※この作品はR-18です。

月虹の元で生くる者達   作:名も無き呟き

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長らくお待たせいたしました新話です。

神威くんsideだぜ


真面目な純愛?です
明方···昨晩の追憶


心地の良い微睡から、不意に現実に引き戻される。

 

俺は、ゆっくり目を開けた。

 

まだ寝足りない。

 

いつもならそう感じて寝てしまう時間帯の筈なのに、不思議と目が冴えて起きてしまった。

 

今日は、何かあっただろうか?

 

いや、違う。

 

そういう感覚があって目が覚める時とはまた違っている。

 

じゃあ、何が―?

 

暫く目を凝らし続けると、答えは案外早く見つかった。

 

闇の中、ぼんやりと浮かび上がる雪の様に真っ白な肌。

 

規則正しいリズムを刻む呼吸。

 

天使の様に美しい寝顔。

 

俺の隣で寝ている···愛しい愛しい女のせいだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一人で起きていると、昨夜の記憶が酷く鮮明に流れる。

そう···彼女が捕まりそうだ、と阿伏兎が教えてきたあの時から、早送りされたビデオの様に世界がめぐるましく動き始めた。

 

俺が現場に着いたのは、丁度藍華が相手の頭を吹っ飛ばした時だった。いつもの周りから一歩引いたような冷めた目ではなく、殺意と怒りを漲らせた目だった。

 

それにゾクゾクしたことはしたが、それよりも殺されていない事にホッとしている自分がいた。狼狽えながらも、その時、心の奥底に閉じ込めていた想いが突如として形を成した。

 

バラバラになってた、ジグソーパズルのピースが全部組み合わさって、"愛"というモノに。

 

なんで···今更気がついたんだろう。自分の領域(テリトリー)に他人を入れたがらない彼女に寂しさを覚えた時、初めて俺の前で見せた笑顔に不思議と胸が締め付けられた時···いくらでも気づけただろうに。

 

タイミングを見計らう為様子を伺っていると、藍華は壁際まで吹っ飛ばされた。何のことは無い。殴りかかった相手にカウンターで腹を殴られたのだ。

 

その瞬間頭が真っ白になった。殴られた衝撃のせいで蹲り、苦しげに身を震わせている彼女を見るや否や、俺は殴った男の前に姿を現した。

 

いつもなら楽しい筈の殺戮も、全く楽しくなかった。藍華を傷付けた奴ら全員、殺してやるという怒りだけで動いた。脆いガラス細工のように、粉々になって、絶命する奴等。

 

最後の一人を殺した後、俺は彼女に向き直った。両手を使うことでどうにか身体を支え、焦点の定まらない目でこちらを見ていた。今にも崩れ落ちそうな程、弱った彼女を見たのは初めてだった。

 

すぐにあいつらを殺していれば―!

 

激しい後悔と罪悪感。そして、無事だった事に対する安堵感。それらの意味を込めて、思いっきり藍華を抱きしめた。

 

すると、弱々しくだが藍華も抱き締め返してきた。

 

しかしそれは僅かな間で、藍華の腕は俺の背中から滑り落ち始めた。もう意識が危ないのだろう。

 

それならそれで、伝えたい事は伝えてしまおうと「好きだ」と耳元で囁いた後、藍華の唇を奪った。

 

その後、意識を失った藍華を背負って藍華の家に行き、寝かせた。壁に凭れかかって、藍華が目を覚ます時を待ち続けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目覚めて真っ先に彼女がした事は、俺に対する"謝罪"だった。俺の望む女にはなれない、と。

 

別にそれを聞いても、俺の想いは冷めなかった。寧ろ、それなら俺が守る──と思えた。最悪守れないなら···一緒に死ねばいい、と。

 

その事を伝え、本日二回目の口付けを交わした。そのまま行為に移っても良かったが、避妊具やら風呂に入りたいとの事で30分程時間を空けてから、本番に移った。

 

初めてなのは少し意外だったが、何となく嬉しかった。行為自体は余り詳しく覚えてない。

欲望の赴くまま無抱した気もするし、ある程度の気を使った気もするのだ。

 

どっちにしろ、甘くて美味しい···幸せな時間に変わりはなかったが。

 

だから、俺はこの現実が少し恐ろしい。昨夜の幸せな時間は、もう無いような気がして。勢いで抱いたから、彼女も拒絶せず受け入れてくれたわけであって、本当は、俺の事なんてなんとも思っていないんじゃないかと。

 

「···藍華、君は俺の事···愛してくれている?」

 

口から付いて出た疑問。当然、返事はない。そう思っていたのだが······

 

「······神威·········」

 

「!?」

 

急に名前を呼ばれ、慌てて横で寝ている藍華を見た。けれど意味不明なことをゴニョゴニョと二言三言呟くと、寝返りを打ってしまった。どうやら、只の寝言らしい。

 

「···寝言か。でも、寝言でも俺の名前を呼んでくれるんだね···。」

 

思わずニヤケ顔になる。

 

―ひょっとして、さっきの呟きを聞いていて名前を呼んだんじゃないかな?それなら藍華らしいけど···

 

起きてる様子は見受けられない。

 

起きそうな様子でもない。

 

「···全く、これじゃあ起きたくても起きられないじゃないか。···藍華、君を起こしちゃったら寝顔見られないからね。」

 

とある早朝の出来事であった。




寝顔は天使···!

そして寝言で自分の名前···!

みんなの憧れるシチュエーションですね✨✨✨
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