本編は最終話だよん。
山茶花の花言葉は『困難に打ち勝つ』
これといった深い意味はありません
某月某日某星某所の料亭にて。
『カンパーイ!!』
『ウェーイ!!』
第七師団の宴会が催されていた。
そこには、形式上死亡したことになっている藍華も。
「しかしねー、旦那。アンタ、ちゃんと死なせてくれっつったよね?」
「良いじゃねェかヨ。こうして、また美味い酒が飲めるんだから。」
「··················まあ、違ェねェ。」
「だろ。ホラ、飲め飲め。」
酒盛りを豪勢に行っている中、一人場違いな表情をしている神威。
ずっとうつむいて座り、黙々と飯を平らげていたが、突然ガシャンッ!!っと椀置くと、ずかずかと阿伏兎と藍華のところへ行き、二人の肩を掴んだ。
「ねぇ!何で俺以外全員藍華が処刑されないこと知ってたの!!?なんで俺にもいわなかったの!!めっちゃムカつく!!」
二人は、顔を見合わせ、同時に口を開いた。
「だって、ねぇ?」
「団長が絡むと、ややこしくなるしなァ?」
「···何だって!!?」
「事実じゃねェか。」
しれっ、と答えられ、殴りかかろうとする神威。だが、慣れた二人は拳をよける。そして、素早く盃に酒を注ぎ、「ほれほれ」と飲ませる。圧巻の連携プレーである。
「············ま、いいや。ヒクッ。」
『······成功。』
密かにハイタッチを交す阿伏兎と藍華であった。
△▼△▼
「···そう言えばさ、クッ、阿伏兎さ、コイツが捕まってた時、密かに会いに行ったって、ホントなワケ?」
「オゥ、本当だよ。なあ。」
「えぇ。······あの夜のコトは、一生忘れないわ。」
「久しぶりだったなァ、あんな気持ち良えんは。」
「やろ〜。いつでもお待ちしとります〜。ダ・ン・ナ。」
阿伏兎の腕を抱き、しなをつくって寄りかかる藍華。
見上げているその視線は熱っぽく、艶っぽい。
たちまち、周囲から野次が飛ぶ。
「イヨッ、ご両人!しっぽりと!!」
「堂々と不倫か〜?」
こうしちゃ黙っていられないのが男の性。
「何したの!!え、何したの!!?ホントにーっ!!?」
「んー?ふふっ······内緒♡」
「何でーッ!!教えろー!!!」
「嫌ー♪」
と立ち上がった藍華。途端、ずっこけた。
「あだだだ、足が痺れたー。アハハハ。」
「大丈夫かよ?」
と、徐に阿伏兎がその肩を掴み、
「情けねェ奴だのゥ。」
そして藍華を後ろから、自分の胸に抱き込んだ。
「オッ!!?」
と野次馬はわき上がった。
「それでも『春雨の大傾城』かィ?お前ェよ。」
深く、甘い声で藍華に顔を近づけて囁く。
「ごめんさぁせ、ダンナ。···もゥ、ここでその気にならないでくんせェ。後で、ゆっくり相手しますよゥ。」
話しながらも、阿伏兎の手は藍華の首筋から彼女の身体つきを確かめるように移動していく。その手を見つめ、「廓だねェ」と嬉しそうに自分の手を重ねる藍華。
艶めかしく、官能的なその様に、その場の全員が思った。
(この二人、デキてる······!!)
堪えられなくなった神威が怒鳴った。
「イチャイチャすんなーッ!!!」
ドシャーンッ、ガッチャーンッ、と食器を鳴らしながら二人を追いかける神威。
「怖ぇー」と言いながら逃げる二人。
その光景を見て、再びその場の全員は思う。
(···団長、遊ばれてんなぁ·········)
△▼△▼
そんなどんちゃん騒ぎも収まった深夜。
酔いつぶれた多くの団員がいびきをかく中、主要メンバー三人は未だ酒を飲み続けていた。
「ヒクッ、もう、そんなに怒らなくてもいいじゃない。」
「ヒック!···」
「あーあ。こりゃ完全に駄目だな。」
「えー···」
拗ねて無言の神威を暫く見つめる藍華。次の瞬間、ニヤッと阿伏兎に向けて笑いかけ、話し出す。
「私話したいことあったのになー···」
「···」
「神威にだけ言いたい事あったのになー···」
「···」
「もう今日以外は絶対言えないのになー···」
「···何。」
三回目の含みのある言い方に、神威がようやく反応を返す。すると、藍華は急に真面目な顔つきをして言葉を繋いだ。
「···ごめんね。」
「え?」
思いがけない謝罪の言葉に、神威の口から驚きの声が漏れる。
「···何年もアンタの前から姿消して、会った時は殺そうとして、しかもその後生きてたってのに連絡一つよこさなくて、それを何も伝えようとしなかったの、私は。」
「···!」
「···だから、アンタと会えた時、怖かった。忘れられてんるんじゃないかって、思ってて···でも、アンタはずっと私のこと好きでいてくれたんだって知って、凄い嬉しかった。」
藍華は切なげな表情で神威を見つめる。
「だから、ほんとにごめん。そして······ほんとにありがとう。」
「藍華···」
藍華が涙で潤んだ瞳で神威を見つめ、顔を近づける。
両者の鼻筋がふれあいそうになった時――
「···なーんて、私が言うと思った???」
手のひらを返し、身体を離してにやりと笑う藍華。
「え?」
「···嘘よ。嘘。なーに本気にしてんの、神威。」
「はぁ!?」
「こりゃ一本取られたな、団長。」
激昂して再び殴りかかろうとする神威。だが、酔いが回り過ぎてその場で大の字に寝っ転がってしまった。
「···はー。なんかもう、怒る気力も失せた···」
「···酔ってる時に暴れるのは危険なんだから丁度いいじゃない。よっこらせ、と···」
「だな。よいしょっ、と···」
三者三様、川の字に寝っ転がる。
「···こーやって見ると、空が良く見える。」
「ね。真っ黒な夜空に、煌めく星···」
「俺らが居る場所も、周りから見れば同じって訳か···」
だんだんと重くなる瞼を必死に持ち上げながら、語らう酔っぱらい三人衆。
が、それもそろそろ限界が近づいていた。
「···ふわあぁぁぁ···眠ぃ···」
「···あふっ···そうねー···」
「···今日は飲んだからなー···」
「···ねぇ、神威。」
「···ん···?」
「さっきの話···嘘って···言った、じゃん?」
「···うん。」
「···あれ、ね···嘘の···嘘······なんだ。」
「···え···」
「···これ···は···嘘···じゃ···ない···わ···。」
「···そっ、か。」
とっくに眠った阿伏兎の隣で、なおも会話を続ける二人。ある意味、超人的な精神力を持っている。
「···寝る···前に···一つだけ···言わせて···」
「···な···に···」
「···こう···やっ···て···、アンタと···旦那と···過ごせん···の、が···私に···とっ···て···一番···楽しい、ん···だ···。だから···これからも···宜しく···ね、神威···」
「···あ······あ······」
きっとこの夫婦は、この先も波乱を呼ぶだろう。
しかし、それは二人にとっての楽しみに過ぎない。
···これにて二人の出会いについての話は、完結である。
だが、まだ終わることは無い。
出会い以降···その後の物語が、語られるのである。
歴史は、まだまだ途絶えない。
ここまでご拝読して頂き誠にありがとうございました。
いやー、四十数話に及ぶこの話、長かったですか?
私的には長かったですね。
でも、ご安心ください。
この話、まだまだ終わりませんので!
番外編がハチャメチャなくらいふざけまくってます!
なので、ギャグネタ満載ー!!!
じゃ、番外編最初の話でお会いしましょー!!!
バイバーイ!