博士は昼食を乗せた盆をテーブルの上に置いた。木製の二つの盆にはハンバーグと野菜サラダ、コーンスープが白磁の皿に盛られて、片方にはデザートのピンクの乳白したゼリーがあった。
盆を置いた博士がソファーに腰を下ろすと電話の呼び出し音が鳴り響く。博士は頭を振ってから立ち上がると受話器を取った。
「もしもし」
『……もしもし』
受話器から聞き逃してしまいそうな小さな声が聞こえる。聞き慣れた声に博士は自分の声のトーンを下げた。
「蘭くんか。ちょうどよかった。あまりに来ないからちょっと心配しとったよ。』
蘭からの返事はない。
「それで 今日は何時に来れそうかな?」
沈黙が数秒。
『一週間だけ待ってください』
受話器超しに聞こえた蘭の声は絞り出したのがはっきり解る。急ぐ理由も無いので博士はそれを了承した。
「別に構わんよ」
博士が言い終わらない内に受話器から通話終了の無機質な音が響いていた。
受話器を置いた博士はソファーに腰掛けた。
「さてと、それじゃ食べようか」
博士は目の前の少女に見据える。蛇に睨まれた蛙のように視線を向けられた歩美は体を固くしていた。
「いただきます」
「……いただきます」
一拍遅れで歩美は挨拶をしてのろのろと箸を動かす。ハンバーグを口に入れると眉をひそめた。
「からい」
「胡椒が強かったかな?」
博士は自分のハンバーグを口に運ぶ。香辛料が多かったのか肉の味よりも刺激の方が舌に残った。
歩美は博士の質問に答えずにゼリーに手を伸ばす。箸をスプーンに持ち変えて鮮やかなピンクをしているゼリーを掬い上げた。ゼリーは掬い取られてへこんだ部分から崩れる様子もなく形を残す。
「とうかな? 手作りのゼリーなんじゃが」
「牛乳? ちょっと固いけど冷たくて美味しいかな」
歩美がスプーンを伸ばす。
「そりゃ良かった。今日は蘭くんが来れないらしいからもう一つあるが食べるかね?」
「博士は食べないの?」
「いやぁ、実は完成した時に半分以上食べてしまってな。もういいかなって感じじゃ」
「ふぅん」
歩美は博士の話を聞きながすように曖昧な返事をしながらゼリーを深く掘り進めていく。
「博士、哀ちゃんは?」
ゼリーの容器が空になった歩美が博士に尋ねた。
「ああ、彼女は地下の研究室におるよ」
歩美の手が止まる。
「本来なら言うつもりはなかったんだが、蘭くんが来ないとなると暇になるからな。仕方ないから君にも手伝ってもらうよ」
博士は食べ終えた皿を盆の上に重ねると流し台に運ぶ。その後を追うように歩美も自分の皿を流し台に運ぶが、カウンターに皿を置いた。
「うちはセルフサービスじゃよ」
洗い物をしながら博士はたしなめる。
「博士が終わってから洗うよ」
地下室への階段を見ている歩美はチラチラと博士に視線を移す。
博士が皿洗いを終えて流し台から出ると、歩美は博士の隣をすり抜けて自分が使った皿を洗った。
「寒い」
地下室に足を踏み入れた歩美が腕をさする。地下室はひんやりを通り越して初冬と思うくらいに寒い。黄色いワンピースに博士から借りた軍手という格好の歩美は両手で腕をさする。
既に午前中に博士の相手をした歩美は靴下を履いていない。見た目には判らないが下着の一切も洗濯中で身につけていなかった。
博士は壁際の操作盤のボタンを押してエアコンの電源を切る。天井の送風口が静かになり冷気も和らいだ。
腕を抱いていた手を下ろした歩美が更に奥に歩を進める。博士は気付かれないようにタイミングを見計らってドアの鍵を閉めた。そして上部の補助鍵に手を伸ばすとそれも閉めた。
歩美は博士と視線を合わせたくないのか部屋の奥ばかりを見ていた。
「歩美ちゃん、こっちに来なさい」
びくびくとした様子で歩美は博士に近寄る。二人は研究室の端まで歩く。
端には大きな布が何かを隠していた。
歩美は正体を察したのか急いで布を剥いだ。
「哀ちゃん!」
布から現れた灰原哀を見た歩美が声を上げる。しかし手錠と足枷に加えて、猿ぐつわに目隠し、ヘッドホンをしている灰原は声に気づいた様子はなく、いくら布で遮熱していたとはいえ不自然に汗が体から吹き出していた。
灰原を見回していた歩美の視線が灰原の股間に釘付けになる。
「なにこれ?」
灰原の膣と肛門にはそれぞれにディルドの取手が生えていた。以前に歩美が交換を持ち掛けられた物を差してある。さらに膣よりも前の穴、尿道口からは歯磨きブラシのような平たい板が刺さり、規則的に動いていた。
「ン゛ン゛」
板が動く度に灰原の口から力のないうめき声が漏れていた。呆然としていた歩美はその声で我にかえってのか灰原の目隠しとヘッドホンを外す。
「哀ちゃん…」
灰原の目を見た歩美が憐れみとも同情とも思える声を出した。目隠しを外した灰原は気を失っているらしく開いている目は歩美を見ていない。規則的に顔を歪ませるが、それは意識的になのか無意識の反射的なものなのかわからなかった。歩美は猿ぐつわのベルトを外す。
「大丈夫?」
歩美が肩を揺すると灰原は意識が目に宿る。
「歩美ちゃん」
「大丈夫、哀ちゃん。今抜いてあげるからね」
歩美の手が灰原の股間に伸びる。
「あっ!歩美ちゃん待って!」
灰原の制止を聞かずに歩美は尿道口から生える板を力任せに引き抜いた。
「うううっ」
板を抜かれた灰原は全身を赤く染め、続いて目から大粒の涙が流れた。体のあちらこちらに鳥肌が立っている。
よく見ると尿道口から引き抜いた板は先端が膨らんでいた。
「無理やりするから哀くんが泣いてしまったじゃないか」
過大な負荷に尿道口は真っ赤に腫れている。無理矢理に板を抜かれた影響か尿道口は倍以上に口を開き、ダラダラと透明な液体を流していた。
「はっ、はっ、はっ」
灰原は浅い呼吸を繰り返している。
床に落とされた板を博士は手に取る。膨らんでいる方とは逆の先端に付いているつまみを回すと膨らんでいた先端がしぼむ。博士は歩美の隣に腰を降ろすと、おもむろに灰原の足を開いてしぼんだ板を灰原に戻した。
「ン゛ッ」
小さくなった板を再び尿道に挿入された灰原は呻き声だけで抵抗らしい反応はほとんどなかった。弱々しく首を振っていたが板が尿道に侵入してきても目を白黒させるのがやっとといった様子だ。
紅潮していた肌がいつの間にか不自然なくらいに白くなっていた。
「哀ちゃん、大丈夫?」
心配そうに見つめる歩美に灰原は意識がまだはっきりとしていない様子だったが小さく頷く。
研究机を物色していた博士が戻ってくる。手には革の貞操帯が握られていた。それを見た歩美は灰原を置いて一目散に入ってきたドアに走った。
先回りして博士は歩美の腕を掴んだが、汗で滑って逃してしまう。
ドアノブ上の鍵を開けた歩美はドアを開く。
「え?」
ドアはほんの少し動いただけで止まった。いくら歩美が力任せに動かしても一向に開く気配はない。
「歩美ちゃん、無駄じゃよ。」
歩美の必死の逃走劇を一歩後ろから観劇していた博士は歩美の脇に手を入れて彼女を抱き上げる。反射的に体を丸くする歩美だったが、小学二年生の女子という肉体はまだまだ博士の筋力でも持ち上げられた。
「いやぁ!」
抱き竦めた博士はその場にあぐらに座り開いた足の上に歩美を乗せた。暴れる歩美の右腕をひねって背中に回させて、自由な左腕を抜く。袖の無いワンピースは簡単に脱がすことが可能だった。
「次は右じゃよ」
博士は右の腕も脱がせる。歩美が脇を締めて抵抗すると博士は肩を掴んでいた手を放してスカートの中に入れた。歩美がワンピースの中の博士の手を押さえるより早く博士は歩美のピンと柔らかい乳首を優しくつねる。。
「んっ」
つねる指の力を調節することに加えて、指のはらで撫で上げて愛撫していく。最初は指につねり潰されていた乳首はすぐに指を押し返す弾力を持った。
「スケベ」
博士は歩美に聞こえるように耳元ではっきりと言う。歩美は首を振って小さな声で否定の言葉を口にした。
「歩美エッチじゃないもん」
「じゃが、乳首はこんなに元気じゃぞ」
博士が乳首を押し曲げる。
「関係ないもん」
「まあ、君がそう言うならばそれでもかまわんよ」
乳首から指を放した博士は歩美の右の脇に手を差し込むと歩美の右腕をたぐり寄せる。
歩美は博士の手を最初の内は払い退けていたが、博士は肩を起点に搦め手で体力を消費させて動きが鈍くなった所で腕をワンピースに引きずり込む。両手の自由と体力を奪われても逃れようと歩美は博士の膝の上で足掻く。
「歩美ちゃん、プレゼントをあげよう」
博士はポケットから一本の細長い青い筒を取り出した。サッカーのホイッスルようなの円筒形の片方には突起が付いてる。それを歩美の股間、尿道口に博士は充てがった。
「い、いやぁ」
これから自分に訪れる事態を察したのか歩美の足掻きが尚一層激しくなる。
「こりゃっ、暴れるではないっ!」
暴れる歩美の左腕を引いて尻餅をついたタイミングで一気に根元まで筒をひねり込む。
「いったぁ」
愛液のおかげか挿入に抵抗はなかったが歩美にとっては違ったらしい。体を仰け反らせたかと思うと、前のめりになり歯を鳴らした。
「本当は蘭くんに使うつもりだったんじゃが」
博士は歩美の尿道口付近をなぞる。柔らかな肉に混じり固いプラスチックの感触が指に伝わる。抜こうと伸ばす歩美の右手首をつかみ両手共に後ろ手に拘束する。
「痛い痛い痛い」
「君が静かにしておらんからいけないんだぞ。暴れなければジェル麻酔くらいは付けてあげたんじゃよ」
博士は歩美を持ち上げてキャスター付きリクライニングシートに腰を下ろすと、床を蹴って研究机まで移動した。机の上にはプリントが数枚置いてあり、博士は箸の口の狭くなっているビーカーを手に取る
歩美が手を離した途端に暴れて、プラスチック製のビーカーが派手な音を立てた。博士は歩美を拘束を強くして二本目のビーカーを机の上から調達する。
博士は歩美に差してある青い筒の突起部分を押すとビーカーをその先に当てる。泣いていた歩美は自分の体の変化に気づいたのか腹筋に力を入れていた。
「いや、」
博士の手に暖かい振動が伝わり、続いて鼻に独特の刺激臭が立ち上る。歩美は両手で顔を抑えるばかりで嗚咽だけが反応として窺えた。
振動が止まったビーカーを歩美の頭上にかざすと、白い蛍光灯の光を黄色く変色させて歩美を照らした。
「いや! 汚い! くさい!」
「そうは言っても君が排出したんじゃよ」
「だったら捨ててきて!」
歩美は手で顔を隠したまま涙声で語気を強めた。
博士はビーカーを机の上に置くと歩美に尿道に挿入したステンレス製のカテーテルを上下させる。
「あっ」
歩美が慌てて下腹部に力を入れたようだったがカテーテルで自力で調整できない歩美の膀胱は牛のよだれのように中身が空になるまで限りなく薄黄色の液体で水溜まりを作った。
「もぅ、いやぁ」
水溜まりを見た歩美は泣き声を上げる。それまでのすすり泣いていたものとは本質的に違う絶叫とも思える大号泣だった。博士は歩美のカテーテルを触るばかりでフォローする仕草は無い。
二十分余りが時間が過ぎ、歩美の声が枯れて泣き疲れたのを見計らって博士は声をかける。
「はたして嫌なだけかね?」
「あたりまえじゃない!」
枯れた声の歩美が迫力に欠けた怒声を口にする。
「ドキドキしてないかね?わくわくしてないかね?」
「し、してない」
「質問を変えよう。ふわふわして痛みが和らいでいるんじゃないかい?」
「……」
歩美がハッとした表情を見られないように伏せたのを博士は見た。
「それは体が求めてるんじゃよ。頭ではこれは普通じゃないと信号を出していても、体が好きだと言っておるんじゃよ。無理せんで素直になるんじゃ。大丈夫、誰にも言わんよ。園子くんにだって内緒にしてあげよう」
丸くなった歩美はしばらく静かになる。
「ホントに?」
顔を上げた歩美は振り返って博士を見上げた。
「ホントに園子お姉さんに内緒にしてくれる?」
歩美が真っ赤に充血した目で博士を見据える。
「本当に」
博士も歩美の目を見つめる。
一分ほど博士の目を見ていた歩美の腕から力が抜ける。博士が手を放すと歩美は博士の方に身体を向けて大きく股を開き、博士の太ももから足を投げ出した。
博士は太ももに深く座る歩美の尻を自分の膝辺りまで下げさせると机に後ろ手をつかせる。
距離が出来、歩美に刺さる青い円筒の先を握った博士は薄ら笑いを浮かべる歩美の笑顔を断つべく、大きく円を描いた。
――――――
歩美と灰原をベッドに運んだ博士は冷凍庫から出した今日の功労者を肴にグラスを傾ける。赤い液体を冷水で割った水割りは生臭かったが気にせず一気にグラスを煽った。その途端、体に活力がみなぎる気がする。
「流石に慣れんなぁ」
博士は飲み終えたグラスに冷水を足してさらにもう一杯煽った。
「今日は化学の勝利かな」
心臓の無い細長い物体、マムシの半身を見ながら博士はグラスに水を注いだ。