目覚めてすぐに目に入ってきたのは、少し前に見上げたばかりの天井だった。
ここは……ん?
現在いる場所を思い出そうとして感じた全身のダルさ。頭がボーッとして手足が上手く動かせない。何とか首だけ動かして視線を横に向けると、そこには吸血鬼のお姉さんがいて。吸血鬼のお姉さんは俺が目覚めたことに気づくと、涙を流しながら謝ってきた。
「ゴメン、なさい……」
「お姉、さん?」
「ゴメンなさい、拓也くん。私……自分が抑えられなくて……」
その言葉にすべてを思い出す。ボーッとする頭が心よりも先に現在の状況を理解する。俺、血を吸われすぎて倒れたんだ……。
「もう少しで私は……あなたを……っ」
ボロボロと涙を流がす吸血鬼のお姉さん。顔を歪めて謝るその姿に、
「……大丈夫だよ、お姉さん」
自然と口が動いた。
「……えっ?」
「俺、全然気にしてないから……。だから、泣かないで」
「拓也くん……」
「元々俺が望んだこと、なんだし。ワザとじゃないんでしょ?」
「それは……そう、だけど……」
「だったら、事故みたいなものだから。俺は……お姉さんを責めないよ」
「拓也くん……ッ」
涙を赤い瞳いっぱい溜めながら見つめてくる吸血鬼のお姉さん。何とか笑顔を作って「大丈夫だから」と伝えようとするが強い眠気に襲われる。
「まだ、眠いや……。ゴメン、もう少し……寝るね」
きっと、血が足りてないせいだろう。
すごく……眠い……。
◆
待ち望んでいた夏休みに入って2日。家でゴロゴロしていると、吸血鬼のお姉さんに呼び出された。
なんでも吸血鬼のお姉さんは数日前に迷惑をかけてしまったお礼がしたいそうだ。
「ん~……迷惑って言ったらアレしかないよなぁ?」
吸血のされすぎで気絶したアレ。でも、元々自分から言い出したことだし……。全然気にしてないんだけどなぁ。お姉さん自身もワザとじゃなくて、事故のようなものだったし。貧血で倒れたボクを介抱してちゃんと家まで送ってくれた。
「お礼って言われてもなぁ……」
むしろこちらが迷惑をかけたような……。このままお礼をしてもらってもいいのかな?
そう悩みながらも吸血鬼のお姉さんに指定された場所へ行ってみると――、
「お待ちしておりました、拓也さま」
メイドさんがいた。
メイドカチューシャにエプロンドレス。紫色の髪をショートカットにしてるメイドさん。
黒いリムジンの横に立っているメイドさん。
メイドさん、メイドさん、メイドさん……。
吸血鬼のお姉さんと同じく、メイドさんの目元には黒いリボンが巻かれているけど……。
「えっと、ノエルさん……ですよね?」
「…………。いいえ。違います」
「でも……」
「私はノエル・K・エーアリヒカイトという月村家のメイドではございません」
いや、俺も知らないノエルさんの本名を言えてる時点でノエルさんだよね? そもそも髪が紫色でメイド服っていうレアな格好の人ってそうそう存在しないと思うんだけど?
疑問符を浮べる俺を無視して、ノエルさん(?)はリムジンのドアを開ける。
「主がお待ちです。お乗りください」
「……う、うん」
質問には応えませんという態度のノエルさん(?)に、ボクはしぶしぶうなずいてリムジンに乗り込む。シートに腰を下ろして運転席を見ると……、
「ファリンさん?」
「はーい。なんですかぁー?」
ノエルさん(?)と同じくメイド服を着た月村家のメイドさん、ファリンさんがいた。こちらも目元に黒いリボンを付けていたが、いつもの陽気な調子で返事を返した時点でファリンさんであると確定した。
「……え? やっぱりさっきのはノエルさん? で、でも、俺は吸血鬼のお姉さんに呼び出されて……そういえば、教えてもないのに俺の家の電話番号知ってるのっておかしいよな?」
うんうんと唸りながら混乱していると、助手席に座ろうとしていたノエルさんが俺の座る後部座席のドアを開けて隣に座ってきた。
「皆さん乗りましたねー。ではでは出発しますよー♪」
ファリンさんの陽気な言葉と共に車が走り出す。走り出した車内で、ノエルさんが口を開く。
「拓也さま」
「はっ、はい! ……なんですか?」
「そう緊張なさらないで下さい。危害を加えようなどとは考えておりません」
いや、危害とかじゃなくて! ノエルさんとファリンさんがいるのに混乱してるんだけどっ!
吸血鬼のお姉さんに呼び出されたはずだよね!?
混乱する俺を、ノエルさんは真っ直ぐ見つめて言う。
「どうかこのことは忘れてください」
「……え? 忘れる?」
突然何を言ってるんだ、このメイドさん。そもそも何を忘れろと?
「はい。私たちが月村家のメイドであること。吸血鬼の正体。そのすべてを。忘れてください」
「え? それって……?」
どういう意味? そう訊ねようとする前に、ノエルさんは言う。
「どうか、今は訊ねないで下さい。拓也さまには話せない、複雑な事情があるのです」
……複雑な、事情? それって……、
「お願いします、拓也さま」
真っ直ぐ正面から見つめられ、頭を深く下げられる。その姿からは、ノエルさんの真剣さが感じられた。
…………。
「……わかった。わかったよ、ノエルさん。これ以上、訊かない」
「拓也さま……」
「複雑な事情があるんでしょ? なら、そっちが話してくれるまで、これ以上こっちからは何も訊かないよ」
「ありがとうございます」
もう一度頭を頭を下げるノエルさん。それにしても複雑な事情、かぁ。こんな必死なノエルさんは初めてだし、きっとすごく複雑な事情なんだろう。
「もうすぐ目的地に着きますよ~♪」
ニコニコ笑顔で運転をしているファリンさんはいつも通り能天気みたいだけど……。
◆
リムジンに揺られること30分ぐらい。ノエルさんとファリンさんに連れられてやって来たのは、周囲を森で囲まれた洋館だった。その洋館は小説やアニメなんかでお馴染みの、いかにも吸血鬼が住むような洋館で、日当たりが悪く、陰気な雰囲気をかもし出している。
「あれ?」
「どうかなさいましたか、拓也さま」
「……べ、別になんでもないよ」
「そうですか?」
「うん。気にしないで」
ここって月村のお屋敷の裏口だよね? ものすごーく見覚えあるんだけど……。車で通った道もすずかの家の近所だったし。
「では、まいりましょう。主がお待ちです」
「……うん」
ノエルさんに連れられて裏口からお屋敷に入る。ファリンさんとはどうやらここでお別れのようだ。こちらに手を振り、車に乗ったままどこかへ行ってしまった。
ノエルさんのあとについていきながら屋敷の中を進む。……うん、中もいたって普通。ドクロの蝋燭立てとか気味の悪い絵画も飾ってない。ちっとも吸血鬼の根城っぽくない普通のお屋敷だった。
先を歩いていたノエルさんがドアの前で立ち止まる。
「こちらになります」
「この部屋に忍さん……吸血鬼のお姉さんがいるの?」
「はい」
ノエルさんがドアをノックすると、部屋の中から声が返ってきた。入室の許可を貰い、ノエルさんがドアを開ける。うながされるように先に部屋へ入ると……、
「いらっしゃい、拓也くん」
「お、おじゃまします。しの……吸血鬼のお姉さん」
薄紫色のネグリジェを着た忍さんがいた。……もはや正体を隠すつもりもないらしい。
ベッドの端に腰掛けた忍さんが側に来るよう手招きをする。俺は手招きされるままに忍さんの隣に座った。
忍さんは俺の手に自分の手をやさしく重ね、正面から俺の目を見つめながらつぶやく。
「拓也くん。突然のことで戸惑ってると思うけど、今は何も聞かないで欲しいの」
「それは……わかってるよ。お姉さんたちが事情を説明してくれるまで俺からは何も聞かないって、ノエルさんとも約束したし……。このことは誰にも言わないよ」
「ありがとう、拓也くん。いずれは私のほうから事情を説明するから」
「うん……。でも、言いたくなったらでいいからね?」
無理矢理聞きだしたり、嫌々聞かされるのも嫌だし。話せるときに話してもらえればいいよ。
それに……。今はそれよりも――、
「あの……忍、さん……?」
「なに、拓也くん」
「その……下着着けてないの?」
薄いネグリジェから覗けてるモノのほうが気になってしまう! 距離が近いから色々見えてるんだけど……。乳首とかさ。
「あら? 気になるの、拓也くん」
「そ、そんなことないよっ」
お母さんや美由希さんとお風呂入るときも見てるし! なのはとかアリサとかすずかのも見ても全然気にならなかったし! 忍さんのだって気になるわけが……。
「気になるんだったら直で見せてあげようと思ったんだけどなぁ」
「なっ……! 直って!?」
「ほらほら、見たいでしょう?」
チラチラとネグリジェを肌蹴させる忍さん。……な、なんだかわからないけど、すごく見てみたい……ような、気がする。
「本当に見てもいいの?」
「ええ、いいわよ♪ ――ほら」
忍さんは立ち上がり、ネグリジェに手をかける。何のためらいもなく忍さんはネグリジェを脱いで裸になった。
「う、あ……」
気づいたら口から声が漏れていた。
目の前に立っている裸の女性。
家族じゃなくて、物心つく前から一緒だった高町家の人じゃなくて、最近知り合ったばかりの女の人の裸。
温泉で見たすずかと似てるけど、全然違う。胸が大きくて、下のほうに毛が生えてる。
あそこは……この前美由希さんが弄ってたところだったはず……。
太ももとか位置とかで見えないけど、あそこは美由希さんと同じなのかな?
「――っ!」
思わず両手で股間を押さえる! なっ、なんだこれ!? オチンチンが反応してる!?
「あら、ふふふっ……」
「――っ」
小さく笑い声を漏らした忍さんがゆっくりとこちらに近づいてくる。肩膝をベッドに乗せて、股間を押さえてる俺の手を解いていく。
なすがままに手をどかされると、そこには大きなってズボンを持上げてるオチンチンが。
「まあ、すごいのね」
「す、すごいって……?」
「もちろん、拓也くんのオチンチンがよ」
ニッコリと微笑む忍さん。忍さんは大きくなったオチンチンを見つめ、顔を近づける。
「し、忍さん!?」
突然股の間に顔を埋められ、驚いた声を出すが、忍さんは無視してズボンの上からオチンチンに触れた。細くて長い指が根元から先端へツーッとなぞられる。
「――っ」
オチンチンから伝わってきたモノにビクッと体が跳ねる。……な、何だ今の!? 一瞬でよくわからなかったけど、背筋がゾワってしたぞ!?
「ふふっ、いい匂い」
「なっ!? ……し、忍さんっ! いくらなんでも顔が近い、です……」
ズボンに息が……ズボン越しに当たってるっ。息の熱や風がズボンからオチンチンに伝わってきてる!
全身から汗を滲ませながら戸惑う俺を無視して忍さんは熱っぽくつぶやく。
「こんなにパンパンになって……すごく苦しそうね」
「……忍さん? あのなんでズボンのベルトを外して――なっ!? ちょっと忍さん!?」
「コラ、暴れないの。少しの間じっとしてて」
「じっとって、ズボン脱がされてるのにできないよ!」
必死になって忍さんからズボンを守ろうとするが、忍さんの力が強すぎて敵わない! こんな細腕なのにどこに力が……まるで美由希さんみたいだ!
抵抗空しくカチャカチャとベルトを外され、チャックを下まで下ろされ、そのままズボンを脱がされる。ズボンの下に穿いていた青色のトランクスが露出したが、それでも忍さんの気は済まないみたいだ。俺をベッドの上へ寝かせ、最後の砦だったトランクスまでポイっと脱がし、ついでとばかりに上着まで脱がされた。
「うん、これでよし」
生まれたままの姿となった俺を見下ろしながら、満足そうにつぶやく忍さん。この場での抵抗はすべて無駄だと悟った俺はすでに股間を隠すのを諦め、ベッドの上に大の字で寝転がった。
ギシッと小さくベッドを軋ませ、忍さんがベッドの上へと昇ってくる。忍さんは俺の真上、覆いかぶさるようにベッドに手をつき、四つんばいになった。
視界のほぼすべてが忍さんの顔で埋まる。目を逸らそうにも紫色の長い髪が顔の周りに降りてきてるために顔を逸らせない。
俺の胸に、忍さんの大きな胸が触れてくる。ゆっくりと、探るように体重がかけられていき、それに比例して密着が増していく。
大きくなったオチンチンが、忍さんのお腹に触れる。忍さんのサラサラとした肌に亀頭が擦れて小さな痛みと気持ちよさが伝わってきた。
「拓也くん」
「忍、さん……」
普段とは違う、爛々と輝く真っ赤な瞳。
生暖かい吐息に、肌から伝わる感触。
肉食動物にこれから食べられる草食動物の気持ち。
もう随分と前になる、初めての夜が思い出す。
あのときは月の出た夜だったけど、状況は前とあまり変わらないと思う。
前と同じように、これから俺はこの吸血鬼のお姉さん……忍さんに襲われる。
もう逃げ場はない。
ここは彼女の城のなかだ。
「さあ、お姉さんといいことしましょ」
――だけど、前と違って恐怖はなかった。
「はい」
俺はうなずいて忍さんに両手を伸ばす。折れそうな腰に両手をまわすと、忍さんはうれしそうに微笑み、唇を重ねてきた。
プルプルした忍さんの唇……。密着してる体からは忍さんの体温や感触が伝わってきて、呼吸すると鼻から忍さんの匂いが入ってくる。
「はぁ……はぁ……、忍さん……」
「うふふ、もっとキスしたいの? いいわよ。今日はお礼するつもりだったから、拓也くんの好きにしていいのよ」
もう一度、忍さんと唇を重ねる。腰に回していた手を胸へ移動させ、忍さんの胸を両手で掴む。
体の内側から溢れてくる感情に任せて乱暴に胸を揉みながら唇を押し付ける。忍さんはそれらをすべて受け入れ、さらに体を密着させてくる。
「忍さん……忍さん……忍さん……ッ!」
ああ……。
俺は吸血鬼の誘惑に完全に取りつかれてしまったらしい。
体の上に覆いかぶさっていた忍さんを、気づいたら俺はベッドへ押し倒して体を重ねていた。
唇や大きな胸、脇やお腹など様々な部分を俺は両手や口を使って味わっていた。
心まで熱くなった全身がまるで言う事を聞かず、感情のままに忍さんを抱きしめていた。
大きく開かれた忍さんの股の間に、誘われるままに腰を入れていた。
従順な犬のように忍さんの指示に従い、美由希さんに教えてもらったあの穴にオチンチンを入れていた。
腰が抜けてしまうような怖ろしい感情の波に、逃げ出そうにも両足でお尻を挟まれそのまま白いおしっこ……精子を漏らしてしまった。
その射精と呼ばれる行為が気持ちよくて……俺は忍さんに導かれるまま忍さんのなかで射精を繰り返した。
色んなものでドロドロになったオチンチンを抜くと、すぐに忍さんに咥えられ、しゃぶられた。
しゃぶられ、射精するとお風呂へ通され、そのまま湯船のなかでもう一度した。
お風呂を上がってからも、俺は忍さんから離れたくなくてずっと抱きついていた。
まるで赤ん坊のようにおっぱいを吸わせてもらい、温泉旅行のことを思い出した。
おしっこを飲んでもらったことも思い出して、冗談で言った忍さんにうなずいておしっこを飲んでもらった。
そのまま夕方になるまでベッドの上でキスしたり、触らせてもらったりした。
ノエルさんの運転で家まで送ってもらう間も、忍さんとのことが頭を離れない。
「俺はもう、ダメかもしれない……」
「何かおっしゃいましたか、拓也さま?」
「はぁ……」
「?」
――また遊びに着ていいわよ。着たい時はこの機械でメールすればいいから。
別れ際に忍さんから渡された携帯電話っぽい機械を取り出し、電源を入れる。
『いつ、遊びにいっていいですか?』
『今度の水曜日はおやすみだし、家には誰もいないからいいわよ』
『だったら、水曜日に行ってもいいですか?』
『ええ、もちろんよ。歓迎するわ♪』
『はい! 楽しみにしてます』
気づいたらそうメールを送っていた俺はもうダメだと思う。
……水曜日、か……。
古本屋最後のセールで、
小説『アキカン』を1~8と、その他小説を色々買ってみました。
とりあえず、ガンガンの漫画『三国志ブレイド』は、説明が多すぎて読みにくーい。展開遅いし、飛行機の上に乗る乗らない以前に普通出たら吹っ飛ぶだろ。絵は大好きなのに残念ッ。
それに、蜀編はどこいったー? 劉備たちはどうなったー?
次回予告はなんだったのか……。続巻が出てないじゃないか。
あと、『機工魔術師』が閉店する古本屋で最後まで売れ残ってて残念。1~19巻までそろってるのに、なぜ誰も買わない……。30円だぞ!?