この地域は温泉郷としてだけではなく、スキーなどの冬山レジャー施設が充実した場所としても有名であり、数多くのスキー場がある。
そして、数があるということは自然と客が少ない施設も出てくる。
少年探偵団の四人と宮脇、轟の六人が訪れたのは設備の整っている観光客向けのではなく、リフトと管理棟が食事処を兼ねているこじんまりとしたスキー場だった。
全員がスキーウェアを着用している。
宿泊施設が集まっている場所からは距離がある上に開業時間に合わせて来たのでゲレンデには滑っている人は数人しかいない。
四人は木造の管理棟ででスキー一式をレンタルする手続きをすると、宮脇と轟は今朝のくじ引きで決まった振り分けに沿って少年探偵団の面子を二つに分けた。
「それじゃ行きましょうか」
宮脇は世話する事になった二人の背中に手を当てて歩みを促す。
空には厚い雲がかかっているが、朝早くから降っていた雪は一段落とばかりに止んでいる。
新雪に足跡がはっきり残る。
「へへっ、今日こそ滑ってみせるぜ」
意気揚々とした足取りの元太に対して、背中を押されている歩美は何かを心配しているような顔をしていた。
道端の積もった雪にダイブして掻き分けるようにして進む元太を見ながら宮脇は前を歩く歩美に声を抑えて話し掛ける。
「あちらの方が良かったですよね」
歩美が小さく頷く。
「ま、どちらになってもあまり変わりませんがね」
宮脇はポケットからスマホを取り出して予定を確認する。液晶には今日の歩美にさせる命令が表示されていた。
レンタルのスキーボードが置いてある倉庫に到着すると、昨日のうちに選び方を習ったのか元太がスキーボードと背を比べて自分に合う物を見つけて、リフトのある方へ抱えて走っていった。
「私達もさっさと選びましょうか」
宮脇は入り口に立っている歩美を放置して自分のボードを選び、次いで歩美に合うサイズのを選んだ。
歩美は渡されたボードとトレッキングボールを胸に抱えた。
ボードを足に嵌めた二人はリフト乗り場に移動する。
二人乗りタイプのリフトは作りは質素で、上にあるワイヤーと繋がる骨組みは細く、申し訳程度にカラフルな屋根が付いている。
「おせぇよ」
リフトに乗って先に行ったと思っていた元太がボードを履いて急かすように足踏みする。
「先に行って良かったんですが」
「だって俺、滑れねぇもん」
「それじゃあ、上の方で私が滑り方を教えてあげましょう」
宮脇の言葉に元太が目を輝かせる。
「マジで。やったぜ」
元太はペンギンのような足取りでボードを弾ませてリフトに乗り込む。
「私達も乗りましょう」
歩美にボードを履かせて手を引いて二人は掬われるようにリフトに腰を乗せた。
ゆっくりと斜面を登る。
「歩美ちゃん」
それまで気配を殺すように静かにしていた歩美の身体が硬くなる。
「服、ファスナー開けましょう」
優しい口調で同意を求めない指示を出す。
「寒い」
「だから?」
歩美の言葉を握り潰す。
のろのろとした動きでグローブを外した歩美がスキーウェアのファスナーを下ろした。 ウェアの下には薄いベストを着ているだけで、そのベストも前が停められておらず白い肌が露出している。
「ひゃっ」
宮脇がグローブを着けたままで歩美の色の薄い乳輪に触ると彼女が驚くような声を上げて身体を反らす。
指に感触は伝わらないがその仕草が面白く、宮脇は手すりに積もった雪でグローブを冷やしてもう一度乳輪を擦るように触れた。
「つめたっ」
身体を強張らせる歩美を見て更に嗜虐心がそそられてしまう。
宮脇はリフトが初心者コースまで昇ると歩美のファスナーを開かせたまま降りさせる。
他のスキーヤーは全員が更に昇った上級者コースから滑り下りてきているので誰も歩美を気に止める様子もなかった。
「お、遅かったじゃねぇか。凍えるかと思ったぞ」
言いながら元太の視線は歩美の上着に集中する。ちらちらと物色するように歩美の方を見ている。
「すいません。お詫びという訳じゃありませんが、歩美ちゃんの肌に触って暖まっていいですよ」
元太の目が大きく開き歩美の顔を見る。
歩美は小さく頷くと背筋を伸ばし、ウェアから手を離した。
頂上から吹き下ろす風に吹かれてウェアの奥の肌が見えた。
まじまじと見ていた元太はトラッキングボールを斜面に突き刺すと、グローブを外して歩美の横腹を挟むように両手を入れる。
歩美が「んっ」と短い悲鳴を上げて身体をよじると元太は手を引っ込めた。
「わ、わりぃ」
「おやおや、歩美ちゃん、嫌ですか」
宮脇の質問に歩美が首を横に振る。
「だそうです。元太くん次は彼女のおっぱいを摘まんであげてください」
「お、おぅ」
元太は腰の位置にあった手を歩美の胸の高さまで上げて、恐る恐るといった調子で乳輪ごと乳首を摘まんで引っ張った。
ぐにぐにと指を動かして感触を確かめるように胸をほぐす。
宮脇は斜面を滑り下りてくるスキーヤーから元太が見えないように身体で隠す。
歩美が無抵抗なことに調子に乗ったのか元太の指がつねるように歩美の胸をねじった。
「痛い」
淡々とした口調で歩美が訴える。
おそらく冷えた身体で鈍っていて違和感程度にしか知覚できないのだろう。それでも訴えたのは寒さに耐えきれなかったからなのか。それとも、
「皆さーん」
聞き覚えのある声に三人はリフトの方を向いた。
利用者のまばらなリフトから降りた光彦が滑ってくる。
「どうしたんだよ。お前、灰原の方だろ」
独占欲からか元太がいかにも邪魔だといった風につっけんどんな態度をとる。
「元太くん駄目だよ。そんな言い方」
歩美は胸をつねられながら注意する。獲物を横取りされないように警戒する肉食獣のような雰囲気をさせる元太は所有権を主張するように歩美のウェアを前腕ではためかせる。
不満そうな顔をした光彦は、生まれつきの性格なのか、少年らしく好奇心に支配されて元太と歩美を巡っていさかいを起こす様子もなく、歩美の困ったように眉を下げる表情を物欲しそうに見ていた。
「まあまあ。元太くんも独り占めはよくありませんよ。何事も仲良く分け合わないと。ところで哀ちゃんたちは?」
「……灰原さんは轟さんに話があるらしくて管理棟にある喫茶店にいます」
不機嫌に光彦が答えた。
「それなら仕方ないですね」
宮脇は歩美と目配せすると、彼女は元太の手に自分の手を乗せて下に除けた。
抵抗した元太だったが、歩美と目が合うと気持ちを呑まれたのか押し負けて腕を下ろした。
歩美は目配せして元太の後ろで見ていた光彦を元太の隣に跪せると身体を光彦の方に傾けた。
「あっ」
許可を求めるように光彦が隣を見ると、渋々といった表情で元太が頷いた。
グローブを外し、蒼白に血の気の失せた肌に触れる。形に変わる肌は指が離れるとほんのりと赤い斑点を作る。
一向に滑らない光彦たちを何人かのスキーヤーは横目に見ていくが、宮脇が死角を作っているせいか誰も咎める気配はなかった。
「元太くんも触ってあげてください。こんなに真っ白になって歩美ちゃんも寒いでしょう」
「お、おう」
胸は光彦がぺたぺたと触っているので、元太は横腹を擦る。
腹についた脂肪を絞るようにしながら手を動かしていく。
肉が見つかった最初は恥ずかしそうにした歩美だったが段々と肌に赤みが増してくるにつれて気持ちもリラックスしてきたのか表情が和らいでいく。
「ここまで」
宮脇は歩美のウェアを閉じて光彦たちの手を払い除けた。
「利用者が増えてきたので、一旦止めましょう。続きは昼からです」
歩美のウェアのファスナーを上げながら宮脇はゲレンデの最下層に目を向けた。
三人もそれに倣う。
管理棟の前には複数のグループがあり、初心者の集まりなのかレンタル物らしい同じデザインのカラフルなウェアが雪面に映えている。
彼らがこのビギナーコースに来ると読んだ宮脇は歩美から手を引かせた後、三人に滑りをレクチャーした。