「ただいま。」
「おかえりなさい。」
博士の帰宅の挨拶に灰原は素っ気なく返事する。
「ああ、ただいま。さっそく成果を報告してもらえるかな。」
開口一番に子どもの性事情を尋ねる博士に灰原は呆れたのか大きく溜め息を付いた。
「…小島君は歩美ちゃんが、円谷君は私が相手してあげたわ。」
「ほぅ。」
博士は意外そうな声を上げる。
「何か問題でも?あっても無視するけど。」
「いや、問題は無いよ。君たちにはあの二人の童貞を奪っておくようにとしか言っておらんかったからな。しかし、てっきり君が元太くんの相手をすると思っておったから。」
「私もそのつもりだったけど」
「園子くんみたいに手荒いのが歩美ちゃんは好きなのかね?」
博士は禿げ頭を掻きながら灰原に質問する。マゾの素質があるなら園子に任せるのはもったいないからだ。
「そんなわけないでしょ。流れよ、流れ。マゾの気質が歩美ちゃんにあるのは事実だけど自覚してはいないし、させない。」
灰原の言葉には決意があった。それもそうだろう。歩美がマゾに目覚めれば博士にどう扱われるかわからない。さらに言えば歩美の今のご主人様的な位置には園子が居座っている。
「園子くんに任せているからマゾに目覚めても安心じゃぞ。安全に堕としてくれる男性を決めてくれるじゃろうし。」
博士は内心を隠して心配は無いと言わんばかりの口調で答えた。
「本気?歩美ちゃんがあの淫乱女の二の舞になるわよ。」
「ワシの知るところではないよ。園子くんは初めからあんな調子だったからな。淫乱になっていく過程が見れるならワシとしては愉しいから是非とも二の舞を舞ってほしいな。」
博士はあっけらかんとしている。灰原はそれが気に障ったのか博士の脛を蹴りあげた。
「…痛いじゃないか。」
博士は平静を装いながら脛をさする。
「歩美ちゃんが壊れるからあの鈴木園子には釘を差しといてね。」
「何をかね?」
「歩美ちゃんに無理をさせないこと。」
「条件次第かな。」
「条件?」
灰原の表情が微かに動く。これまで博士は灰原の言う事は自分に得のあることしか聞かなかった。
「…いいわ。それで条件って?」
「簡単なことじゃよ。園子くんに頼まれていたクスリをちょっと試してもらいたいんじゃ。」
「今までも散々私を実験体にしてきたのに何を今更。」
「いやなに、ちょっと今回は強力なのを使うからもしかしたら依存症になるかもと思ってな。」
「それこそ今更じゃない。」
「そうなんじゃが、今回からクスリの軸を安全性から快感に変えようかと思ってな。そうなると日常生活の優先順位に多分セックスが一番上に来ると思うから一応訊いておこうかなと。」
「拒否権は?」
「哀くんの代わりに歩美ちゃんがなってくれるだろうから一応はあるよ。」
「それって無いのと同じじゃない。」
灰原は大きく溜め息を付いた。
「わかった。クスリを飲むから歩美ちゃんの安全は約束して。」
「マゾの道に引き摺り込まないというならば構わんよ。しかし、今さら普通の道に戻せはせんぞ。せっかくの小学生だし。」
「私もなんだけど。」
「哀くんは知識と精神年齢が小学生じゃないないか。体が幼い大人というのが正解じゃろう。歩美ちゃんはどう成長するのかわからんのが君と差別化できる。観察対象は多ければ多い方がいい。」
「解らなくはないけど小学生よ?研究対象にしても発表する場所が無いじゃない。」
「社会に発信するつもりは無いよ。これは純粋な好奇心じゃ。」
「最低。」
灰原は冷たい視線を博士に送る。
「さてと」
博士はその視線を気にする様子もなく灰原の方を向いた。
「クスリを調合するから明日の朝からにしよう。ワシも少し疲れたからとりあえず一眠りするよ。」
博士はそう言って浴室に足を向ける。
「それから」
「何?」
足を止めて博士は灰原を見直した。
「服は禁止にしたからワシが上がるまでに脱いでおくように。」
博士はそう言い残して浴室に消えた。
地の文の表現力が足りない(T_T)