原作:終わりのセラフ
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シノア視点。シノアの思考が『いつか天魔の/黒ウサギ』並にぐだぐだなので、うじうじしたヒロインが苦手な方はブラウザバック推奨。
※シノアの思考が『いつか天魔の黒ウサギ』並にぐだぐだなので、ウジウジしたヒロインが苦手な方はブラウザバック推奨。
ふと窓を見ると、道端の岩か何かにつまづいた優さんを、ミカさんが抱き込んで支えていた。
横から誰か飛んできて「あそこには誰も居ないよ」なんて言ってくれたらいいのにと思いそうになって、やめる。
私、たぶん、そういう優さんが好きだ。
窓越しの小さな姿でさえ、ふと見たぐらいで見つけられてしまうぐらい。
「はぁ」
自分に落胆して、ため息を
恋愛脳じみた私なんて、気持ち悪い。
「ため息を
振り向いて、声の主を確かめた。
いくら気が抜けていたって、私の気が付かないうちにこの距離まで近づける人なんて限られている。
透き通った銀髪に、涼しげな蒼い瞳。深夜兄さんだ。
なぜだか最近、出くわすことが多い気がする。
「本当ですね。女の子の部屋を覗き見するお義兄さんの標的にされちゃうなんて」
「せめて、人知れず悩みを抱える
「ありがとうございます。でも、間に合ってますから」
満面の笑顔で返す。営業スマイルはお互い様だ。
何を思い立ったかは知らないけれど、深夜兄さんは窓の近くへと歩いていく。
「優一郎とミカエラか」
「鬼呪装備が遠距離型なだけあって、目がいいんですね」
「違うよ。シノアちゃんが何を見てため息を吐いてたのかって思ってさ。同じ方向を見たら、いた」
まさか。そんなデバガメみたいな気持ち悪いことするわけないじゃないですか。
そう言いたいけれど、兄さんの言っていることが事実なだけに
「優さんとミカさんは仲が良いですから。雰囲気が悪くなってきたら、あ、吸血鬼か何か出たんだなーってすぐ分かるんですよ」
「使いに出した部下の安否を気遣うなんて、部下思いじゃない。彼ら、いい上官を持ったね」
これにも、あは、と笑って返した。
真っ当な言い訳を思いつくと、さらに気になってしまいそうで。
話を変えることにする。
「で、兄さんは何の話をしに来たんです?」
不謹慎だけど、急な仕事の話でもあればスイッチ切り替えられるのに、なんて思う。
「言ったでしょ。人知れず悩みを抱える妹の世話を焼きにきたって」
「ああ、言いました。間に合ってます」
間に合ってるって言うのに、兄さんは人の部屋のベッドに勝手に座り込む。
「シノアちゃんってさ、好きでしょ、優一郎のこと」
……っ!!
「あは。面白いです、憂鬱な気分が吹き飛びました」
「好きでしょ、俺のこと」くらいの言葉なら息を吐くように言いそうな人だ、とは思っていたけれど。
こうも遠慮がないと、かえって笑えてしまう。
「もし私が優さんのことを好きだったとして、兄さんには何の関係もないでしょう。どこの馬の骨ともつかない男と付き合うなんてお兄ちゃん許しませんよ、とでも
「関係、あるよ?」
「何の関係が?」
「僕だってシノアちゃんのこと好きだよ。シノアちゃんが自分の気持ちにケリを付けるまでは待つつもりだったんだけどねー。いつまでも
流し目の深夜兄さんは、かなり色っぽい。
そんな顔で真面目に言うものだから……駄目。気持ちに抑えが効かなくて……!
「……ぷっ。あは。ぷはははははははははははははは」
どのくらい笑っていたか覚えていないけれど、とにかく笑った。
腹筋が崩壊するっていうのはこういうことなんだって分かるくらいにおなかが痛い。
前にこんなに笑ったのは、どのくらい前だったっけ。
「どう? 気分は晴れた?」
「おかげさまで。兄さんが、妹想いの素敵な兄さんだっていうことはよく分かりました」
「そう。それは何よりだよ。でもさ、僕は本気だよ」
「えー、私って優さんのことが好きみたいですし、片想いは長引くってクセになるって言いますよ。待てますか?」
なんて、あくまで本心は分からないようにへらへらと笑いながら答える。
この狂った柊家の中で生き残るために身に付けたコミュニケーション術は……ひどく疲れる。
そして、深夜兄さんは養子といってもとても「柊家」らしい人だ。
みんながみんな、優さんみたいに純粋で、みっちゃんみたいに分かりやすければいいのに。
あ、そしたら私の居場所がないな。
「待つつもりだったんだけどさ、気が変わったよ。シノアちゃんがいつまでも動かないなら、僕がもらう」
「そしたら私、ずっと優さんのこと忘れられなくなるかもしれないじゃないですか―。それでもいいんですか?」
セカンドでもいいんですか?
それは、私がずっと自分に問い続けてきたことだ。
優さんは幼馴染のミカさんのことをとても大事にしている。
誰と付き合うことになったって、きっと一番はミカさんだ。
男女の火遊びじゃ到底割り込めないくらい、二人の絆は深い。
その絆は、崖をロープで渡るくらいに危なっかしいのに。
それでもミカさんをあきらめない優さんが、私はとても大好きだ。
それに……優さんは、私を必要としてくれているし。
これが恋という気持ちなのかは、まだ分かってない。
けれど……もしミカさんから優さんを奪うようなことになったら、私は自分を許せなくなる。
今はセカンドでもいいと思えているけれど、いつか一番じゃなきゃ嫌になってしまうのが怖い。
「いいよ。忘れられるようになるまでいくらでも待ってあげる」
私の肩を通して、兄さんが背中から腕を回してきた。
今の顔、見られてしまっただろうか。
兄さんの顔も見えないし、私の表情も分からなかったと思う。
そう思うことにする。あまり深く考えると、きっと墓穴を掘る。
考えてみれば、深夜兄さんも
本気かどうかは知らないけれど、本当に本気なら、姉妹ともに振られたことになる。
真昼姉さんは兄さんよりずっと前に決めた人がいたから、「振られた」以前の問題だとは思うけれど。
「私は、姉さんの代わりなんです?」
「そんな訳ないじゃない。シノアちゃんと真昼様は、全然違うよ。僕が好きなのはシノアちゃん」
そう。全然違う。私じゃ姉さんの
姉さんは人の枠には収まりきらないくらいの人で……そして、本当に人ではなくなってしまった。
「兄さんは頭の悪くてスタイルも良くないほうが好み、と。メサコンなんですかね」
「そういう、人の核心を突くところも含めて好き」
「
兄さんは、笑って答えた。
あまり突っ込んでやり返されると私が困るし、このくらいにしておこうかな。
少なくとも、兄さんは一時の気まぐれで言っているのではないと思う。
柊家の現当主の娘と知ってて火遊びをしようとするなんて、自殺行為に等しい。
深夜兄さんに破滅願望でもあれば、話は別だけれど。
兄さんだって、グレン中佐の立場を危うくしてまで女遊びに興じたりはしないだろう。
そして、兄さんならいくらでもやりようはある。
私のこと、なんで好きになってくれたのか分からないけれど。
でもいいや。私のことなんて、どうでも。
「姉さんの代わりなら姉さんの代わりで、いいんですよ。かわいそうな兄さんのこと、私がなでなでーってしてあげます」
小さい子を
常に笑顔を絶やさない深夜兄さんの表情が、一瞬崩れたような気がした。
怒らせてしまったかもと思うけれど、止まらない。
このくらいでこじれるような気持ちなら、早く間違いだと気づいてもらったほうがお互いのためだ。
「兄さんが年下の女の子になでなでーってされて喜ぶような特殊性癖でも、私、妹をやめたりしませんから」
「シノアちゃんが撫で撫でしてくれるの? それは悩むなあ。でも言えないよ。許婚になったとき、僕は真昼様とは全然面識がなかったもの」
「初恋なんて、みんなそんなものじゃないんですか」
毎日会ってたって、こんな人だとは思わなかったなんていうことは良くある訳で。
美少女天使シノアちゃんでも、いつも天使のまま付き合ってたら鬼になっちゃいますよ兄さん。
「まあいいです。んー、『全部捨てて僕と逃げよう』なんて口説かれたら、落ちちゃうかもしれないです」
「僕は」
そのときの、兄さんの目がとても真剣で。
目が、
「シノアちゃんもグレンも諦めたりしない。みんな守ってみせる」
「その中には」
躊躇するけれど、聞かずにはいられなくて。
「優さんも、入っています?」
「当たり前じゃない。理由は知らないけど、グレンも気にかけてるしさ。それに彼だって僕の、いや、帝鬼軍の仲間だ」
「嫉妬しないんですね。シノアが一番大事だから他の奴は知らねえくらい言ってくれたら、落ちちゃうかもしれなかったのにー」
本当に嫉妬していないのかは、疑問だけど。
「シノアちゃんって、そういう子じゃないでしょ」
「私は、嫉妬しますよ? たとえグレン中佐でも、浮気は浮気です。男の人の中には、女の子同士の浮気は浮気の数に入れない人もいるみたいですけど」
「心配しなくても、僕はノーマルだから。その点は安心して」
僕はホモじゃないけど彼だけは特別だから……っていうケースも考えうるから、安心できないかな。
「分かりました。お返事をくれた兄さんには、大好きな妹がなでなでーってしてあげます」
振り向いて膝立ちで兄さんの頭を撫でると、彼は照れくさそうにしていた。
こういう表情、他の子には見せないんだろうなって考えると、申し訳なく思う。
だって私、まだ兄さんのこと好きになれるかも分からないのに。
「シノアちゃんに、お返し」
あ、と思う間もなく、
目を閉じれば、頬に、口元にと口づけられて。
なんとなく、考えてみる。
姉の
下手な相手だと付き合っているだけで柊の家に殺されてしまうかもしれないけれど、兄さんならそういうこともない。
優さんのことも、無下にはしないと思う。
あとは、私の気持ちか。
どうしても、私たちの立場だとちゃんと先のことまで考えないといけないような気がする。
私の中には鬼の血が混ざっているらしいし、あまり子どもは欲しくないかな……。
なんて思ったところで、はたと考えるのをやめる。
今の私の思考って、だいぶ気持ち悪い。
私の中にもこんな気持ちの悪いところがあったんだなとゾッとするくらい気持ち悪い。
もしかしたら、今兄さんに告白されたのも私の願望が表れた夢なのかもしれない。
夢ならさっさと起きようと思って、頬をつねってみる。
「何やってるの?」
「……女の子には、色々あるんです」
頬はつねったとおりに痛く、これは夢ではないようだ。
だいぶ恥ずかしい絵面だったと気づいて、顔が熱くなる。
「可愛いね」
彼は私の耳の上あたりを何度か撫でると、再び唇を重ねてきた。
深夜兄さんの顔が、斜めに映る。
キスされているのに全然ドキドキしないし、夢っていう可能性もまだ残っているな。
落ち着いているせいか、体感時間はゆっくり流れている。
――いや。実際に長い時間、唇が合わさっていた。
「ん……ふ……!」
抱き寄せられて唇を重ねたまま固定されると、次第に息がきつくなってきて。
心臓の鼓動が
息苦しいのに、不思議と嫌な感じはしない。
この感覚って、大事だ。
最初から、自分のことなんてどうでもいいし……それなら、深夜兄さんでもいいかなって思う。
そしたら、もうそれ以上優さんのことで悩まなくても済むでしょう?
だんだんと体が重く感じられてきて、それで、兄さんに体を預ける。
ずいぶんと長い時間がすぎたあと、兄さんの唇が離れていくのが名残惜しくて。
「私」
「うん?」
「寂しいみたい、です」
本当に好きになれるかどうか分からないうちに答えを出すのは、ひどく不誠実だと思うけれど。
兄さんは、それでもいいんですか?
「いいよ。今は寂しいだけでも。あんまり難しく考えなくてもいいじゃない、ゆっくり付き合ってくれればいいしさ」
私が、ゆっくりじゃ困るんです。
深夜兄さんの優しさにつけこんでいるのは、私――
なのに。
固く抱きしめてくれた兄さんの腕が暖かくって。
なのに。
私は冷徹に思考を張り巡らせていた。
「あの。当たってます」
本当は何も当たっていない。と、思う。
なのに、兄さんに揺さぶりをかけたくて。
「そう? ごめんごめん」
何が、とは聞かれなかったけれど。
兄さんの体勢が、まず当たらないような抱き方に変わった。
「いいですよ」
「それじゃ、遠慮なくシノアちゃんを抱きしめさせてもらう」
「そうじゃなくて。鬼に乗っ取られた兄さんに無理やり……なんて痛そうなので。優しくしてくださいね」
「お年頃の優一郎や君月でも我慢できることが、僕に我慢できないように見える?」
見えない。
多分、兄さんの言う通り。
でも。
「私、初めては好きな人とがいいんです。けど、処女は罪でしょう? こんなご時世だと、兄さんじゃなくても血走る人がいるかも分からないですし」
半分、どうかな、10分の1くらいは、本当の気持ちは混ざってはいるけれど。
だって、今はたまたま比較的治安の良い地域にいるだけだ。
いつまた明日をも知れぬ前線へ行くことになるかも分からない。
そうなれば、リラックスできるところで身を
けど、実際は、早く兄さんと後戻りのできないところまで行ってしまいたいというのが本当の気持ち。
下手に猶予なんて与えられたら、本当に、行動に出てしまうかもしれない。
そしたら、壊れてしまう。
切なくて泣きそうでも、必死に抑えて守ってきたものが、みんな壊れてしまう。
――兄さんは、それ以上聞いてこなかった。
「あ……」
彼に体を押されれば、間の抜けた声が口から漏れた。
一瞬の浮遊感の後、体がベッドへと沈み込んで、跳ねる。
「好きだよ」
包むように、
何度も何度も。
それ以上、何もしてこない。
酔ったような気分になってきて、落ち着かない。
「シノアちゃん、緊張してる?」
「平気です」
「我慢強いシノアちゃんも可愛いなあ。でも、素直になったほうが楽になるよ」
「少し緊張はしてます。でも、慣れてますから」
仕事柄、緊張感を持つことには。
けれど、その言葉が兄さんを煽ったらしい。
「なら、遠慮はいらないね」
強く体を引き寄せられて、思わず目を
ぎゅっと抱きしめられたまま息がつまるくらいに口づけられたかと思えば、撫でる手はめいめいに位置を変えて。
肩を撫ぜる手は、うなじへと。
背中をさする指は、……おしりのほうへ。
撫でられながら、こうなるなら、朝のトレーニングをもう少し頑張れば良かったかな、なんて考える。
焼け石に水、だけど。
「ん……!」
手慣れた手つきで上着を脱がされて、その首元にキスをされれば
顔が熱くて、これはもう無理だな、と思った。
「ちょっと、待ってください。緊張しちゃうので。私、自分で脱ぎます」
「いいじゃない。シノアちゃんの体、もっと見せてよ」
「恥ずかしいので。私、脱いだらすごいんですもん。さらしの下から、ばいーんって」
「期待してる」
起き上がると、兄さんと背中合わせで裸になった。
脱いだ服を、丁寧にたたむ。
気持ちに整理を付けるように。
だいぶ待たせてから、看板に偽りのある平坦な体で、彼と向き合う。
そうしようと思ったけどできなくて、布団の中に体を隠した。
カーテンを閉めても、まだ、明るすぎて。
「綺麗だね」
「兄さんのほうが、綺麗です」
本当に、彫刻みたいに綺麗な体だ。
布団の中に入ってきた兄さんは、少し距離を置きながら頭を撫でてくれる。
気持ちいい。
すぐに離れる彼の顔を、ただ呆然と見送る。
「ん……!」
間が空いてから、深く口づけられる。
リップ音が聞こえるくらい激しいキスを、何度も浴びせかけられて。
抱き寄せられ、肩甲骨の周りを撫でられながら、舌を絡め取られる。
おなかの下に、小さな
「は……く……」
「ふ……ん……!」
そのうちに、兄さんの手に胸をやわやわと揉まれて。
恐れていたような、途中で止められたりはしないことに、
胸だったら、隠そうとしても見えてしまうし、
もっと隠したかったところも遠慮なく探られて。
彼の手が触れる度に、刹那の不安が、暖かな気持ちへと移り変わってゆく。
すると、兄さんが唇を離して、彼と私の間に銀の糸が伝った。
「大丈夫?」
「はい……」
「そっか。僕はもう、シノアちゃんが可愛すぎて大丈夫じゃないかも」
「またまたー」
余裕で切り返せる、と思ったけれど。
「……っ!」
布団を少しめくった彼に、胸の先を甘く吸われる。
すぐに口を離した彼は、敏感な先の方は
「ちょっと寒いです」
「少しだけ我慢して」
抵抗の訴え
彼は胸飾りを口に含みながら、逆側をも指先でカリカリと引っかけてくる。
その度に触れられている箇所が我慢しきれないくらいに痺れて。
じんわりと、体が熱を
太腿に手が当たるなと思っていたら、そのまま蜜口へとすべってきて。
その指先がゆっくりと体の中に入ってくる異物感に、耐える。
「濡れてるね」
「早いんでしょうか」
「シノアちゃんのペースでいいよ」
兄さんと違って経験がないので、早いとか遅いとか分からない。
けど、自分の体の感じように、鬼の血が入っている私は原始的な欲求に弱いのかも知れないと少し思う。
だって、気持ちには、まだ、迷いがあって。
ごめんなさい、兄さん。
「つっ……ん……」
探るように何度か蜜口の浅瀬を抜き差しされたら、今度はその外縁をなぞられた。
兄さんの指先が、オルゴールが回るようなゆっくりとしたリズムで巡る。
それが出っ張っているところに触れるたびに、抑えがたい
余裕
再び、敏感な胸の
そのうえに秘芯をこね回されて、声が裏返った。
「ふぁ……あ……!」
直に感じる兄さんの体温が、とても熱い。人の体温ってこんなに熱いんだ、と知る。
その兄さんに、花芯を摘まれたまま円を描くようにこね回されて。
大きく、そして小さく軌道を変えながら次第に早まっていく指先に、
胸の先を舌で転がされ
目の前が、淫らに明滅していた。
「ん……んん……何か、ヘン、です……!」
「我慢しないでね。そのまま一回、イッちゃおうか」
我慢しなくて、いいらしい。
したくても、できないけれど。
そのうちに迷っている余裕さえなくなってきて、私は考えるのをやめた。
苦しいくらいに、気持ちよくて。
「あ……ああ、あ……っ!!」
なんだか心細くて、兄さんの背中に強く抱きかかる。
そしたら、ぴんと体が張り詰めた――
「そこ、それ以上は、苦しいです」
「ん、了解」
酸素が足りなくて、大きく息を吸っては吐く。
添い寝してくれている兄さんに、とても安心する。
息苦しくしたのも深夜兄さんだけど、それも幸せで。
「兄さん」
「大丈夫だった?」
続き、してください。なんて言えるわけなくて。
「……キス、してください」
「可愛いなー」
ただ静かに重ねられる唇は、ドキドキはしないけれど、すごく落ち着く。
深夜兄さんになら、体を預けられると思える。
「ん……っ」
また蜜口を指先で
往復しているうちに、さっきより深いところまで兄さんの指が入り込んでくる。
まだ硬くても、びちゃびちゃに濡れた蜜口は二本目の指もクリアして。
繰り返し
体を広げられる感覚に、不安と期待が
「シノアちゃん」
深夜兄さんの落ち着いた声が胸まで響いて、それさえも快感に変わる。
「何……でしょう」
「最後までしても、平気?」
「私のこと……深夜兄さんのものに、してください」
私がそう答えると、兄さんは手慣れた手つきで避妊具を身に着けた。
じっくりと見ていたわけではないので、大きさはよく分からない。
でも、小さくはないんだろうなあ。
「入れるよ」
返事をするのがつらくて、ただ兄さんの腕を握った。
頬を2、3度撫でられると、短いキスを受けて。
兄さんの綺麗な瞳に私が映っているのを、不思議そうに見上げる。
すると、下腹部を
「ん……っ!」
指先とは比べ物にならない熱が、入り込んできて。
まだ痛みと言うほどではないけれど、体を押し開かれる違和感に体がこわばる。
兄さんの腕を抱いて、こらえた。
抱きしめてくれて、撫でてくれたことを思い出して、ついさっきのことなのに、胸が暖かくなる。
それで、少しだけ緊張が緩んで。
兄さんの動きが、一瞬止まった。
「キツイかな。少しだけ、我慢してね」
「はい。あ、は……ッ!!」
ずんと奥の方まで突き入れられて、思わず悲鳴を上げそうになる。
繋がりあったところはまだ兄さんを受け止めきれていなくて、圧迫感と鈍痛を感じて。
私だけじゃ耐えきれなくて、兄さんの腕を思いっきり抱きしめた。
「痛……」
「少し、このままにしてるね」
兄さんの腕を離してその背中に手を回せば、彼も抱きしめ返してくれて。
顔のあちこちにキスされて、くすぐったい。
鈍痛は
「私、兄さんのものになれて、幸せです」
その言葉自体に嘘偽りはない。
もう、彼のものだから、それ以上悩まなくていい。
それは、いいことでしょう?
私の中で、兄さんのものがぴくりと動くのを感じた。
「僕も幸せだよ。ねえシノアちゃん、そろそろ動いてもいい?」
「痛み、
「痛くて我慢できなかったら言ってね」
兄さんが、ゆっくりと律動をはじめる。
だって、兄さんを騙していることが、清算されるような気がするから。
「ん……」
「は……ふ……」
じっとりと汗ばんだ体を、彼がしきりに撫でてくれて。
角度を変えて長く短く、何度もキスを受ける。
兄さんは、さっきより余裕のないように感じられる。
「きつ……狭いな」
「痛い、ですか?」
「ううん、全然。シノアちゃんの中暖かく絡みついてきて気持ちいいよ。すぐイッちゃいそ。まいったな」
「そうですか。なら、私の分まで気持ちよくなってください。痛いばかりで、理不尽なので」
「慣れてきたみたいね」
すると彼は抽挿を速めるでもなく、花芯を指で柔らかくつぶした。
「んぁっ!」
蜜口を
下手に体を動かせないままに弄ばれる花芯からは、それまで以上の快感が
蜜壁はさらに彼を締め付けたけど、痛みに混じってそれ以外の感覚もこみ上げてきていて。
「あ、は……兄さん、気持ち……いいみたい、です……」
「とっても気持ちいいよ。シノアちゃん、大好き」
「そ、じゃなくて……私、も……んっ」
私がそう答えるやいなや、兄さんは深く口付けて律動のスピードを速めた。
口の中で、私の舌が彼の下に絡め取られて、二人の唾液が混ざり合ってとろとろになる。
深く繋がりあいながら優しく撫でられれば、体も段々と彼の体温に染まっていって。
唇が離れたあとも、兄さんは私の名前と好きの気持ちを
私は好きとは答えられなくて、ただ彼の腕の中に溺れて気持ちいいと
「あっ、んっ、……んん……! 兄さん、私、イッちゃいそうです」
「僕も我慢の限界、かな。一緒にイこうよ」
秘芯を揺さぶり回されれば、段々と限界が近づいてきて。
それまで以上のペースで求められて、兄さん自身がお腹の裏側の気持ちのいいところに繰り返し当たる。
息が止まるくらいに抱きしめられて
「シノア……ッ!」
小刻みに震えて締め付ける私の中から、彼自身が引き抜かれる。
そして、目の前が真っ白になって――
気づけば、深夜兄さんが全て後始末をしてくれていた。
「気がついた? シノアちゃん」
「初めての女の子に、気を失うまでするなんて……兄さんの鬼畜」
「えー。シノアちゃんも楽しんでたじゃない。どこか痛いところある?」
まだ兄さんの感覚が体に残ってるけれど、初めてだから仕方ないし、言うのも恥ずかしい。
「……私。淫乱なんでしょうか」
真昼姉さんも、決してビッチではないけれど、奔放だったみたいだし。
「人それぞれでしょ。僕は真面目なお付き合いのできない子だとは思わないな」
「そうですか……」
安心する、と同時に不安になる。
まだ私、兄さんのものになりきれてない。
私の心の中は、兄さんだけでいっぱいになってない。
「足りないみたいです」
「ん?」
「もっと、したいです……」
兄さんは何も聞かず、覆いかぶさってきて――
こんなに短期間に、体を重ね合うだけではそうそう絆も深まる訳もないのに。
渇望感はおさまらなくて、結局、体力が尽きるまで兄さんに
* * *
それからしばらくして、私と深夜兄さんは正式に許婚になった。
とりなしてくれたのは暮人兄さんだ。
といっても暮人兄さんは互いを互いの人質にできると計算しただけなんだと思うけれど。
「深夜さん見てください! かわいいでしょう?」
「おお、いいねー。とってもよく似合ってる」
そう言うと兄さんは、頬に唇を寄せてくる。
それが嬉しく感じてしまって、自分で気持ち悪いなーと思いながら、幸せな気持ちを隠しきれない。
優さんからは得られなかったものが、いとも
「ロリコン兄さんにはこのくらいぶりっ子したほうが受けますねー」
「シノアちゃんぐらい大きなリボンが似合う子もそうそういないからねえ」
私の少女趣味も大概かなとは思う。
自分のことなんてどうでもいいと思ってる私に人のことなんか幸せにできないと思っていたけれど。
それなのに兄さんは私といて幸せそうだから、良かったなって思う。
それでいい。
「ちょっと、優さんたちに呼ばれてますから行ってきますね。世話の焼ける部下で困っちゃいます」
大切な仲間だ。
部下だなんて思ってないけれど、そう言わないと兄さんがやきもちを焼く。
「僕もちょっと用事を減らしてこようかな」
「埋め合わせは何がいいです?」
「シノアちゃんのフルコース」
「いいですよ、電気が通っているところならなんでも作れちゃいますし」
深夜様の事情入れようか迷ったけど蛇足なので省筆(設定はある)