旅立ちの朝。そして噂の正体不明。
空の端が白く染まり始める。
もう数十分も経てば、朝の日差しが山々を照らし出す頃合いだろう。
くっ、と背筋を伸ばせば間接がぱきりと音を立てる。
一日間を置いたとは言え、流石に疲れは抜け切っていなかった。
──能力で身体の疲れが取れても精神の疲れは如何しようも無いのが辛い所だな。
霧雨雑貨店で品を揃え諏訪大社の倉から日持ちしそうな非常食を見繕い、俺の社の管理だ何だを改めて皆にお願いをして、漸く心置無く出発出来るだけの準備が整ったのが三日前。
さて出発と荷物へ腕を伸ばすが、背後から肩を捕まれた。
振り返った先で良い笑顔を浮かべていたのは嫁さん連中だった。
何事かと問う前に担ぎ上げられ、あれよあれよと言う間に離れの座敷へ放り込まれる。
座敷の中には床一面に布団が敷かれていて、ナニをする気かは嫌でも解る。
爛々と目を輝かせて迫り来る嫁さん連中を相手に、昼夜問わずの乱痴気騒ぎが繰り広げられたのは記憶に新しい。
実際一昨日の夜までヤってたからな。
そんな状態なもんだから当然出発は遅れる。
嫁さん連中は足腰が立たず、俺は体力が底を突いた状態だ。
昼過ぎに永琳が様子を見に来てくれなかったら出発はもう二、三日延びていただろう。
因みにフラン達幼女組は輝夜の所に避難……もとい、お泊まり会だ。
手が足りないだろうから、と勇儀や女将が世話を買って出てくれた。
二人が腕を奮い豪勢な食事が出たらしく、テンションは最高潮。
賑やかなムードのまま家路を行くフラン達とは対照的に、俺達は多忙を極めていた。
まず、換気。
続いて洗濯と身仕度。
最後に何も有りませんでしたよー、と装う為の準備。
どうにかこうにか体裁を取り繕い、無事にフラン達をお出迎えるのであった。
……まぁ、そんな事も有りつつ、漸く出発の朝を迎えた訳だ。
「契、忘れ物は無いか? 何か持って行くのを忘れたら戻って来て良いからな?」
「契、お腹空いてない? 途中でお腹空いたら帰って来ても良いんだからね?」
そして今、まさに出発を迎えようかとしている所で掛かる声。
何度も何度も確認、と言うよりは帰って来る口実を付けようと必死に食い下がるのは、諏訪子と神奈子の二柱。
出所が俺への純粋な好意で有るだけに強く言えないのが辛い所か。
「にぃに、おんなのこにやさしくするのはいいけど、たぶらかしたらだめだからね?」
「おとーさん、健康には気を付けてくださいね?」
にこやかに笑みを浮かべているのは妹紅と奈苗。
内容も対照的だが、若干妹紅の笑みから威圧感が漏れ出ているのが恐い。
流石の俺でもそう簡単にフラグは建たんと思うんだが。
「ケイ、気を付けてね。いってらっしゃい」
シンプルな見送りの言葉を口にしたのは、たおやかに笑みを浮かべるルーミア。
閨で付けた、左の鎖骨に映える紫色の痕が艶かしく存在感を放っている。
少し着崩れた小紋が色っぽさを強調していて、今すぐにも抱き締めて布団へダイブしたくなる程に情欲を刺激してくるが、なけなしの精神力を動員してグッと堪えた。
「皆にも宜しくな。それじゃあ、行ってくる」
名残惜しさが募るが、余り長くいても仕方が無い。
両手をぶんぶんと大きく振りながら見送ってくれる奈苗と妹紅に軽く手を上げて応え、背中のリュックサックを背負い直す。
非常食や着替え、多少の路金なんかが入っている為、なかなかの重量だ。
くるりと踵を返せば、期待が音を立てて膨れ上がってきた。
果たしてどんな旅路になるのやら。
「よし、出発するか!」
「おー♪」
「お前はお留守番だ」
「あぁん!?」
「はいはい、抜け駆け禁止だよー」
「お前もだ、こいし」
「やぁん、見付かっちゃったぁ。でもでも、しっかり見付けてくれるお兄さん好き好きー♪」
「ほらこいし、ケイを見送ってあげて?」
「はぁーい。お兄さん、いってらっしゃぁい♪」
いつの間にか隣でスタンバっていた紫を諏訪子に預け、改めて出発する。
背後でルーミアに捕まったこいしが小さく手を振っていた。
悪戯好きな所が目立つが、根は素直で優しい良い子だ。
ちょっとした仕草がとても可愛らしいので、時折ドキッとさせられる事も有る。
まぁ、言ったら調子に乗るから黙って置くが。
当初の予定より若干賑やかな見送りを受けて、俺は郷を後にした。
ぱきり、ぱきり。
落ちた小枝が足元で乾いた音を奏でるのを聴きながら、のんびりと山道を行く。
都へと直接繋がる道が郷には無いので、一度別の村を経由して向かう必要が有る。
が、面倒なので俺や妹紅はこうやって山中をざくざくと横断している。
邪魔くさい藪や木をバキバキへし折り根こそぎ吹き飛ばし、環境保護に真っ向から喧嘩を売りながら進んでいるから、その内勝手に道が出来るかもしれん。
花が付いてる草木は傷付けない様に注意している。
幽香が悲しむからな。
「っと、漸く見えてきたな。朝早くに出て昼近くに到着か」
見慣れた街並みが山の下に広がっている。
道行く人が何事かと驚いているが、茶屋の店員は現れたのが俺だと解るとにこやかに手を振ってくれた。
それを見て、他の人々も警戒を解く。
茶屋は旅人の憩いの場で有ると共に、都や郷の入口で妙な動きをしている奴を警備隊に知らせる役割も担っているのだ。
軽く右手を上げて応え、嘗ての散歩コースを練り歩く。
懐かしい路地を行くと、紫と初めて出逢った場所に行き着いた。
「あぁ、この辺りだったな。紫に飴玉をやったのは」
「成程、ここで望月君が彼女を誑し込んだ訳だね」
「うおぁぁあ!?」
突然背後から掛けられた声にびくっと身体を跳ねさせて振り返ると、藤色の和服を身に纏った不比等がいつもの様に穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
が、僅かに頬の筋肉が吊り上がっているのを見逃さない。
不比等の野郎、俺を脅かして楽しんでるな。
相変わらずと言うべきか、流石は妹紅の父親と言うべきか、どうにも悪戯好きで困る。
ふぅ、と一息吐いて改めて見やると、以前とは違う印象を受けた。
顔の肉付きや袖から覗く腕は以前と余り変わらないが、明らかに違和感が出ている。
「急に出てくるな、心臓に悪い!」
「お、びっくりしたかい? 大成功だね」
「全く、良い年して悪戯な奴だ。……って、おい不比等。また肥えてないか?」
「いやぁ、もうそろそろ冬だからね。寒さに耐える為に少し脂肪を着けておこうと思って」
「熊みたいな理由で肥えるなよ!?」
あっはっは、と朗らかに笑う不比等。
内政に携わる業務が増えたのか、筋肉が落ちて代わりに脂肪が増えたらしい。
それでもそこらの貴族とは違って毎日の筋トレは続けている様だ。
「それはそうと、今日はどうしたんだい? そんな大荷物を抱えて」
「あぁ、最近噂の妖怪寺へ邪魔してみようかと思ってな」
「命蓮寺かい? 確かに望月君の興味を引く話題では有るね。ただ、僕としては先に『あんのうん』の調査を手伝って欲しい所なんだけどね」
「噂の正体不明の奴か。確か、見る人に因って姿形が異なるとか」
「そうらしいね。僕はまだ現物を見ていないから何とも言えないんだけど、ここ一月で一気に目撃情報が増え出してね。怪我を負わされたとか建物を壊されたとか、そう言った実害は無いのだけれど、警備隊は妖怪が都を跋扈しているのは気に入らないらしくて血眼になって捜査を続けているよ」
そう言って苦笑いする不比等。
どうやら不比等自身は、その妖怪の捜索に乗り気では無いらしい。
実害が無いのもそうだが、陰陽師が力を着け政に口出しする様になる事を危惧しているからだろうな。
治安維持も重要な役目だが素人が国を回すには些か荷が重いだろう。
「妙な色気を出さず自分の職務に忠実な間は良いんだがな」
「力を持てば振り翳したくなるのは誰も同じだよ。望月君も可愛らしい女の子が居たらお近付きになりたくなるんじゃないかな?」
「成程、人の業は深いな……」
「それで納得する辺り望月君も業深いよね。それはそうと望月君」
「ん?」
「先程からそこの中空でぷかぷか浮かんでいるアレは……何だろうね?」
何とも言えない笑みを浮かべて困惑を伝えてくる不比等が指差した先、俺の背後からやや上空、銀色に鈍く輝く円盤が浮いていた。
「ア、アダムスキー型……?」
「成程、望月君にはアレが『ゆーふぉー』に見えている訳か」
「……あぁ、つまりアレが噂の妖怪か?」
正しく『正体不明』 だな。
名は体を表すと言うがアレは幾ら何でも判り易過ぎるだろう。
謎のUFOはふらふらと左右に揺れながら此方を窺う様に飛行している。
一度は驚きの余り呆けてしまったが、正体不明なれば姿を明かしてみたくなるのが人の性というもの。
俺に対する効果のみを能力で打ち消し、その本体を拝ませて貰うとしよう。
「そう言えば不比等は何に見えているんだ?」
「僕かい? そうだね、何と評したら良いものか……黒い粘性の泡が弾けては生まれ、生まれては弾けを繰り返しているその中央で紫銀の眼球がじっと此方を見詰めているね」
「えらい冒涜的なイメージだな!? それなら不比等も一緒に打ち消してやるか」
「お願いしても良いかい? いやぁ、流石に視覚的に厳しくてねぇ。幾ら向こうに『危害を加える意志が無い』としても、ね」
「……何やら含みが有る響きだな不比等? まぁ良いか、掛けるぞ。無符『この世界にあらず』」
霧が晴れる様にUFOの輪郭が空気に融けて行き、その中から新たな輪郭が生まれる。
黒髪のショート、黒い草臥れた貫頭衣、背中には赤い鎌の様な三枚の右翼と青い矢印の様な三枚の左翼。
僅かに怯えを滲ませた深紅の瞳が、恐る恐るといった様子で向けられている。
「オゥ……」
「これはまた望月君好みの美幼女だね。若干反応が怪しくなってるけど大丈夫かい?」
「何の心配も要らん。幼女が笑顔でいられる様に世界を正すのが俺の使命だからな」
「うん、完全に駄目だね」
後ろで不比等が苦笑しているが、至って俺は真面目だ。
早速謎の美幼女とお近付きになるべく一歩踏み出そうとした刹那、遥か後方から野太い声が飛んできた。
怒号と呼べるそれに美幼女は喉を小さくひぃ、と鳴らしてあたふたと空を逃げていく。
振り返れば一拍遅れてドタドタと品位の無い足音と共に、品位の無い身体を揺らしてつるりと禿げ上がった頭に烏帽子を乗せた男が手下らしき男を数人引き連れて駆けて来た。
「見付けたぞ忌々しい下等妖怪が! 今日こそ息の根を止めてくれる!」
成程、事情は解った。
アレが巷で有名な陰陽師の一行だろう。
確かにあの風体では目立つだろうな。
「さて、今日から市井には新しい噂が流れる事になるね。妖怪を保護する神が陰陽師を足蹴にした、と」
「人聞き悪いだろ、不比等」
「実は美幼女を篭絡する『ろりこん』の仕業」
「なお悪いわ!」
っと、不比等と遊んでいたら少し距離が空いてしまった。
急いで後を追わないとな。
行ってらっしゃい、と送り出してくれた不比等の声を背中に受け足を前に出す。
一歩踏み出し身体を前に、二歩踏み出し身体を先に、三歩踏み出し身体を空に。
目指す美幼女を追って細い路地へ。
彼女は路地を使って振り切ろうとしていた様だが陰陽師のデブ夫(仮称)はなかなかに機敏らしく、逆に袋小路へと追いやられてしまっていた。
小癪なデブ夫め。
「ハァーッハッハッハァー、追い詰めたぞ正体不明の化物め!」
「ひぅっ……!」
一体何に見えているのかは不明だが、そこまで恐々とするものには見えていないらしい。
それも有る意味好都合か。
そんな事も考えつつ、飛び乗った屋根を駆け抜け右足を蹴る。
カン、と高い音を響かせて俺の身体が宙に浮く。
半身を捻って美幼女を庇う様に着地すると、デブ夫一行は驚きと共に身構えた。
「なっ、何奴だ!」
「いやなに、ちょいとこの妖怪の身柄は此方で預からせて貰おうと思ってな」
「何ぃ? そこの下等妖怪は都を荒らす害悪ぞ! なればこの儂、高宮直衛継実が退治してやろうと言うのだ! それを邪魔立てするとは貴様も悪鬼羅刹の類いか? だが陰陽師にして男継実、如何な邪悪にも屈せず都の平和と我が身の平穏と出世の為、負けはせぬぞ!」
「いや、そういう訳じゃないんだが」
妙な気迫に思わず足を退きそうになる。
この男、自分の欲望には素直らしいが強ち間違った事は言っていない分厄介だ。
とは言え美幼女を差し出すつもりは毛頭無い。
全身に意識を巡らせ体温を外に放出する感じで、少しだけ神力を解放してやる。
「言ったろ? この妖怪の身柄は此方で預かる、と」
「ぬぅ、この神力は……? だが、其だけの神力を持ちながら名乗りを上げぬ神となれば尚更退く訳にも行かぬ! 仮に貴殿が禍神だとして、みすみす陰謀を見過ごしたと有れば民達に申し訳が立たん! 何より儂の出世に響く!」
僅かに身を引くが豪胆にも気を張り直すデブ夫。
何か知らんが格好良いなデブ夫!
実は案外真面な奴だったりしてな。
まぁ、そうは言っても退かないなら此方としても強硬な手に訴えなければならない。
俄に空気が張り積めて行くが、漸く追い付いた不比等がそれを弛ませた。
「まぁまぁ、ご両人。そう熱り立っても仕方無いよ」
「む、藤原殿か? ……成程、では貴殿が噂の」
不比等に声を掛けられたデブ夫は僅かな思考の後、構えを解いて俺を珍しげに眺めてきた。
何やら会話が通じそうな雰囲気になったのは良いんだが『噂の』って何だ。
後で問い質してみるか。
「その噂は知らないが、俺の名は望月契。そっちの郷で守神をやってる」
「申し遅れた、儂は高宮直衛継実。見ての通り陰陽師だ」
「高宮殿、彼は無害な妖怪や友好的な妖怪を保護して無用な争いを生まぬ様に尽力しているのさ。ここは僕の顔を立てると思って譲っては貰えないかい?」
「……藤原殿が言うのなら、そうなのだろう。望月の神よ、知らぬとは言え無礼を働いた事を謝罪しよう」
俺に向き直り頭を下げるデブ夫もとい継実。
口調は尊大だがそれが妙に堂に入っていて違和感が無い。
まぁ、俺も諏訪子や神奈子相手に適当な事を言っていたからな。
そう考えると存外気が合うかもしれん。
継実はじろりと美幼女へ視線を向け、詰まらなそうにフンと鼻を鳴らす。
「その面妖な火玉は望月の神に任せるとしよう。また新たな妖怪を探さねばな……」
継実が面倒臭そうに左手を振ると、手下らしき男達の姿が少量の煙と共に消え失せる。
何処へ消えたのかと目を凝らす。
と、煙が晴れた先にひらひらと漂う小さな紙を見付けた。
「人の形の紙……?」
「陰陽術、御霊使役。基本中の基本にして、陰陽の華と言える術だね」
「ふん。この様な外法等使わずに居るのが一番良いのだ」
「……そう言えばさっき出世の為とか言ってたが、出世して如何するんだ?」
「知れた事を。出世して得た金で故郷の村に良い医者を定住させ、皆が病に苦しまぬ様尽力する為よ」
失礼する、と言葉も少なく颯爽と踵を翻す継実。
暫しぽかんと呆けて、面白そうに笑いを堪えている不比等に探る様に目を向ける。
「おい、何だったんだアレ」
「高宮殿は数少ない『いけめん』陰陽師だからね。彼の様に高潔で扱い易い陰陽師ばかりなら良いんだけど」
「確かに判り易いが……イケメンか?」
「行動原理がね。顔は望月君の方が『はんさむ』だから安心して良いよ?」
「何で語尾上げて疑問形にしたんだよ!?」
「まぁまぁ、後ろで女の子が困ってるよ?」
ぬぅ、年の功とでも言うのか不比等相手はどうも相性が悪い。
妙にペースを狂わされっ放しだ。
とは言え不比等の言う通り、美幼女を放って置くのも忍びない。
「ひぅっ……」
振り向くと美幼女はびくりと身体を震わせてた。
その瞳には怯えと涙が浮かんでいる。
紫や萃香とは違って嗜虐心よりも保護欲が湧いてくる表情だ。
余り怖がらせるのは得策じゃなさそうだな。
そう考え、俺は屈み込んで美幼女と視線の高さを合わせる。
「大丈夫だったか?」
「ぅ……」
「怪我してないか?」
「……うん」
「そうか、良かった。もう大丈夫だからな」
穏やかにゆっくりと語り掛ける。
出来る限り優しい笑みを見せ、警戒心と混乱を解していく。
俺が危害を加えないと解ったのか、幾分美幼女の表情が柔らかくなった。
「初めまして。俺は望月契、しがない神だ。君の名前を教えてくれないか?」
「ぁ、えっと……その……」
「焦らなくても大丈夫だ。ゆっくりで良い」
「……ぅ、ぁ、あの……」
俺の顔を見ては目を伏せ、また見ては伏せ。
それを数度繰り返しながら、美幼女はゆっくりと言葉を紡ぎ出した。
「わ……わたし、封獣、ぬえ」
「ぬえ、か。可愛い名前だな」
「わ、わたし……」
「うん?」
「その……か、かわいくなんか、ない……」
切なげな声と共に、俯いてしまう。
前髪がはらりと目元を覆い隠して、ぬえの表情を消していく。
「いいや。ぬえは可愛いさ」
細い顎に指を這わせ、くいと持ち上げる。
ぽかんとした顔が露になり、深紅の瞳が俺を映し出した。
息が掛かる程の距離まで顔を近付け、じっと見詰め続ける。
「ぁ……」
頬に朱が差す。
まだ見詰める。
「ゃ、ぇと……」
視線をあちらこちらに彷徨わせている。
まだ見詰める。
「……はぅ」
恥ずかしさと照れ臭さが頂点に達したらしく、瞳がぐらぐらと揺れ始めた。
ここら辺が潮時か。
何とも愛らしい反応を見せるぬえに柔らかく微笑み掛け、顎に這わせた指を離す。
一瞬寂しそうに目尻を下げたのを見て内心でニヤニヤしながら、両手で頬を優しく包み込む様に捕まえた。
「可愛いよ、ぬえ」
「ぅ……」
茹で蛸の様に顔を真っ赤にしたぬえの頭を軽く撫でてミッションコンプリートだ。
これでまた一人愛らしい美幼女と仲良くなれたな。
「幼女相手でも全力で堕としに掛かるとは……これが鬼畜眼鏡と呼ばれる所以か。いやはや、流石は望月君だね。よっ、おにちく!」
こら不比等、煩いぞ!