでに倒さなくては動くことすらままならなくなってしまうという諸刃の剣の状態だった。
射出してくるビームを弾き返し、一瞬にしてアモンの近くに来た。
ガルッチ「もらった!」
アモン「甘いッ!」
近付いて攻撃する寸前にビームを射出し、瞬間移動で避けた。
ムラマサ「残念。」
アモン「なぬっ!?」
だが瞬間移動した場所にはムラマサが待ち構えていて、その攻撃を食らってしまった。それに追うかのように、雁夜は素早い攻撃でアモンを斬りつけた。
雁夜「今だ!ガルッチ!」
ガルッチ「此よりは常夜、我は影、時、殺。今ここに、殺戮を起こす!『
アモン「グォォォォ!?」
尋常じゃない光速の斬撃がアモンに襲いかかり、辺り一面が赤く染め上げられた。
アモン「その力、この私によこ───」
アナザー「おっと、そうはさせねえぜ!『Cordcast:blizzard(99)』!!」
アモン「ッ!?」
カラリス「一撃を食らえ!『Cordability:FireSlash』!」
アモン「ふんっ!」
片腕が凍りつき、そのままアモンに突進してきたカラリスだが、もう片手で首を掴み投げ上げた。
アモン「一緒に行こう……。」
アナザー「カラリス!」
アナザーはカラリスの所に向かうと、アモンの攻撃が始まった。それに予知していたのか2人は華麗にかつ素早くよけていった。
雁夜「ガルッチ、ムラマサ。力を貸して。」
ガルッチ「ああ。」
ムラマサ「勿論よ。」
3人は次なる攻撃に備え、自分たちの武器を地面に刺し、星を描いていた。
雁夜「我が力は殺戮、しかし真の我は四神の力を受け継ぎし者。」
ムラマサ「この力は四凶の力、大切な者を守るために戦い、そして共に生きる者。」
ガルッチ「偽りを奏で、贋作を生み出す。しかし、我が思いと信念は偽りに非ず。」
雁夜「手向ける色は緑、風の記憶と共に謳う色。」
ムラマサ「手向ける色は桜色、花の記憶と共に奏でる色。」
ガルッチ「手向ける色は藍色、夜の記憶と共に静けさと安らぎを与えし色。」
一体何故その詠唱が浮かんでくるのか疑問に思っていたガルッチだが、そんな事を気にせず詠唱を続けていく。
雁夜「3つの記憶が揃い、今再び世界を生む。」
ムラマサ「静なる夜の風は、妖しき桜と共に舞い踊る。」
ガルッチ「担い手は我ら3人、桜の丘で絆を作る。」
雁夜「今ここに、目覚めの星を空に捧げよう。」
ムラマサ「眠りし世界よ、目覚めよ!」
ガルッチ「ならば、別たれた絆を再び繋ごう!」
3人「『
異空間の空間が裂かれ、カラリスとアナザーが地面に着いたとき、世界が変わった。大桜の花びらが舞い散り、空に浮かぶ青い月、静けさな夜に風が吹いていた。
アモン「な、なんだここは!?」
雁夜「躱せるか?我ら3人の力を!」
アモンが何かをする前に、3人は素早い攻撃で斬りつけていく。それに合わせているのか、アンドロイド達も走り、弱ってるところで斬りつけた。
ムラマサ「如何したの?ソロモン72柱の癖に、だらしがないわよ?」
今度は妖気に漂う色気の声を出しながら、今度はムラマサと雁夜がアモンを突き、ガルッチは複数の剣を投影し射出していった。
アナザー「3人とも、俺とカラリスの分を残せよ?」
ガルッチ「安心しろちゃんと残す。っていっても、あんたらの番だけど。」
アナザー「早ッ!?」
焦っていたものの、カラリスと共に魔力解放した武器を使いながら、複数の剣でアモンを斬りつけていった。
アモン「ぐぬぅぅ…………、貴様らぁ!!」
ガルッチ「終わりにしてやるぜ。この一撃、手向けと受け取れ!」
ムラマサ「光を喰らいなさい!」
雁夜「全てを失え!」
3人「『デルタスラッシュ』!」
3色の閃光となった3人は、斬撃の嵐を起こしていき、最終的には極太のレーザーを放った。
カラリス「アナザー!」
アナザー「良いぜ、久々だ!」
静かだったはずのそよ風が、急に強風となり、桜の花びらが舞い散り、カラリスとアナザーを纏った。
アモン「まずいッ!?穿て!我が閃光───」
ガルッチ「させるか!」
妨害をしようとガルッチはアモンの手を掴みあげ、背負い投げで吹き飛ばした。
カラリス「
アナザー「
ガルッチ「おい待て、こっちもやらせてもらうぜ!」
詠唱の途中でガルッチが乱入し、ロストメモリーを出し、以前使ったカードを挿入した。
カラリス「(まあいいわ。)
アナザー「
ガルッチ「永遠なる光と闇を消されるとき、虚無へと変わる。だが、この絆は虚無へと変わらず。」
カラリス「
アナザー「
ガルッチ「束ねるは九つの属性、輝ける不死鳥の本領。謳い───」
カラリス「そして受けよ!『
アナザー「『
今度はアンドロイド達の宝具が放たれ、その宝具に乗ったガルッチは一撃を放つ準備をした。
アモン「フェニックス、貴様ァ!我らソロモン72柱を裏切る気か!」
『悪いけど、私は君達とは違う!こんな魔獣と化した私を、受け入れた人達がいる。そして私はいつか、天に帰れる事を信じて!私は君達を叛逆する!』
ガルッチ「『
虹色の閃光は不死鳥へと変わり、近づくと同時に一筋の一閃が放たれた。その斬撃を食らったアモンは、徐々に崩れ始めていった。
アモン「お………オノレェェェェェェ!!!フェニックス!貴様らァァァァァ!!この私を倒したトコロデ、いい気にナルナァァァァァ!!!!いつか必ず、貴様らの前に─────」
ガルッチ「蘇らせないよ。深淵の絶望に堕ちよ!『
アモンの真下には闇の渦が現れ、そこから闇の手が掴み、闇に引きずろうとしていた。
アモン「なッ!?なんだこれは!?」
ガルッチ「強欲、確かに消えることはないだろう。少なくとも、この世の全てが終焉へと迎えるまでは。だけど、お前を封じる手段ならば色々ある。その闇は、僕が生み出した深淵の絶望。永遠なる絶望で、もがき抗い狂うがいい。悦びでな!!」
アモン「グォォォォォォォ……………………………………………………。」
闇と共にアモンは消え去り、残ったのは5人だけとなった。
BGM終了
ガルッチ「……………今更なんだが、どんだけ趣味悪いんだろう。」
雁夜「そこ!?っていうか何あの手!?滅茶苦茶怖いんだけど!?」
アナザー「お前、案外残忍なことするんだな。」
カラリス「私も、始めて知った。」
ガルッチ「(´・ω・`)」
とはいえ、終わった事には変わりなく、すぐさま世界が変わり果てた。
-崩壊したアストルティア 光の神殿-
シーモア「お帰りなさい、って……まさかムラマサさんも戻ってきたとは……。」
ムラマサ「ただいま、シーモア。その様子だと、驚いたのかしら?」
シーモア「ええ、とはいえその様子ですと………。」
ガルッチ「ああ、無事マーモンを倒した。」
ガルッチはそう言うと、シーモアは微笑んでいた。
シーモア「よかった、これで最期の役割を果たすことが出来ます。」
ガルッチ「最期の?」
シーモア「聖杯としてのです。今ここにいる貴方方が勝利者となっています。」
ガルッチ「汚染は?」
シーモア「ご安心を、純粋な聖杯なのでちゃんと叶えられますし、叶えられる回数は15回まで出来ます。」
ガルッチ「おい待て、何でまた?」
シーモア「そうですね。それについては───」
???「儂が解説しよう。」
何もない空間から、老人のような男が現れ、4人は驚き、ガルッチは警戒した。
ガルッチ「あんたは?」
???「カカカッ、そう警戒するでない。儂は間桐臓硯と言うものじゃ。」
ガルッチ「あんたが、桜の養祖父ということか。」
臓硯「そう言うことじゃ。随分と世話になったようじゃな。」
ガルッチ「おかげさまでな、ただ本当の桜は出会ったことはないが。」
臓硯「ほう?」
ガルッチ「実際はデータ世界の『間桐桜』という人で、間桐家に入った『遠坂桜』ではないということさ。」
臓硯「なるほど、月の聖杯にいた桜じゃったか。」
警戒心は解かないものの、間桐臓硯と話し、本題に入った。
臓硯「さて、まずお主らが疑問に思ってるじゃろう。何故聖杯が叶えられる回数が15回なのか。その答えは簡単じゃ。冬木の聖杯に加え、月の聖杯、ルーマニアの聖杯、それぞれの特異点の聖杯が融合した結果こうなったのじゃ。」
ガルッチ「あれ繋がってたんかよ…………。」
臓硯「おかげで、15回まで叶えるようになったという訳じゃ。」
最終的には頭を抱え、「やれやれだぜ……。」と言ってしまった。
臓硯「まぁ、いずれにせよお主らは勝ち抜いた。そして聖杯はお主らの物、願いを叶えるがよい。」
アナザー「ちょっと待て、俺途中参加なんだがいいのか?」
シーモア「構いません。どちらにせよ、彼の者が最後だったので。」
アナザー「えー……、まあいいか。だがよ、俺達5人だから願いは3つまでになるな。」
ガルッチ「確かにな。」
カラリス「私はいいです。だって、やっとアナザーと再会できたから。」
アナザー「カラリス…………。」
雁夜「…………何故だろう、口元が甘く感じるんだけど。」
ガルッチ「微笑ましいものだな。」
ムラマサ「そうねぇ………。」
とはいえ、ガルッチは複雑な気持ちだった。これで聖杯戦争は終わったと同時に、共に戦ったカラリスとのお別れをしなくてはならなかった。
アナザー「なぁ、カラリス。」
カラリス「?」
アナザー「お前を守れなくて、済まなかった。俺が油断しなければ、お前は死なずに済んだのに………。」
カラリス「気にしないで、むしろよかったのよ。あなたに恩返しが出来て、それだけでよかったの。でも、あの姿の理由は?」
アナザー「アナザームーンの時か。あれは、君が死んでそれからなんだが、俺は王のところに帰り、盛大な葬式をしたんだ。それから、当てのない旅に出て、途中で謎の小さき者に捕まっちまって、なんかの実験台にされちまってな。結果、俺は悪堕ち。カラリスが出来なかった全ての殲滅を、俺がやっちまったって訳さ。」
カラリス「そんな…………。」
アナザー「んで、気が付いたら俺はプクリポ全員殺してしまった事に気付き、自害した。結局、誰が俺を変えたのか分からず仕舞いだったが、お前と出会えた事で、失われた全てを取り戻したって訳さ。」
カラリス「……………。」
ガルッチ「清々しい事言ってるけど、カラリス今にも泣きそうだぞ?」
アナザー「なっ!?わ……………悪かった!泣かせるつもりは────」
謝るつもりが、逆に泣いてしまいアナザーを困らせてしまった。だが、気が付いたら自分達が消えかかっていることに、2人は気付いてしまった。
アナザー「俺達…………、消えちまうのか?」
カラリス「嘘…………、私はまだ……………一緒にいたいのに………………。」
ガルッチ「聖杯戦争が終われば、自動的に消えるのか……………。って事はもう───」
カラリス「アーチャー!それ以上言わないで!分かってる…………、分かってるけど………、私はまだ、アナザーと一緒にいたい!もう、離れたくないの!!!」
ガルッチ「……………カラリス。」
こう思った。出来ればカラリスを殺されずにしてあげたいと思った。だけど、ガルッチは知っている。この願いはfate/Zeroのアルトリアと同じ事をしている。故郷を救うとしても、それは今まで起こった事がなかった事となり、そしてまた滅んでしまうという、最悪のパターンに陥る事となってしまう。それと同じように、仮にカラリスが生き延びたとしても、どこかで死んでしまう、そしてアナザーは悪堕ちすることに、目に見えていたのだ。
だけど、もしも当てのない旅に出る前に、カラリスを生き返らせる事が出来るのならば………そう思ったガルッチは、早速シンに近づいた。
ムラマサ「ガルッチさん?」
ガルッチ「聖杯よ!我が声を聞け!」
シーモア「………汝の願いはなんだ?」
ガルッチ「我が願いの一つは、この世で散っていったカラリスを、アナザーが旅立つ前のところで生き返らせてほしい!」
アナザー「!」
カラリス「アーチャー!」
シーモア「それが、汝の願いだね。」
ガルッチ「ああ、頼む。それで彼らが幸せなら、僕はそれでいい。」
もしかしたら、失敗なのかもしれない。だけど、また離れ離れにはさせたくない。ならば、カラリスを生き返らせて、新たな人生を歩ませてあげたい。それだけだった。
シーモア「よかろう、第一の願いを叶えさせよう。喜ぶがいい、少年少女よ。君達の願いが、今叶えられる。」
ガルッチ「余計な事とはいえ、君が悲しむのは見たくなかったんだ。だったら、君を生き返らせて、アナザーと共に過ごした方が、よっぽどいいんじゃないかなって思ってな。」
もう消えかかってる2人だが、そこには少年少女の微笑みがあった。
カラリス「アーチャー、ありがとう…………。」
アナザー「ありがとう、アーチャー。」
ガルッチ「もうさ、呼び捨てでもいいんじゃないか?カラリス、アナザー。いずれにせよ、もう会えないと思うし。」
アナザー「そうだな、本当にありがとな。ガルッチ。」
カラリス「そうだ、マナカに伝えて下さい。『貴方のサーヴァントで、本当によかった。ありがとう。』って伝えて下さい、ガルッチ。」
ガルッチ「…………分かった。」
そして、2人のアンドロイドは光の粒子と共に消えていった。
シーモア「…………最後まで幸せそうでしたね。」
臓硯「そうじゃな。それでお主らは?」
ムラマサ「ないわ。」
雁夜「僕も同じく。」
ガルッチ「だったら、このカードにしまわせてくれ。いつでも使えるように。」
シーモア「分かった。では最後に、君達をアストルティアに帰らせてあげよう。」
すると、ムラマサと雁夜はすぐさま消えていき、ガルッチはシーモアの微笑みを見ていた。
ガルッチ「最後だから言わせてもらうが、シーモア。君は今幸せか?」
そんな言葉を残し、ガルッチはフラン達が待ってるところへ帰っていった。
シーモア「……………ああ、今もの凄く──────」
──────────幸せだ。
-クロノスウィング号 ガルッチの部屋-
ガルッチ「んむ?」
目が覚めるとそこには見覚えのある場所だった。辺りを見回すと、そこには裸姿のムラマサがいた。
ガルッチ「え?」
一度自分の体を見てみると、裸姿になってることに気づいた。今まで夢を見ていたのか、そう思っていたら1枚のカードが横にあった。
『
まだ寝ているムラマサを抱え、ベットに乗せた後座り込み考えていた。今までの出来事は夢だったのだろうか、だが実質記憶はそのままで聖杯のカードが手元にあった。真意を確かめるため、ガルッチはもう一度辺りを見渡してみた。するとそこには、ぐっすりと眠っているイリヤとクロエ、フラン、こいし、ジャック、そして愛歌と雁夜がいた。
すると、無意識の内に笑みが零れ一言呟いた。
ガルッチ「夢であって夢じゃない、夢現の出来事って事か。」