「ここかな?」
傘を差している阿笠博士は近所の公園に灰原を連れて来ている。博士は歩美を園子に押し付けてから初めての休日だったので灰原で存分に遊ぶつもりだった。灰原は透明な雨合羽のをワンピースの上に着ている。
「しかし、歩美ちゃんも正直じゃのぅ。」
歩美との約束など始めから守る気はなかったが、約束を信じる歩美を汚すのがこの上なく楽しかったので表面上は約束が守られているふりをしていた。
「罪悪感は無いの?」
不快そうにまどろみから目覚めた灰原に歩美がさめざめと涙を流しながら申し訳なさそうに謝る歩美を思い出したのか灰原は目を一瞬伏せると博士を冷たく睨み付ける。
博士はその視線を待っていたかのようにニヤリと口の端を上げると持っていたスマホをタップする。博士が指をフリックすると灰原が不自然に肩を震わせる。灰原の両穴にはディルドーがくわえさせられていた。
「はかっ、せっ!いいかげんっ、にっ!しないとっ!」
博士は悶える灰原に視線を向けていない。ディルドーには心拍数とを測る昨日が内臓されており灰原がいかに気丈に振る舞おうと身体の変調はバレバレである。
「脈拍がさっきよりも跳ね上がっておるぞ。ほれっ」
博士は灰原にスマホの画面を見せる。画面には折れ線グラフが二本あり、一本はジグザグに折れていて、それは自分の心拍数だとすぐに気づいたのか灰原は画面を割ろうとスマホに手を伸ばす。しかし、もう一本の自身の心拍数の上で小刻みに揺れているグラフに見て手の動きが止まる。
「博士、歩美ちゃんに何をしてるの?」
先ほどまで膝が折れそうにしていた灰原は未だにおぼつかない姿勢で博士を再び睨む。
「ワシは何もしておらんよ。」
博士は悠々と答える。
その時、
「居たっ!」
公園の入り口から歩美が不自然な走りで走ってくる。雨具は一切着けず走る彼女はパンツルックに見えたが良く見ると薄く藍色の塗料が塗られているだけで上半身はオイルを塗ってあるのか地肌は雨を弾いて僅かな光を反射している。
「吉田さんっ!」
灰原は歩美のかばうように道路側に身体を重ねる。灰原の格好は博士が園子の指示でワンピース一枚であり、下着の類いは一切着させていないので洋服を貸すには自分の透明な雨合羽かワンピースしかない。
「あ、哀ちゃんっ!」
灰原は一切の迷いも見せずにワンピースを脱いで裸になるとそのワンピースを歩美に差し出す。雨合羽は博士が取り上げた。
「ありがとう。」
灰原の短い労いの言葉に何かすまなそうにしながらも歩美はそのワンピースを受け取るとそれに腕を通す。
「最低。」
裸で腕を組みながら灰原は博士の方を向かい見ると冷淡な罵倒を浴びせる。仕返しに灰原のディルドーをマックスにしたが灰原は僅かに肩を震わせただけで視線を外す事はしなかった。
「あれっ?なんでこっちが裸?」
一足遅れで公園に入ってきた園子が不思議そうに声を上げる。
「哀くんが歩美ちゃんに服を譲ってしまったんじゃよ。」
「ありゃっ、以外。博士の事だから一着を奪い合うキャットファイトを仕掛けると思った。」
「まさか露出プレイとは予想外じゃったからな。さすがに泣き叫ばれたらたまらんからな。」
歩美が突発的に起こす事態には博士も対処しきれるまだ自信がなかった。
園子は制服姿だったが、それ以上に博士の目を奪ったのは彼女が持っていた鞭だった。黒光りする乗馬鞭らしきそれの竿を左手に当ててピシッと小さく音を立てる。歩美はそれに怯えるようにして固まってしまった。
「身体に傷痕はご法度だと言っておったじゃろうに。」
博士は深い溜め息を吐いた。
「あ、これ?大丈夫よ。固いけどゴム製のだから。」
そう言うと園子は歩美に後ろを向くように指で指示する。
「それじゃあスカートめくってくれる?」
「…。」
歩美は無言ですスカートを両手で上げる。歩美の尻は全体的に赤くなっていおり、一回りとまではいかないが普通の躾程度では考えられないくらいに腫れ上がっていた。おまけに赤い尻には幾筋かのミミズ腫れが赤く走っている。
「あーあ。」
博士は努めて冷静に声を上げる。しかし内心ではこれをいかに世間に露見させないかを必死に計算していた。
「大丈夫よ。」
博士の心配を園子は解っていたのか歩美の顔を博士の方に向かせた。そして腰から革製の汚れた乗馬用の鞭を手渡す。
「これ、は、自分でやり、ました。痛いのが大好き、です。」
「ま、こんなもんよ。歩美ちゃんはMに目覚めて自分のお尻を叩かずにはいられない変態さんになっちゃった。テヘッ!」
握り拳を額に当てて園子は少し前に流行った仕草をした。
「SM雑誌は既に歩美ちゃんの家に持ち帰らせてあるし、この子が口を割らなきゃバレないわよ。ねぇ?」
「…はい。」
歩美は怯えた声で返事をする。博士はまたも自分の計画が裏目に出てしまったことに後悔した。歩美のM気質の行き着く先が園子だと思い託したが、園子はどうやら「教育」ではなく「調教」をしたらしい。しかも一番厄介な「トラウマ」で歩美を従えている。博士としてはポジティブなビッチになれば秘密管理が楽になるし、そこから心を蝕んでみたかったがこれでは軌道修正に一月、「トラウマ」を取り除くのは数年かかりかねない。
「どうよ。」
どや顔で誇っている園子を見ていると博士は無性に腹が立った。それに気付いていない園子はスマホを手に取るとどこかにかけ始めた。
「あ、もしもし、蘭?今日の練習試合朝からでしょ?私応援に行くからさ、終わったら…」
どうやらこのまま蘭の応援に行くらしい。彼女の手荷物は何もなく歩美を放置するか博士に任せるつもりだったのは明白だった。
「ちょっとこれ借りるよ。」
博士は歩美から乗馬用の鞭をかりる。返事はなかったが構わずに取り上げた。
そして鞭を大きく振りかぶると、
バシンッ!
「…?いった!!」
園子に降り下ろす。なんの覚悟もしていなかった園子は音が響いて一拍置いて痛みが走ったのか、ピョコピョコと小さくジャンプして痛みから意識を反らせている。
「え?あ、ちょっと電柱にぶつかっただけよ。え、鞭みたいな音、蚊を叩こうとして意識がそっちに行っちゃったからぶつかったのよ。あ、ちょっと待って。」
園子は通話口の近くで左腕を右手で派手に音を立てて叩いた。
「よっしゃ!今度は逃がさなかった!あぁ、うん、9時から学校で。」
迫真の演技とは言えないが蘭を欺けたらしく園子は電話を切った。
「危うくバレるところだったじゃない!」
「バレておらんのか?」
「ステキな男性武勇伝は知ってるけど、こんな朝から、しかも自分の応援前にヤってるのバレたら絶交されちゃうわよ。」
「今日を指定したのは君じゃないか。」
「ま、スパイス的な?」
園子は悪びれることもなく答えた。
「じゃ、博士後はヨロシク!」
園子は走って公園を出ていく。
「おはようございまーす!」
姿が見えなくなった先で園子の声が響いた。どうやらこっちに人が来ていることを知らせているつもりらしい。その声にオロオロしている歩美とは対照的に灰原は落ち着いて見えた。が、博士がスマホを確認すると心拍数は歩美と逆転していた。
書きやすいのでこの文体で書き直そうか考え中。こっちが読みやすいですか?