風見さん……いや、幽香さんの家に居候してから五年経った。
僕も名無しじゃなくなり、今は望月契と名乗っている。
幽香さんが僕を発見した時に着ていたという学生服の袖裏に、その名前が刺繍されていたのを見つけた。
僕が着てたものに書いてあったなら僕のものだろう。
ただまぁ、一切の記憶は戻っていない。
死ななかったのが不思議なくらいの様相だったらしいから、命が有るだけ儲けものなのかもしれない。
きっと幽香さんに会う為に溺れて幽香さんと話す為に生き返ったんだ、って言ったら顔を真っ赤に染めてそっぽ向いてた。
幽香さん萌えー。
僕の名前が判ってからは幽香さんを名前で呼ぶ事にした。
その方がもっと幽香さんと仲良くなれそうな気がしたからだ。
そんなこんなで、植えたトウモロコシが実を結ぶくらいには時間が過ぎた。
農作業にも慣れ、良い感じに筋肉も……付いてない。
不思議な事に僕の身体はこの五年間、殆ど変わらなかった。
着ていたのが学生服って事は思春期真っ只中の高校生若しくは中学生だと思う。
割れた眼鏡も多分僕のものだろうから、前の僕は眼鏡を掛けた学生だろうって事は推測出来る。
そんなひょろ眼鏡の僕が、果たして五年も経って成長しないなんて事が有り得るんだろうか。
色々考えてみると謎が次々に出てくる。
そもそも学生服の知識が有る以上僕は現代日本の生まれだ。
幽香さんの妖怪発言を冗談や揶揄だと仮定しても、周囲の状況がイマイチ判断に困るものだ。
幽香さんとピクニックに行った時に山の頂上から辺りを見渡してみると、豊かで荘厳な大自然──と言えば聞こえは良いが、詰まる所辺鄙な山間部の風景が広がっていた。
日本の山奥にこんな場所が有ったのか、と訝しんでしまう。
困った事に山の雰囲気は日本のものだ。
外国の山々とはまた違ったわびさびを感じさせる辺り、やはりここは日本なのだろう。
「……心ここに在らず、って顔ねケイ」
目の前で揺れるウェーブの掛かった緑髪と、玉を弾いた様な透き通った声。
気付けば幽香さんが僕の顔を覗き込んで首を傾げていた。
「いやぁ、実は」
「嘘ね」
「……ボケるより先にツッコミを入れないで下さいよ」
「なら最初から真実だけ話しなさい。そうしたらツッコミは入らないから」
「ボケられないじゃないですか」
「あら、不思議ね?」
喉を鳴らして楽しそうに笑う幽香さん。
最近僕に対してちょっぴり意地悪な事を言ってくる様になった。
その分距離が近付いた様に感じる僕は程良く調教……躾られてきたに違い無い。
「ちなみにどんなボケを言おうとしていたのかしら?」
「幽香さんとの間に産まれてくる子供の名前を考えていました」
ぽんっ、と音が鳴った様に錯覚するくらいの勢いで幽香さんの顔が赤く染まる。
相変わらずこういう話には耐性が無く、なかなか初々しい反応が返ってくるのが楽しい。
いつも優雅で落ち着いた雰囲気の幽香さんとは思えないくらい、口をあわあわさせて手をぶんぶん振りたくる。
その動きが小動物を思わせて可愛い。
と、僕のニヤニヤに気付いた幽香さんがむっとした顔で僕の頬を抓った。
「いだだだっ!」
「そう言う破廉恥な事を言うのはこの口かしら?」
危うくうにょーんと頬が伸びる所だった。
照れ屋な幽香さん萌えー。
と、僕の邪念を感じたのか再度手を伸ばしてくる幽香さん。
その手をさっと掴んで引き寄せる。
「きゃっ」
ふかふかのベッドに背中から倒れ込み、如何にも僕が押し倒された様な格好に。
胸板に幽香さんの豊満なおっぱいが当たり、その柔らかな胸がむにゅりと押し潰されている。
「幽香さんったら、そんな事言ってノリノリじゃないですか」
「こっ、これは違うわよ! ケイが倒れ込んだからこうなっただけでっ」
「どっちでもいいですよ、それより楽しみましょう?」
「ちょっと、あっ、ケイってば、あんっ」
抱き竦めて服の上からお尻を撫でる。
形の良い小尻は程良い弾力が有り、むにむにと掌を押し返してくる。
何か言おうと口を開いた所へ唇を重ねる。
その紅い双眸が驚きに見開かれ、徐々に潤みを帯びてくる。
こうやって身体を重ね合うのも初めてじゃない。
今日みたいに雨が降る日はやる事が無いから、二人で子作りに励んでいるのだ。
最初は催淫効果の有る花を部屋に飾ったり精の付く料理を作ったりと搦め手を使ってきた幽香さんだったけど、余りに僕が何もしない──ムラムラして襲い掛かってこないもんだから勢い余って逆夜這いに来たんだ。
僕を虜にするつもりだったみたいだけど、先に音を上げたのは幽香さんだった。
溜まってた所為か絶倫と化した僕に良い様に弄ばれ、すっかり骨抜きアヘ顔性奴隷状態にまで追い込まれた幽香さん。
以来、性的な目を向けられただけで力が抜けちゃう淫乱幽香さんが出来上がった。
色んな意味でやり過ぎた。
そして今も、全身から力が抜けて僕の舌を可愛らしく吸っている。
「んっんっ、ちゅ、ちゅるっ」
「んく……っ、ふふ、すっかり淫乱になっちゃったねぇ、幽香さん?」
「そ、そんな事無いわよ! いやらしいのはケイの方、っ、んひぃぃっ!?」
「あれ、幽香さん僕に口答えしちゃうの? 淫乱な雌奴隷の癖に生意気だね?」
ブラウスの隙間から右手を滑り込ませて、可愛い乳首を捻り上げる。
びくぅっ、と身体を揺らして逃がそうとするのを左手で抑えながらスカートのチャックを下げて脱がしに掛かる。
「ひぎ、ぃっ、イヤぁっ、痛いぃっ!」
「ほら幽香さん、ごめんなさいは?」
「ごっ、ごめんなさ、いひぃっ!」
「ちゃんと謝ったから許してあげるね。幽香さん良い子良い子」
衣服を全て脱がしながら頭を優しく撫でてあげる。
眉尻を下げて僕を見上げる瞳には、若干の怯えが浮かんでいた。
それを解す様に捻り上げた乳首を口に含み優しく舐める。
舌先がツンと上を向いた乳首に触れ、幽香さんは嬌声を上げた。
「ひぁっ、あっ、あぁん」
「ちゅっ、ちゅぷっ、ごめんね幽香さん、痛かったでしょ?」
「あんっ、はぁん、とっても痛かったわよぉ……だから、んっ、もっと舐めて、痛いの忘れさせて、あぁんっ」
ちょっぴり素直になった幽香さんと身体を入れ替え、上に跨がり組み伏せる。
右の乳首を舐め回しながら左手で左の乳首をくにくに弄り、右手でクリトリスをきゅっきゅっと扱き上げる。
「んぁぁっ、それダメっ、あぁっ、や、イヤぁっ、おかしくなるぅぅっ!」
淫らな花弁から何度も蜜を噴き出し、快楽の頂に至る。
普段の清楚な雰囲気とは正反対の淫靡な表情で喘ぐ幽香さんが堪らなく可愛い。
ズボンを下げて肉棒を取り出し、花弁に押し当てる。
にじゅっにじゅっ、といやらしい水音が上がる様に擦り付けると、幽香さんはイヤイヤと左右に首を振った。
「イヤっ、恥ずかしい音させないで」
「じゃあこれで止めます?」
腰の動きを止めると、幽香さんの紅い瞳からぽろりと雫が流れ落ちた。
切なげな眼差しが僕を射抜く。
「意地悪しないで……ケイの事を、もっと感じたいのよぉ……」
「あぁもぅ、幽香さんは可愛いなぁ。イジメたお詫びに、たっぷり種付けしてあげますからね」
「えっ、あ、ふわぁぁっ!」
狙いを定めて亀頭を膣内にゆっくり差し込んでいく。
止め処なく溢れかえる蜜で抽送はかなりスムーズだ。
とろとろに溶けた膣内はやわやわと肉棒を扱き上げ、早くも射精を促す動きを見せ始める。
欲しがり屋さんめ。
一息に子宮口まで突き上げると、膣が収縮して高い鳴き声が上がる。
「あれ、イっちゃったんですか?」
「……っ、ひぅっ、だって、ケイのおちんちんが大き過ぎるからぁ……」
「淫乱ですねぇ」
「そ、それは、っぁ、ひぐっ、うぅっ、うぁ、あ、あぁぁっ!」
また口答えしそうになった幽香さんを突き上げる事で中断させた。
イジメるのも楽しいけど、余りやると後が怖いからね。
序でに腰の振りを速くして子宮口をつんつん刺激してやる。
いきなりトップスピードで与えられる快感に、幽香さんは目を白黒させていた。
「うぁ、あぁん、んぁぁあっ! やぁっ、やだっ、そんなに速くしないで、あぁっ、ダメっ、気持ちイイっ、はぁぁぁん!」
「幽香さん、もっといやらしい声聴かせて下さい」
「イヤっ、やぁっ、恥ずかしいから、んぁっ、あっ、んひぃぃっ、ひっ、ひぁぁっ、それダメぇっ、赤ちゃんの部屋に入っちゃダメぇっ!」
無論、入る訳が無い。
だけど幽香さんは余りに子宮口を叩かれるものだから、僕が押し入ろうとしてると勘違いしたらしい。
その間も噴水の様に潮を噴き散らしながらイキ続ける。
僕もそろそろ射精が近付いてきた。
腰の動きを更に速めて、何度も何度もGスポットと子宮口を刺激する。
と、その動きに合わせて幽香さんは両脚を腰に絡み付けて中以外に射精出来ない様にしてきた。
「んぁぁっ、出して、中に出してぇ、ふぁぁっ、イク、イクの止まらないぃ、ケイのおちんちんに種付けされてまたイクぅぅぅっ!」
鈴口が弾け、濃厚な精液が膣内を満たし子宮を汚していく。
どろりと胎内に流れ込む感覚に、幽香さんは絶頂を抑えきれない。
「ひぁっ、あぁっ、赤ちゃんの素出てるぅ、またイクのぉ、あっあっ、あぁん、イクぅ、イってるのに、またイクぅぅぅ……っ」
ぴゅくぴゅくと潮を噴き上げ、全身をぶるっと震わせる。
ようやく潮が途切れたかと思えば、今度は黄金色の水がちょろちょろと溢れ出した。
シーツを染め上げた小水が跳ね、肉棒や玉袋に掛かる。
「ふふ、またおもらしですか?」
「いやぁ、見ないで……気持ち良くて止まらないの、あぁん、ケイにおしっこ見られて、またイクぅ……」
「すっかり変態ですね。おもらししている所を見られてイクなんて」
とろ顔で喘ぎ続ける幽香さんに、優しくキスをする。
最初に身体を重ねた時にやり過ぎたのか、幽香さんは中出しされるとおもらしする癖が付いてしまった。
嬉ションとか犬レベルの行為だ。
今度幽香さんに犬耳でも着けてあげよう。
勿論首輪としっぽもセットだ。
疲れ果てて気絶する様に眠った幽香さんの頭を優しく撫でながら、僕はしばらく雨音に耳を傾けていた。
後始末を終えて絶賛正座中の僕。
目の前では真っ赤な顔でそっぽを向く幽香さん。
毎回えっちの後はこうやって……反省会? が行われる。
勿論僕のやり過ぎに対して幽香さんが照れ隠しに抗議する、といった内容だ。
そして毎回、僕は幽香さんの機嫌を取る為に愛を囁く羽目になる。
日頃茶化しながら愛を伝えている僕だけど、面と向かって言うのは案外恥ずかしい。
「あのー、幽香さん?」
「何よ、鬼畜眼鏡さん」
「いや、僕今眼鏡掛けてないん「何?」なんでも無いです」
おっかないよ幽香さん!
冷や汗を額に浮かべながら、僕は身体を折り畳み手をカーペットに着け頭を擦り付けた。
ジャパニーズDOGEZAスタイルだ。
惚れ惚れする程の美しいラインを描き伸びる背筋、黄金律を表した指先の角度、潔いまでの頭の下げ具合。
多分僕は記憶を失う前は土下座の達人だったに違い無い。
「ごめんなさいでした」
「ん、宜しい」
正座して向き直った幽香さんの瞳には、ありありと期待の色が滲んでいる。
最初の頃は僕をイジメるのが楽しくてニヤニヤしてたのに、いつの間にか囁かれる愛の言葉の方が楽しみになってるみたいだ。
僕は幽香さんへの美辞麗句を並べ立てようとして口を開き──止めた。
途中で動きを止めた僕を怪訝そうに見る。
その綺麗で可愛い顔がどんな風に崩れるのかなぁ、と内心ニヤニヤしながら再度口を開いた。
「風見幽香さん」
「な、何よ?」
「僕と結婚を前提に付き合って下さい」
僕の言葉にぽかんと口を開ける。
今までなんだかんだでちゃんと告白して無かったし、そろそろ身を固めてもいいかも知れない。
幽香さんは徐々に頬が赤く染め、はっきり色が変わったと気付ける程になった瞬間、かふっ、と息を吐いて後ろに倒れた。
「え、ちょ、幽香さんっ!?」
慌てて抱きかかえると幽香さんは目を回していた。
感情が心の器から溢れ出てしまったんだろうか、揺すってもつついても反応が無い。
返事を貰えると思ったら失神された、とかどこの漫画だよ!
思わず途方に暮れて天を仰ぐ。
あ、天井に染み発見。
今度壁紙も張り替えなきゃなぁ、とぼんやりしていたら腕の中で幽香さんが目を覚ました。
僕と目が合って、また固まる。
「おはよう、幽香さん」
「……お、おはよう、ケイ」
「早速ですけど返事聞かせて下さい」
「う、あ、その」
もじもじつんつん、と人差し指を突き合わせながら上目遣いに見上げる幽香さん。
余りの破壊力に鼻血が出そうだ。
「その……私なんかで、良いの?」
「幽香さんじゃなきゃ嫌です」
「うぁ、あ、えっと」
なにこれ可愛い。
えっちの時やパニックになった時は口調が変わって大人しくなる幽香さん萌えー。
紅い瞳を覗き込むと幽香さんは顔を真っ赤にしたまま俯き、小さくコクリと頷いた。
という事はつまり。
──人生で初めてかもしれない彼女ゲットぉぉぉぉぉっ!
ぱーぱらっぱぱぱらー。
頭の中でファンファーレが鳴り響く。
テンションが振り切れた僕はそのまま幽香さんに躍り掛かり、ベッドで二発風呂場で三発の大金星を挙げた。
その後幽香さんに再び説教を食らったのは言うまでもない。