「人多っ!···て、大阪だから当たり前か。」
話はうってかわり、ここは江戸の次に栄えてる街、大阪。此処に、榮蘭達一行が訪れていた。
小隈は人混みにうんざりしたらしく、榮蘭に問う。
「···態々何で此処に来た、榮蘭。」
「ナンパ☆ミ」
「アホかッ!!!」
パンッ!
と小気味の良い音を立ててハリセンが榮蘭の額に直撃する。
「痛っ!ちょ、ハリセンなんてどっから!?」
「どっからでも良いんじゃねェの?お前の発言が悪いんだし。」
「えー、何俺至って普通の事言っただけだけど?」
「それのどこが普通なんだこのチャラ男!!!もっぺん喰らえ!!!」
バシンッ!
「痛ったァァァァッ!!!ちょ、二回目しかも脳天はないッッ!!!」
「るさい!!!お前は真昼間からラ○ホでも行くつもりかこのド変態野郎!!!」
「小隈さーん、それ道端で大声で言うセリフじゃないぜ。」
具見の言葉に、周囲を見渡した小隈は、自分に注目が集まっていることに気づき、盛大な舌打ちをした。
「···チッ。」
「何で舌打ち!?」
鋭い目で榮蘭を睨みながら、淡々とした口調でこの場を離れることを、伝えた小隈。
「···僕は先に船に戻ってる。ナンパなら一人でやれドスケベが。」
「えー、行っちゃうの?小隈っち。」
榮蘭のふざけた言葉に何も反応を示さず、小隈はさっさと歩いていってしまう。
「ん、俺も先に戻ってるよ。あのままだとお前が帰ってから大変そうだからな。」
「え具見も行っちゃうの?」
「俺はお前と違ってナンパする気はねェの。大体女なんてめんどくさいんだ。」
「連れねーなー。」
「へいへい。んじゃ俺は行ってるから後はお好きに。」
そう言って具見も去っていく。
「えー、なんか俺一人パターン???寂しーなーもー。」
頭をかきながらタハハハ、と笑う。
「···まっ!気を取り直してナンパと洒落こみますか!」
△▼△▼
場面は変わり、ここは数多くの居酒屋が建ち並ぶ広場。そこで、榮蘭は一人の女性をナンパしていた。
「ねーねー」
「···はい?」
「君歳幾つ?」
「···22歳です。」
22、と聞いてニッコリ笑う榮蘭。
「まじで?俺君の2歳上なんだけどさー」
「はぁ。」
相手は何この人、と言いたげに榮蘭を見つめる。
「今から、俺と飲みに行かない?」
キラッ、と星が出そうな感じのウインク一つ。が、相手は至極冷静に返事を返した。
「···ナンパならお断りしてます。」
「えー、良いじゃん。変なことしないから〜」
「···見ず知らずの人とは飲まない主義なの。」
見ず知らずの人、その言葉を聞いてあー、と言う榮蘭。
「そっか。俺まだ名乗ってなかったよね〜。まあ君の名前から教えてよ。」
好奇心に満ちた目で相手の返事を待つ榮蘭。すると、やや警戒心の強い声で相手が名乗る。
「···藍華、ですけど···」
「え?·········藍、華···?」
榮蘭の顔が一瞬で真面目になる。その変化に相手の女性が怪訝そうな顔をし、そして何かに気がついたのか顔に衝撃が浮かぶ。
「そうですよ。私の名前······て、貴方、もしかして···」
『お兄ちゃん(藍華)!?』
二人の声がハモる。周囲の通行人は何事かと二人を見るが、二人にとって周りは眼中になかった。ただ、十数年離れ離れになっていたお互いを呆然と見つめていた。
「···あの、お名前は···」
「榮蘭、だ···」
「···ッ!!」
「藍華、何だよな?」
「···うん。·········お兄ちゃん!!!」
「藍華ァァァ!!」
△▼△▼
「···実の妹ナンパする兄貴ってどうなのよ。」
「いやー、だってこんな美人に成長してるなんて思ってないし気づけなかったんだよー。」
「褒めても何も出ないし。と言うか兄ちゃんチャラくなったね。」
「···酷くない?そんなチャラくないよ俺。」
「いやこんな時間にナンパしてたら充分すぎる程チャラいよ。」
「えー···」
数十分後、二人は兄妹仲良く繁華街を歩いていた。藍華は先程の榮蘭のナンパに突っ込んでいた。
「普通髪の色とか眼の色とかさ、見てわかんないの?私兄ちゃんみたいに染めてないんだけど、髪。」
「だとしてもさー、美人過ぎでしょ。多分他の場所で会っててもナンパしてたよ、俺。」
「うわ引くわー。実の妹ナンパした言い訳がそれとかマジ引くわー。」
「引かないで!お兄ちゃんメンタル傷つくから!!!」
「···。私の方が傷ついてるし。」
ふざける榮蘭に、藍華が冷たい目に涙をためながら訴える。流石にまずいと思ったのか、榮蘭が折れた。
「···ごめんなさい。」
「···はぁ。」
自分の兄の思いがけないチャラさに、深い深い溜息をつく藍華であった。
オマケ「待ち惚けの二人」
「う"え"···う"え"え"え"え"···」
「···小隈さん、人酔いしてたからあんなにキレてたのか···。」
「···何でもいいからっ···、あの場から離脱する理由が欲しかったんだよ···。う"ぶっ"···」
「まー、素直に言ったら彼奴は無理矢理にでも返さないだろうからなー。」
「あ"ー···気分悪い···」
「···吐いたら楽になるよ、小隈さん。」
「···もう吐くもんもない···」
「···人混み要注意、ってか。」
「···ああ。暫く人混みには行かない···」
「···それしかないな。」
此処でも、規制物がありましたとさ。
沈丁花の花言葉は不滅や栄光。
深い意味はありません。
次回本編ラストっす。