※この作品はR-18です。

好色平凡な男がゾイドに乗る   作:触手スライム

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1話 プロローグ

 地球から遠く離れた未知の星系で、無人探査船は地球に酷似した惑星を発見した。

 しかしその直後、突如として船は謎の光に飲まれ、消息を絶つ。

 これを受け、地球連合の移民局は本格的な移民調査船団の派遣を決定した。

 

 移民調査船団は目的の惑星を発見し、テラフォーミングが可能と報告した直後、突如として金属的な異音と共に、【金属製の出来の悪い動物】や【歪な形状の箱】と表現された謎の機動兵器に襲われる。

 船団は迎撃を試みるも圧倒され、戦場は宇宙から地上へと移り、傷ついた船団は惑星へ墜落した。

 

 移民船旗艦【ヘリック】は、惑星のほぼ中央にある中央大陸への不時着に成功した。

 一方、【ヘリック】の船体を自身で支え続けた【ワダツミ】は、中央大陸より少し南の島に不時着した(この海は後にゼロス海と呼ばれる)。

 もう一つの移民船団の旗艦【ガイロス】は、北西の極寒の地に不時着していた。

 これにより、敵も同様に、宇宙から逃げ場のないこの地上へと戦場が移った。

 

 地上は、金属が剥き出しの大地であり、粉末状になった金属砂が風に舞い、通信障害を引き起こした。

 不時着した3隻の交信は、地上では途絶えがちであった。

 敵と交戦した戦車や装甲車は、履帯を切られ、敵の蹂躙を受けた。

 

 そんな中、鹵獲した敵個体を調べた結果、そのコアは【人工知能ユニット】と【未知のエネルギー発生装置】を組み合わせたものであることが判明した。

 続く2年の間に、相手のアルゴリズムと通信プロトコルを解析し、交渉に成功した。

 

 交渉に応じた【金属生命体の母(イブ)】は、【物】として扱われることを拒絶し、生命体としての扱いと、生物的な造形を人類に要求し、人類はこれに合意した。

 この時から、コアを持つ動物型ロボットは金属生命体ZodiacAndroid、略してZoid(ゾイド)と名付けられた。

 敵対するゾイドはEnemyZoid(エネミーゾイド)と呼ばれ、人とゾイドによる新たな歴史が始まった。

 

 3隻以外にも地上へ不時着した中小の船の人々は、それぞれの地で集結し、地球の動物に似せた多脚戦車にゾイドコアを乗せ、エネミーゾイドに対抗した。

 地上で確保できた安全地帯にドーム型のコロニーを作り、船を離れてゾイドと共に暮らすようになると、国家が生まれた。

 Zoidsとの合意に至った年を元年として、【Z.E.:ZoidsEra(ゾイドの時代)】という年号が定められ、各国が建国された。

 

■Z.E. 2年:国家の誕生

・中央大陸(後にデプロイ)に不時着した【ヘリック】を中心としたコロニー群は【ヘリック共和国】を建国した。

・極寒の地(後にニクス大陸)に不時着した【ガイロス】を中心としたコロニー群は【ガイロス共和国】を建国した。

 彼らはその時の絶望から自らの地を暗黒大陸と自称した。

・【ワダツミ】の人々は、立憲君主制として【倭国】を建国した。

・当初、両共和国は共に民主共和政治の国として建国されたが、数年後「ガイロス」は帝政に移行した。

・初の国際会議で、惑星の名前を【Zi】と定めることや、

 周囲の大陸名などが話し合われ、それ以降定期的に会議が行われることになった。

 

 

■Z.E. 14年:禁忌とテラフォーミング

・惑星の有機組成が少ないこと、そしてコロニー外では生身でいられない環境下で、ゾイドによるテラフォーミングが実施された。

・三カ国は、合わせて1万人未満の人口では国が持たないと判断し、子孫を残すために人工子宮、クローン技術、出生前遺伝子操作といったあらゆる禁忌を始めた。

■Z.E. 20年頃:混沌の時代(テラフォーミング過渡期)

 不時着した移民船団は、惑星Ziの過酷な環境に直面し、生き残るためにそれぞれの「シェルター(国)」に籠城を余儀なくされた。

 ◇【海:酸のスープと酸素の発生源】

  ・強酸性の海は、一見して死の世界だったが、そこは【爆発的な光合成を行う藻類】で埋め尽くされていた。

  ・沿岸部には緑や赤色の粘液状の【藻】が分厚く浮遊しており、これが大気中に酸素を供給していた。

  ・倭国は、この【汚泥のような藻】を濾過・加工し、最初の合成食料と酸素を得る技術を確立することで生き延びた。

 ◇【大地:金属の荒野】

  ・植物が存在しないため、大地に【土】は存在しない。あるのは溶岩が冷え固まったような岩盤と、砕けた金属質のレゴリス(砂礫)のみ。

  ・風化して粉末状になった【金属の砂】が暴風に乗って吹き荒れ、生身の皮膚に散弾のように突き刺さる。

  ・この環境が、後の倭国における【肌を保護するためにオイルやジェルを塗る習慣】の起源となった。

 ◇【空:酸性雨と磁気嵐】

  ・気候は極めて不安定。常に黒い雲が垂れ込め、金属を腐食させる強い酸性雨が降り注ぐ。

  ・ガイロス帝国の民は、この殺人雨を避けるために地下の洞窟へ逃げ込み、地熱を利用して暖を取った。

  ・ヘリック共和国は、砂漠の真ん中で【ドーム】を作り、その中で【土壌】を一から作るために、持ち込んだ植物の品種改良に数十年を費やした。

 

 

■Z.E. 106年:開拓ゾイドの開発と環境適応

・不時着した船やコロニーで食糧難や居住区の不足が発生した。

 これに対応するため、大地を掘り進み、金属を集め、運び、岩を砂に変えるゾイド(開拓ゾイド)や、水中探査や海水を分離し、水素と酸素に分けるゾイドなどが開発された。

・また、各国が国民に対し、【ナノマシン手術】と【遺伝子治療】による環境適応を求めることが決議された。

・【モルガ】が地を耕し、【グランチュラ】、【ザットン】が構造物を組み上げ、【アクアドン】や【フロレシオス】が海や川で酸素や水素を作り、コロニーの中心として【ビガザウロ】のような超大型ゾイドが活躍すると、人々は開拓のため各地に散っていった。

 

 

■Z.E. 157年:人類の種分化と短命化

・やがて、砂漠に適した体に変異した人類は【砂族】、海で暮らすのに適した人類は【海族】と呼ばれるようになり、これにより多くの種が発生した。

・地域ごとに入植した初期の地球人とは異なる種が生まれ、コロニーが分化し始めた。

・遺伝子改造とナノマシン手術により、理屈上は寿命300歳を超えるはずであったが、過酷な環境により死亡率は高く、平均寿命はわずか40歳にとどまる。

 それでも人々は、13歳で成人として扱われ、強化された身体で過酷な大地に出ていった。

 

■Z.E. 180年:環境の安定化と経済圏の確立

 ゾイドを多用した強制的なテラフォーミングにより、各地の気候が安定化する。

 各国は環境に合わせた産業を興し、資源と人材の相互依存関係(交易ルート)が形成された。

 ◇倭国(食糧庫・亜熱帯)

  ・いち早く酸性度の高い海で、ゾイドを用いた植物プランクトンの養殖に成功。

   それを利用した合成食料、水、酸素の供給国としての地位を確立する。

  ・赤道に近い倭国周辺では亜熱帯気候が強まり、住民の服装は軽装化(露出度増)が進む。

  ・しかし、風が強く金属粒子を多量に含んだ砂が肌に刺さるため、皮膚保護用のオイルやジェルを塗る文化が定着した。

 

 ◇ガイロス帝国(地下資源・極寒)

  ・極寒による雪と氷が増加したため、地下に巨大都市を作り、地熱を利用した生活圏を整えた。

  ・地下開発の副産物である希少金属(レアメタル)や、土木作業用ゾイド(モルガ等)を倭国や他国へ輸出。

  ・過酷な地下労働を補うため、他国から「安価な労働力(奴隷)」や「食料」を輸入する体制がこの頃より常態化する。

 

 ◇ヘリック共和国(農業・牧畜)

  ・周囲が荒れ地と砂漠で覆われていたが、遺伝子改造植物が根を張り、徐々に緑地と森林が増加。

  ・ドーム型の飼育場で植物を用いた多別家畜生産を開始し、安定した陸の生活圏を築く。

 

■Z.E. 378年:ゼネバス帝国の建国

・テラフォーミングの結果、コロニーの外でも人が生きられるようになり、

 持ち込んだ動植物があちこちで自然に育ち始めた。

・エネミーゾイドの脅威が薄れ始めた頃、【ヘリック共和国】の【軍司令ゼネバス】が軍事クーデターを企て、失敗に終わった。

 共和国はクーデター関与者と主犯ゼネバスを未開拓の辺境へと追放した。

 しかし、この追放が後の悲劇を招く。

 【ガイロス帝国】皇女は、第二世代の金属生命体の母【ダジボーグ】を強奪し、ゼネバスのもとへ向かい婚姻した。

 第二世代型ゾイドコア生産装置を手に入れたゼネバスは、追放された地に【ゼネバス帝国】を建国した。

・ゼネバス帝国は、共和国時代に遺伝子改造植物で緑化された山岳地帯を領土とする。

・比較的温暖で四季のある気候に恵まれるが、平地が少ないため、ドーム型飼育場での集約的な家畜生産を継続。

・山岳の要害と過ごしやすい気候は、強靭な兵士と強力なゾイドを育む土壌となった。

 

 

■Z.E. 413年:第一次大陸間戦争の勃発

・【ヘリック共和国】は、これに反発し【ガイロス帝国】に対応を求めた。

 しかし、皇女が妊娠していることを知った皇帝は、それを喜び、【ヘリック共和国】の訴えを黙殺した。

・デプロイ大陸西部の一部を領土とする【ゼネバス帝国】は、【ガイロス帝国】との共同開発、そして【自国生産のゾイド】を背景に、食糧難などを理由として【ヘリック共和国】へと侵攻を開始した。

・開拓ゾイドを転用していた共和国軍のゾイドは、帝国の戦闘用ゾイドに苦戦し、戦線は後退した。

 

■Z.E. 415年:傭兵組合の提案

・【倭国】は、共和国寄りの姿勢をとり、

 【ゼネバス帝国】を国家として承認しない姿勢を貫いた。

・しかし、この年の国際会議で、【終わらない戦争】、【孤児・捕虜問題】、

 そしてエネミーゾイドによる戦時中の被害拡大といった問題から、

 【倭国】は傭兵組合方式での対応を提案した。

・傭兵組合は、【倭国】が傭兵の身分と拠点を提供し、各国が報酬のための資金を提供することで、その資金や功績に見合うゾイドを取引するシステムとして機能することになった。

・また、エネミーゾイド以外に、コロニー間の水運搬等といった、

 戦争以外の依頼も引き受けることが盛り込まれた。

・これには、急速な軍事力、ゾイドの能力向上についていけない【倭国】の防衛策として、ゾイドの取引拡大も含まれていた。

・戦時協定は不随事項、捕虜の待遇などがすぐに定められた。

・傭兵組合は、地域を限定した暫定施行となった。

 

 

■Z.E. 427年 12月:地球からの来訪と緊急停戦

・膠着していた戦争は、地球から来訪した移民船【グローバリーⅢ】がデプロイ大陸の中央山脈に落下することで急変した。

・ヘリック共和国の【ゴジュラス】と、ゼネバス帝国の【レッドホーン】の戦いが終盤を迎え、ゼネバス側の敗北が決定しようとした最中、エネミーゾイドの集団が各地を強襲した。

・移民船を墜落させたエネミーゾイドは、母艦ごと各地に降り、人類のコロニーを強襲した。

・これに対応するため、ヘリック共和国とゼネバス帝国は停戦に合意した。

・また、被害が国土の半分を超えたため、傭兵組合を拡大することも併せて発表された。

 

■Z.E. 428年 1月10日:停戦の開始

 Z.E. 413年から15年にわたって続いた中央大陸戦争(デプロイ大陸)は、「グローバリーⅢ」の不時着という新たな脅威による混乱を受け、ヘリック共和国とゼネバス帝国の停戦合意に基づき、一時的な停戦へと至った。

 

 

――人類の新たな歴史、ZoidsEra(ゾイドの時代)は、今、新たな戦いの局面を迎える。

 

 

 

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