「藍···華······ッ!!!」
「久し振りー変わんないねー」
軽い口調。だが、それとは真逆に笑顔は氷みたいに鋭く、冷たい。
「無駄話してる時間無いから、さくっと終わらせよう。」
再び攻撃が始まる。
相手が彼女だと判った途端、殴れなくなった蹴れなくなった。
何でだ。何で!!
自分が情けない。
そんな事はお構い無しに、彼女は手を止めない。
刺されたふとももが痛みだす。
たちまち押さえ込まれた。
「こんなんじゃあ、まだまだ駄目だね、神威。」
顔が見えない。声だけが聞こえる。
「············ッ!!」
「拍子抜けしたわ。あなた、いつからそんなになったの?残念。」
彼女が短剣を振りかざす感じがした。
「···サヨナラ。」
シュッ!
彼女の声は、もう彼女ではなくなっていた。
「団長ォォォォッ!!!」
遠くで叫び声がした。うちの団員か?
「何?邪魔しないで。」
すっと、背中が軽くなった。
ガッ!!!
強烈な、肉の打撃音が耳元でした。
俺が体勢を立て直して、戦状を見ると、彼女とうちの団員と交戦していた。
流石とでも言うべきか、軒並み他の師団の団員よりは強い筈―知らないが―の団員を、素手で圧倒している。
ふっと、いきなり、視界に見慣れた黒が飛び込んできた。
それは、持っている傘を、力いっぱいに彼女の背中―丁度心臓のところ―に突きつけた。
彼女の身体が吹っ飛ぶ。
口から、血が大量に流れていく。
「藍華ッ!!!!」
彼女は壁にぶつかったきり、動かなかった。
「何自分の情人だからって、殺されそうになってんだよー?団長ォ。」
「阿伏兎···!」
「ったーく、情け無ェったらありゃしねェ。」
阿伏兎は、いつも通りの口調でしゃべりつつ、吹き飛んだ彼女の元へ歩いていった。
「···脈はあると。よし、お前ら、コイツ縛り上げて今すぐ牢屋ン中ぶち込んでこい。」
「はいッ!」
「ちょ、阿伏···」
「手間ェはすっこんでなー、団長。こっからは、俺の仕事だからな。」
早く残党狩り行ってろ、と言葉を残し、阿伏兎はどこかに消えた。
△▼△▼
その三日後だった。
彼女は、処刑され、死んだ。
△▼△▼
―旦那か。
景色がスローモーションで移っていく。
傘の先端が背中に突き刺さる。
死ぬのかな、私。
旦那に殺されるのも、いいかもしれない。まあ、死なないだろうけど。
それでも、それが決定打となって、戦闘不能にはなるだろう。
元より、ここへは死にに来たのだから。
今さら、恐れる闇など有る筈もないだろう?
―こんな私を、最後まで、疎まないで。
半端なく痛い···。゚(゚´Д`゚)゚。