八幡と平塚先生がねっちょり。それだけ。
 

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 深夜のテンションで書いてしまいました。
 告白シーンを書けて満足しました。(ニッコリ)


生徒を犯したんだが、私の人生は間違ってないよな?

 

 私、平塚静、27歳。

 職務は教職、彼氏絶賛募集中だ。

 いきなりで悪いがここに結論を述べる。

 

 私は生徒を犯した。

 否、犯している。

 

 現在進行形でだ。

 

 困惑するだろう。

 その表現、正しく正解。

 君が一般人の模範生を誇るに相応しい確たる証しだ。

 

 物事には順序がある。

 言い訳させて貰えるなら、私が教師という道を踏み外し、一生徒を襲ってしまったのも致し方ないと、そう言い訳させてもらいたい。

 

 私は疲れていたのだ。

 教師という職に。

 

 回収した生徒達のノートチェックに小テストの丸つけ採点。一クラスごとの授業進行の把握、授業準備。

 生活指導も担当しているため、枚挙を上げれば暇がない。

 

 人間関係もまた一つだ。

 

 職場という環境である以上、先生同士、皆仲がいいわけではない。

 少年マンガの影響を受けすぎた弊害か。

 私も特別親しい友人を職員に持ち合わせてはいなかった。

 自身がそれなりの美人という自負はあった。

 バイクなどの趣味も合わせればクールな大人。羨望を受けるような女らしさを知らしめていたはずだ。

 事実、同僚や後輩からは尊敬された覚えがある。

 

 しかし。

 だというのにだ。

 

 同僚の男性教諭達は何一つなびく様子はない。 

 皆無であった。

 

 皆一様に朗らかながらも他人行儀な挨拶を交わせば、自身の仕事に取り組んでいく。

 会話はするが、そこに男女の匂いはない。

 

 男性に限らず、皆自分の仕事に必死だった。

 自分のことで手一杯なのだ。

 

 私も同様だ。

 格好いい大人な女性を匂わせている一方、仕事がテキパキ出来る訳ではない。

 

「平塚さん。これまだですか?

 回収する私の方も期限がありますので、そろそろ出してもらわないと困るんですが。」

「ああ、はい、すいません。

 何分授業準備やら生活指導の方で時間を取られてしまって。

 すぐに提出します。」

「じゃあお願いしますよ?」

 何か仕事が滞り、他の先生方に迷惑かければ注意は受ける。

 そんなことは度々だ。

「平塚君。

 あの生徒、度々問題を起こしてないかい?

 前科のある生徒にはもう少し厳しくするなり、指導を工夫するなりやってくれないか。

 でないと、またトラブルを起こすよ?」

「それはわかってるんですが、あまり問い詰めすぎると、かえって逆効果かと思いまして。」

「だとしても、指導が利いてないのは事実だ。

 君のやり方は尊重するが、生活指導を担当している以上役目は果たすように。」

「は、はい。すいません。」

 

 こんなはずじゃない。

 自分はもっとできたはずなのでは。

 

 心の何処かに居座っていた理想の私はどんどん砕かれていき、出来ると思っていたことが意外に出来ない、そんな現実を認識せざるを得なくなっていた。

 

 つまりは私は、主人公ではないということだ。

 

 出来ない自分と注意する周囲。

 そんな2つの壁が私を挟んでいく。

 

「平塚さん。

 あの新任さん、困ってるみたいよ?

 同じ国語科だし、先輩でもあるんだから相談になってあげてくれないかしら?」

「そうですね。

 だいぶ煮詰まっているようですし、ちょっと顔色伺ってきます。」

「お願いね。

 今度からはもうちょっと早めに助けてあげて。

 貴女ももう立派な先輩教師なんだから。

 後輩教師を育てるのも先輩教師の務めよ?」

「……はい、わかりました。」

 

 周囲はいつも正しい。

 だけれど。

 

「…………」

 直そうと思えど直したいと努力しようと、私は万能ではなく、必ず他の方面で綻びが出てしまっていた。

 そしてまた諫言を受けるエンドレス。

 

「平塚先生、大丈夫ですか?」

「え、ええ、大丈夫です。お構い無く。」

「そうですか。

 まぁ、それならいいんですけど、お体には気をつけてくださいね。」

 そう言って、私を気遣った同僚はさっさと私の元を去っていき、自身の仕事に取りかかる。

「………」

 

 いつからだろうか。

 人の優しさ。

 それは尊いもののはずなのに、私にはその優しさがわからなくなった。

 

 頭痛がする。

 それに近いチリチリとした苛立ちが、慢性的に心を蝕んでいった。

 

 そんな時にだ。

「あ、ども。お疲れ様です、平塚先生。」

 そんな時に、顔を合わせたのが彼であった。

 

「……ん?

 なんだ、比企谷か。部活はもう終わりか?」

「ええ。

 今日も来やしない依頼人を待って終わりです。

 売れない眼鏡屋や花屋の受付ですかね。

 鬱への一歩を歩んでる気分で、いい社会経験になってますよ。」

「活動を鑑みるに、依頼人が来ないのは生徒の皆が元気な証拠じゃないか。

 つまりは、皆各々の青春をしっかり謳歌しているといことに他ならない。

 健全な我が校風の在り様に君も喜びたまえ。」

「カップルを見る度に殺意を振り撒く人がそれを言うとは、公務員の鏡ですね。

 まるで響きません。

 言葉に違和感が張り付いているみたいです。」

「おっと、耳元にハエが。

 すまない、もう一度私の目を見て言ってくれないか?」

「マジすいませんでした。」

 シャッ、と見事なお辞儀をかます。

 腰の角度90度。

 

 彼の文句の付け所のない低身低頭に、「全く」と、ため息が零れた。

 

「あ、これ、部室の鍵です。」

 彼は私に鍵を手渡す。

 おや?

 

「いつもはあの二人なのに、今日はお前とは珍しいな。」

「まぁ、今日はあの二人にも用事があったようで。

 暇な俺が代わりにということです。」

 なるほど。

 納得だ。

 話題を振っておきながら話題にもならない内容に私は内心苦笑してしまう。

 

 チラリと見れば書類の束。

 仕事もまだ残っている。

 「ご苦労さん」の一言を言って会話を切ろうとするが、意外や意外、「それに……」と彼は言葉を紡いだ。

「えーと、まぁ、また先生とラーメンでも食べに行ければなと思いまして。」

「ら、ラーメンか?」

「ええ。

 以前先生と食べにいった時、予想外にも美味しかったもので。」

 

 思い出せば、彼と食べに行ったのは随分前だ。

 しかしデスクの上には仕事の束。

 どうするべきか、とやや沈黙して悩んでいると、再び彼から声がかかった。

 

「でも、今日は止めておいたほうがいいみたいですね。」

 

 見れば、彼は濁った瞳をこちらに向けていた。

「なんか先生、疲れてるようですし。」

「ほう。

 比企谷、お前には私が疲れてるように見えるのか?」

「ま、まぁ何となくです。

 断言なんてできませんけど、少なくともその書類の束を見たら、うげってなりますよ。」

「ははは。

 そうだな。これを見たら誰でも察するか。

 仕事が残ってるのは事実だよ。」

「なら、先生の邪魔をするわけにはいかないです。

 そもそも、生徒が先生に食事を誘うこと自体、下手すりゃ案件ものですから。

 むしろ俺の場合だと、俺が先生にがっついてると噂されて引かれて、白い目を向けられるまである。」

「相変わらずの卑屈だな、君は。」

 呆れ半分、笑い半分。

 そんな笑いを漏らす私に、彼は卑屈げな笑みと、やれやれと言いたげな身振りで返す。

 様になっているのかいないのか、どこかぎこちない感じが否めない。 

 俗に言う、コミュ障というやつか。

 

 仕方のないやつだ、と小さく息をつく。

 

 そして話を打ち切るように、比企谷は一歩下がると、

「え、ええと、では、先生。」

 

 私は顔を上げる。

 すると彼の目と視線がかち合った。

 

「その、学生の俺が言うのも何ですが、えと、無理はしないよう気をつけてください。

 ……それじゃ。」

 

 別れの挨拶とともに、彼は扉へと手をかけた。

 彼は出ていく。

 

「…………」

 

 すかさず私は待ったをかける。

 がしり、と彼の腕を捕まえた。

 

「まぁ、待ちたまえ。」

 

 生意気なやつだ。

 

「え?」

「私はまだ返事を返していない。

 だというのに君は返事を待たずに、もう帰ろうというのかね?」

「だ、だけど平塚先生。

 先生はまだ仕事が残っているのでは……」

「いけないな、比企谷、それはいけない。

 マナー違反だ。

 男が女を食事に誘ったんだ。

 ならば、最後まで責任は果たすべき。

 拒否を恐れてやっぱいいよ、なんて譲ってしまうのは男としてやってはならん。」

 

 彼は相変わらずの引き顔で、次々投げ掛ける私の言葉にとても困惑していた。

 だが、止まる気はない。

「最近の草食系男子はこれだから全く。

 引き際をわきまえるのは賢いが、及び腰とは訳が違うのだ。

 押すなら押す。

 引くなら引く。

 それだけだ。

 とにかく、いいな?」

「いや、何がですか?」

「人の話は最後まで聞きたまえということだ。」

 腕を組んで、人差し指を立てる。

「は、はぁ。」

 うん、いいな。

 この導いたという感じ。

 

 中々の自身の先生ぶりに、気分がよかった。

 回りを見渡し、コショコショと声をひそめて彼に囁く。

「よし、比企谷。

 ラーメン食いに行くぞ。」

「残業どうすんですか?」

「そんなもん明日でいいっ。

 私は今ラーメンが食いたいんだ。」

 

 いつからだろうか。

 私は人の優しさがわからなくなった。

 いつの間にか、その温もりの大切さを忘れていた。

 この仕事がブラックなのかどうかはわからない。

 だけれど、無意識にも私は追いやられていたのだ。

 

 多忙な日々と自身の不出来さはこんなにも自分を追い詰めるものなのか。

 

『学生の俺が言うのも何ですが、まぁ、無理はしないよう気をつけてくださいよ。』

 

 鼻奥がツンとする。

 人の言葉に、目頭が熱くなったのはいつぶりだ?

 何故彼の言葉なのか、私にはわからない。

 

 彼の瞳は濁っている。

 だけれど、比企谷の声は確かに、私への気遣いで満ちていた。

 それだけで充分だった。

 

「ほらほら、行くぞ比企谷!

 ラーメンはこの冬時の夕方こそが食い時なのだ。

 食べ時を逃してはならんぞっ。」

 ニッ、と笑う。

 精一杯、私はいつも自分を表につくる。

 生徒の前では、比企谷の前では、いつもの私でいたい。

「それで後で後悔して、お前のせいだとか言って俺のせいにするまでがセットですね。

 わかります。

 ホント、あの時やっとけばとか後悔しても知りませんよ?」

「ええい、うるさいうるさいっ。

 明日は幸い土曜日だ。何とでもなるっ。

 だから行くぞっ!!」

 

 私は彼の背中を押して、職員室を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその日、私は比企谷と夜のベットにダイブした。

 

 いい話のところすまない。

 

 だがこれは事実なのだ。

 途中、「明日は土曜日だ」とか言って愚痴を聞いてもらうために家に呼んだり、酒に溺れて、彼の気遣いにたまらず勢いで襲ってしまったりなど、紆余曲折はたくさんあるがそれは重要じゃない。

 

 重要なのは、比企谷に抱きついて寝てしまっている。

 この一点だ。

 

 いや、たまたま一緒に寝てしまっただけ。

 私と比企谷には何もない。

 ガバリ、と私は上体を起こす。

 

「…………」

 

 素っ裸だ。

 男らしい胸板が、比企谷の上体が、私の視界を埋める。

 そして気づく。

 

 私も彼同様、布一枚まとっていない、まさに生まれたて赤子だった。

 

 まだ大丈夫だ。

 焦る時ではない。

 

 フッ、息をつき冷静さを取り戻す。

 

 ただ何かの間違いで裸になってしまっただけだ。

 アルコール摂取して体が暑くなったのだろうと、私は簡単に予想がつく。

 

 なんと簡単な解なことか。

 たとえ抱きついてとしても、添い寝程度だ。

 まだ大丈夫。

 不安などどこにもない。

 

 納得の答えに私は余裕の笑みを取り戻し、改めて自分を見直した。

 

 そして彼の胸板が目に入り、私は改めて気づかされる。

 

「………」

 

 横から抱きつく?

 生易しい。

 私は完全に彼に股がって抱きついていた。

 

 彼は仰向け。

 そして私は彼にのしかかるように、べったりと抱きついていたのだ。

 母猿に抱きつく猿の子供。

 私は比企谷の胸板を枕にしていた。

 

 まだ大丈夫。

 まだ大丈夫。

 まだ大丈夫。

 

 私の目がキャンディのようにグルグルする。

 焦る時じゃない。

 たとえ際どい体勢であろうと、一線を越えたことにはならない。

 そう。

 ならないのだ、と拳を力強く握ると同時。

 

 ズキリ。

 

 下腹部の内側に痛みが走る。

 

「………え。」

 

 皮と皮が擦れたような、そんな摩擦だ。

 恐る恐ると、手を近づける。

 そしてヌルリ。

 サッ、と股間に視線を向けた。

 

 納豆をこねたヌルヌルさ。 

 されどもヨダレで乾いたようなカピカピさが伴った、ボーボーのジャングルがこんにちわである。

 

 そのカピカピさとボーボーさはいつもの2倍。

 当然だ。

 私の分だけではないのだからな。

 

 そんな蜘蛛の巣がこびりついたジャングル地帯に絶句するも、それだけで終わらなかった。

 私は口をあんぐり。

 目をひん剥きそうだ。

 そんな絶景が私の股ぐらに広がっていた。

 

 ボーボーの奥地には一つのパイプ。

 新たな建造物の増設だ。

 否、彼の建造物が私の建造物に連結していたのだ。

 まさに人工物であり、私と彼の物理的な絆に他ならない。

 

 ……つまりはだ。

 

 

 

 私のナマコと比企谷のイモムシ。

 二匹は仲良く連結していた。

 

 証明はここに完了した。

 

 疑う余地など、どこにも許されていなかったのだ。

 

 

 そして冒頭に戻る。

 

 お分かり頂けたであろうか?

 

 私は教師としてやってはならない、禁断の道を歩んでしまったのだ。

 

 教師生命は風前の灯火。

 

 後戻りなど出来る筈がない。

 通行禁止の警戒テープで封鎖された通り道を大型トラクターで突っ切ってしまったのだ。

 残る選択肢はただ一つ。

 

 お縄について警官に挟まれ、ドナドナとされていくしかない。

 パシャパシャと光るカメラの前で一言、

 「酒の勢いでやった。」

 など言った暁には、世間の皆様からぶったたきの嵐である。

 奴隷への鞭の如くの容赦のなさだろう。

 そんな非難のリンチが目に浮かび、髪の毛をくしゃくしゃに頭を抱えた。

 

 すると、ズムリ。

 股間に新たなる違和感を覚えた。

 何だ、と確認すると、

「……っ!」

 

 間違いない、と確信する。

 

 俗に聞く、朝立ちだ。

 

 こんなにも私が将来を悩ませているというのに。

 この男ときたら、股間の汚いイモムシをモリモリと成長させているのだ。

 

 なんてやつだ。

 そう思わずにはいられない。

 私の暗のい将来性など知ったことか、と嘲っているようでならない。

 

 しかしそんな私など構わないとばかり。

 彼のその筋肉質なイモムシはムクムクとその身を膨張させ、私の股間を突き上げる。

「ひ、比企谷、お前っ……」

 股ぐらが熱い。

 モコモコと盛り上がる、熱をもったイモムシの感触に、

「う、う……あぁぁっ」

 と、声が漏れでてしまう。

 これはダメだ。

 声を抑えようと股間に力を入れるも、だがしかしと上手く力が入らない。

 内股になって太ももを挟もうにも、彼の体が邪魔するのだ。

 私はキッ、と彼を睨み付ける。

 

 彼は今だ眠っている。

 気だるげな眠り顔だ。

 下のイモムシはこんなにも早起きで、活動的だというのに。

 暢気な寝顔に私は呆れるが、しかし、

「……ん?」

 ちょっと待てと、私は違和感に気付く。

 

 私の瞳は彼の顔。

 

 違和感を覚えずにはいられない。

 

 んんん?と、顔を更に近づける。

 

「…………スー………スー……」

 

 規則的な呼吸。

 しかしその呼吸はどこかつくられているような気がしてならない。

 

「……比企谷、お前起きてるだろう?」

 ドキリと、ばかりに彼のイモムシがのけ反り、私の股間をえぐった。

 その反動とばかりに、私の口から、

「んあぁぁっ。」

 と声が漏れ出て飛んでいく。

 な、なんて声を出させるのか。

 許せん、とばかりに更に睨めば、彼の瞼はうっすらと開いていた。

 

 確信した。

 

「おい、比企谷っ。

 何狸寝入りをしているっ。」

 すかさず彼は瞼を閉じた。

「…………」

「まだ白を切る気かっ。

 早くおきたまえっ。

 気持ちのいい、ビンタの目覚ましでも食らいたいかっ。」

「…………ぐー……ぐー」

 ほう。

 いい度胸だ。

 

 私の瞳から光彩が消える。

 

「私の気が変わらない内に、起きることを推奨しよう。

 乙女の体を汚した、その股ぐらに生える汚い局部をもぎり取られてもいいというなら、その限りではないがな。」

「起きました。

 すいません、勘弁してください。」

 青ざめた顔とともに、ひきつった謝罪が飛んで来た。

 

 「全く」と、私は呆れる。

 

「一体どういう了見で狸寝入りなどしていたんだ。

 私は起きてたんだ。

 君も起きればいいだろうに。」

「い、いやだって。

 こんな状態でどんな挨拶をしろというんすか。」

「い、いや、それは、普通にだな……」

「百戦錬磨のリア充野郎と同列のことをボッチに求めるなんて、鬼畜の所業ですよ。

 こんな場面を想定した台詞なんて用意してる訳ないでしょう。」

「だからといって狸寝入りしていては何も状況は進展しないだろう。」

「無理です。

 こんな体勢で声をかける度胸なんて、俺には一欠片も持ち合わせてないっすよ。」

「逆に狸寝入りをかまして何になるというのだ、君は。」

「先生が動くのを待ってたんですよ。

 早くどいてくれないかな、て。

 この体勢じゃ気まずいですし、つか、逆に何で退かないんですか。

 普通、空気読んでささっと着替えとくものなんじゃ。」

 なんて言い分だ。

「こ、こんなシチュエーションでの普通なんぞ知るか。

 いくら先生でも、私にも出来ることと出来ないことはあるっ。」

 私は彼に詰めよってツバを飛ばした。

「ち、ち近いですって。」

 彼の狼狽にハッとする。

 顔は間近で、目と鼻の先。

 やろうと思えばキスすらできる、そんな距離だ。

 意識した途端、顔が熱くなり、ばっと上体を起こして顔を離す。

「うわわわっ。」

 としどろもどろになってしまい、彼は

「だ、大丈夫っすか?」

 と、気遣ってくる。

 そんな気遣いはやめてくれ。

「や、やかましい。

 お前が抜かないから私はこんな目にあってるのだっ。」

「こ、腰を上げらればいいのでは?」

「それができないから困ってるんだ。

 お、お前のそれが勃ってるから悪いんだ、はやく沈めろっ。

 抜けないだろうっ。」

「そ、そんなこと言ったって。」

 そう言うと、彼は下半身を動きそうと身動ぎする。

 そのため、キツめのカーブが私の局部を堀り進めた。

「は、はぅぁ……あぁ……ぁぁっ」

 この座った姿勢。

 びくびくと熱く硬くさせた彼の局部が、私の股ぐらを容赦なくつんざいた。

 

 な、何をしているのだ、この馬鹿者は。

 股間が熱い。

 局部の奥の奥、ナマコの喉がグイグイと当たるのだ。

 汚い彼の局部が私の母性に入ろうとしている。

 こいつは私を孕ませる気なのか。

 

「ひ、比企谷っ、私は抜けと言ったのだ。

 なのに、何でさらに大きくさせるんだ

 こ、これでは抜けないではないかっ。」

「し、仕方ないじゃないですか。

 俺も男です。

 そ、そんは姿をみたら、静まるものも鎮まりませんって。」

 そう言って、私を凝視した。

 濁った瞳の視線を浴びる。

 私の体、特に胸元。

 そのイヤらしい視線はそこに集中していた。

 私はバッとその二つの果実に腕をやり、

「どど、どこをみているこのケダモノめっ」

 怒鳴り付けるとともに大事な蕾の部分を覆い隠す。

 こんなときに全く、と憤慨する。

「す、すいません」

 くそ。

 蕾の輪っかがデカいことがバレてしまった。

 こんな思春期の男子にだ。

 見られた事実に思考がぐちゃぐちゃになり、私は強く歯噛みする。

「せ、先生?」

 戸惑うような声が聞こえる。

 が、今の私はそれどころではない。

 ジロリと私は一睨み。

「う、うるさい、少し黙っていろ、このスケベ男め」

「理不尽すぎません?」

「いいから黙っていたまえ。」

 こんなときまで大人になれるか、と私は憮然とする。

 

 彼はイマイチ納得しかねる様子ながらも、

「は、はぁ。」

 と、了解の意を示せば、私はこの状態を打開すべく再び自身の体を彼へと倒すことにした。

 

 当然、彼の顔が再び接近することになる。

 

「え、え、な、何を?」

 彼の顔が赤くなるが、私も顔が熱くなる。

 私は語調を荒げた。

「い、いいから。静かにしていろ。」

 

 両手をついて、四つん這い。

 腕立て伏せに近い体勢だが、今だ私たちの下腹部は密着したままだ。

 下半身はウンコ座り。

 息がお互いに掛かりそうだ。

 しかし、仕方あるまい。

 いまから彼と私の連結を解除しなければならないのだ。

「うぐぐ……ぐ」

 ウンコ座りのために割れ目が開らく私のお尻。

 それををゆっくり浮上させ、ネチャッとした音が股間に木霊し、股間の連結が切り離されていく。

 

 うう、痛い。

 

 顎を引いて、視線を向ける

 ジーパンのチャックでも見せるか如く、私の股ぐらは開脚だ。

 そしたその股間にあたる、チャックの裂け目。

 若干ながらも私のナマコはとろりとした樹液をはいてはいる。

 しかし、元がカピカピだ。  

 どちらの局部も乾いている。

 股間に生える私のナマコは摩擦の痛みを免れず、ひりひりとした痛みが股間に広がった。

 冬の乾燥肌でもこすったような痛み。

 うぅ、と顔をしかる。

 

 ゆっくり、ゆっくりと、私の股間から汚いイモムシをズリズリと這い出していく。

 

 そしてズボッ、と彼の巨大なイモムシの先端が私の穴場からずり落ちた

「あ、あ……ぁっ」

 抜ける異物感。

 そして中から熱が抜ける解放感に声がもれる。

 

 やっと抜けた。

 

 私は全身がグッタリと脱力し、彼の体へと再びのし掛かった。

 べったりとだ。

 全てをやりつくした感と疲労感。

 私の自慢の果実は比企谷の胸板と同化した。

 もう動けん。

 というか、動きたくない。

 

「ひ、平塚先生?」

 はー、ふー、と軽い疲れの息を吐き出す私に、比企谷はわたわたと焦りだす。

 ひきつった喉声が届く。

 彼の口元はすぐそばだ。

 

 な、なんだ、何なのだ

 

 声は届くも相手をする気がまるで起きないため、私は彼の肩を枕に目をつむった。

 その時だ

 ぴとり、と私の内股に熱い生モノでも張り付いた感触。

 またか。

 と、私は察する。

 彼のビンビンと憤った汚いイモムシだ。

 呆れの色を多分に、私の瞳は半眼に開く。

「………君と言うやつは。

 ほんとうに節操がないのだな、全く。」

 じろりと横目で睨んでやる。

「こ、ここんな風に密着されたら、男であれば誰だってこうなりますよ。

 情状酌量の余地はありますって。」

「ない、許さん。このケダモノめ。」

 侮蔑の睨みとともにそう言って、私は彼の胸板にぴっとりと体を預ける

 あったかい。

 頬が彼の胸板で熱くなる。

 ドキドキとした鼓動が響く。

 この拍動が比企谷のものなのか、それとも私自身のものなのか、今の私には判断がつかない。

 だが心地いいことは確か。

 ただそれだけ。

 今は、ただそれだけでよかった。

 胸の中が暖まる。

 

「せ、先生、そんな引っ付かれると、ほんと、おさまるものもおさまらないんで………

 ………生殺しですよこれ。」

「ふん。

 こんな体験、君には今だけだ

 味わえる時にたっぷり味わったらどうだ?」

「俺がこの先、彼女出来ないみたいな口振りじゃないですかね、それ。」

「事実、君の性格では難があることは確かだろう。

 更正ももう手遅れそうだしな。」

「お、俺は専業主婦志望ですから。

 先生みたいにはならないつもりなので大丈夫っす。」

 何だと?

 私は彼の胸板から顔を上げた。

「ほう?

 もう一度聞いてやろう。

 今何て言ったんだ?」

 

 声を一段低くする。

 答えを誤った時が楽しみだ。

 

「な、何でもないっす、はい!

 全くもって、先生はおキレイです。」

 何でもなくない。全く。

 私は顔を真っ正面に、さらにジトリとした視線を彼にぶつける。

「ち、近いです、ひ、平塚先生。」

 顔は真っ赤。

 その声はひきつった喉声だ。

 カエルの喉でも潰した声。

 ふふふ。

 全く、どんな声だ。

 まさに童貞といった感じの狼狽ぶりに、私は思わずニヤニヤとしてしまう。

 そして、ふーっ、と静かな息を彼に吹き掛けた。

「……へぇぁ!?」

 彼のどもった吐息が私の口に掛かる。

 たったそれだけ。

 私と彼にはたったそれだけの距離しかなかった。

 少し動けば接吻である。

「………あ、あの……え、えぇと。」

 彼の目がキョロキョロと泳ぎ、ニヤリと、私の僅かな嗜虐心が心を踊った。

 戸惑う彼をもっと見たい。

 そんな思考が頭を犯し、私は行動に出た。

 モニョモニョと、自慢の体を彼に押し付ける。

「ひ、ひひ平塚先生」

「……なんだ?」

 澄ました笑みで返してやる。

「そ、そんな風に動かれると、その、あまり、よくないといいますか。」

「……何がよくないのだ?」

「いや、だから、その。」

 ペチりと、私のお尻に生モノが張り付く。

 余裕の笑みが止まらない。

「ん?

 はっきり行ったらどうだ?」

 言って私は、胸元にたわわと実る自慢の果実を押し当てる。

 彼の硬い胸板。

 その上でグニャリと歪む私の谷間。

 そして密着するその熱い触感が、比企谷をさらに慌てふためかせた。

「ひひょっ、せ、先生」

 ど、どうしたら。

 と、まさにそんな様子で、彼は手をわたわたとさせるだけだ。

 ペチリと、私のお尻に再び生モノが。

 息子は素直なことだ。

「どうしたんだ? 比企谷。

 おや、そういえば、さっきからぺちぺちと何か鳴ってるが。

 ま、比企谷も気のせいだと思うよな?」

 彼は動けない。

 彼が私を退かして動くことなど、出来やしないのだ。

「ひ、平塚先生、こ、これは、その。」

「ん、なんだ、どうした?」

 とぼけまくる。

 正直にいって癖になりそうだ

「今は冬だ。

 体を冷やしてはいけない。

 しっかり温めないと風邪を引いてしまうぞ。」

「だ、だったら、ふ、ふ布団を被るなり、服を着るなりしたほうが。」

「それでは足りんだろう?

 そんな布切れでは、体は温まらないぞ?」

 全く、いけないな、と出来の悪い子供に諭すよう。

 私はゆっくりと言葉を紡いだ。

「知っているか?

 登山家が遭難して吹雪に見舞われ、凍えそうな時だ。

 彼らがどういった対処法をとっているか。」

「そ、それはちょっと、場合が場合だからでは……」

 人差し指で彼の口を止める。

「体温だよ、比企谷。

 人肌の体温こそが、人に温もりを与え、人に安心を生ませるんだ。

 体を寄せあう。

 それは一つの生命の防衛なのだよ。

 生理的欲求にも近い、極自然の行為なんだ。」

 ふー、ふー、と熱の篭る吐息。

 そんなもわっとした暖かい息が、お互いの顔にかかり合う。

 私の息が荒いのか。 

 それとも彼か。

 私の思考にも熱がこもる。

 むさい息も悪くない。

「っう、うお、ちょっ、ひ、平塚せんせ。」

 太ももを内股に。

 私の股ぐらにこもる生モノを、ぐにぐにとコすってやる。

 先ほどからペチペチと股ぐらに当たる剛直な生モノだ。

 暴れん坊め。

 そんな躾のなってない暴れん坊を大人しくさせるべく、私は太ももでグシグシと彼の局部を挟さんでやったのだ。

「う、うぁ………ぁっ……」

 情けない声が、彼の口から零れる。

「んん?

 どうした、比企谷。

 そんなみっともない声を出して、恥ずかしいぞ?」

 熱い。

 湯タンポでも股間に挟んだか。

 そう思うほどに、この怒張した筋肉質なイモムシは熱を帯びていた。

 ネチャネチャと熱い液体が、私の太ももを伝っていく。

「………」

 片手を後ろに、彼のイモムシに触れた。

 イモムシの赤い頭をさすると、ヌルヌルとしたヨダレが私の手を汚した。

「ぅ、うぁぁ……ぉぁ……がぁ。」

 汚い液をだしおって。

 お仕置きだとばかりに、私は躾のなってない彼のイモムシを、その手でグニグニと弄りまわした。

 彼は腰を浮かせて喘ぎだす。

「どうしたんだ、比企谷?

 こんなに腰を浮かせて。

 ほれ、もっと楽にしたまえ。」

 下腹部で彼を押さえつけ、太ももで更にシゴいてやる。

「うぁ、ぁ……せ、先生、ぁ、がぁ。」

 ふふ。

 情けない男め。

 汚いイモムシはこうしてやる。

「せ、先生っ、や、やめ、マジでダメですって。」

「何がダメなんだ?」

 分かっていることをあえてとぼける。

 彼は顔をひきつらせた

「言いにくいことか?

 遠慮せずに、言ってみろ。」

 汚いイモムシだ。

 その先端から垂れ流す熱いヨダレがだらだらと、私の手と太ももを汚していく。

 

 熱い。

 太ももを動かしているせいか。

 体が熱く、全身の汗腺から汗が吹き出る。

 ポタリ、ポタリと汗が垂れ、私の谷間に流れていった。

 

「私は先生だからな。

 何でも相談を受け入れようじゃないか。

 先生としてな?」

 ふふふ、と私は熱の篭る含み笑いを送った。

「あ、あの、ほんと、その、で、出る、出ますって。」

 彼は何かを耐えるよう。

 グイグイと腰を折ったり浮かしたり。

 彼はそんな奇妙な動きを始めるが、しかし、重しとなる私の体がそれを邪魔した。

 

 ああ、これは予兆か

 私は何となく察した

 それでも彼の局部を握る手は止めず、太ももではさんでひたすらグニグニといじめ続ける。

「なんだ、出るのか?

 ダメだぞ?

 私のベットが汚れるではないか。」

「べ、ベット……って。

 も、もう……今更じゃないですか。

 ………いや、そうじゃなくて、ほんと、出ますんでっ。」

 追い詰められる彼の声。

 堪らなくなる。

「あぁ……ぁ…うぁぁ……ぁ、ほんと、待ってっ。」

 はぁ、はぁ、と私の息は荒い。

 もっともっと。

 私は彼を責め続ける。

 私のお尻に生える彼のイモムシをグニグニと弄ると、そのイモムシの口先からは汚い汁がダラダラと垂れ流された。

 手はヌチャヌチャ。

「ちょっ……で、で……でるでる、もう……ダメです……って。」

「ふふふ。

 情けないな、もう果てるつもりか?」

 彼の局部は締まりが悪いようだ。

 情けない彼のあえぎ声。

 全く仕方ないやつだ、とでも言うように私は彼の顔を見やった。

「もういくのか?

 まだだぞ?

 まだダメだからな?

 ここでイったら、今度から早漏って呼んでやるかるな?」

 さぞ、私はイヤらしい顔をしていたであろう。

 この時、私の嗜虐心は最高潮に達していた。

 

 しかし。

 

 次にかけられる彼の言葉に、そんな私に冷や水がかけられることとなった。

 

「い、いいんですかっ、教師が生徒にこんなことをしても、マジで案件ものですよっ。」

 

 え?

 彼の一言に、私の視界から色が抜ける。

 私の時が止まった。

 手のシゴキもとめる。

 

 しかし。

 時はすでに遅く、ドピュピュピュピュッ、と汁が飛び散った。

 股に挟んだ彼の汚いイモムシが白い体液を撒き散らし、夥しい熱を含んだヨーグルトが私の太ももに降り掛かったのだ。

 熱くてべちゃべちゃ。

 そんな体液まみれの私の太もも。

 

 あ、あ、あ………

 

 私はゆっくりと、首を振り返える。

「……………」

 汚いイモムシから手を離す。

 その手は白い液体でベトベトだ。

「………………」

 握ったり開いたり。

 私の手はニチャニチャと鳴った。

 目が黒点となり、思考が絶望に染まる。

 

 やってしまった。

 彼の言った言葉。

 教師という言葉が胸に刺さって離れない。

 彼と目があう。

 

 何とも言い難い、微妙な沈黙が私達の間に舞い降りたのだった。

 

 

 

 

 シャワーのお湯が頭から降り注ぐ。

 まずい。

 まずい。

 まずいまずいまずい。

 私は後悔に立たされていた。

 私はなんてことをしてしまったのだ。

 1度ならずに2度までも、私は自身の教え子と性的接触を図ってしまった。

 しかも今度は酒の勢いなど関係ない。

 普段から、教師とはなん足るや、青春とはなん足るや、と大人な持論を垂らしているくせに、今の私はこんな有り様である。

 

 先生失格ではないか。

 

 シャワーを終えて頭を乾かし、ホテルに備えてあるようなバスローブに着替える。

 普段はジャージなどだが、今はこれにしておこう。

 次は彼の番だ。

 何と声を掛ければいいのか。

 そう悩むも、声をかけざるを得ないため、私は彼を呼んだ。

「……ひ、ひ比企谷、終わったぞ。

 次、入るといい。」

 声がやや引きつる。

 あんな営みをした後のために、どんな顔をして会えばいいのか。

 しかしそんな悩みもすぐに飛んだ。

 私は、彼にシャワーの使用を催促するためにドアを開けるが、不意にも絶句することになったのだ。

「あ、はい、わかりました」

 ドアを開ければ、比企谷が目の前に。

 私は目が点となった。

「………」

 別に彼が目の前にいることに驚いているわけではない。

 しかし私は驚愕に顔を染め上げたのだ。

「…………」

 私の視線は彼の下腹部。

 その股ぐらから顔を出す、プラプラと首をふっては怒張してやまない剛直な局部だ。

 その光景に絶句する。

 露出狂。

 そんな変態にあったような錯覚が私を襲い、私は硬直せざるを得なかったのだ。

「う、うあああああああああぁぁぁぉ!!!!!!!!!」

 身の危険をゾワリと感じた私はとっさの反撃とばかりに、そのがら空きな股ぐらにぶら下がる汚い毛玉を蹴りあげた。

「ん"お"ぉ"ぉぉ!!!!!!」

 ミカンがぶしゅりと潰れた、そんな感触が足首に伝わる。

 ニワトリが死んだような声とともに、彼はキュッと、私の足を股で挟んだ。

 生の感触が直に伝わる。

 気持ち悪い。

「は、離せ、ばかものっ。」

「………ま、待って、ほ………んと、待って、下さっ………あ、安定……が、安……定が。」

 訳のわからないことを。

 しかし彼は必死にそう伝えていた。

「い……いいから話すんだっ。

 というか、そんな格好で何うろついてるっ。

 びっくりするではないかっ。」

 私の頭はパニックだ。

「……な、なにっ……て、俺も……シャワーを借りようと……」

 彼の言葉が耳に入らない。

 私の意識は彼の股間、その一点だ。

 私の中に、あんな弓なりに反りたった凶悪な凶器が入っていた過去があるのだ。

 その事実に目を疑う。

 信じられない。

 私の瞳が白黒とし、脳内が混乱の渦にかき回される。

「い、い言い訳無用だっ。

 とにかくズボンを、はけっ。

 裸で真ん前に立たれたら強姦魔かと思うだろっ、早くその粗末なものをしまいたまえっ。」

「いや、だ、だって、まだ洗ってないし。

 それだと俺の服が汚れますし。」

 彼は喉の潰れた鶏のような声をだすと、ガクガクと内股になって、私の足にもたれかかった。

 お、おい。

 バランスが崩れる。

 私は今片足立ちだった。

 彼が蹴りあげた足から離れないため、モニョリとした感触が。

 生温かい生モノの感触が私の足首について離れない。

 き、気持ち悪い。

 ゾワゾワとした感覚が足を伝う。

「お、おい、離れろっ。

 気持ち悪いっ。

 転けるだろうがっ。」

 しかし彼は、私の足首を離さない。

 プルプルと股に挟んで、モニョリとした毛だらけの皮袋が私の足首に乗っかる。

「ま、マジで……待ってください。

 …直撃して一杯一杯なんですって。

 ちょ、ちょっと安定さが欲しいんで、ほんと、待ってください。」

「な、何が安定さだ、い、いいから離れたまえっ。」

 ペトリとまた一つ。

 グニョリとした皮袋ばかりでなく、熱くて汚いイモムシまでが私の足首に張り付いたのだ。

「ちょっ、ちょっとまて、ほんとに離れろっ。」

 耐えられずに、振りほどこう足を揺さぶる。

 すると、彼が慌てだし、

「せ、先生、暴れないでくださ……」

 彼も必死に、離さないとばかりに抵抗する。

 モニョリ、モニョリと、イヤな生モノの感触に、生温い股間の体温。

 毛玉が私の足首の上で蠢いた。 

 ムリムリムリムリムリ。

 ぞわっとする悪寒で鳥肌がたち、私はさらに足を揺さぶると、彼は更にキュッ、と股ぐらを強く挟み、

「せ、先生、マジで、あっ。」

 私が強く揺さぶったせいなのか。

 汚いイモムシが再び、ビュルルルッ、と白い体液を撒き散らし、私の足首にはネットリとしたお粥が降り掛かった。

 

 あ、あ、あ。

 

 絶句。

 この男はまた。

 もはや、私は何も言えなくなった。

「……せ、先生、これは、違くてですね。」

 そんな言い訳をしながらも、彼は私の足首を股間で挟む。

 その粗末なイモムシから汚い汁をはき散らし、私の足をこれでもかとジュクジュクとした白い体液で塗りたくるのだ。

 なんたる光景か。

 にわかに信じ難い光景に、私の瞳から色が無くなる。

 

 しかし。

 

 私の瞳は、今だ彼の局部から離れない。

 股間から伸びる彼のイモムシ。

 私の足を汁まみれにした汚いイモムシだ。

 今だにその赤い頭を怒張させた股間のイモムシは、私に向かっておねだりでもするかのよう。

 その身を硬くし、ギンギンとその体を反り返らせている。

 

 私の何かがプチンとキレた。

 

「この変っ態があああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

 つんざく怒号とともに、激昂の蹴りあげが彼の局部に直撃。

 そこにつり下がる汚いミカンがグチャリと弾けて、汚い果汁がぶしゅりと飛び散る。

 

 私は今度こそ、その小汚ない毛玉を潰してやった。

 

 

 

 

 

 

「ひ、比企谷。

 えと、あの、そのぉ、具合はどうだ?」

「ま、まぁ大丈夫です。

 痛みも大分落ち着いて来ましたよ。」

 一騒動からしばらく。

 比企谷は悶絶状態からなんとか立ち直り、シャワーを浴びて、私と同じくバスローブ姿で隣に座っている。

「……そうか、よかった。」

 彼の言葉に安堵する。

 いくら狼狽したとはいえ、教師が生徒の急所を蹴りあげるなど言語道断。

 教師にあるまじき姿だ。

 自責の念が私を苛み、自然と顔をうつ向かせてしまう。

 すると、彼の気遣う声が耳に届いた。

「落ちついたといえば、平塚先生は大丈夫ですか?」

 顔をあげる。

 見れば、私を気遣う比企谷の顔がそこにあった。

「あ、ああ。

 ははは、すまない。

 なんといったらいいか、私は随分動揺してしまったようだ。」

 生徒にこれ以上心配はかけまい。

 笑みを張って取り繕う。

「君にも酷いことをしてしまった。

 謝って許されるようなことじゃない。」

「そうですね。

 不能になったら訴訟ものでしたよ。」

「う、うぅ。すまない。」

 傷害罪で金をせがんでもいいですかね?

 示談というやつで。」

「な、なな何んてやつだ君は、この私をゆするというのか、比企谷っ。」

「冗談ですよ。

 不能にならなかっただけ、よしとしますよ。

 不能になったら専業主婦なんてなろうにもなれませんよ。」

 なんだその理屈は。

 この男は、いつまで経っても専業主婦の夢から離れない。 

 現実を見ているのか見ていないのか、私はたまに判断がつかなくなる。

 私の更正プログラムは上手くいっていないのか。

 私はジトリとした視線を向ける。

「む。

 そ、そこは気遣って、大丈夫だ、とか言って慰めるところだろう、普通は。」

「さっきの謙遜さは何処にいったんすか。」

 呆れ顔で返された。

「つか、今更アレを見たくらいで、あの蹴りあげは正直ないでしょう。 

 俺、不能になってもおかしくなかったっすよ?」

「う、うるさい。

 そ、そんなものを私の前でぶらさげるのが悪いんだ。」

 私は語調を強くする。

 謙遜など犬の餌だ。

「大体、なんであの時、大きくすることがあるんだ!

 出した後だったろうっ。」

「そ、それは、まぁ………男の性ということで察してくれませんかね?」

「察せるか馬鹿者っ。

 急所を蹴られてまだ大きくする変態なんて、どう理解しろというのだっ。」

「ちょ、ちょっ、変態は言い過ぎですってっ。」

「うるさいっ、寄るな変態めっ。

 つ、次は潰れても私は知らんからなっ。」

「お、恐ろしいことを言わんで下さい。」

 と、しょうもない言い合いが勃発。

 勢いをそのままに、私は悪くないとばかりに、今と関係ない普段の生活態度などをあげつらい、あれやこれやと関連付けて畳み掛ける。

 彼も彼で、穿った理屈で理論武装して返してくるが、そんなものには耳を貸さなかった。

 

 すると、しばらく。

 

 彼と口論を続ける内に、不覚にも笑いがこみあがる。

 否。

 私は笑ってしまった。

「……くくっ……は、はははははっ。」

 何故だろうか。

 笑いががとまらない。

「ど、どうしたんですか急に?

 精神に異常でもきたしましたか?」

「ははは、馬鹿者、そうではない。」

 この笑いが何処からくるのか、私には解らない。

 でも、

「なに、ただこうして君と会話出来ることに、ホッとしてしまってな。」

「会話?

 一方的なクレームだったんですけど。」

「うるさい、茶化すな。」

 ジロリと、見やる。

 すると彼は喉を鳴らして謝罪した。

 全く、相変わらずの反応ぶりだ。

「あんなことがあったばかりだ。

 今後、君にどう接していけばいいのか、さっきまでずっと悩んでいたよ。」

 彼の視線を感じる

「それでも、君がこうして今まで通りに接してくれているから、私は普通でいられる。

 冷静でいられるんだ。

 ………比企谷。君には、感謝しているよ。」

 目をつむる。

 全く、教師らしくない。

 

 彼は黙る。

 恐らく気遣っているのだろう。

 ただ黙って、私の隣に座り、沈黙を保つ。

 やれやれ、生徒に気を遣われては、先生としての面目も丸つぶれだ。

 

 沈黙とは厄介なもの。

 破るためには、どんな時だって勇気がいるのだ。

 

「…………」

 しかし、今の私にその勇気を持ち合わせていなかった。

 小気味のいい会話はすれど、事実は変わらない。

 私達の関係は変わった。

 図らずとも進んでしまったのだ。

 性的接触。

 私は気が重くなった。

 ただでさえその言葉には犯罪の匂いがするというのに。

 教師と学生。

 この単語が加わるだけで、最早犯罪の色しかないのだ。

 女性だから許される、なんてことで許してくれるほど社会は甘くない。

 例え本当に愛し合っていたとしても、そこ立場というものが関われば、愛があればそれでいい、合意の上だから許される、なんて簡単な話にはいかない。

 非は私にある。

 教師が生徒と行為に及んだのだ。

 全く。

 私は一体何をしているのか。

 

「………すいませんでした、平塚先生。」

 自身の在り方に悩ませていると、比企谷がポツリと言葉を告げる。

「え?」

 私は訝しむ。

 謝罪?

 彼の謝罪する意味が解らない。

「な、何故君が謝る?

 君は別に何も悪いことなどしていない。

 むしろ、謝るべきなのは私の方だ。」

 彼と視線があう。

 相変わらずの濁った目付き。

 だが、そこにいつにない真剣さが潜んでいた。

「いいえ、俺に非があります。

 酔った先生に自制が効かず、学生の分際で先生を汚しました。

 先生の人生を狂わせた。

 俺は馬鹿な欲求に溺れて、先生を襲ったんです。」

「……な、何を言って。」

 私は訳がわからなかった。

 しかし、そんな私など構わず、彼はお得意の自虐的な笑みを張り付けてこう言った。

「全く、ボッチは救いようがないですね。

 いつもいつも、青春を謳歌しているリア充を下に見ておきながら、その実人一倍欲求不満だ。

 醜い本性が出たんですよ。

 酒で寝ている無防備な先生を、我慢できずに襲って犯す。」

 動揺に目が震える。

 彼はさっきから何を言ってる?

「人として最低ですよ。

 抹殺のラストブリッドをかますまであります。」

 飄々とした態度。

 彼は無防備なことを示して、いつでもどうぞとばかりに腹を差し出す素振りをするが、私は我慢できずに立ち上がり、

「やめろっ!!!!!」」

 彼に向かって怒声を浴びせる。

 

 これ以上、言わせてはならない。 

 こんなこと、許してはならない。

 私はそんなこと、頼んでいない。

 

「比企谷、やめてくれ。

 そんなこと、私は頼んでいないし、望んでもいない。」

「…………」

 彼を見下ろす。

 彼のとても驚いていた。

「私はお前の教師だ。

 私を舐めないでくれたまえ。」

 対等でない。

 生徒の癖にと、私は憤る。

「それと、君の思考にとやかく言うつもりはないが、その偏屈な気遣いはやめたまえ。」

 何故君はいつも、そうなのか。

 その偏屈な気遣いが。

 その偏屈な解決法が、私には許せない。

 そして対等に扱おうとすらしないことが、私には悔しくてたまらない。

「せ、先生………」

「私は確かに泥酔していたが、記憶はちゃんと残っている。

 自分の責任くらい、自分でとらなくてどうする。

 私はこれでも歴とした社会人だ。

 だから、私に変な気は回すんじゃない。」

「………」

 彼の瞳が揺れる。

 何故君がそんなに不安がるのか。

 生徒が教師の心配をするなど、10年早い。

「襲ったのは私だ。

 暴力を振るえないことをいいことに、酔っ払った勢いで私は君を犯した。

 卑怯な馬鹿者は私なんだ。

 この事実に変わりはない。」

 そう。

 これが事実であり、真実。

 彼の言葉は、彼なりの優しさだったのだろう。

 自責の沼地に沈み行く私を、救いだそうとする彼の優しさ。

 欺瞞に溢れた、優しい嘘。

 腹立たしい。

 私にそんなものは必要ない。

 そんな身勝手な犠牲しかない優しさなど、真っ平御免である。

 求めてもいないのだ。

「……平塚先生」

 彼の言葉が耳に届く。

 見れば、彼もまた立ち上がり、私と同じ視線に立っていた。

「俺に、責任を取らせてください。」

「なんだと?」

「責任です。

 もし、万が一、俺と先生との間にデキていたら、俺は男として責任を取らなくてはならない。」

「ば、馬鹿者が。

 この件で君に非はないし、君は被害者だ。

 そんな心配はせんでいい。」

「ヤるだけやって後は放置なんて、俺が俺を許せません。

 そんな最低野郎だけは御免ですよ。」

「たわけっ。

 ガキの分際で男の責任など語るな。

 自立した社会人にもなっていない君に、責任など取れるはずがないだろう。」

「……ぐっ。」

 私は厳しく彼を戒める。

 彼の気持ちは受け取れない。

 受け取ってはならない。

「気持ちだけは受け取ろう。

 嬉しく思う。

 だが、責任についてはこれ以上は何も云わせん。

 ………わかったな?」

 有無は言わせない。

 厳格さを視線に含ませ、彼を見やる。

 彼はうつ向く。

 そして何かをこらえるように拳を握りしめ、肩を震わせると、

「……先生」

 と小さく一言。

 何を言うつもりか。

 憮然として彼の言葉を待つ。

 だがしかし、次に飛来した彼の言葉は私の予想の斜め上へと飛んでいき、衝撃となって私の鼓膜へと飛来した。

 

 

「お、俺、平塚先生のことが好きです。」

 

 

 その言葉に、私はピシリと、ヒビが入った。

 

 

 私は憮然のままに、硬直。

「…………」

 彼は何と言った?

 あまりの言葉に、私は彼が何を言ったのかわからない。

「この好きという気持ちは、俺にとって本物なのかどうかは……まだわかりません。」

 彼と瞳が合う。

 濁った瞳に反して、その色は真剣そのもの。

「それでも、大事にしたいと、俺は心から思います。

 だからこそ、好きになった人には誠意を尽くしたい。」

 ダメだ。

 これはダメだ。

 こんな展開は間違っている。

「今の俺には何も出来ません。

 だから、待ってもらえませんか、平塚先生。

 俺が社会人になるその時まで、そしたら……」

「比企谷。」

 最後までは言わせず、私は彼の言葉を遮った。

「この件はもう終わりだ。

 一時の感情で今後の人生を決めてなどならない。

 今度会った時からも、私達は変わらない。

 ただの生徒とただの教師。

 それだけの関係だ。

 異論は認めん、いいな?」

「だ、だけど先生、俺は先生のこと……」

「比企谷。」

 その先はもう言わせてはならない。

 教師が生徒の人生を奪うなど、あってはならんのだ。

 彼は悔しげに歯を食いしめる。

 すまない。

「君の真剣な気持ちは素直に嬉しく思う。

 ありがとう。

 学生であろうと、君のような男に好かれた。

 私も女冥利に尽きるというものだ。」

 二の句を告げないよう、私はさらに言葉を重ねる。

「比企谷、君が私に恋愛感情をもってしまったのは構わない。

 教師、生徒。

 どんな関係であれ、男と女だ。

 ならば男女間の感情の芽生えとして、ありうる話ではあるのだからな。

「だ、だったら。」

「だがそれは一時の気の迷いだ。

 欺瞞とも言える。

 君の人生はこれからなんだ。

 そんな不確かなもののために、自身の可能性を潰すなんて、そんな馬鹿げたことはするものじゃない。」

「………平塚先生。」

「比企谷、どうか、聞き分けて欲しい。

 これはお前のためでもあり、私のためでもあるんだ。」

「……………」

「社会に生きる私達は、気持ちだけではやっていけない。

 社会や世間、家族に友人、恋人。

 人は周囲の何かと常に折り合いをつけて、生きて行かねばならん。

 教師と生徒。

 それはただならぬ噂と誤解しか生まない関係だ。

 ただでさえ見えない未来がさらに見えなくなり、どう考えても私達のためにはならない。

 それは火を見るより明らかなんだ。」

 私は気づく。

 これは。

 この言葉は、彼のためのものじゃない。

 彼を諭しているのではないのだ。

 諭してる相手は私。

 私自身。

 この言葉は、私自身に言い聞かせているのだ。

 

 なんていうことだろうか。

 私は内心、自嘲する。

 全く、教師たる私まで感情に振り回されるとは。

 

 そして私は最後とばかりに言葉を締めくくる。

 決別のための。

 関係を戻すための。

 そして彼の今後のための、先生としての最善の言葉を彼に告げるのだ。

 

「比企谷、すまない。

 そして、私などを好きになってくれて感謝する。」

「…………」

 これでいい。

 これでいいんだ。

 比企谷の苦汁に歪めるその顔に、私は胸が苦しくなる。

 だがしかし。

 これでよかったんだ、と一つの達成感が心に降りた。

 私は彼を見る。

 すると、彼もまた私に視線を向けた。

「……わかりました。」

 暗くて低い声音。

 それでも、彼もまた、私の意を汲むように了解の意を返した。

「それと、学生の分際でよく考えもせずに出来ないことを言ってすいませんでした。

 自分は後先考えず、軽率でした。」

「……………」

 私は彼の言葉を聞き続ける。

「今度会ったときは、いつもの貴女の生徒に戻ります。

 この気持ちにも、区切りをつけます。」

 濁った瞳をこちらに、理解ある聡明な言葉を告げていく。

 私は彼に感嘆してしまう。

 

 ああ、彼はやはり利発な人間だ。

 合理的で、とても物分かりがよく、飲み込みが早い。

 どこまでも大人な子供だ。

 

 そんな彼に私は、無意識にも力強く、拳を握りしめていた。

 

「平塚先生。

 俺の気持ち、受けて止めて頂き有難うございました。」

 その表情はどこまでも優しく、そしてどこか力の抜けきった、寂しげな微笑み。

 

 私の瞳に、彼の微笑みが刻まれた。

 

 これでよかった。

 ああ、そうとも。

 これでよかったんはずなんだ。

 

 私は私にそう納得させる。

 

 しかしだ。

 

 期待した結果。

 それが目の前にあるというのに、

 

 どうして、こんなにも口が震えるのか。

 

 どうして、こんなにも喉がひきつるのか。

 

 そして、どうして私はこんなにも、憤りを感じているのか。

 

 期待した結果だというのに、私の中の何かが、この結果を拒んでいた。

 

 

 

 

「…………………………」

 

 

 今ここにいるのは、二人の男女。

 沈黙が降りる。

 当然だ。

 ここにいる私達は結ばれるような関係ではなく、離別を志し、異なる道を歩むことを決意した。

 そんな関係だ。

 当然、今まであったような親しげさをすぐに取り戻す、という訳にはいかない。

 

 私の瞳には陰がさしていた。

 

「え、えっと、それじゃあ、これからどうしますかね。」

 気持ちを切り替えるよう。

 彼は声音をやや明るげに、私にそう問いかける。

「…………」

 話題のネタでも探しているのか、彼はキョロキョロと回りを見渡した。

 しかし、私の意識は別にある。

 私は何も答えなかった。

「時間はまだ4時っすね。

 まだ朝には早いですし。

 これから、どうしますかね。」

 気を取り直すような、やや空回った彼の声。

 だというのに。

 対する私は、鬱々と鬱屈し思いがつのっていく。

 何でだ。

 どうしてだ。

 なんで君はそうなんだ。

 そんな思考がループする。

 理想的な展開が今ここにあるというのに、私の何かが違うと言って言葉をやめない。

 この状況を望んだのは私だというのに、私の何かが、これは違うと叫んでやまないのだ。

 居ても立ってもいられない。

 そんな感情のままに、私は行動へと出してしまった。

 

「あ、台所借りていいですか?

 茶葉があるなら紅茶でも入れてきますけど……」

 と、彼が言い切る前に、彼の胸ぐらを掴んで壁に追いやる。

 ドンッ、と壁から衝撃が鳴る。

 私は彼の胸元を掴み上げながら、彼を睨みつけた。

「って、えっ? ちょっ……先生っ?」

 彼は困惑する。

 だがそんなことは意に介さず、私は声を張り上げる。

「いいのかっ?

 君はそれでいいのかっ?」

 憤怒を瞳に、私は猛然と彼に問いただす。

「え?

 せ、平塚先生?」

「君はそれで納得するというのかっ?

 社会や周囲を理由にして、君のためだとか何とか言って、私はお前を突き放したというのにっ。

 君はただ受け入れるだけで、君は本当にそれでもう区切りはついたというのかっ?」

 私の言い分はもはやめちゃくちゃだ。

 支離滅裂。

 私の言は、数分前の私と逆転してしまっている。

「いや、え、だって。

 仕方ないことじゃないですか、これは。

 先生が言ったんすよ。」

「私が言ったから諦める、君はそういうのか?」

「先生には仕事がかかってますし、今の俺には何もできないんです。

 だったら。 

 だったら、納得して、耐えるしかないじゃないですかっ。」

 彼もまた声を張って、反論する。

 

 気にくわない。 

 彼の態度が非情に気にくわなかった。

 十代の学生の癖に、なんでそんなに物分かりがいいのか、私には理解できない。

「何でだっ。

 どうしてそうやって諦められる?

 好きな人を自分のものにしたいと、何が何でも自分のものにしたいと、そう思わないのかっ。」

 彼は大人すぎる。

 子供の癖に大人すぎる。

 なんでそんな納得を持つのだ。

「そんな傲慢、許されないし、そんなものは欺瞞でしょう。」

 眼前の比企谷の瞳が私を睨みつけた。

 その瞳に、敵意が宿る。

「好意に独占欲はつきものだ。

 だが行き過ぎれば、それは単なる我欲の塊。

 醜い感情にさらされて、馬鹿やって後悔するなんて、俺はイヤですよ。」

「君のその感情は、その程度ということなのか?」

 その言葉に、彼の瞳がギラリと凄みが増した。

「好きだからこそ、俺は先生の意見を尊重したんですっ。

 いい加減なことを言うなっ。」

 

 聞いたこともない声の荒げように、内心驚愕する。

 気だるげな彼が、私の前でここまで感情を吐露したことは果してあったであろうか?

 

 しかし、私は怯む訳にはいかない。

 怯むことなど、私が私を許さなかった

 

「はんっ、尊重だと?

 そんなの言い訳だ。

 君はただ、自分の意見を通すのが恐かっただけだろうっ。

 自分を曝す度胸もないくせに、よく私のことを好きとだと吼えたものだな!」

「自分を曝すなんて、何も考えない馬鹿のすることだ。

 人間関係は常に建前の上に成り立つ。

 好きな人だって、例外じゃない。

 本音は我儘で醜い。

 だからこそ建前があるんです。

 本音を晒しても何にもなりゃしないし、そんなことでは何も成せやしないんだっ。」

「そんな御託を並べて、所詮お前は、嫌われたくなかっただけだろう。」

「だ、だったら俺はどうすればいいっていうんですかっ。

 先生が何を言おうと、今の俺はただの学生だ。

 先生のために、何にも出来やしない。

 こんな俺に、納得以外の何をしろっていうんですかっ!!!!」

「ええいっ!!

 ゴチャゴチャとやかましい!!

 この玉なし野郎!!!」

 言うと同時、私はスボリ、と彼のバスローブの間に手を差し込み、股ぐらに吊り下がるブヨリとした汚い皮袋をグシャリとつかみ上げる。

「んの"お"お"ぉぉぉっ!!!!!」

 私はある感触を感じて、憤りながらも呆れかえった。

 全く、この男ときたら。

 こんなときでもこうなのか。

 感触でわかる。

 ギンギンでガチガチ。

 彼の股間から生える筋肉質なイモムシは、こんな時でも一丁前にその身を硬くし、これ見よがしにと、弓なりにその体を反り返らせているのだ。

 変態め。

 と、罵る私に、彼もまた動きだす。

 急所を掴み上げる私の腕。

 彼は必死にその手をどかそうと奮闘するも、私の手はガッチリとして微動だにしない。

「どうしたっ、この玉なしめっ。

 玉はない癖にこんなにさかりおってからにっ。

 口ばっかり大人ぶって、お前の息子はこんなにも硬くしているぞっ?

 ああっ?

 お前も少しは息子を見習ったらどうだっ。」

 本気の煽り。

 教師がどうとか、今の私には全く頭になかった。

 くすぶる感情を爆発させ、思いの丈を思う存分ぶつけてやる。

 止まれないし、止まらない。

 ここまで来た私にはもう、突っ走るしかなかった。

「うぉぉ………ぉ……んのぉぁ…」

 彼は、死にかけのカエルのようなひきつった声で必死に言を返そうとする。

「ほ、本能のままに言って何が"……どうなるんです。

 我が儘ばっか…りの猿なんかに退化して、一体どうして先生をものにできるというんですかっ!!!!!!

「思春期の猿の癖に理屈を捏ねてるんじゃないっ

 この偏屈家めっ。

 本当に心の底から好きだっていうなら、後先考えずに私を奪ってみろっ!!!!!

 この大馬鹿者がっ!!!!!!」

 目と鼻の先での彼の怒声に、私も同じく顔の真ん前で怒声を返す。

 引けない。

 こんなところで引いてたまるものか。

「だったら、だったら。」

 と、彼は瞳を陰を差して何かを言いつのるため、

「なんだっ、言いたいことがあるなら、ハッキリ言ってみろっ」

 と、激を飛ばした瞬間、ドンッ、と背中に衝撃が走る。

 気づけば、私と彼の立場は反転。

 今度は私が壁に押されており、両肩は彼の手で手強く捕まれていた。

 彼の真剣な瞳が正面に。

 もはや目と鼻の先。

 鬼気迫ったその迫力。

 私は彼から目を反らせなかった。

 

「だったら平塚先生っ!!!!

 俺のものになってください!!!!!」

 

 怒濤の告白。

 

 

 ……………………………………………。

 

 私は「へっ」と間抜けな声を漏らした。

 思考が真っ白。

 今まで掴み上げていた、彼の股間から垂れる下がる汚い毛玉も無意識に手放した。

 

「平塚先生、好きです、愛しています。」

 そう告げると同時、彼の唇が私の唇を奪った。

 

「…………」

 

 私の唇に熱が重なり、そして離れる。

「あ、ちょっ、ま、待て、比企谷。」

 再び私の唇を奪うべく、彼の唇がこちらに近づくが、私は慌てて彼の両肩をグイっと離した。

 私は焦燥に慌てた。

 こんな事態、全く予想していなかった。

 否、予想して当然な展開ではある。

 だが私はここに来て、あまりにも後先考えずに行動したことに、ようやく気づいたのであった。

 だが気づいて今さら。

 彼は待たない。

「待ちません。

 先生が言ったんです。言質は既にとってありますから。」

 と言って、熱を持ったその唇で、私の唇を摘まんでくる。

 何度ども、何度ども。

 熱中したように何度も唇を重ねる、好意をぶつける男との口内のまぐあい。

 

 しかし、私は教師。

 こんなこと、やはりダメだ。

 そう思って制止を何度も試みるも、

「ひ、比企谷、だ、ダメだと言って……んむっ。」

 彼は最後まで言わせてくれなず、私の言葉を唇で奪っていく。

「お、おい、い、いい加減に……あむっ。」

 塞がれる。

「ぷはっ、………おい、比企……んむっ。」

 塞がれる。

 何度も試みても、私の言葉は彼に奪われる。

 そんな唇の熱さに、私の頭が熱を出し、思考がボヤンとする。

 風邪でもひいたか。

 ボーッとして思考が定まらない。

 息継ぎの度に制止をかけるも、

「ダメです。」

 と言って、効果はなさず、彼は執拗に私の唇をなぶっていく。

 次第に唇の揉み合いは激しさを増加させ、私達の口は糸を引き合った。

 納豆の粘りみたく。

 彼の熱のこもった唇が私から離れ、その糸が私の唇からツーッと垂れる。

 私はその糸を拭わなかった。

 私にはそれが出来なかった。

 私の意識は彼の顔だけ。

「んむ、あむ、ば、馬鹿者、そ、そんなことまで。」

 唇同士のつまみあい。

 それはさらに続いて、その合間に突如襲った口内の違和感に、私は戸惑った。

 彼の口内に住み着く赤い触手が、私の中へとニュルリと侵入したのだ。

「き、急にいれるとは、マナー違反だぞ。」

「すいません、でも俺、もう止まれませんので。」

 言って、彼の蹂躙は本当に止まらない。

 口内はベトベト。

 この唾液は彼のモノなのか。

 ごくりと、飲み込むも、彼の蹂躙はまだまだ続き、彼の唾液が私に流れる。

 私はもう。

 もう、何も考えられなかった。

「んむ、ちゅぷっ、んむぅ、ひ、比企谷。」

 彼は止めない。

 唇も舌も、異常な体温を示していき、私の頭はボーッとしていく。

 すると突如、

「ひゃぁん!!

 ……ひ、比企谷、お、おお前っ。」

 と、彼の両手が私の胸元に触れた。

 ピンッ、と張る自慢の果実。

 それが彼のイヤらしい手のひらでモミモミと触れられたのだ。

「こ、こらっ、やめないか。」

 犬の抱きつき。  

 まさにそんな触り方だ

 その癖、母親が優しく傷でもさするような触れ方である。

 がっついているのか控えているのか、まるで私にはわからない。

 しかし、彼の下半身もまんま発情した犬のよう。

 視界に入らずともわかる。

 下腹部のむず痒い感触でよくわかるのだ。

 スリスリと生モノの、汚ならしい粘液とともにすりつける。

 そんな、感触。

 この発情期の思春期男子め。

 私はそう罵らずにはいられない。

 彼の股から生える汚いイモムシがビンビンと剛直し、ペチペチと間抜けな格好で私の股間にあてがっているのだ。

 加えてこの姿勢。

 彼の姿勢はまさに犬。

 私にへばりつくように、彼は私に抱きかかってくるのだ。

 私の果実に手をやって、一生懸命、股間にプラプラとぶらつくイモムシを私の股間へと突っついているのだ。

 何と滑稽な姿か。

 侮蔑して当然だ。

「はぁ……はぁ……こ、このケダモノめ。

 ……がっつきすぎだぞ。……はぁはぁ。」

「ふぅ………ふぅ……俺をケダモノにした張本人は、先生、貴女ですよ。」

 股ぐらに埋まる私のナマコ。

 彼の股間から伸びる汚いイモムシ。

 ヌチャヌチャと、汚ならしい汁を塗りつけ合う。

 何度も何度も突っ付き合って、汚いヨダレが床に垂れる。

 ベチョベチョである。

 股間がイモムシの汚い汁で汚れに汚れ、私はそれが気になって仕方がない。

 女を汚すとは、紳士の風上にもおけない。

 このケダモノめ。

 綺麗にしろと、ばかりに私も局部を彼の股間に擦り付けてやる。

 

 すると突然、彼がそれまでとは異なる行動へ。

 私の体勢を変えさせる。

「はぁはぁ………ひ、比企谷、な、何を。」

 そんな私の言葉など聞いてないのか、彼は私を反転させると、私は私で上体とともに壁に両手をつかされた。

 この姿勢。

 いわゆるバックという体位か。

 そんな思考を巡らすも、私の冷静さはすぐさま吹っ飛ぶことになる。

 がしっと、私のお尻が彼の指に掴まれる。

「ひ、ひぃぁぁっ!!」

 私の喉から情けない声。

 触れ慣れないお尻に触れられ、条件反射で悲鳴が出たのだ。

 そんな私に彼はフフッと笑った。

 笑いやがったのだ。

「可愛い声、出せるんですね、先生。」

 男に捕まれたのだ。 

 悲鳴の一つや二つ、あげて当然。

 キッと、睨みつけようとするもそれは邪魔するように、グイッと、お尻を引っ張られる。

 くっ。

 睨めなかった。

 悔しがる私などお構い無し。

 そのまま私のお尻に指がかかると、この穴を見てみろよと、ばかりにパッカリとお尻の割れ目が開かれた。

 まて。

 この姿勢は。

ま、まて、比企谷、この姿勢は流石に

 こんな姿勢、私の局部も丸見えだ。

 そう察するや否や、彼に抗議を試みるが、そんなことは無意味と化した。

 彼の顔面が私の局部にかぶり付いた。

「いああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 ベロベロと、樹液マミレの私の局部がなぶられる。

 何度も何度も。

 主人に甘える犬のよう。

 彼の赤い触手が私の股間を弄ってやまず、股ぐらをまさぐられる感触に私の悲鳴がとまらない。

 ただでさえ熱をもった局部なのに。

 そこにベロベロと彼の顔が股間をまさぐるものだから、私の局部も汁を飛ばして悲鳴をあげるのだ。

「はああぁ……ぁ…はぁ……はあっ…ん…。」

 息は切れ切れ。

 私の膝は笑っている。

 彼の汚ならしい股間の責めに、私の膝がガクガクと鳴って立つことがままならない。

 ダメだ。

 これ以上は。

 これ以上はもう舐めないでくれ。

 私は股ぐらを責められる恥辱に喘ぎをあげるも、彼を制止すべく、

「ひ、比企谷っ、こ、この姿勢はやめっ……」

 顔を振り返る。

 が、新たな感触に最後まで言えない。

 彼の顔は私の耳元。

 すぐそばだ。

 一体いつの間にと、驚く暇もなく、顔を振り返ると同時、胸元から吊り下がる私の柔らかい果実がさわりと、彼の手でもぎとられたのだ。

「んぁぁ!!!!」

 モニュリ、モニュリと、鷲掴み。

 私の果実が彼に掴まれ、私は喘ぎがとまらなかった。

「ひ、比企…んあっ…谷、待つ…ひゃぃ…のだ。……んっぁ。」

「何度でも言います。

 俺をこんなにしたのは先生のせいだ。 

 大人と言い張るんでしたら、責任の示しを見せてもらいますよ。」

 耳元で囁くように告げられ、脳髄がしびれる。

 首を向ければ、瞳が混じりあい、私は二の句を告げなくなった

 すると、ニュリッとした摘ままれる感触。

 果実の先端。

 そこに埋まって生える褐色の蕾が、彼の指で引っ張られたのだ。

「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 伸びる。

 伸びてしまう。

 容赦なく摘まんで引っ張る彼の指。

 私はあまりの蕾の伸び具合に絶叫し、やめろ、やめろと、首を振って言いつのる。

「先生、そんなかわいい声も出せるんですね。」

 彼の声が耳元に。

 たったそれだけでぶるぶると鼓膜がしびれて脳が湯だける。

 手先はこんなにも厳しいのに。

 なんで彼の声だけはこんなにも私を愛しげに呼ぶのか。

「と、年上をからかうでないっ。」

 私は悔しくてたまらない。

「先生のここ、こんなにデカいんですね。

 ビンビンじゃないですか。

 俺の倍は大きいんじゃないですか?」

「う、うううるさいっ。

 言うなぁぁぁ、んあぁぁ!!!!!!!」

 と言うと、さわり、と再び私の褐色の蕾が摘ままれてしまい、私の喉が熱の入った声を鳴らして、文句の口を塞がれてしまう。

 摘まんで、もいで、摘まんで、もいで。

 彼は私の背中に抱きつき、木に吊り下がったブドウでももぎとるよう。

 私の果実を次々ともいでいく。

 両手で鷲掴み。 

 されども、皮膚をさするような力加減。

 たまに頂点に生える蕾をいじっていくため「ひぁぁぁぁ!!!」と喉を上げて声が出る。

 もはや私の果実に股間の蕾が生えたよう。

 そんな錯覚がついて離れず、蕾を弄られる快感に私の蕾が取れてしまいそうで、必死に体をよじって抵抗する。

 ビンビンと立つ先端の蕾をピンピンッと弾かれ倒され、私の息は絶え絶えだ。

 そして、ぺとりと、股ぐらに違和感が。

 私の樹液まみれのアワビに、彼の汚いイモムシが張り付いていたのだ。

「あ、ああ…あぁ……ぁぁ。」

 ああ、いよいよかと、顔を下げる。

 私の股ぐら。

 そこにはピトリと、張り付く彼の汚いイモムシが視界にみえる。

 あの筋肉質なゴチゴチとしたイモムシが、熱い体温とともに私の股間をつんざくのだ。

 そんな感触に、思いを馳せる。

 だがしかし。

 やはりこんなことはいけないのでは、と。

 教師としての私が今更ながらに私を責める。

 私は彼の教師。

 2度ならず3度も私は、過ちを犯すというのか。

「ひ、比企谷、こ、これはやっぱりまずい。

 わ、私はこれでも、曲がりなりにも教師だ。

 せ、生徒の君とこんな………」

 顔を上げて、ささやかな抗議を試みる

 しかし彼は全く相手にせず、

「教師の前に、もう平塚先生は俺のものです。

 教師なんて引き合いに出しても、もう遅いですよ。」

 と言って、彼は腰を振って、ビンビンにもり立てる汚い局部を私の局部にスリスリとすり付ける。

「こ、このエロガキめ。」

 この発情期は煩悩の塊だ。

 キッと睨んでやる。

 だがしかし、そんな私の微かな毅然さも、私の中からすぐに飛び去ることとなった。

 彼の口元が耳元に。

 そして、ふぅ、と彼の吐息が吹き掛けられる。

「ひ、ひぃん!!」

 耳がぞくぞくする。

「それに……」

 と、彼は言葉を続けるが、彼のネットリした優しげな声音はもはや性犯罪者のそれである。

 危くて、イヤらしい。

 そんな男の声。

 だというのに。

 それだというのに、私の鼓膜はブルリと震えて、私は彼の声を求めてやまなかった。

「平塚先生も期待しているんでしょう?」

「な、何っ?」

 聞き捨てならない言葉だ。

 再びキッと、睨みつけるも、汚いイモムシの頭が股間の口にヌリヌリとあてがわれ、私は情けなくも、

「は、はぅぁぁ……あぁぅ…んはぁ……」

 股ぐらがヌメヌメと、ナマズでも挟んだ感覚。

 私の股間に生えるぷっくりとした小豆もヌリヌリと熱いイモムシで摩擦され、何とも情けない喘ぎ声が喉をついて出ていった。

 比企谷の前で、こんな声を。

 いやだ。

 聞かれたくない。

 声を抑えようにもおさまらず、彼に情けない声を聞かれ続けることに私は悶えずにはいられない。

 しかし、そんな羞恥も束の間。

 彼の低い囁きが私の耳元に。

「ダメだダメだと、口にしておきながら、結局はこうやってされるがままじゃないですか。

 平塚先生。

 しっかりと拒絶しないあたり、先生も満更じゃないんでしょう?」

「はぁはぁ……な、何を馬鹿なことを。

 ……妄想の……こじらせすぎだな。

 私は教師だ。

 教師として……君をしっかり説得しようとだな……」

 しかし。

 彼は最期まで言わせてくれず、サワサワと私の胸元から垂れる果実を揉みしだき、

「は、はぁぁぁ、あぁ、はあぁぁ、んぁ!!!!」

 下からモミモミと、鷲掴み。

 ああっ。

 このままではっ。

 このままでは私の果実が揉がれてしまうっ。

 私は胸元に生える果実が彼にもぎ取られる感触に、甘い声が鳴いて止まらない。

「あああぁぁ、うあぁ、いぃ!あ!いくいくぅいくぅぅぅぅぅぅ!!!」

 ついには、私の下腹部がはじけとんだ。

 股間がガクガクと震える。

 私のナマコははしたなく、ボタボタと汁を垂らしていく。

 絶頂したというのに、私下腹部は今だジンジンとして熱いしびれが鳴りやまない。

 

 そしてヌチャリ、と。

 私の股ぐらに生モノの感触。

 

「……ま、まて、……比企谷、わ、私は……今イったばかりんだ……」

 私の股間に。

 私の局部に、彼の汚いイモムシがヌメリとした先端をあてがった。

 彼の行動が信じられない。

 あてがわれる局部がビクリと、恐怖する。

「ええ、分かってますよ、先生。」

 何が分かっているのか。

 優しげな声音のくせして、その汚い局部のすり付けようは、全くもって分かってない。

 なんて卑しいやつなのか。

 侮蔑の睨みでも送ってやりたいが、私は壁に手をついて上体を支えるので手一杯だった。

「……こ、この鬼畜外道め、君がそんなやつだったとは知らなかったぞ。」

「心外ですね。

 俺は本気で先生に好意を伝えているだけですよ。」

「………ものは言いようか。

 国語の……力をこん……な悪どい使用をす……るとは。

 国語教師として……黙ってられんな。」

 罵りながらも、ベタ、ベタと、壁に付いた手を登らせ、私は曲がった上体を起き上がらせる。

「何が好意だ。

 この性欲のケダモノめ。」

 下半身は起立しているのがやっと。

 壁に手をやってもたれなければ倒れてしまいそうだ。

 ぜぇ、ぜぇ、と息が絶える。

 そんな私など構わない、とでもいうように。

 彼は私を背中から抱きつき、耳元で静かにささやいた。

「平塚先生…………いいですよね?」

 私のお尻にニュルリと、彼の汚いイモムシが入り込む。

 私の股間からイモムシの頭がこんにちわと顔を出し、私の目に入った。

 先端がドロドロだ。

 全くもって、汚ならしい。

 これが何を意味するのかは、聞くまでもない。

 首を振り返って、私の意思をぶつけてやる。

「だ、だから、だ、ダメだと言ってるだろう。」

「強情ですね。

 まだそんなことを言うんですか。

 これは先生が始めたことなんですよ?」

「た、確かにそうだが。

 やはり………過ちに気づいたからには……」

 私はまたもや最後まで言えなかった。

「平塚先生、もういいですよ。」

 

 え?

 

 と、疑問符を浮かべる暇もなく、股間の蕾がズムリと押し潰された。

「あああああああああはぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 壁に倒れる。

 壁がないと立っていられない。

 彼の手がガシリと、私の股ぐらを掴み上げたのだ。

 股間に生えるアワビの花弁と、そしてそのすぐ傍でぷっくらと膨らむ小豆のような蕾を、彼の指はグイグイと揉むようにこすってくる。

「んあぁぁぁぁぁ、比企谷っ、比企谷ぁ"ぁ"ぁ」

 容赦ない股間責め。

 掴み挙げる股間の刺激に、私は頭がおかしくなりそうだった。

 刺激から逃れるべく、私は懸命に腰をくねらせる。

 せめてもの抵抗。

 だがしかし。

 その効果は全くなさず、彼のイヤらしいその手は、私の股間を蹂躙した。

「ああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!いくいくいくいくいくぅぅぅぅ!!!!!!!」

 ついには絶頂。

 彼の容赦ない蹂躙に耐えきれず、私の堤防はとうとう決壊。

 ブシャリと、股間の奥底で樹液が噴射した。

 再び私の下腹部が弾け散ったのだ。

 ああ。

 あああ。

 と、私は脱力とともに嘆いた。

 私は嘆かずにはいられない。

 いってしまった。

 見せてしまった。

 彼の前で、こんなにも形振り構わず叫ぶ姿を。

 こんなにも見るに耐えない、股ぐらをどろどろに、快感に悶える様を。

 私は見せてしまったのだ。

 獣のように吠える様を。

 教師である私が、こんな十代の男子生徒になんてものを。

 

 はぁはぁと、荒い息遣いで壁に手をついてもたれかかり、後悔と恥辱の念に駆られていると、

「……平塚先生。」

 と、彼が再び私の耳元に。

 紳士のような低く、そして、私を求める声。

 私はブルリと震える。

「平塚先生。

 ………俺、今から、先生を犯します。」

「…………」

「もう先生が何を言おうと止まれません。

 だから、先生。

 俺を受け入れてください。」

 なんてことを言うのだ、この男は。

 願うわけでもなく、頼むわけでもない。

 こんなにも私は息の絶え絶えだというのに、彼の手のひらは私の果実にそっと触れている。

 私は察した。

 ここで拒めばその手が再び私の果実をもぎ取るような蹂躙が開幕するのだ。

 うん、と同意の意を返すまで、この男はやめないつもりなのだ。

 こんなの。

 こんなのは命令ではないか。

 私はギュッと、瞼を閉じる。

 そして息が落ち着くと、首を後ろに、視線を彼に向けた。

 濁った瞳が私を見つめる。 

 私もまた、まっすぐと視線を返した。

「………わかった。」

 私の了承の意に、比企谷は

「平塚先生。」

 と、声に喜色の色を灯らせる。

 しかし。

 私はすかさず、更なる言葉を口にした。

「だが、条件がある。」

「じょ、条件ですか?」

「そうだ、条件だ。

 人との交渉では常に対価が要求される。

 何かを求めるなら、何かを差し出さなくてはならないのだからな。」

 彼は暫く沈黙するも、

「なるほど。それで、その条件とは?」

「……………」

 真剣な面持ちの彼。

 私も同じく真剣に見返す。

「……何、簡単なことだ。」

 そう言って、私はその場で体を反転させる。

「……はぁ……はぁ……」

 ペタリ、ペタリと、ゆっくりと。

 それまで真剣な口調ぶりの私だったというのに、生まれたての小鹿もかくやと言わんばかりに私の両足はガクガクだ。

 私の股間は痙攣しているのだ。

 当然である。

 正直、全く格好がついていなかった。

「て、手伝いましょうか?」

 あまりの不安定さに彼はそう言ったが、

「いらんわ、たわけ!!」

 語調を強くして断った。

 

 そして、私は比企谷と向かい合う。

 

 全く。

 彼と私。

 お互いの姿に視線を移して、私は軽く呆れる。

 バスローブが全く意味を成していない。

 完全にはだけて、お互いの前面部は丸見えだ。

 お互いに真剣な空気だというのに、場も弁えずに反り立つ彼の局部が目の前に。

「………………」

 沈黙の中、ビクビクビクビクと、彼の局部は跳ねている。

 その場違いな脈動さ。

 私は真剣だというのに。

 そう思うと、蹴りあげてやろうか、と悪態をつきたくなるも、ぐっとこらえて、私は顔を上げた。

 お互いの瞳が交差する。

 そして私は、万感の思いを込めてこう伝える。

 

 

「私も、お前が好きだ。愛している、比企谷。」

 

 

 一人の男に対する私の告白。

 彼の気持ちをぶつけられたのだ。

 ならば、私も本音で向かわずにどうするか。

 

 彼は私の告白にボカンとする。

 ふふん。してやったりだ。

 だが、まだだ。

 まだ、ここでは終わらない。

 私はまだ言ってないことがあるのだから。

 

「だから………私のことは、静。

 これからは、静と、そう呼びたまえ。」 

 

 彼の瞳が壮大に揺れた。

 それを見て、私はフッと笑みがこぼれた。

 

 いわゆる、これからもよろしくどうぞと。

 つまりは、そういう意味である。

 

 私は教師失格だ。

 

 

 静寂が降りる。

 彼の間抜け面に満足するのも束の間。

 沈黙の中、彼もまたフッと静かに笑いを漏した。

 優しげに顔を綻ばせる。

 そして静かな声で一言。

「ええ、わかりました。静。」

 言って、彼の唇が私に近づく。

 

 私の唇に、一肌の体温が重なり合った。

 

 すると今度は唇ばかりではなく、彼は股間のイモムシまで私の股間に押し付ける。

「こ、このケダモノめ、少しは慎まんか。」

 声がひきつる。

 私の視線は彼の下腹部。

 ビクビクと跳ねる怒張した彼のイモムシがヌリヌリと

当たって、その先端から出る汚い汁が私のおへそを汚したのだ。

 こんなにもデカいのか。

 局部の大きさに、改めて私の瞳が点となる。

 到底私のナマコでは収まらないと、そう思わずにはいられない。

 これからそのデカくて汚いイモムシが私の中に潜り込むのだ。

 私の股間が恐怖する。

 しかし同時に、いくばくかの期待の汁が、私のナマコからタラリと落ちる。

「や、やっぱり、やめにするというのは?」

 やっぱり腰が引ける。

「ムチャ言わんでください。

 静のそんな姿を見て、我慢なんて出来ないですよ。」

「全く。

 女の意思を汲もうとしないとは。

 君は紳士でないな。」

「紳士なんて男の建前ですよ。これが俺の本音なんです。」

 そう言って、彼は、股間のイモムシをギンギンに、私のアワビへと狙いを定める。

「い、いきますよ。」

 確認の声が耳に届く。

 彼の濁った瞳が目に入り、私もまた覚悟を決めた。

「ああ、きたまえ。」

 言うと同時、グチュリと、私のナマコにイモムシが潜りこむ。

 

「ああああああはぁぁぁぁぁあがぁぃぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 絶叫。

 貫かれる私の股間に生モノの潜り込む感触がほとばしり、すさまじい快感が私の股間で暴れ回る。

「だだめだ、だめだ、だめぇぇぇぇあぁぁぁ!!!!!!」

 ズムリ、ズムリと、彼は全身で私の股間を突き上げ、私を壁へと押し付ける。

 身動きが取れない。

 私はされるがままである。

 彼の汚いイモムシが熱をもって、グチュリと私のナマコを荒らし回る。

 私の股間は異物感で一杯だ。

 しかし同時に、ヌッチョリとした彼と私の股間の嵌まり具合。

 そんな感触がたまらない。

 ニュルニュルとした股間の感触に、股間の快感がとまらない。

 もっと、もっと、私は両足を開脚し、股間を広げてナマコの入り口を大きくする。

 なんて格好だ。

 まさにがに股。

 私の下半身は痴態を晒す。

 グチュリと、ビンビンな汚いイモムシが私の股間で蠢くたびに、私の膝はガクガクと鳴ってとまらない。

 

 もう。

 もう立つことができない。

 

「ひ、比企谷、比企谷、わ、わた、私、もう。」

 もう限界だ。

 もう立てない。

 そう訴えようとするも、私の訴えは最期まで言えず、彼がその前に行動する。

「静、ちょっと、失礼しますよ。」

 言うとともに、彼は私のお尻をガシッと掴んで持ち上げる。

 私の両足が宙に浮いた。

 私の全体重が、天に突き上げる彼の突起にのっ掛かり、ゴチゴチに反り返ったその汚い先端が私の股間を突き破る。

「あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 私は絶叫した。

 ゴチュリとした、結合が私の中で響き、股間から下腹部に渡って彼との快感でビクビクと痙攣を起こしたのだ。

 条件反射で体が動く。

 両足が彼の腰にしがみつき、彼の首に腕を回す。

 私は全力で抱きついた。

 そうじゃなければ耐えられない。

「だ、ダメぇえ、ダメぇ、いくぅぅ、う、いくぅぅう、ぅぅあ、あぁっ!!!!」

 私がこんなにも喘いで苦しんでいるのに、彼は一向に止まらない。

 ひたすら股間を突き上げることに熱中だ。

 

 このケダモノめ。 

 この低脳猿。

 発情期の童貞め

 無我夢中で腰をふって発情する男に、私はただただ彼を罵った。

「いああっぁああぁああっ」

 ジュポジュポとした股間の感触に、私は悲鳴がとまらない。

 股間に快感が張り付いて離れないのだ。

 抱きついて伝わる固い胸板と彼の熱。

 飛び散る汗。

 私は今、彼と繋がっている。

 ひたすら腰をふる彼の動きが、彼が私を欲しいと、そう言っているのだ。

 もっと。

 もっとだ。

 もっと私を。

 彼の本音が直に伝わり、私は心が満たされていたのだ。

「んんあ、ああぁぁ、いぁぁ、ひ、比企谷ぁぁ比企谷ぁぁ。」

 彼の汚い局部が、その異物感が癖になる。

 こんな汚いイモムシミミズの癖に。

 その汚い異物感が股間の外に出そうになる度に、私は「ああっ」と、侘しくなって仕方がない。

 私から離れるな。

 離れるなんて許さないぞ。

 私から出るなんて許さない。

 お前はもう私のものなのだ。

「くう、くうぁぁ、ぁぉ、静、静、も、もう、俺っ。」

 ああ

 出るのか。

 出てしまうのか。

 彼の息遣いが更に荒くなり、腰の振りつきもより一層激しくなる。

 これが前兆だと、瞬時に私は理解する。

 同時に私の股間も警報をならした。

 堤防が決壊寸前だと、ジンジンとした下腹部の快感がそう伝え、

「あああぁひ、比企谷っ、こ、こい、比企谷あぁぁ、来てぇぇ!!!!!」

「静、いく、いくぅぅぅぁ!!!」

 股間がせり上がる。

 彼の熱い吐息が、耳元に。

 彼の固く逞しい胸板が、私の胸生える蕾を潰す。

「はあぁぁぁ、うぁぁぁ、ああっ!!!」

 あ、熱い。

 股間が熱い。

 汚くて熱い、ヌチョヌチョとした股間のまぐあいに、

「んああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 ゴチュリとした、彼の最期の熱くて硬い局部の突き上げに、私のナマコはおびただしい汁を飛ばして弾け散る。

 ドクドクドクドクと、中の噴射が止まらない。

 私の股間がビクビクと痙攣する。

「あぁぁ、あがぁ、ぁぁ。」

 ナマコの噴射が止まらない。

 私の腰がくだけ散ったのか。

 ビクビクと腰がとまらず、そして最期にビクンと、私の股間が痙攣したのを最期に、私の意識は真っ白となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから一週間。

 

 時は放課後。

 場所は職員室だ。

 私は彼に暗い顔でこう告げた。

 

「陰性だったよ。」

 

 私はとても落ち込んだ。

 いや、本当はとてもいいことであったのだ。

 これで教師は続けられるし、悲しい中絶なんてせずに済むのだ。

 いいことずくめである。

 だがしかし、それでも私は落ち込まずにはいられなかった。

 比企谷と私の愛。

 彼との熱い営みが、何処か否定されたような気がしてならなかったのだ。

 

 だというのに、

 

「あ、そうなんですか?

 いや、よかったです。」

「………………………」

 

 私の前にいるこの男ときたら、こんな言葉を吐き出しやがったのだ。

「君は今、何と言った?」

「え、え、俺、なんかまずいこと言いました?」

 私のにらみに、彼はひきつった声でそう問い返す。

 ああ、言ったとも。

「……君は悲しくないのか?

 私はこんなにも悲しいのに。」

「え、だって、今、子供なんて出来たら、お互いまずいことに。」

「つまりは君は、私との子供は欲しくないということか?」

「え、いや、別にそういう訳では………」

 彼は私の弁にしどろもどろだ。

 だがそんなことはどうだっていい。

 言い訳も聞きたくなかった。

 暗い思考がほとばしり、私の瞳から虹彩が抜け落ちた。

「そうかそうか。

 君はつまりは、そういうことだったのか。」

 私は椅子から立ち上がる。

「え、え?」

 と、彼は狼狽える。

 私の尋常でない空気に彼は身構えたが、しかし私は全く気にしない。

 する必要もない。

 自慢の身体能力をフルに使って、私は彼の肩をポンと叩いて肩を組んだ。

 さながら、共に働く同僚に、帰りの飲みにでも誘うような体勢。

 しかし当然、今の私と彼に、そんな気安さは微塵もない。

「つまりは私とは遊びだったんだな、比企谷?」

「い、いや、そんなつもりじゃないですって。

 お、俺はただ、その、子供を下ろすような最悪の事態はせずによかったなって、そういう意味で……」

 と、言いながらも、彼は私から離れようと抵抗を試みるが、私の掴んだ肩はガッチリと固定されて離れない。

 この挙動。

 間違いない。

 まさに私に対してほの暗いことがある証拠である。

 有罪。

「比企谷。

 ここではなんだし、ちょっと、空き教室で話し合おうか。」

「え、え、いや、話し合いって?

 別に今は他に人はいないし、ここでいいのでは?」

 聞こえない。

 彼が何を言おうが私の耳には届かない。 

 

 有無を言わさず彼の襟首を掴みあげ、空き教室へと引っ張っていく。

 

 あの営みを嘘にするなんて私が許さん。

 彼には制裁が必要のようだ。

 

 私の思考はその一点だった。

 

 

 

 

 そして、しばらく。

 

 

 

 

 とある空き教室にて、生モノが潰れる凄惨な音が木霊したのだった。

 

 

 私の比企谷の関係はまだまだ続く。

 

 




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