「哀くん、服を脱ごうか。」
学校から帰ってきた灰原から衣類を全部脱ぐ事を指示する。
灰原はその指示に素直に従い着ていた紫のワンピースの前のボタンを外し、それから袖のボタンも外す。下着が見えなかったが、今日は体育があったので普段の紐を組み合わせたものではなく、普通の【お洒落】な紐パンツをしているのは分かっている。
その下には逸物バイブ付きのラバーパンツを穿かせているが。
「博士、手を出すにしてもせめて日が暮れてからにしてくれない?宿題が出来ないし、なにより誰かに見られたら終わりよ。」
灰原が悠然と話す。彼女からすれば事が明るみに出れば圧倒的に社会的に不利なのは博士だった。
「それには心配いらんよ。窓に35~40℃を黒く塗り潰すシールを張ってみたんじゃよ。哀くんとのプレイの幅を広げてみたくなってのぅ。」
「その熱量を真っ当な発明に向けたら?きっと凄い発明が出来るわよ。」
「ビデオ然り、DVD然りでエロが絡んだ時の男の情熱は計算では推し測れんよ。山が在るから登るのであって、登る為に山を探す者はほとんどおらんよ。」
「講釈はいいから。するの?しないの?」
下着姿の灰原が強い声色で博士に迫る。上着は博士の気分で去年のシャツを着せられているのでサイズが合わずピッチリと張り付いていた。
「今日はこのまま見て過ごそうかと思ってな。一昨日、昨日と連戦しておるとさすがのワシも賢者モードじゃ。」
博士はズボンから逸物を晒す。大抵の場合は既に盛っている博士に襲われるという形がほとんどであるために、服を脱がせる=セックスだった。
「暖かくなってきたから、室内では哀くんが服を着るのを制限しようかと思ってな。」
「私、博士の奴隷じゃないんだけど。」
「正直、哀くんの扱いが最近手に余ってな。新一がいない間に矯正しようかなと思っておる。」
博士の言葉には灰原も予想外だったのか、意外そうに驚いた顔をしている。
「博士は私にこれまで以上を望むと。そういう事?」
「平たく言えばそうじゃが、そうすれば君はこの家を出ていくじゃろう。そこで歩美くんを人質にさせてもらう。」
「吉田さんは確かに大切な友達だけど、自分と天秤にかけられるかって言われたら答えは「NO」よ。」
「しかし、新一はどうかな?正義感の塊みたいな彼の事じゃ。歩美くんがワシのおもちゃになっておったら容赦なくワシを断罪するじゃろう。そして、君のところにも非難しにいくか、同情するかは新一にしか解らんが現れる。」
「私が消えたのに?」
「日本ではFBIが未だに組織を探しておる。君の失踪はすぐに彼らが嗅ぎ付けるじゃろう。ワシの監視も厳しくなるが、監視対象が一ヵ所に集まるのは、彼らの望む所じゃ。光彦くんと源太くんは邪魔じゃが障害にはならんよ。小学生と侮れば噛まれかねんが、要注意で無力化すればむしろ歩美くんのコントロールが容易になるツールとして動かせるしな。」
「それに、」
「それに?」
灰原は表情を変えない。ただし視線はこれまでになく冷たかった。
「君は組織を恨むのは姉の仇じゃからじゃろう?犬死にするか、泥水を啜ってでも一矢報いるかを考えた時にこれまでの屈辱的行為を耐えた君がどちらを選ぶかは明白じゃよ。」
「…っ!」
灰原は姉の話題を上げた瞬間表情が固まり、自分が受け入れている理由まで見透かされたのか、急激に表情が歪み、目尻からは涙が落ちる。
「博士は」
「お?」
「博士は、そこまで見透かして私を辱しめたいのっ?!これまでだって、博士の奴隷同然だったじゃない。わざわざ私を縛らなくても私は従順だった!なのに!どうして!今さら私の心を縛ろうとするの?!嫌々従う『灰原 哀』でいいじゃないっ!今までよりもつらい待遇だって我慢出来る。でも、人を盾にされたら私は…。私は…。」
そこまでで灰原は泣き崩れてしまい、後からの言葉は博士への罵倒と、吉田歩美への謝罪だった。
「まあ、歩美くんがワシのおもちゃになるのは決定事項じゃが、その程度を決めるのはこれからじゃ。」
博士はそこまで言うと灰原に手を差し出す。
目の光が消えた灰原だったがその言葉の意味する所を理解すると博士の手を握った。
「よろしく、哀君。」
「よろしく、ご主人様。」
彼女からはもはや理知的な雰囲気の一切は消えてなくなり、一人のか弱い少女の匂いしかしなくなっていた。