雪が辺りを白く染め、道路から一歩外に外れたら積雪で歩くのはなかなかに厳しそうだった。
外は空気が冷たく厚い雲が空を覆っている。
目的地までカーナビに案内されながら運転していた博士は車から降りて腰を反らせた。
ボキボキと鈍い音をさせて少しばかりの解放感に浸り目の前の家に視線を移した。
森に隠れるように建っている木造三階建ての住宅は如何にも金持ちの別荘という感じに見た目にこだわりを感じる。
高床式の構造は一階のコンクリートの中が駐車スペースになっているらしくシャッターが三つ並んで降りている。
屋根は勾配が付いていて、雪が積もっても自然に落ちるようだ。
建てられて年数があるのか表面の木材は若干色味に差があり、一階のコンクリートの壁には雨垂れの跡があった。
窓の数は少なく、三階は一つしか窓が見えない。別の角度にあるにしても、来客者が最初に目にした時の印象を考えるとあまり良い印象は持たれないだろう。せっかくの豪奢な建築がそのせいで変にアンバランスに見える。
とはいえ、森に囲まれたこの家を訪ねてくる人間は知れており、その用途からこの構造を指摘する者はいなかった。
「長かったですな」
後ろのスライドドアを開いて宮脇が股関のチャックを上げながら外に出てくる。
どうやら博士が運転を変わってからずっと逸物をくわえさせていたらしく、続いて出て来た蘭は顎に手を当てていた。
「園子くんたちは?」
「中に居るはずですよ。表向きは勉強合宿ですから。男の子たちはスキーに行ってるとさっき連絡がありました」
「哀くんたちは?」
「予定通りに」
その言葉を聞いた博士は頬を緩ませた。
「私は車を車庫に入れてくるので二人は先に別荘の中に入っていて下さい」
宮脇はシャッター横の勝手口から屋内に入りシャッターを上げ、乗ってきた車を車庫に入れる。
博士は荷物は後で降ろす事にして蘭の手を握ると玄関に続く階段を上がった。
木製のドアを開けると微かに木の匂いが香る。
靴を脱いでリビングに向かう。
吹き抜けのリビングは天井でシーリングファンが回り空気を循環させている。室内の温度は外から来たばかりのせいか暑い。
「いらっしゃい」
ソファーに座っていた園子が手を上げる。
博士は意外そうな顔をした。
「おや、てっきり君もスキーに行ったかと思っていたが」
「一応受験生だからね。体調を崩すようなことは避けてるの」
一応彼女なりに受験生としての自覚はあるらしい。
「やっほー、蘭。いらっしゃい」
開け放たれたドアの向こう側にいる蘭を見つけた園子は軽い調子で挨拶する。
一瞬顔を上げた蘭はすぐさま俯いてしまった。
「ありゃ」
空回りしてしまったことを気にする様子もなく園子はテレビに視線を戻した。
画面にはローカル放送のニュース番組映っている。数年前までゴールデンのバラエティーに出ていたアイドルがコメンテーターとして益体もない発言をしていた。
「哀くんらは?」
「奥じゃないかしら、多分。男子が外に行ってから見てないし」
その答えを聞いた博士は蘭をリビングに引き入れると、自分は廊下を更に奥に進んだ。
三階は居住空間が無いと事前に聞いているので家捜しするのは二階だけだ。
部屋のドアを手前から一つずつ開けて中を確認していく。顔を突っ込むと埃っぽい空気に思わず咳き込む。
シェアハウスのように部屋は等間隔に分けられていた。
どれも間取りは同じでやや高めの位置に窓があるだけで戸棚の一つも置かれていない。
家の立地や建てられた時期を予想して印象通りに利用されたとは考えにくい。
なによりも三階の用途は口外するのを憚るもので、なかなか他人に見せるのは遠慮したい物だ。
「おや?」
一番奥の扉を開いた博士はそれまでの貧相な部屋からは想像出来ないプレイルームとも呼ぶべき空間に思わず声を漏らした。
ビリヤード台や麻雀卓があり、一角にはアルコールは並んでいなかったがバーカウンターが設置されている。
ここを建てた人間の嗜好が透けて見えるようだ。
リビングと違い天井は低く、三メートルはおそらく届かない。
部屋側の反対に窓があるが、日の光が差さない現在は室内は薄暗かった。
エアコンが作動していて室温は廊下に比べて高く、澱んだ空気を暖めている。
「どこかなぁ」
博士はゆっくりと部屋の中を徘徊していく。
ビリヤード台の下を覗き、麻雀卓の近くを歩き、カウンター前の椅子に座ると肘を着いて空の棚を眺める。
木製の棚の側面には金属の板が張られていてボトルの見た目の数を嵩増しする作りになっている。
しかし、今は視線を遮る金属の板は純粋に鏡として機能していた。
「なあ?」
博士は鏡に写った自分に、正確にはカウンター下に隠れている哀たちに向かって話し掛けた。
鏡越しに睨む哀は歩美の肩に手を置いている。
対して歩美は怯えるように博士の方を見ている。
「先は長いからな。そんな急に襲う真似はしないから安心しなさい」
「じゃあさっさと出てって」
カウンターから出てきた哀は同じ空間に居たくないとでも言いたげな厳しい口調だ。
外に逃げる可能性を低くするために二人はサイズの合っていない白のキャミワンピだけ着ている。
生地は薄く、間違っても今の季節に出歩く格好ではない。
膝上丈のスカートに不自然に長い肩紐がその印象に拍車をかけていた。
「見つかったみたいですね」
博士が二人を連れてリビングに戻ってくるとソファーに腰掛けた宮脇が話し掛けてきたので軽く相槌を返す。
「これからどうするんです?今回の女の子の扱いは貴方が決めると聞いてますけど?」
「せっかく一週間も時間があるからな。この機会にやりたかったことを試そうかと思って」
「やりたかったことですか」
博士は部屋の隅に置いてあったセカンドバッグを持つと、中央へ歩きながらファスナーを開き中を確認し、中身をテーブルの上に置いた。
一本ずつ半透明な管が袋に入っていた。
一方の端は二股に分かれ、もう一方の先端には極小のゴム風船が付いている。その両方には穴が空いていて中を液体が通れるようになっている。導尿カテーテルだ。 それを見た女性陣の反応は様々だ。園子はにやにやと挑戦的に笑い、哀は相変わらずの澄まし顔を崩さず、歩美は表情を一層ひきつらせた。
「そういえば蘭くんは初めて見るか」
態度の変わらない様子に博士は蘭に使ったことが無いことを思い出した。
「まあ、知らなくても問題ないか。とりあえず蘭くんは三人に使うのを見てなさい。それじゃ哀くんたちはソファーに足を開いて座ってくれるかな」
博士の声に従って蘭以外の三人はソファーに腰を下ろすと足を開いた。
「あ」
蘭の方から声が漏れた。
足を広げた三人はショーツを履いておらず、短いスカートを捲ったせいで性器が露になる。
どの肉丘も更地で、それは園子も例外ではない。
「この日のため永久脱毛しちゃった」
「いいのかい? お気に入りの相手って陰毛剃るのが趣味じゃなかったかな」
「そうだったんだけど、歩美ちゃんの相手してるうちにツルツルが好きになったみたい。おまけに最近は私よりも歩美ちゃんにご執心みたいで、小学生に寝取られるって結構ショック」
横目で歩美を見ながらハキハキと園子は話す。
寝取られるの意味が理解出来ているかは解らないが、厳しい口調で自分が責められているのは解るのか歩美はばつが悪そうに顔を伏せていた。
「仕方ないわよ。誰だって使い古しより新古品が良いに決まってるわ」
二人に挟まれている哀が口を開いた。
「へぇ、新古品。あれだけセックスしといて自分たちのことそう言えるんだ」
「貴女に比べたら、ね」
「おっとそこまで」
万に一つも園子に勝ち目が無いと判断した博士は本格的な口喧嘩になる前に止めに入る。
「哀くん、ペナルティ」
「へぇ、どんなペナルティ?」
「考え中じゃ。園子くんも大人げない反応をしない」
「はーい」
あまり反省した様子の無い声が返ってくる。
博士は溜め息を吐くとカテーテルの入った袋を一つ手に取って園子の前に膝を吐いた。
「はい」
園子からローションを受け取る。
「ありがとう。良い感じに暖かいな」
「脚で挟んでたからね」
人肌の温度の粘液を肉丘に垂らす。
水飴のようにドロリとした透明な液体は傾斜に沿って割れ目に流れていき、一般よりも幅広な溝を伝って落ちていく。
「んっ」
尿道にカテーテルが入ると園子がほんの僅かに顔を歪めた。
管は順調に膀胱の中に入っていき、反対の端の二股の分かれ目辺りまで呑み込まれると、博士は二股の一方の栓から水を注入して膀胱内のゴム風船を膨らませる。
水が全て入ると管を引っ張り、抜けないことを確認すると博士は小さなバケツをもう片方の管の下に置いて園子の下腹部を押した。
薄黄色い液体がプラスチックの容器に流れ落ちる。
満足そうに手を離した博士の視線が幼女二人を捉える。
「先にしたいという希望はあるかい?」
質問に二人は目を反らす。
「そんなに嫌か。尿意から解放される以外にメリットがないからしょうがないのか」
対して気にする様子も無く博士は二人の尿道にカテーテルを挿入した。
「次は君の番だよ、蘭くん」
博士は振り向いて蘭の方を見た。
当の彼女は線が向けられると同時にテーブルまで歩きカテーテルを手に取る。
「こんなもの着けさせて、どうするつもりですか」
「深い意味は無いよ。単にせっかくの機会だから尿の排泄量を調べようかと思ってね」
反論は無駄だと思ったのか蘭は会話を区切り睨む。
「こっちに来て服を脱いで座りなさい」
ソファーを指差した博士は、反対の手で蘭を手招きすると、彼女は素直にソファーに向かって歩いていく。
隣で脚を広げている哀たちを一瞥し、ゆっくりと服を脱いだ。
「あ」
蘭の身体を見た歩美が声を上げる。
大きめ服の下にあったぽっこりと膨らんだ腹はいくら太ったと言い繕うにしても無理があった。腕や脚が引き締まっているせいでより目立っていた。
「赤ちゃん?」
新たな生命の存在に目を輝かせてもいいはずなのだが、望まない妊娠だと察したらしく歩美の雰囲気は暗い。
指摘された蘭は膨らんだ腹部を擦り歩美の方を見ると弱々しく頷いた。
足元に脱ぎ捨てられた服を博士は自分の後ろに置いた。
「また一段と大きくなったんじゃないか? いっそ産むという判断もありだと思うけど」
「ありえません」
「そうかね。まあ君が最終的に決める事だから無理強いはせんよ。それじゃ三人みたいに座ってから脚を開いてくれ」
蘭は胸を両手で隠して脚を開く。
四人の中で全裸を晒しているのは蘭だけであり、後の三人はショーツを履いていないだけで一応服は着ている。
「あの、上着返してください」
「なぜ? 別に寒くはなかろう? 最初から上着を脱がなければよかったのに」
「それは博士が」
「君はワシの言うことを聞くのかい?」
「……」
「まあ歩美ちゃんに将来像を見せられたからいいか」
蘭は返された上着に袖を通した。何も言い返せなかったことが悔しいのか、それまでよりも激しく博士に視線を向ける。
「博士、それって?」
蘭の二つ隣で尿道から伸びる管を見ていた歩美が顔を上げて博士に質問する。
「言葉通りの意味だよ。いずれ時期が来たら君にもワシの子を産んでもらおうかと思っておる」
歩美の表情が一層暗くなり何か言おうと口を動かしたが、声が裏返ってしまっていた。
「嫌っ」
上擦った声で拒絶したが、そもそも歩美の意見を聞く気など端から無い博士は無視してあらかじめ用意していた条件を口にする。
「まあ別に必ずというわけではない。この年でそんなに子沢山でも困るしな。しかし、せめて一人は欲しいのもまた事実じゃ。」
言葉の端々に本音とも思える声色が付いている。
「だから三人のうちの一人が産んでくれた時点でこの関係は終わりにするのもやぶさかじゃない。」
灰原は嘘だと決めつけているのか瞼を閉じたまま動かない。蘭も疑いの視線だ。
しかし、歩美の反応は二人と違った。横目で蘭を見る。
視線に気づいた蘭が視線を合わせると歩美は逃げるように目を逸らした。