※この作品はR-18です。

月虹の元で生くる者達   作:名も無き呟き

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此処からグッと話が進みます。

因みに、時代軸は動いて二年後。

出来れば三月中に本編は終わらせたい←←




時の経過
決別···もう、戻れない


「やっほー。」

 

「ん?···ああ、神威か。」

 

「あ、髪切った?」

 

「前髪だけ。よく気がついたわね。」

 

「ま、いつも見てるし?」

 

「そう。」

 

二年経っても変わらない、生活に必要最低限なものしかない、殺風景な彼女の家。だが、今日はいつにも増して小ぢんまりとしている様に見えた。

 

「···。何か、いつもより片付いてない?」

 

「そうよ。」

 

「何で?」

 

「何となく?」

 

「ふーん。」

 

俺は、彼女の顔をまじまじと見つめる。

 

彼女も、俺の顔をまじまじと見つめる。

 

すると、唐突に彼女が切り出した。

 

「神威。」

 

「何?」

 

「私さ、明日からしばらく会えないから。」

 

「ん······えっ!?」

 

「長期依頼が来てんのよ。それこそ、一日二日じゃ終わらないような、ね。」

 

非常にあっけらかんに言い放った彼女は、ニコニコと笑っている。重要な感じは全くない。寧ろ、軽い。

 

「···いつ帰ってくるの?」

 

「んー······分かんない♪でも1年くらいはいないかな。」

 

「そっか。···寂しいな。」

 

つい本音が口に出た。

 

「···。じゃあ、その寂しさ紛らわせてあげよか?」

 

「···?」

 

戸惑う俺を他所に、彼女はそっと唇を重ねる。

そして、そのまま俺を押し倒す。

 

「···!!?」

 

「たまには攻守逆転、なんてどう?まっ、飽きたらやめるけど。」

 

彼女は軽く頬を上気させてククッ、と笑った。

 

「···じゃあ、俺も楽しませてもらうさ。」

 

敢えてそのまま、抵抗もせずに俺達は身体を重ねた―――

 

△▼△▼

 

窓の向こうから、薄く白みがった空が見えた。自分も驚く程白く骨ばった細い手で、窓を開ける。たちまち、鼻腔に朝の冷たく澄んだ空気がたち込めた。その冷たさと、布団の中の温もりが静かに、私を奪い合う。

 

その争いが刻々と激しくなり、体が引き裂かれそうになったとき、遂に私は冷たさに身を委ねることにした。

 

布団からそっと足を下ろし、爪先を床に立てる。冬程では無いが、ひやりとした感覚が一瞬私を襲う。

 

店に行く為、蓮の花や葉が金色で刺繍された中華服に身を包む。化粧は、着いてからで良い。

 

昨日市場で買った林檎に、牙を立て、わざと音を鳴らして噛み砕く。甘く透き通った汁が、唇から零れて顎に溜まり、床へと落ちた。

 

昨日も、この林檎の様に甘く、透き通っていた。

今、布団にくるまって寝て居る彼の肌は、闇の中でも白く、鎖骨ははっきりと浮かんでいた。瞳は、どこまでも蒼く、月光りを反射し時々サファイアの如く輝きを放っていた。温かい手は、彼の純粋な熱情をありのままに私へと注いだ。柔かい唇は、果てしなく濃く深い彼の悲鳴を私の胸に突き刺した。

 

全てが美しく、脆く、儚く、夢のような現実だった。

 

がりっ、と唐突に硬い物に当たった。吐き出して見ると、それは種だった。

 

芯迄全て喰らい尽くすと、芯をごみ箱へと放った。背後でがろんと、ごみ箱が揺れる音を聞いて、家を後にした。

 

必要な物を全て入れた鞄と、傘を携えて朝の街へと身を投げる。何処からか市場の喚声が聞こえる。活気溢れるその声も、今のどこか泣きたくなる気分を晴らすことはできなかった。

 

「···神威、愛してたよ。」

 

軽薄だね。




愛して無い訳じゃない。

が、背に腹は抱えられない。

忠誠を誓う主か、真愛を認めた者か。

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