でもストレートだから工夫もくそもない。
純真だから。
前回までは藍華だけにスポットライトを当てていたが、今回はもうひとりの主人公である神威について語ろう。
春雨にて···
「あり?団長何してんだ?」
神威は黙って外を見ていた。珍しい事もあるもんだ、と思いつつ阿伏兎は声をかけた。
「おーい団長。何1人で黄昏てるんだよ?」
「···!なんだ、阿伏兎か。」
「俺以外の誰が団長に声かけるんだよ?団長の想い人とかか?」
軽いからかいをいれたつもりが、意外にも真剣な顔で神威は阿伏兎を見た。
「···ねえ、阿伏兎。俺さ、最近変なんだよ。」
「元々じゃねぇのか?」
「···何それ俺に喧嘩売ってんの?」
「あー、ハイハイ何でもないよ何でも。」
軽く気炎をあげる神威を、阿伏兎はサラッとかわす。神威は、徐に口を開く。
「···1人の
真面目な顔をして言い切った神威に思わず吹き出しそうになっ···いや、正確には吹き出してしまった。なぜなら、言い方が余りにも率直だったからである。
「なんで笑うのさ。」
些かムッとした表情の神威を見て、こりゃ本気だな、と感じつつ言葉を繋いだ。
「団長、そりゃ"恋煩い"だろ。」
「"恋"?俺が?藍華に?」
「へえ、想い人は藍華······って団長!」
「···ん?何阿伏兎。」
「···良く惚れたよな···」
「どういう意味さ。」
散々迷惑かけてしかも一時殺されかけた相手に惚れるとは···
阿伏兎は思わずやれやれと首を振る。
「···団長、何回彼奴に死刑宣告されたと思ってんだよ。」
「覚えてるわけないじゃんそんなの。」
「だよなァ···まっ、惚れた女にゃ何されても動じねェみてェだし···しょうがねェか。」
納得したように今度は首を縦に振る阿伏兎に、神威は怪訝そうな表情を浮かべた。
「んでさ、俺どうしたらいいの?」
「そりゃ団長しだいだろ。」
「俺次第?
「いやその発想はおかしいぜ団長。」
無駄に知識はあっても、どうも女の扱い方という面に関してはまだお子様だな···
「じゃあ俺のモノにするにはどうすればいいのさ。」
「単純に告白すればいいだけだろ?それでOK貰ったら、団長のもんっていうか、まあ、一応恋人同士だ。」
「恋人同士、か。でもさ、断られるかもしれないよね?」
「そりゃそうだろ。彼奴の気持ちはわかんないしな。」
「うーん···」
微妙な反応を見せる神威に、阿伏兎はそれなら、と話し始める。
「それなら、なんかこう···成り行きに任せて告白すればいいんじゃないか?」
「成り行き?どういうこと?」
「あー、まあ、例えば、捕まったりしている所を助け出すとか···そんな感じだ。」
「ふーん。でも暗殺屋が伊達に捕まるとは思えないけどね。」
「意外とあるんじゃないか?敵が多けりゃ警戒も難しくなるからな。」
「そういうもん?」
「そういうもんだ。」
阿伏兎は退出したが、最後に放った言葉が何故か心に引っかかった。
「まさか···本当に捕まってたり、なんてことはありえないよね?」
チラリと胸騒ぎがしたが、気にしないことにした―
阿伏兎さんの口調わからぬ。
そして苦戦。
次回は告白までのフラグ発言話。
フラグは最後の神威のセリフ。
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