「おとーさん」
「ん?」
「でへへ……呼んだだけです」
こいつめ、と額を指でつつくと奈苗は嬉しそうに抱き付いてきた。
奈苗が着ているのは普段の巫女服では無くデフォルメされた蛙と蛇が描かれた白地の浴衣だ。
先日妹紅の再教育を諏訪子が行っていた際に暇だったので造ってみた。
流石に本職の人が手掛けた浴衣とは比べるべくも無いが、本人には至って好評だ。
ほぼ毎日それを着て擦り寄ってくる。
「おとーさん」
「ん?」
「でへへ……むぎゅっ」
膝の上に乗って甘えてくる奈苗を抱き返し、優しく髪を梳いてやる。
うにゅうにゅと幸せそうに微笑む奈苗にいつもなら妹紅か諏訪子辺りが嫉妬しそうなものだが、家の中は伽藍と静まり返っていた。
妹紅は京で不比等と諏訪子の再教育プログラムの履修——という名の帰省と三者面談——を、神奈子は俺が神格化した事に関しての調整や報告を兼ねて出雲へ出向、ルーミアは村人の誕生日が有るのでそれの料理作りへ。
皆色々な理由で留守にしている。
が、本音は「さっさと奈苗を女にしてやったらどうだ」と圧力を掛ける為に口裏を合わせたらしい。
そう紫に聞いた。
だが話している最中紫はスキマに引き擦り込まれてしまった。
最近紫は能力が強化され『境界を操る程度の能力』を得たらしい。
今回もその能力を使って生み出したスキマから上半身だけ出して遊びに来ていたんだが……隙間妖怪がスキマに引き擦り込まれるとかどんな冗句だ。
まぁ、背後にルーミアらしき金髪が揺れていたのは気の所為だな。
誰が何と言おうと気の所為だ。
「おとーさん」
「ん?」
「……なんでもないです」
顔を胸に埋めて恥ずかしがる奈苗。
耳の先まで真っ赤だ。
初々しい事極まり無いが、同様に俺もどうして良いか解らずに戸惑っている。
バカップルの様にイチャついては居たが、はっきり言って俺の恋愛経験は少ない。
ルーミアを始め嫁達全員と、恋愛を始める前に関係を深めてしまっている。
身体を重ねた分心の距離も近付いてはいるが、それが裏目に出ている。
解りやすく言えば……そう、俺は清い交際というものに全く慣れていないのだ。
仲良くなったら即孕ませというエロゲ的展開でここまで生きてきた所為か、純粋に慕ってくれている奈苗を相手に何をしたら良いのか皆目見当が付かない。
そんな様子が酷くもどかしかったらしく、皆一致団結して今回の作戦に踏み切った様だ。
……いや、それで良いのか嫁達。
疑問は残るがこの際それは置いておこう。
目下最優先とすべき問題は、
「おとーさん」
「ん?」
「でへへ……呼んだだけです」
この無限ループに突入した会話をどうするかだ。
視線を感じて目を向ければ、奈苗はサッと目を逸らしてしまう。
なんとなく照れ臭く感じ俺もそっぽを向くのだが、少し経てばまたチラチラとこちらを窺ってくる。
どうしたもんかと考え込めば、先程の無限ループが始まる。
——くっ、付き合い始めた中学生カップルか俺等は!?
顔を覆いたくなるが生憎正面から抱き付かれている為、両腕共に奈苗が拘束中だ。
軽く身動ぎすれば、更にむきゅっと抱き付いてくる。
或る種これは拷問に近い。
目を開ければ奈苗の桜色に染まった可愛らしい顔が有り、息を吸えば奈苗の髪から何とも言えない良い匂いが流れ込み、かと言ってそれらを無視したら抱き吐いている奈苗の柔肌の感触が精神をガリガリ削ってくる。
そして妙な所でチキンな俺は奈苗をこの場で押し倒す度胸も無い。
難儀だ。
「奈苗」
「なんですか?」
無邪気に見上げてくる姿に耳が熱くなる。
思わず何でもないとヘタレそうになる自分を焚き付け、口を開く。
……多少上擦った声が出たのは正に不覚だったが。
「何か食べたいもの無いか? せっかく二人切りなんだ、奈苗の要望に何でも応えてやるぞ」
「わ、本当ですか? おとーさん料理上手だから楽しみです。何が良いかなぁ、せっかく二人切り何だから豪華に……ふ、二人、切り……」
ぽん、と一気に奈苗の顔が赤く染まった。
言ってから俺も気恥ずかしくなる。
それとなく意識しない様にしていたが改めて言おう。
今この家には俺と奈苗しか居ない。
……いかん、顔が熱くなってきた。
気恥ずかしさを誤魔化す為奈苗にどいて貰い、取り敢えず夕飯の支度を始める事にした。
「で、奈苗。何を食べたい?」
「そうですね……あっ」
「うん?」
「おとーさんの思い出の料理が食べたいです!」
「思い出の料理?」
「おとーさんに取って懐かしい味って言うか、お袋の味みたいなものを食べてみたいです!」
拳を握り締めてむふー、と鼻息荒く宣言する奈苗。
鮮やかな緑がほんのり交じる髪の毛を指で梳きながら、俺は記憶の引き出しをひっくり返していた。
——お袋の味、ってか。
正直記憶に無い。
共働きだった両親は仕事が忙しいらしく、顔を合わせて食卓を囲むのは年に数回しか無かった。
殆ど出来合いの惣菜若しくはコンビニ弁当という食生活。
中学生の頃に飽きて自分で料理を作り始めたが、自分の味のベースは特に無かった様に思う。
故に『お袋の味』なるものを持たないんだが……はてさて、どうしたもんか。
顎に手を当て悩む俺の前で、キラキラと目を輝かせる奈苗。
レディの要望には敏感でないとな。
ふむ、と一つ頷いて俺は食材を取り出す。
豆腐、人参、椎茸、山葵、海苔。
山葵と海苔を薬味と考えれば材料は三つと少ない。
奈苗もどんな料理を作り上げるのか解らずに首をへにゃりと傾げている。
「むーん、おとーさんはこれで何を作るんでしょう」
「簡単な料理だ。それ故に作り手の心が問われる料理でも有る」
先ずは米の様子を見る。
奈苗と居間でまったりする前に米だけは炊いて置いた。
釜を開ければ、ぴんと立つ白米が真珠の様に輝いている。
最高の仕上がりだな。
これならすぐに取り掛かれる。
早速鰹節と昆布で濃いめの出汁を取り布で漉す。
その間に豆腐を約一センチ四方、椎茸と人参は二〜三ミリの歯触りが残る程度に刻んで置く。
微塵切り一歩手前くらいで良い。
次に具材を出汁に投入し煮立てて行く。
火加減に注意し沸騰させないのが重要だ。
火が通ってきたなら醤油、酒、味醂、少々の塩で味を整える。
薄味が好きなら味醂と塩を抜いても良い。
人参に充分火が通ったら少し大きめの茶碗に具と汁を注ぎ、その上に米をよそってやる。
最後に炙った海苔を小さく千切って散らし、山葵を乗せれば出来上がりだ。
出汁の深み、山葵と海苔の香りが絶妙なハーモニーを奏でる一品だ。
レシピは何故か中学校の図書室に有った、某親子喧嘩漫画から拝借した。
あの親子、最近和解したらしいな。
「わぁ、美味しそうです! これがおとーさんの思い出の味なんですか?」
「あぁ。詳しい話は後でしてやるから、先に食ってしまおう」
「はぁーい♪」
茶碗を二つ盆に乗せ、奈苗の先導で居間に戻る。
途中、奈苗が敷居に躓いて倒れたというハプニングも有ったが奈苗のドジはいつもの事なので気にしない。
「大丈夫か、奈苗? 着いたら軟膏塗ってやるから、もうちょっとだけ我慢してくれ」
「うぅっ、ありがとですおとーさん」
過保護?
馬鹿言え、俺は放任主義だ。
その後奈苗に傷が無いか確認して、少し早めの晩御飯と相成った。
育ち盛りの奈苗には物足りないかと思い少し多めに用意していた具と汁が、あっと言う間に奈苗の細い身体に収まった。
食べ終わった奈苗だが、まだまだ余力が有りそうだ。
一人で三合の米を食べた筈なんだが……。
チラッとふくよかな胸に視線を送る。
やはり乳に栄養が行っているのだろうか。
デザートに冷やしたコクワを出してやり、緑茶を飲みながら暫し休憩。
「おとーさんおとーさん」
「ん?」
「さっきの料理、何で思い出の味だったんですか?」
「あー、アレな。俺が初めて作った料理だったんだよ。十三の時だったか」
「ほへぇ〜、十三歳であの料理を」
「因みにルーミアにもまだ食べさせてやってない」
「え?」
「内緒だぞ」
意地の悪い笑みを浮かべて奈苗を見る。
最初はぽかんとしていたが意味を飲み込むと嬉しそうに頷いた。
「内緒ですね」
「二人だけの秘密だ」
「でへへ、何だかドキドキしますね。私とおとーさん二人だけの秘密だなんて」
「バレたらルーミアや諏訪子から説教喰らうだろうな」
「別のドキドキが襲ってきました!?」
きゃぅんと頭を抱えて怯える振りをするが、その瞳は何かを期待する様に俺へ向けられていた。
甘えん坊な奴だ、と苦笑を返し両手で抱き寄せてやる。
嬉々として膝の上に乗ってきた奈苗を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細めた。
本当、犬っぽいな。
そんな風に遊んでいると、不意に奈苗が顔を上げた。
「おとーさんは不思議です」
「不思議?」
「暖かくて優しくて、一緒に居ると胸の奥がぽわぽわするんです。くっ付いてるとぽわぽわがドキドキに変わって、でもそのドキドキは嫌なものじゃ無くって。苦しい様な嬉しい様な、とっても不思議な気分になるんです。今だって、ほら」
奈苗は俺の左手を取ると何の躊躇いも無く、くいっと掌を胸に押し当てる。
むにゅっと柔らかい乳の感触、じんわり広がる体温、そして掌を叩く胸の鼓動が伝わってきた。
「……ね? 凄く速くなってます、心臓。おとーさんと触れ合うだけで、こんなにもドキドキしちゃうんです。それに……」
掴んだ手を少しずらす。
俺の掌に奈苗の胸が触れた。
そのまま指先を這わせ揉み上げる様に手をくねらせた。
気持ち良いのか、奈苗は小さく声を出す。
「んっ……こんな風におとーさんに触られるのを考えただけで、ドキドキが止まらなくなっちゃうんです。本当はいけない事なのかもしれませんけど、もう我慢出来ないんです。おとーさん、私をおとーさんの女にしてください」
ちゅぷっ、ちゅぷっ、と淫靡な水音が室内に響き渡る。
重ねた唇の内、互いの舌が貪り合う様に蠢いている。
唾液を流し込まれた奈苗は、んくんくと白い喉を鳴らした。
俺の胸板に圧され平たく変形した乳房は奈苗がぴくんと跳ねる度、大きくぷるんと揺れ動く。
「ちゅ、んちゅっ、あっ……」
唇を離すと悲しそうな声を上げる。
身体は雌として反応しているのに精神はまだまだ子供の様で、そのアンバランスさが何とも可愛らしい。
乳首はツンと上を向き、秘裂からは充分な量の愛液が漏れ出ている。
肉棒で秘裂をゆっくり擦り上げると、未知の快感に身体をぶるっと震わせた。
「怖く無いか、奈苗」
「……少し」
「出来る限り優しくする」
肉棒を秘裂に宛行い少しずつ腰を沈める。
亀頭が半分程入った辺りで一度動きを止めて、奈苗の様子を窺う。
「行くぞ」
こくりと頷いたのを確認して、俺は一気に奈苗の膣を貫いた。
肉棒の侵入を阻んでいた感覚が途切れ、スムーズに奥へ入り込んだ。
悲痛な叫びが上がるかと思っていたが奈苗は唇を噛み締め、異物が入り込んで来る感覚と響き渡る鈍痛を健気に耐えていた。
腰を動かさない様に配慮しながら上体を倒し、奈苗の唇を吸う。
「良く頑張ったな、偉いぞ」
「……凄く痛かったです……でも、これで私もおとーさん専用になれましたよね」
「あぁ、奈苗は俺の大切な嫁さんだ」
「……でへへ、嬉しくて涙出て来ちゃいました」
目尻に溜まった涙が宝石の様に輝く。
俺はそれを指先で掬う様に払った。
「愛しい嫁さんを泣かせてしまったな」
「責任取って下さいね」
「どうしたら償える?」
「時々で良いです。私も……おとーさんに、抱いて欲しいです」
「奈苗は欲が無いな、もっと俺を困らせても良いんだぞ?」
「じゃあ……いっぱい気持ち良くして下さい♪」
それならと俺は能力を発動させる。
『治癒の軟膏』を肉棒に薄く纏わせ破瓜の痛みを和らげてやる。
スッと痛みが退いていく感覚に、奈苗は少し戸惑いながら見上げてきた。
……奈苗、その視線は止めなさい。
加虐心をそそられるが優しくすると言った手前、乱暴に動く訳にも行かないので再度唇を重ねて誤魔化した。
「んむっ……んはっ、おとーさん、もう動いても平気みたいです」
期待に瞳を潤ませ熱い吐息を漏らす。
導かれる様に、俺は腰を動かしていた。
「ふぁっ!? あっ、おとーさん、おとーさんのが、私の中で動いてますぅっ、んぁ、あっ、あぁんっ、凄いですぅ、おとーさんの、大きくて、中でゴリゴリして、んひぃっ!? や、今気持ち良いとこ、擦れて、ひゃぅんっ、凄いですぅっ」
腰を前後させる度に身体を震わせ、可愛らしい悲鳴を上げる。
両肩に回された手が奥を突くときゅっと握られ、肉棒を抜くと追い掛ける様に腰を浮かせてくる。
初めて抱かれたと言うのに、奈苗は本能的に男を悦ばせる動きを取っていた。
更に俺を興奮させていたのは奈苗が「おとーさん」と呼んでくる事だ。
呼ばれる度に、倒錯的で背徳的な感覚が背筋を撫で上げる。
まるで実の娘を犯している様な気分だ。
やはり諏訪子達と出逢う前、ルーミアにパパと呼んで貰うプレイを控えた事は間違いでは無かった。
やったら間違い無くハマっていたな。
「あぁっ、中でおとーさんのが、おとーさんのが大きくなってますぅ!? こ、こんなの、私のがおとーさんの形になっちゃいますよぉっ」
目を見開いて喘ぐ奈苗。
なら手加減してやろうかと腰を引いたら、がしっと両足を腰に絡めてきた。
そのまま交差した足首に力を入れて、くぃくぃと引き寄せながら腰を合わせてくる。
「いやぁっ、抜いちゃ嫌ですぅっ、おとーさんの、おとーさんので、もっと私を犯して下さいっ、おとーさんに犯されてないとおかしくなっちゃうくらい、私をおとーさんでいっぱいにして下さいっ」
余りに淫らな奈苗の姿に興奮しつつ、俺は僅かな戸惑いを覚えていた。
先程まで処女だったのに何故ここまで淫乱になってしまったのか。
——……血筋か?
一番有り得そうで困る。
ほぼ絶倫状態の俺と年中発情期な淫乱雌蛙こと諏訪子の遺伝子を受け継いでいるのが奈苗だ。
或る意味サラブレッドなのかもしれん。
とすれば、純正だった鼎はどれ程のものだったのだろうか。
鼎の旦那の死因が腹上死で無い事を祈る。
思考を脇道に逸らしながらも腰を振っていると、奈苗の反応はどんどん強くなっていった。
膣から溢れる愛液はその量を増し、上がる嬌声は更に艶めかしく。
釣られて俺の動きも速まり、二人揃って絶頂へ駆け上がる。
「あひっ、ひぃっ、あぁっ、あっあっ、きちゃいますぅ、おとーさんっ、凄いのがきちゃいますぅっ」
「奈苗、中に出すぞ」
「はいっ、中に、中におとーさんの、いっぱいくださ、あっ、んはぁっ、あぁぁぁぁぁんっ!」
一際高く鳴いた奈苗の手に力が籠もる。
肩甲骨の横にガリッと爪が立てられ、肉を抉り取っていく。
それとほぼ同時に精子が弾けた。
「あぎぃっ!? ————っ、ぁ」
身体をピンと張り数度痙攣した奈苗は、不意にガクッと首を垂らした。
初めて迎えた絶頂に意識が耐えられなかった様だ。
尚も子宮にびゅくびゅくと流し込まれる精子を感触に、時折言葉にならない喘ぎ声を漏らしている。
……処女相手に飛ばし過ぎたか?
そんな考えが脳裏を過ぎる。
人間相手は妹紅に続いて二人目だが、最初の時は妹紅も気絶していたしなぁ。
と、意識の無い奈苗の口から何言かが漏れ出ていた。
耳を寄せてみる。
「……おと、さん……もっとぉ……♪」
どうやら夢の中でも犯されているらしい。
これは流石と言って良いのだろうか。
改めて女は強いと認識させられた俺は押し入れから掛け布団を一枚追加で取り出し、風邪を引かない様奈苗の肩に掛けてやった。
立ち上がる際なかなか離してくれなかった事は、明日の朝奈苗を弄るネタにしよう。
寝入る前に、再度能力を使いライフを回復させて置く。
これで明日も元気な奈苗を拝める。
「お休み、奈苗」
伸ばした左腕を枕代わりに貸してやり、俺は瞼を閉じた。