「……ふむ」
「あうっ」
博士は壁掛け時計を見る。蘭を吊るして一時間半が過ぎばかりていた。彼女の脚は肩の関節が伸びたことで地面に着いている。
蘭の表情は険しい。目を閉じているが、うっすら汗を浮かべていることから彼女に非情な負担を与えていることを意味している。
室内はエアコンが利いていて博士は汗どころか薄手ながら長袖を着ている。
「腕がそんなに白くなるまでよく耐えるなぁ」
「気分はどうかね?」
「……」
「無視かね。賢明な判断じゃ。」
博士は椅子に腰掛けたままで声を掛ける。
博士は椅子から立ち上がり、蘭の両手を上げさせているサスペンダーに手を伸ばす。そしてスイッチを押すと彼女の踵が地面から離れる。
博士は蘭の背中をなぞり、肩甲骨から上腕骨が離れているのを確かめる。筋肉で固められた関節は外れてはいなかったが、血流が感じられず冷たかった。脱臼するのも時間のだろうなと博士は判断する。
「ちょっと待って!」
踵が浮いたのと同時に蘭が慌てた声を上げる。彼女の横隔膜は痙攣しているのかさっきから呼吸が乱れていた。博士は蘭の言葉でスペンダーの収縮を止めた。
「なにかな?」
博士はきょとんとした表情をしている。
頭の上にある蘭の両手は今は血の気が引いて白くなっている。触ると人体の一部とは思えないほどに冷たかった。
蘭の顔も白かったが、反対に鎖骨付近は真っ赤に充血している。
「もうっ、いいですから、肩が、肩がっ」
無言を貫いていた蘭だったが、一言弱音を口にすれば抑えられなかったのか、その口から苦痛の言葉が溢れる。
「何が、いいのかな?」
博士は再びスイッチに手を伸ばすと今度は小刻みにスイッチのオンとオフを切り替える。蘭の口から聞きたい言葉が出てきた時には土踏まずが完全に宙に浮いていた。
「浣腸、浣腸をしますから!!」
聞きたい言葉が聞けた博士は蘭の両手はの肘が曲がる程度までサスペンダーを緩める。そして彼女の後ろに回ると、蘭の秘部を隠していたライトグリーンのショーツを下ろす。
昨晩博士によって陰毛を全て抜かれて赤く腫れていた陰部はわずかばかり赤みが引いている。おかげでくっきりとした割れ目が昨晩よりも主張している印象を博士に与える。
「それじゃ、念願の浣腸タイムと行こう」
脱臼という窮地を逃れるために彼女は自分から浣腸を志願した。博士の言葉は暗にそれを知らせている。
「……はい」
蘭は博士に尻を突き出す。日焼けをしていない白い臀部が博士に差し出される。
博士はしゃぶりつきたい衝動を抑えると蘭の肛門に注射筒の先端を差し込んでピストンを押していく。
注射筒の中の水はピストンの圧力でみるみると蘭の腸内に消えていった。蘭がピストンが深く刺さるのに合わせて息を吐く。
「まずは、200㏄」
ピストンを押し切ったままで博士が蘭が飲み干した量を口にする。蘭は無表情だったが、目を瞑って口をパクパクと動かしているので何でもないとは言えないだろう。
「えっ!!」
博士の仕草に気づいた蘭が声を上げる。博士は二回目を注射筒に詰めようと屈んでいた。
「…一回だけじゃないんですか?!」
「何を馬鹿なことを派手な映像でなくては喜ばれんじゃないか」
蘭は博士の方を振り向いた。その顔には驚きと、怒り、そして僅かばかりの恐怖が混在している。
「まさかこれを誰かに見せるつもりですか!?」
「君がワシを告発したらそうなるかもしれんな」
博士は脅している様子はなく、淡々と答える。
博士は蘭の肛門に再び注射筒を差す。量はさっきと同じ200㏄だ。
「ま、君が黙っておったら映像が世の中に出回ることは無いよ」
博士はそう言いながら蘭に二本目のピストンを押した。
――――――――――
「ううっ」
蘭の腹が少しばかり膨れたところでボウルが空になったので博士は注射筒をボウルの上に置いた。
今の蘭は妊娠初期と言われて納得する程度の腹回りになっている。
そうは言ってもさすがに2リットルを抑えるだけの括約筋は蘭も持ち合わせていなかった。1リットルを超えたあたりから注射筒が外れている間に漏れるようになってきていたので博士はディルドーで蓋をして隙間から注射筒の先端を差し込んでいた。そのせいで蘭の足元には生温い水溜まりが広がっていた。
「12回、2.4リットル。溢れた分を引いたら2リットルといったところかな」
博士は膨れた蘭の腹を揉むように撫でまわす。ディルドーで蓋をしている蘭の肛門から博士が揉むたびにピチャピチャと雫と呼ぶにはあまりにも大きな水滴が滴り落ちる。
「……ッ、博士っ、トイレにっ、トイレに行かせてください!」
蘭は声も出すのがやっとといった具合で博士に懇願する。今の彼女は最初と同じように目を瞑っていたが、その表情は全く違っている。
蘭は下唇を噛み、脂汗を浮かべている。顔は逆上がりをした後のように紅潮していた。
それは間違いなく我慢。排泄欲求への抵抗だった。
力めば蓋となっている人工竿など簡単に吹き飛ばせるだろう。ディルドーをパンツで抑えるなんて配慮を博士はしていない。それをしない…出来ないのは彼女の痴態がビデオカメラで撮られているからに他ならない。
博士の手にはコンパクトなビデオカメラが握られている。蘭が知る由もないがそれは現行でそのサイズで最上モデルのモノだった。
オートフォーカスはもちろん、手ぶれ補正、暗所撮影にも相当な定評のあるモデルだ。
当然、画素数も相当であり、ズームをすれば蘭の足元の水溜りの境目だってくっきりと録画しているはずだ。
「撮ら…ない…でぇ」
蘭が身体をよじる。少しでも楽な体勢を探しているのだろうが身体の自由が奪われている現状では動かせる範囲は限定されている。
さらに言えば2リットルの浣腸の悪寒を誤魔化せる体勢などありえない。彼女は脂汗の中に涙を混じらせながら膨らんだ腹の苦痛を味わっていた。
「さてと」
博士はビデオカメラを三脚に固定して蘭の後ろに回る。相変わらず苦悶していた蘭だったがセックスをすると思ったのか身体を震わせた。
しかし、博士は彼女の秘裂を指でなぞるだけで一向に逸物を挿入する気配は無い。
そうして、数度秘裂をなぞった博士の指が蘭に蓋をしていた人工竿に伸びる。
「っ、ダメッ!」
博士が竿を引くとあわてた様子で蘭が声を上げる。
「どうした?君もスッキリしたいじゃろ?」
博士は亀頭が蘭の肛門に当たる位までゆっくりと後退させる。ディルドーが腸内の水圧で飛び抜けそうになるが博士が握っているので水がだらだらと溢れるだけで飛び散ることはなかった。
「トイレにっ!トイレにっ!」
蘭から零れ落ちる水滴のスパンが短くなる。苦悶の表情がさらに歪んでいき、今は意識を少しでも水音から離したいのか浅い息を繰り返していた。
「仕方ないなぁ」
博士は蘭の足元に空になったボウルを置いた。
「要望通りトイレを用意したぞ」
博士は蘭の肛門がボウルの上あたりに来るように屈ませるとディルドーを引き抜いた。
「ああっ」
蓋を抜かれた蘭の肛門は腸内の水圧に耐えきれずにボウルに水を溜めていく。
ボウルに溜まっている水に肛門から押し出された水が蛇口から出ているのかと思うような音を発する。ほんの数秒で勢いは弱まったがそれでも一度堰を切った水は止められないのか、それとも止めないのかは博士には分からなかったが博士はそれを止めなかった。
勢いよく溢れ出る水飛沫は浅いボウルでは受けきれず、足元に広がる水溜まりをさらに大きくしていた。
「んんっ!」
博士は蘭が吐き出したボウルの中身をカメラに収める。
「ダメっ!!」
蘭は立ち上がって博士に走り寄ろうとするが、立ち眩みを起こしたのか転んでしまう。
手錠のおかげで自身から出た水溜まりに顔を付けることは無かったが、顔を逸らして見ないようにしている。
――――――
「うぅっ」
博士がボウルの中身を撮影してトイレに流して帰って来たときには蘭は泣いていた。
大声で泣けば確率は低いが誰かが気付いてくれるかもしれなかった。そうでなくても折れなければ博士も飽きたかもしれない。
だが蘭は現状で最悪と思える「すすり泣く」選択をしている。彼女はみっともない泣き顔を博士に晒すことになるが、それでも大泣きするのは躊躇ったのか大声を上げない。その姿に博士は感心して満足する。
博士は蘭の前に置いている椅子に再び座った。
「なんじゃ、インハイ三位はこの程度で泣いてしまうのか」
博士は遊び半分で煽る。
「当り前じゃないですか! こんな変態みたいなことをさせられたら誰だって泣いちゃいます!」
答える蘭の声は泣きじゃくった後だったためか声が震えていた。口調も普段の蘭からは想像もできないものになっている。
「まあ、映像も撮れたし、あとは君の心掛け次第じゃよ。」
「どういう意味ですか?」
「とぼけなくてもいいぞい。」
博士はビデオカメラからSDディスクを取り出す。
「これの扱われ方は君の行動次第ということじゃ。なんなら新一に送ろうか?もしかしたら帰ってきてくれるかもしれんぞ?」
「っ!、博士は新一の居場所を知ってるんですか!」
うなだれていた蘭が顔を上げる。
「いや。じゃがアドレスは知っておるから匿名で映像を送ることは可能じゃぞ」
「……新一は関係ないです」
「じゃあ送っても問題ないな」
「関係ないって言ってるじゃないですか!」
蘭は声を荒くするが、その表情はまた泣いてしまいそうに弱々しい。
「大丈夫じゃよ。彼は知り合いの性癖を言いふらすような人間じゃない」
「そういう意味じゃありません」
面倒な事態を作りたくはなかったが、蘭と新一がお互いに想い合っているのは周知の事実である。
蘭に隠したいと思わせるのが目的だった。博士からしてみたら蘭の流されやすさを知れた今回はこれだけでも収穫で、弱みを握れたのは幸先が良い。
博士はそう思いながら蘭の肉壺で逸物の処理を始めた。
散々迷う博士()