──退屈。
それが私の心境を表すのに最も適していた言葉だった。
研究室と自宅を往復し、週に一度教え子の家で家庭教師を勤める、そんな毎日。
新しい刺激も無く変わり映えしない毎日。
研究室からの帰り道、私は偶々立ち寄った質屋で望遠鏡を買った。
初めはただの思い付きだった。
これまでもそうだった様に、すぐに飽きる暇潰しの一環。
それでもぼんやりと日々を過ごすよりは良いかと、私は地上を観察し始めた。
何気なく覗き込んだ望遠鏡の先、一組のカップルが映っている。
金の髪の幼女を組み伏せる、若い男。
ロリコンか、と呆れと侮蔑を含んだ視線を向けていると、二人は体位を変えた。
幼女が男に跨がり腰を振る、騎乗位。
月明かりに男の顔が照らし出された瞬間、私は脳の神経が焼き切れる程の衝撃を受けた。
眼鏡を掛けた、二十歳手前の男。
取り立てて美形という訳でも無いのに、彼の容姿は私の心を掴んで離さない。
特に私が惹き付けられたのは、仄暗い黒を宿した瞳。
彼が腰を振る度に、幼女は潮を噴きながらはしたなく絶頂する。
倒錯的な光景に私の身体はすっかり中てられ、雌の匂いを放ち始めていた。
──なんで、こんなっ。
排泄の為以外に使われる事の無かった女性器がヒクヒクといやらしく動き、猥雑な涎を垂らし始めていた。
むず痒い様な、もどかしい様な。
今まで感じた事の無い疼きが身体を苛んでいた。
望遠鏡を覗き込んでいた私の右手が知らず知らずの内に股間へ伸びる。
くちゅり。
スカートの上からでも確かに聞こえた水音に、私は驚きを隠せなかった。
──濡れてる……?
気付けば下着をぐっしょりと濡らして、彼と幼女の痴態を眺めていた。
幼女の身体が一際大きく跳ね、臍の下辺りがぽっこりと淫らに膨らみ始める。
彼が男根を抜くと、ぶびゅる、といった風に幼女の膣から大量の精液が溢れ出た。
精液が流れ出るに従い、幼女のお腹も萎んでいく。
私はその精液の量と濃さ、それと彼の凶悪な肉棒に意識を奪われていた。
──嘘、あんなに大きなのが幼女の中に入っていたの!?
医学書に載っていたイラストとはまるで違う男根。
充血し太く膨れ上がり、月光に照らされぬらぬらと妖しい光を放っている。
目測でも二十cmを数える長さがあり、幼子の手首の様に太い。
それを愛おしげに舐める幼女。
舌が先端に触れる度、びくんと跳ね上がる男根。
思わず生唾を飲み込んだ。
再び股間に伸びた指が、今度はスカートの中へ進む。
──駄目よ、こんな、いやらしい……っ。
自分の思いとは裏腹に指は下着の上から割れ目を探り当てる。
指先がなぞり上げた瞬間、私の身体に電撃が走る。
「ひぐぅっ!?」
余りに強い快楽。
生まれて初めての自慰に私は感動した。
気持ち良い。
こんなに気持ち良い事があったのか。
彼を眺めながら秘所を弄る。
ただそれだけの事が、何物にも代え難い素晴らしい事に思えた。
貪欲な指先は下着を下ろして、直に秘所を弄る。
「っぁ、んっ、んくっ」
声が漏れそうになるのを必死に堪え、迫り来る快感の波に身を委ねる。
くちゅりくちゅり、と淫らな水音が部屋中に響く。
不意に指先がクリトリスに触れる。
「──っぎぃ、あ、っあ!」
想像を遥かに超えた快感が身体を貫き、私の身体が大きく跳ねる。
初めて迎えた絶頂に全身の力が抜け、その場に座り込んだ。
秘所からはチョロチョロと尿が漏れる。
それさえも快感になり、私は暫くの間絶頂の余韻に酔いしれていた。
それから毎日、私は望遠鏡で彼の姿を眺めながら自慰をする事に耽っていた。
研究室から真っ直ぐ帰り、朝が来るまで絶頂を繰り返す。
だが、私の身体は段々指では物足りなく感じる様になった。
目に映るのは彼の逞しい男根。
あれで私を貫いて、嘔吐するまで激しく打ち付け、子宮が破裂するまで中出しして欲しい。
「んぁっ、あっ、ふぁぁっ、あはぁ」
もう声も抑えられない。
いつの間にか私の秘所は指を三本もくわえ込む卑猥な口となっていた。
地上では幼女がもう一人増え、未熟な彼女達の中へ彼は何度も精液を流し込む。
まるでゼリーの様に濃厚な精液が滴り落ち床一面を白く染めていた。
──欲しい。私も彼に抱いて欲しい。
彼女達は彼に激しく貫かれ、女としての悦びをその幼い顔に浮かべている。
余程彼に愛されているのだろう、見ているだけで嫉妬や羨望といった感情が心の底から上がってくる。
名前も知らない彼に、いつしか私は恋をしていた。
それも、肉欲から始まる恋を。
私は彼の子を孕む為に産まれてきたに違いない、そう勘違いする程に恋い焦がれていた。
早く彼に抱いて欲しい。
早く彼と心まで溶け合いたい。
早く彼の子を孕みたい。
恋は盲目と言うが、恋は麻薬と言った方が正しいかもしれない。
最初にその言葉を考えた人は本当の恋を味わった事が無いのだろう。
彼を想うだけで脳が痺れ、彼を見ていない時は心が安定を失い、彼を手に入れようと狂乱に陥る。
これが麻薬で無いなら何だと言うのか。
「ふぁっ、あっあっ、あぁっ、はぁん」
片手では追い付かず右手で秘所を弄り左手で乳首をこねる。
これが彼の手だったら。
そう考えただけで脊髄を駆け上がる快楽が倍増され、止め処なく愛液が噴き出る。
何度目かの絶頂に身体を震わせ、虚ろな瞳で彼を見つめる。
月明かりに照らされた彼の横顔が愛しい。
行為に没頭する私は、もう彼以外の事は何も考えられなくなっていた。
そして──それは起こった。
この日も素早く帰り支度を終えそそくさと研究室を後にした私と入れ違いに、偶々近くまで来た教え子が私の研究室を訪れた。
せっかく遊びに来たのに私は居らず、暇を持て余した教え子は机の上に置かれた小瓶を見つけた。
喉が渇いていた教え子は何の警戒もせずにそれを飲み下す。
元々人体に悪影響を与える物は厳重に保管し、遊び心で作った栄養剤やビタミン剤は机に置いておく私の癖を知っていた教え子。
この時も新しいジュースか何かだと思ったに違いない。
だがそれは、余りに惚けていた私がしまい忘れた禁忌の秘薬。
何の躊躇いも無くそれを飲み干した教え子は穢れた存在として放逐される事になる。
教え子が放逐された場所は、地上。
私が焦がれながらも辿り着けなかった、彼の住む地上。
私も禁忌の秘薬の管理責任を問われ、研究室に軟禁状態となった。
教え子と、彼との擬似的な情事を取り上げられた私は暫くの間抜け殻の様な有り様だったと、人は言う。