10月8日(土)「或る地、旅館にて(前編)」
歓声。
インハイの時のような若い声ばかりではなく、老若男女の声援が響く。
会場になっている県営武道館は応援に来た人らがグループになっていた。
声援は激励であったり、無邪気な応援だったりと様々だが、その全てが健闘を期待している。
館内は都道府県毎に荷物を一纏めにして、そこが拠点となって選手が男女の別なく集まっている。
道着に身を包んだ選手たちは険しい顔をしているが、誰しもが集中しているのが解る。
既に昼を過ぎた会場は敗退した選手は着替えたのか胴着姿が午前中よりも少なくなっている。
その中にあって毛利蘭はチームメイトと話していた。
ウォームアップは澄ませているのか顔は上気して僅かに赤くなっている。手持ち無沙汰なのか腕を伸ばしてストレッチをしていた。
「気合十分じゃな」
声を聴いた蘭は動きが止まった。
トレーナーにジーンズというラフな格好で博士は手を上げる。
「やあ、応援に来たよ」
「すごい気合いですね」
「何かおっかねえな」
博士の後ろを歩いてきた光彦と元太は辺りをせわしなく見ていた。
「全国各地から集まってきた人たちなんだから当たり前じゃない」
二人の一歩後ろを歩いていた灰原がため息をつく。
その隣には歩美も居るのだが、どことなく上の空といった様子だった。そわそわとして前を歩く二人と同じく周囲を見回しているが、何かを探しているような雰囲気がある。
「あ、博士!」
蘭の後ろから世良真純がひょっこりと現れた。道着ではなく私服を着ていた。
「もしかして応援?」
「まあ」
「そっか」
真純は蘭にタオルを渡す。
「それじゃあ失礼します」
タオルを受け取った蘭が立ち去る。それを見計らったように蘭の名前と競技場所がアナウンスされた。
館内の武道場は広く、四面に試合場所が区切られていた。
選手と大会関係者以外は一階の競技場には入れないので、博士たちは二階の観客席に座った。
会場の天井は高いが、意外にも観客席はそこそこの数しかない。席は七割あまり埋まっている程度だが声援は午前よりも白熱している。
丁度蘭の試合がこれからあるらしく、会場に向かって頭を下げていた。
「最近、蘭ちゃん調子悪いんですよね」
博士の隣に座った真純が心配そうに蘭を見つめる。
今回彼女は選手として参加していない。単なる蘭の友人として応援に来ている形らしい。
「インハイが終わって気が抜けちゃったのか、動きのキレが悪いんですよ」
「ふぅん。ワシには全くわからんが」
型を披露する蘭の動きは素早く、素人目には何が悪いのか皆目解らない。
「蘭ねーちゃん、試合しねぇのかよ」
一段下に座る元太がつまらなそうな声を上げた。
「今日は型だけだよ。組手があるのは成年の部だけ」
「そっちに出ればよかったのに」
「あはは。そうは言っても実力だからね。出たいからって出られるものじゃないよ。」
真純の表情が曇る。
「特に最近スランプみたいだからね。試合で組手をやったら怪我しかねないからこれで良かったのかもしれない」
蘭は結局三回戦で敗退した。博士には何が悪かったのか最後まで解らなかった。
真純が言うにはキレに加えて型自体が崩れていて、特に三回戦、博士たちが来た試合は特にひどく、負けてしまったのも納得の出来だったらしい。
大会が終わり、選手や関係者が集まって宿泊先の旅館で慰労会が開かれた。関係者の八割はスーツを着ているが男性選手の半分はジャージかラフな格好をしていた。女子選手はほとんど全員がおしゃれしている。
旅館の一階の御座敷には御膳で料理が並ぶ。しかし、そのレパートリーはどこか酒のアテの気配があった。
残念ながら表彰台に登った選手はいなかったが表面上は穏やかに推移している。
「残念だったねぇ」
ジュースを飲んでいた蘭に男が近寄ってコップをかざした。背丈は蘭よりも少し高い程度だが、ジャージ越しにも胸板の厚さが際立ち、肩幅は広い。
男性は組手部門四位の選手だ。
「あ、はい。」
蘭は控えめな仕草で自分のコップを相手のコップに当てる。
「まあ、まだまだチャンスはあるさ。だからそんなに気落ちする必要はないよ」
「……落ち込んでるみたいに見えました?」
「違った?」
「いえ、そうですね。そうかもしれません」
蘭は弱弱しい笑顔を作る。
「三回戦まで行ったなら十分じゃないか。今は難しいことは考えずに楽しもう」
「はい」
「というわけで一杯、どう?」
「バカ、高校生に何勧めてるの!」
男がビールの入ったコップを蘭に渡す前に男性選手は同じデザインのジャージを着た女性に小突かれた。
「ちょっとしたお茶目じゃないか」
「未成年に飲酒を勧めて問題になるのはあなただけじゃないのよ」
そのまま女子選手は説教を始めた。
二人は同じ企業の空手部に所属するチームメイトだった。それだけに軽はずみな行動に敏感だったのだろう。
「すまん」
説教が一段落着き男性が蘭に頭を下げた。
「あ、いえ、気にしないで下さい。慣れてますから」
「ごめんね」
女性に耳を引かれ男性が離れた。
ヴィーン
蘭のスマホが震える。
画面を見た蘭は会場を後にした。その表情はひどく固かった。
◎
「何の用ですか」
「そんな怖い顔をしないでくれ」
さっきまで思いつめたような表情をしていた蘭は今は高圧的な表情をしている。
不機嫌を隠そうともせずに眉尻を吊り上げている。博士を見据える視線も大会で相手に向けるものに良く似ていた。
二人は内部階段スペースに居る。旅館の端に作られている此処は宿泊客も従業員もいなかった。
最初、博士はロビーを指定したが蘭は頑なに待ち合わせ場所を此処から譲らなかった。
やって来て博士は納得した。人の気配は無く、ひんやりとした空気は長居する気にならない。電灯の光は薄暗く、二人がいる踊り場の下からボイラーの音が聞こえる。
エレベーターが旅館の中央を通っている構造は階段の利用する人を少なくしているらしい。
「途中で抜け出してきたので手短にお願いします」
「いやぁ、チームメイトよりもワシを優先してくれるとは」
「調子に乗らないで」
蘭が低い声を上げると博士にコンドームを渡し、背中を向けて壁に手を着いた。
「途中で抜けてきたのでさっさと済ませて下さい」
「何をしておる」
蘭が振り向くと博士はコンドームをポケットにしまっていた。
「ワシは明日一緒に帰らんかを尋ねたかっただけなんじゃが」
「……っ!」
蘭の顔が赤く染まる。
「そんなにワシとしたかったのかね」
「違いますっ!」
叫ぶように蘭は声を荒げた。
「そんなに大声を出しては誰か来てしまうよ」
博士はそう言いながらも蘭に覆い被さる。
スカートの中に手を入れ、ショーツ越しにに陰核を撫でた。
「お」
蘭のショーツが僅かに濡れている。
「蘭くんもまんざらではなさそうじゃな」
「……」
博士は蘭のジャケットの中に手を入れて、ブラに隠れていた乳首を摘まむ。
「おーおー」
博士は乳首を捏ねながらジャケットのボタンを外し、その奥のカッターシャツのボタンも外した。
蘭は抵抗するでもなく、不気味な程に粛々と従っている。
「あんまり暴れられるのも厄介だが、こうして何の反応も無いのは寂しいなぁ」
胸を揉みしだいていた博士はその手を下腹部に動かした。
「んっ」
脇腹に手が触れると蘭が急に声を上げた。
脇腹はじわりと熱を持ち、見ると青く痣が出来ていた。
「型にしか出場しなかったのにどうして痣があるのかね?」
「……、っ!」
質問に答える様子の無い蘭の脇腹を博士は鷲掴みした。
「どうして?」
「……」
博士は脇腹から手を放すと黙ったままの蘭の首筋に腕時計を当てた。
「……組手の相手をしてて、ちょっと油断しました」
蘭は絞り出すようにゆっくりと声を出した。
「後で湿布を貼ってあげよう」
「いりません」
今度は即答だった。
博士は蘭のスカートを捲り上げると自分逸物を出して、勿体ぷるようにショーツの上から臀部の上を滑らせる。
「早くしてよ!」
蘭は苛立ちを隠さない。
博士が肉壺に挿入すると蘭の壁に着けている拳に更に力が入る。
声を殺してひたすらにやり過ごすという姿勢がありありと態度で解る。
それでも、
「んっ、あっ、あっ」
博士の逸物が膣内を擦るのに合わせて声が漏れていた。
「我慢しないで声を出したらどうかね?」
「い、嫌っ」
突きながら博士は蘭の耳元で囁く。
博士に覆い被さられている蘭は膝を曲げていたが、段々と膝の位置が下がり、やがて地面に着くと蘭は両手を拳のまま壁から地面に移した。
博士も膝を着いて逸物で蘭の膣内を蹂躙する。
四足歩行の動物と変わらない性交が繰り広げられる。博士は蘭に被さったままで彼女の手首の上に手のひらを重ねた。
蘭の頭の位置が低くなり、臀部を突き上げる格好になっている。蘭は首を伸ばしてみたが博士の身体に押さえつけられて体勢を変えることが出来ない。
博士の手が触れた瞬間身体を固くした蘭はすぐに無抵抗の姿勢に戻る。
仕方なくと言わんばかりに身体を丸めていた。
突かれる度に押し殺したあえぎ声が漏れていたが。
「ふぅ、ふぅ、いくぞっ、と」
一層にピストンを激しくした博士は蘭尻肉に腰を密着させて僅かに震える。
それと同時に蘭の顔が歪み、目尻から涙がこぼれた。
博士が逸物を抜いて身体を離しても、土下座の姿勢のままで固まっている。
膣からは博士が引き抜いた逸物から漏れた精液が肌に筋を作る。
つい数秒前まで逸物をくわえていた口は呼吸に合わせてぱくぱくと弛緩と収縮を繰り返していた。
博士は指を入れて膣から精液を掻き出す。
膣から出た白濁は肉の筋を通り陰毛に絡んだ。
しばらく時間が止まったように動かなかった蘭は弾かれたように立ち上がると、服を整えてその場を逃げるように後にした。
「そういえば、何で制服?」